以下、宜しければ御笑覧下さい。
2022年5月29日更新: 末子音がない日本語 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその22
2022年5月15日更新: 裏拍が先か表拍が先か ─── 縦乗りを克服しようシリーズその3
2022年5月11日更新: 頭合わせと尻合わせとは何か ─── 縦乗りを克服しようシリーズその2
リズムが縦乗りでも何も問題はありません。縦乗り自体は問題の本質ではないと私は思うのです ─── 問題は縦乗りの人が、感情的になって人間関係トラブルを起こしたり、強権的になって派閥を組んで結託して横乗りを追放しようとしたりというような暴力行動をおこしやい事です。
今日いつものようにセブンイレブンで買い物していたら、BGMでものすごい縦乗りのヒューマン・ネーチャー(80年代のマイケル・ジャクソンの曲)が流れていました。あまりに縦乗りがすごかったので、家に帰って譜面に起こしてみました。 こんな感じでした。
前半4小節がオリジナルの横乗りバージョン、後半4小節が縦乗りバージョンになっています。
ヒューマンネーチャーは元々のメロディーの中に横乗りのリズムが織り込まれています。つまり縦乗りに変えて演奏することはとても難しい筈です。果たしてこの横乗りのリズムをどう間違えたらこの様な激しい縦乗りのリズムとして勘違いすることができるというのでしょうか
───
以下でどう間違えたことからこんな縦乗りになってしまったのかを、少し考えてみました。
縦乗りを指摘されると、ショックのあまり、「何故そんな人の心を傷つけることをいうのか」「何故そんな和を乱すようなことをいうのか」と非難したくなることがあります。 ─── しかしそんなショックが、実はチャンスなのかも知れません。
『縦乗り』は日本人独特なリズムの習慣を指す言葉です。これは元々日本語の一般表現としてあった言葉ではありません。私がこの『縦乗り』という表現を初めて耳にしたのは、1994年前後の早稲田モダンジャズ研究会で活動している時でした。
当時のジャズ研究会では、ジャズらしいスイングが感じられないリズムについて、誰からともなく縦乗りという表現で言い表していました。もとより、このジャズ研究会は、単語の頭部と後部を引っ繰り返していうジャズ用語が飛び交う一般とはかけはなれた世界でしたので、この『縦乗り』という言葉が一般的な表現であった可能性は低いでしょう。
その後私は、この縦乗りという表現が指し示す現象をよりよく観察し、その定義を考える様になりました。私の考える縦乗りの定義は以下の通りです。
縦乗りの基本三要因
— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) December 8, 2024
1.裏拍を後ろと認識していること
2.拍の多層を理解できないこと
3.尻合わせが理解できないこと#オフビートで思考する語学
私は、この3つの条件を満たした状態で演奏する音楽のリズムを縦乗りと定義しました。
以下のビデオは、この条件に従って、縦乗りと横乗りを体の動作によって体現したものです。
【音のない動きだけで分かる横乗り縦乗りの違い】
— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) December 9, 2024
1. 裏拍が先行している
2. 拍の多層構造が存在する
3. 動きが尻合わせで配置されている
どんなに海外で高度な横乗りを会得しても、横乗りと縦乗りの違いがはっきり区別しない限り日本帰国と同時に縦乗りに戻ってしまう #オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/wDTfJTLMhV
縦乗りの定義に関する詳しい解説は別項として改めたいと思います。
つまり、そもそも縦乗りとは日本人である私が、日本語を真摯に反省し海外の言語との違いを客観的に観察した結果でしかありません。 ですから当然、縦乗りは海外からやってきた表現ではありません。
そもそも海外の人は日本人のリズムの何が違うのかすら気付くことが出来ません。何故なら日本語があまりにも独特すぎるからです。彼らに日本人の何が間違っているか、日本人の何が違うのか、日本人は何故グルーヴしないのか、質問しても当然教えてくれる筈がありません。海外の人々は、日本語に関する知識が全くないのです。
縦乗りの本質は日本語訛りにあります。この縦乗りという日本語訛りがあることにより、そもそも海外で一般的な発音の発展型である横乗りリズムが理解出来ない=その場の目の前で見ているのに、オウム返しに同じリズムを再現することができないという現象が起こります。
音楽や外国語を会得しようとする時、必ずしも本物を目指す必要はありません。しかし日本人の場合だけは特に、この縦乗り訛りを直す必要はあるのです。
何故ならば、日本語では、リズム認識の時間軸の向きが、海外の言語のでのリズム認識の時間軸の向きと、完全に真逆だからです。
日本人は全く同じリズムに対して、海外の人と全く逆の順番でリズムを認識しています。このことが起因することで日本人は、数多く存在する様々なリズム形のなかに盲点のように認識出来ないある特定のリズム形を持っているのです。
この日本人独特なリズム認識偏りを矯正するために考え出された方法が 声出しオフビートカウント練習法です。
縦乗りという概念も、オフビートカウントという方法論も、純粋な日本人による日本人の為の日本人の概念です。当然外国の人が知っていたり実践したりしていることはありません。しかし海外の言語と日本語の発音を真摯に比較した結果として、日本人に欠けているリズム認識を後天的に獲得することを目標として、飽くまでも理論的な定義に基づいて考察された方法論です。
そして恐らくですが、日本人以外の人々にとっては不要な練習方法ではないかと私は考えています。何故なら海外の人々にとって、それはほとんどの場合、練習しなくても出来ることだからです。これは、日本人だけが出来ないことなのです。
ギル慶と交互に手を叩いてみたのですが、ギル慶は全く揺れないのです。外人とやると必ず揺れないのですが、ギル慶は話した感じ日本人なのに、一緒に手を叩くとその手の叩きかたは、確実に日本人でないのですね…。
— 岡敦/Ats🇯🇵 (@ats4u) January 15, 2022
この練習方法は日本人専用なので、海外本場のミュージシャンが実践していることは絶対にありません。当然、外人のミュージシャンが実践しているはずもありません。
海外で闘う日本人にとって、敵の特性をよく知ることは大切です。しかし敵の特性を知る以上に大切なことがあります。それは自分自身の特性をよく知ることです。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず。」です。 いくら勉強熱心に敵についての知識をよく勉強していても、自分自身の特性について無知な人は闘いで生き延びることは出来ません。自らの行いを戒めて反省できない人は自分自身の特性を知りません。この状態では、敵についての知識すらも有効に活かすことが出来ないのです。
私達は、この状態でありながら「世界的ミュージシャン」を名乗るおこがましさを知らなければならない ─── 私はそう思います。
関連記事:65536この縦乗りを克服しようシリーズではこれまで音楽の事について書いてまいりました。縦乗りを克服しようシリーズは私が普段音楽の事について思索をすすめる中で明らかになったことを文章化して保存しようという趣旨で始めたものだったからです。
しかし今後この縦乗りを克服しようシリーズは、少し音楽の話題から遠ざかるかも知れません。今回は、この事について説明したいと思います。
ネットを見回しますと英語が得意な日本人が英語を教えているビデオがたくさん見つかります。しかしこの英語が得意な日本人も全員が例外なく、海外で生活する際に直面している何らかの障害を持っています ─── 私はその、日本人が海外で生活する上で直面する障害というものの存在自体に興味があったのです。今回はこの日本人が海外で生活する上で直面する障害の中で最大の障害『縦乗り』について御紹介したいと思います。
どん、どん、どん、どどんがどん。 どっどんがどんの、どんどんどん。
日本人は何故たてのりなのでしょうか。ロックやってもたてのり。クラシックやってもたてのり。ジャズやってもたてのり。バンドやってもたてのり。手拍子打ってもたてのり。ステップ踏んでもたてのり。かっこよくダンスしたつもりでたてのり。歩いてもたてのり。走ってもたてのり。 何をやってもたてのり。───
日本人は、どうやってもたてのりから脱出できません。
縦乗りからの脱出。
これは日本人にとって永遠のテーマです。日本のミュージシャン達は激しくスイングする本物のグルーヴを求め、滝に打たれたり、長期間断食して生死の縁をさまよったり、燃え盛る炎を裸足で渡ったりします。しかしそんな命がけの努力も虚しく、依然として縦乗りから脱出することはできません。
しかしもうリズムを精神論で考える必要はありません
───
日本人が何故縦乗りになるのか。これまでこの原理を正しく理解して説明することに成功した人はいませんでした。
私は12年に渡る海外放浪のなかで、この縦乗りの問題について私なりに答えを探してみました。今回はそこで私が気がついたことを様々な実例を実際に譜面に起こし目に見える具体的な形で説明してみたいと思います。
私はこの記事を本格的な演奏者を志す人、そして真剣に英語を習得したい方に捧げたいと思います。
───
私が海外放浪中に気がついた最大の発見は、日本人が英語が苦手な原因と日本人の縦乗りの原因は全く同じだということです。そのことについて以下で順を追って見ていきたいと思います。
縦乗りとそうでないリズムが区別出来ないという現象は、横乗りで演奏出来る人にとってもしばしば起こりうることです。能力的に横乗りで演奏すること自体は可能でも、何かのきっかけで縦乗りに戻ってしまい横乗りに戻ることが出来なくなってしまう ─── 上級者と呼ばれている人でも、そんなことがしばしば起こります。何故そのような現象が起こるのでしょうか ───
まいばすけっと(イオン系の都市型小型食品スーパー)にいくといつもジャズがBGMとして流れています。このBGMは聞くだけで日本人の演奏と即座に判別がつくとてもわかりやすい縦乗りジャズの特徴をもっています。
私は今朝、まいばすけっとに食パンを買いに行きました。このまいばすけっとのBGMを聞いてたら徐々にこのBGMから「おいっちにーさんし!おいっちにーさんし」という、掛け声が聞こえてくるような気がしてきました。
まるで中肉中背のまるまる肥えた中年男性が、グラスワインを片手にタキシードを着て、ニコニコ笑顔で元気にラジオ体操を踊っている様です。
これは…?
最近(諸事情によりこの曲をよく聴いている。この曲のメロディーは縦乗りが強いのにあまり縦乗りが強くない。その理由はこの歌詞が英語だからだ。1音符毎に子音が2つ(場合によっては2単語で更に2つ)必要なため、音符1つを2つ以上に分割して認識する必要がある。https://t.co/Sxc7dXilbJ
— 岡敦 (@ats4u) July 28, 2022
サンプル音源1はこれかなと思う。
— 岡敦 (@ats4u) July 30, 2022
外国風を狙ったお洒落中国人の様にしか聴こえない。https://t.co/iMlkeuiz75
おぉ! リフの始まりが全て16分音符1つ弱起になっているではないか!
— 岡敦 (@ats4u) August 4, 2022
私が子供の頃に聞いた時は気付かなかったし、何なら数年前聞いたときも気付かなかった。だが今日、私は気付いた!https://t.co/jSGJOkc5aR
打点を早くずらす時、まずタラッ、タラッ という二音があり、自音をそれら打点の前のタにあわせるだけでなく、後ろのラにあわせることもできる必要がある。
— 岡敦 (@ats4u) August 3, 2022
結構ひさしぶりにシーカンソーの喜劇を見た…。それで思ったが、ラオ語は英語よりも末子音・頭子音のリズムの入れ替わりが強い。末子音の裏拍を聴き逃がすと全部聴き取れなくなるので、この部分のリズム認識を鍛える事が必要だと気付いた。https://t.co/hYOWJ9oBZS https://t.co/E8HE1T0ogo
— 岡敦 (@ats4u) August 6, 2022
先週このビデオを見てとても思うことがあった。フレーズ組み立ては頭合わせ(バイエル?)、メトロノームを打つ位置も頭合わせ、だけどリズムはいわゆる日本人の縦乗りの様に平坦にならない。
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
日本人の4分音符を認識する方法自体が違うことが浮き彫りになる例だった。
(比較する為のビデオを作成) https://t.co/AwPn54bRPW pic.twitter.com/zHQcjEVwsE
うーむ…。
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
何でドラムより後ろに下がるのかな…。遅い。気持ち悪い。これじゃ乗れない。どんなに楽器力があっても、このタイミングの悪さだけで全てが台無しに破壊されてしまうんだけど、彼ら真剣に、そのタイミングの違いが認識できないんだよな…。
ここに挙げきれなかったツイートは、基本的に次のスレッドを辿ると全て到達できる様になっている。
この数週間で気付いた事をまとめる時間が取れることを待つと終わらない。 取り敢えず今まで気付いた事を雑多なメモとしてリンクを集め、縦乗りを克服しようシリーズ(草稿)としてアップロードした。https://t.co/XGVse89OMj
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
… カッカッカッカッ
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
はいアウト!縦乗り!
(音を出す前から縦乗り判定が下るケース。本来は1拍目が始まる前から音を出す必要があるのに、氏は1拍目を待っている。1拍目を待つと、次の小節のフレーズが全て4拍遅れになることが確定し、リカバリも不能になる。)https://t.co/YnrWd4wTwu
あともうひとつ、日本人が絶対に出来ないのは交互手叩き。これも日本人がリエゾンを聴き取れないことと関連がある。これも多分同じ様に恐らく毎日10時間やっても恐らく習得まで大変に長い年月が掛かる。
— 岡敦🇯🇵 (@ats4u) September 23, 2022
Credit https://t.co/h0pSjp2e2F pic.twitter.com/W6YViF9ZFo
オフビートとリエゾンについての記事を執筆中です。
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