FLAGS
NOTICE
■■■ 現在縦乗りを克服しようシリーズを大規模再構成/加筆訂正中です ■■■
2022年5月29日更新: 末子音がない日本語 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその22
2022年5月15日更新: 裏拍が先か表拍が先か ─── 縦乗りを克服しようシリーズその3
2022年5月11日更新: 頭合わせと尻合わせとは何か ─── 縦乗りを克服しようシリーズその2
2024年8月19日月曜日
2024年7月14日日曜日
縦乗りは悪くない ─── 縦乗りを克服しようシリーズその63(oka01-vsqkunxtooemkbbn)
縦乗りを指摘されると、ショックのあまり、「何故そんな人の心を傷つけることをいうのか」「何故そんな和を乱すようなことをいうのか」と非難したくなることがあります。 ─── しかしそんなショックが、実はチャンスなのかも知れません。
2024年6月18日火曜日
岡敦縦乗り克服の記録 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその62 (oka01-jqkthkmtzwcvmokm)
私はこれまで、日本人独特な違和感のあるリズムを縦乗りと名付けそれを言語化することで矯正する方法を模索するという趣旨で様々な記事を書いてきました。特にどうやったらジャズ独特なグルーヴを演奏することが出来るのかに重点を置いて、様々なリズム理論を構築してきました。
今回はそれを実際に音にしてみた記録を時系列に沿って御紹介致します。
2024年5月13日月曜日
グルーヴとは何か ─── 縦乗りを克服しようシリーズその61 (oka01-evdwddndhxmjzwix)
>【グルーヴとは何か】
— 岡敦🇯🇵 (@ats4u) February 4, 2024
1. グルーヴとは、それは将来起こることを予想させる音が連続すること。一見無関係に見える多くの要素の全てが、ある一点に向かって収束する動きの美しさが聴覚上でグルーヴとして認識される。 この事を『尻合わせリズム構成』と呼ぶ。#オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/XPPdEPSwjZ
>【グルーヴとは何か】
— 岡敦🇯🇵 (@ats4u) February 4, 2024
2. ある等間隔に現れる音の列と、その音の列と並行して現れる別の音の列の双方が、それぞれややずれている様子が影のような効果によって立体的な位置関係を感じさせること、あるいはその状態。
これを交互リズムと呼ぶ。対義語は同時リズム。#オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/EmQLxqBqIC
>【グルーヴとは何か】
— 岡敦🇯🇵 (@ats4u) February 4, 2024
3. ある間隔をもって等間隔に現れる音の列と、また異なる間隔をもって等間隔に現れる音の列が、重なり合う様子がまるで遠近法の様に見えて立体的な響きを持つこと、またはその状態。
この事をポリリズムとも呼ぶ。#オフビートで思考する語学 pic.twitter.com/Hk4WQJHIAb
2024年1月8日月曜日
言語理解とリズム ─── 縦乗りを克服しようシリーズその58 (oka01-mgpfvmorvohsqyrj)
2023年11月19日日曜日
縦乗りと劣等感 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその57(oka01-apqiusnwdqaikymv)
リズムが縦乗りでも何も問題はありません。縦乗り自体は問題の本質ではないと私は思うのです ─── 問題は縦乗りの人が、感情的になって人間関係トラブルを起こしたり、強権的になって派閥を組んで結託して横乗りを追放しようとしたりというような暴力行動をおこしやい事です。
2023年4月29日土曜日
『オフビートで思考する語学』について ─── 縦乗りを克服しようシリーズその55(oka01-kiezkxydihyovpjf)
オフビートで思考する語学 とは私がツイッター上で語学/音楽のリズムでのリズムについて発言する時に使っているハッシュタグです。今回はこの オフビートで思考する語学 についてこの場をお借りして御紹介させて頂けましたら幸いです。
2023年4月17日月曜日
&を二回言う三連符オフビートカウントとストンプボックスについて ─── 縦乗りを克服しようシリーズその54(oka01-mbveycmdotjtxwzm)
2021年から私は本業のシステムエンジニアとしての仕事に復帰しました。これまで10年以上放浪しながら色々なことをのんびりと研究してきましたが、仕事に復帰してからは全く研究の時間がとれなくなってしまいました ─── 実際にはリズムの研究は相変わらず続けているのですが、特に研究したことをきちんとまとめて文章化する時間が全く取れなくなってしまいました。
近年、私がリズムに関して気付いたことは、ツイッター上にメモとして残されています。今回はその中でも『&を二回言う三連符オフビートカウント』に関するメモを御紹介したいと思います。新しく見つかったことに関しては、その都度このツイートのリプライとして追記していますので、よろしければたまに御覧になって頂けましたら幸いです。
ここでは、そのツイートのURLと少しだけ補足を書いてみたいと思います。
2022年12月19日月曜日
グルーヴのポケットについて ─── 縦乗りを克服しようシリーズその53 (oka01-tkohzgsczwoqkgfj)
【ポケットについて】グルーヴするポイントに落ちる感覚のことを『ポケット』としばしば呼ばれます。ポケットの正体は打点のずれにあります。しかし日本人はこのポケットを感覚的に認識することが出来ません。
その理由は日本人の『表拍を聴いた後に裏拍を聴く』というリズム認識の特殊さにあります。
裏拍を演奏しようと思う時、どの様に演奏するでしょうか。恐らく誰もが、表拍をまず聴いて、その位置を確認し、その音を聴いてから裏拍の位置を決めようとすると思います。日本人は有名なプロ演奏家から初心者の方まで、誰もが当然の様にそうします。 ─── しかしこれは日本人に独特な習慣です。
皆様が「ポケット」と呼んでいるリズムは、表拍がずれて裏拍がちょうどに合うリズムです ─── このリズムは、表拍を先に聴いて裏拍を後に聴いている状態で演奏することは出来ません。
彼らは裏拍を先に聴いて、その後で表拍を演奏しています。彼の場合は、特に意識しなくても表拍がずれて裏拍が合うのです。
私達は誰もが「タンタ、タンタ、タンタ、タンタ」とリズムを取っていると思います。 この私達が「ごく当たり前」だと思っていることが、海外の人にとって当たり前ではないのです。海外の人たちはしばしば(全員ではありませんが)「タタン、タタン、タタン、タタン」とリズムを取っています。
何故そうなるのかというと、彼らが『末子音のある言語』を話しているからです。日本語には末子音がありません。彼らは、末子音がリズムの先頭に来る様にリズムを認識している為、全音価でリズム認識の順番が日本人と異なるのです。
『グルーヴのポケット』の正体は、この様に分散して綺麗にずれあっている拍の響きです。
私達は当然のように音符を
4分音符 | |||
表 | 裏 | 表 | 裏 |
1 | 2 | 3 | 4 |
2分音符 | |||
表 | 裏 |
… の様に全ての音価で表拍から始まっている…と認識しています。
しかし彼ら(特にアフリカ/南米起源の人々は)4分音符 | |||
裏 | 表 | 裏 | 表 |
2 | 3 | 4 | 1 |
2分音符 | |||
裏 | 表 |
この様に2分音符で見たときも、4分音符で見たときも、必ず裏拍を先に認識しています。
この様に終わりで合わせるという認識が最終的に8分音符で裏拍が丁度に合って、表拍が適度にずれるニュアンスが生まれます。
オフビートカウントについて
私は、この頭で合わせる私達のリズム認識を改革する方法として「オフビートカウント」という練習方法を提唱させて頂いております。 詳しくは私のツイッターアカウントや、このブログ内で御紹介させて頂いておりますので、宜しければ御笑覧頂けましたら幸いです。
関連記事:655362022年10月11日火曜日
日本人は裏拍を無視する ─── 縦乗りを克服しようシリーズその52 (oka01-ndqutiqsvqhwhmaw)
ハイスクール・ミュージカルのテーマソングには、オフビートから始まるリズムが現れます。しかし日本人には『1拍目オンビートから文章を解釈する。その前にある音は全て無視する。』という習慣がある為、そこに音があることに気付きません。
その地点をビデオ中でわかりやすく図示しました。
2022年10月2日日曜日
これからの縦乗りを克服しようシリーズについて─── 縦乗りを克服しようシリーズ その51 (oka01-lrbvmtvrjrrytehk)
この縦乗りを克服しようシリーズではこれまで音楽の事について書いてまいりました。縦乗りを克服しようシリーズは私が普段音楽の事について思索をすすめる中で明らかになったことを文章化して保存しようという趣旨で始めたものだったからです。
しかし今後この縦乗りを克服しようシリーズは、少し音楽の話題から遠ざかるかも知れません。今回は、この事について説明したいと思います。
2022年8月7日日曜日
子音と末子音とオフビート (草稿) ─── 縦乗りを克服しようシリーズ その50 (oka01-qbvgoorsabrnnlha)
最近(諸事情によりこの曲をよく聴いている。この曲のメロディーは縦乗りが強いのにあまり縦乗りが強くない。その理由はこの歌詞が英語だからだ。1音符毎に子音が2つ(場合によっては2単語で更に2つ)必要なため、音符1つを2つ以上に分割して認識する必要がある。https://t.co/Sxc7dXilbJ
— 岡敦 (@ats4u) July 28, 2022
サンプル音源1はこれかなと思う。
— 岡敦 (@ats4u) July 30, 2022
外国風を狙ったお洒落中国人の様にしか聴こえない。https://t.co/iMlkeuiz75
おぉ! リフの始まりが全て16分音符1つ弱起になっているではないか!
— 岡敦 (@ats4u) August 4, 2022
私が子供の頃に聞いた時は気付かなかったし、何なら数年前聞いたときも気付かなかった。だが今日、私は気付いた!https://t.co/jSGJOkc5aR
打点を早くずらす時、まずタラッ、タラッ という二音があり、自音をそれら打点の前のタにあわせるだけでなく、後ろのラにあわせることもできる必要がある。
— 岡敦 (@ats4u) August 3, 2022
結構ひさしぶりにシーカンソーの喜劇を見た…。それで思ったが、ラオ語は英語よりも末子音・頭子音のリズムの入れ替わりが強い。末子音の裏拍を聴き逃がすと全部聴き取れなくなるので、この部分のリズム認識を鍛える事が必要だと気付いた。https://t.co/hYOWJ9oBZS https://t.co/E8HE1T0ogo
— 岡敦 (@ats4u) August 6, 2022
先週このビデオを見てとても思うことがあった。フレーズ組み立ては頭合わせ(バイエル?)、メトロノームを打つ位置も頭合わせ、だけどリズムはいわゆる日本人の縦乗りの様に平坦にならない。
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
日本人の4分音符を認識する方法自体が違うことが浮き彫りになる例だった。
(比較する為のビデオを作成) https://t.co/AwPn54bRPW pic.twitter.com/zHQcjEVwsE
うーむ…。
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
何でドラムより後ろに下がるのかな…。遅い。気持ち悪い。これじゃ乗れない。どんなに楽器力があっても、このタイミングの悪さだけで全てが台無しに破壊されてしまうんだけど、彼ら真剣に、そのタイミングの違いが認識できないんだよな…。
ここに挙げきれなかったツイートは、基本的に次のスレッドを辿ると全て到達できる様になっている。
この数週間で気付いた事をまとめる時間が取れることを待つと終わらない。 取り敢えず今まで気付いた事を雑多なメモとしてリンクを集め、縦乗りを克服しようシリーズ(草稿)としてアップロードした。https://t.co/XGVse89OMj
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
… カッカッカッカッ
— 岡敦 (@ats4u) August 7, 2022
はいアウト!縦乗り!
(音を出す前から縦乗り判定が下るケース。本来は1拍目が始まる前から音を出す必要があるのに、氏は1拍目を待っている。1拍目を待つと、次の小節のフレーズが全て4拍遅れになることが確定し、リカバリも不能になる。)https://t.co/YnrWd4wTwu
2022年9月23日追記分:リエゾンについて
あともうひとつ、日本人が絶対に出来ないのは交互手叩き。これも日本人がリエゾンを聴き取れないことと関連がある。これも多分同じ様に恐らく毎日10時間やっても恐らく習得まで大変に長い年月が掛かる。
— 岡敦🇯🇵 (@ats4u) September 23, 2022
Credit https://t.co/h0pSjp2e2F pic.twitter.com/W6YViF9ZFo
2022年9月23日追記分:採譜について
終わりに
オフビートとリエゾンについての記事を執筆中です。
関連記事:65536更新記録:
追記しました。 (Fri, 23 Sep 2022 15:41:33 +0900)
2022年7月31日日曜日
何故日本人はオフビートが演奏できないのか ─── 縦乗りを克服しようシリーズその49 (oka01-ztenpukfvumymnzv)
『日本人はオフビートが演奏できない』と人はいいます。『日本人の演奏にはオフビートがない』とも人はいいます。では何故日本人の演奏にはオフビートがないのでしょうか。そこに疑問を持つと実は、その理由を誰も知らない ─── そんな日本のミュージックシーンに私はメスを入れるべく、ライフワークとして常日頃リズムに関していろいろな考察をしています。
そのなかでも最近私が気付いた日本人がオフビートの演奏ができない理由 ─── 理解してしまえば実に当然な理由 ─── を、本日はご紹介したいと思います。
その理由とは「日本人は自分がオフビートを演奏しようとしているから、逆にオフビートが演奏できなくなる」…これはどういう意味でしょうか。順を追って以下で見てみたいと思います。
はじめに
- 「日本人は自分がオフビートを演奏しようとしている。」
- 「すると結果的にオフビートがなくなる。」
…これはどういう意味でしょうか。
この1.と2.の間に、日本人自身が気がついていない驚くべき日本人の習性と、その習性がもたらす日本人の能力の限界がそこに隠れています。
この1.から2.へ至る経緯を順を追って見てみたいと思います。
メトロノームと演奏する日本人の独特な習性
まず皆様がメトロノームを鳴らして演奏する時、皆様は鳴らしているメトロノームはどの様に聴こえているでしょうか。何を当たり前の事を言うのか … と思われるかも知れません。しかしこれは人によって、そして時代によっても、そして実は母国語とする言語によって大きく変化するものです。
もしもそこにメトロノームが鳴っていたら、通常そのメトロノームはこの様に聴こえているのではないでしょうか。
このメトロノームをもし仮に以下の様に鳴っていると仮定して演奏してみてはどうでしょうか。
これは鳴っているメトロノームの音は全く同じですが、そのメトロノームの音に対する我々の聴覚上の認識自体を変える事を意味しています。
そこで既に鳴っているメトロノームを裏拍として認識しながら、表拍で手を叩く ─── たったそれだけのことですが、できません。
私は予言します。 これを読んでいる貴方も、メトロノームをこう鳴っていると仮定しながら手を叩く事が出来ません。
それは貴方だけではありません。
それは有名な音大を出て著名な演奏活動をしているような音楽家も例外ではありません。
なぜなら日本語を母国語とする人は、特別な矯正訓練を行うことなしに、このリズムを演奏することができないからです。
私は数多くの方々にリズム理論を教えて参りましたが、ほとんど全員が出来なかっただけでなく、相当な練習を積んでも尚、これを行うことが出来ませんでした。
貴方は仰るでしょう ─── 「こんな難しいことは出来ないのは当然だ!」
しかしとても残念なことなのですが、これが出来ないのは日本人だけなのです。ある研究によるとイランのある民族の方々も同じ習性を持っているという説がありますが、いずれにしても世界的にとても珍しい習性のひとつということは言えそうです。
日本人はこの日本語のリズムの独特さを認識することができません。
そして…
『メトロノームを裏拍と認識しながら自分が表拍で手を叩くことが出来ない。』
これは実は、日本人が、日本語のリズム認識の独特さを観察することが出来る唯一の機会なのです。
日本人のリズム認識の狂いを自分自身で観察してみる
フラメンコの演奏を見てみましょう。彼らは2グループに分かれ交互に手を叩いています。
彼らは決して修練を積んだミュージシャンという訳ではありませんが、普通に2手に分かれて交互に手を叩いています。これは彼らの民謡なので、上手下手の違いはあっても、誰でも同じ手の叩き方が出来ます。
一方日本人は、この様に交互に手を叩く事が極度に苦手です。
恐らくこれを読んでいる貴方も「そんな訳はないだろう」と仰るかも知れません。
しかし実際にやってみればわかるでしょう ─── ほぼ例外なくできません。
一番簡単に御自身の手で御自身の認識の狂いを観察する方法は、メトロノームを鳴らして交互に手を叩くことでしょう。
現在一般的なメトロノームは電子式で非常に正確にリズムを刻むことが出来るため、すこし慣れれば出来るようになるかも知れません。
しかし相手が人間の場合は、不正確で少しずつ早くなったり遅くなったりしますので、電子メトロノームの様には行きません。
彼らは、そのように動きのある中でも交互に手を叩くことができます ─── しかし日本人は動きのある中で自分の手を叩くタイミングを調整することができません。
日本人は、何らかの自分とは異なるタイミングで鳴っている拍に対して、交互に手を叩くことができません。
日本人は、相手のタイミングの狂いにとても神経質に反応するだけでなく、相手が速くなると逆に相手が遅くなったと錯覚するという、間違った方向に速度を認識するという独特な感覚の狂いを持っています。
その為に自分の手を叩く速度を逆向きに調節してしまうため、しばしばテンポがどんどん速くなったり、テンポがどんどん遅くなったりして、一定のテンポを維持すること自体ができなくなります。
そしてその認識の狂いを自分自身で認識できない為、相手のテンポが狂った様に間違った認識をしてしまいます。しばしばこのように、お互いがお互いの間違いを糾弾しあうことで喧嘩すら発生します。
では、今度はメトロノームと同時に手を叩いてみてはどうでしょうか ─── 今度は簡単に出来たのではないでしょうか。
このことから少なくとも次のことがいえるでしょう。
- 第三者によって示される一定間隔の時間に対して、その拍の長さを図り次の拍の位置を予想することができる。
- 第三者によって示される一定間隔の時間に対して、その拍の長さの二等分地点の時間を図り決定することができない。
実際には、一定間隔でなる拍を二等分に分割することと一定間隔でなる拍と同時に手を叩くことに身体動作のとしての違いはありません。
ただ単に相手の拍と自分の拍との距離が半分になるように調整しながら叩くだけです。
しかし日本語を母国語とする人はこれが出来ません。
何故でしょうか。
それはメトロノームを裏拍として手を叩くことができないことと関係があります。
最初に聞いた音が表拍に聴こえる病
その事を私は『最初に聞いた音が表拍に聴こえる病』と呼んでいます。
メトロノームを裏拍と認識して手を叩く事が出来ないのは、何故なら第三者が提示した拍が必ず表拍に聴こえるからです。
ここからとても当然なことがわかります。
- ここに裏拍を叩くAさんがいるとします。
- Aさんが裏拍を叩きます。
- そこにそれを聴いているBさんがいるとします。
- そのBさんはAさんの叩く裏拍が表拍と聞こえています。
-
Bさんは、そのAさんが叩く裏拍を表拍と聞き間違えた状態のまま、Bさんは裏拍を叩きます。
- Aさんは、Bさんが叩き始めた裏拍が表拍として聞こえてしまいます。
- AさんBさんの双方が、自分の拍が裏拍なのか表拍なのかを見失います。
- 双方が相手が叩いている音が表拍として聞こえてきます。
- 自分が叩いている音も表拍に聞こえてきます。
- いつのまにかAさんBさん共に同時に手を叩いてしまいます。
何故裏拍が演奏できないのか。
私達がメトロノームを裏拍として認識しながら演奏する事ができないことを見ました。
つまりもし誰かが裏拍を弾いても、一緒に合奏する演奏者はそれを裏拍と認識することができないということを意味しています。
つまりどんなに裏拍を演奏しても、共演者がその演奏された裏拍を表拍として認識してしまう以上、それを無意識の内に表拍に聴こえる様に位置を修正してしまうため、どんなに裏拍を演奏してもそれは表拍として修正されてしまいます。
「そんなことはないはずだ。」
「何故ならば、日本人は裏拍を演奏しているではないか。」
しかし日本人の裏拍の認識の仕方は、裏拍が認識できない人が裏拍を認識しなくても良い様に考え出した一つの苦肉の策になっています。
それを次に見てみましょう。
日本人の裏拍の認識の仕方
勝手に例として挙げてしまい大変恐縮なのですが、裏拍が中心となる音楽を日本人が演奏するとどういうことが起こるのかが、とてもはっきりと観察できるとても良い例でしたので、ここで御紹介させて頂けましたら幸いです。
大変厳しい修練を積んでいる事がわかります。しかしパラパラと裏拍がずれていることが観察できます。また表拍でとても大きな足踏みをしていることも観察できます。
ここで起こっていることを模式図として表してみました。
日本人は相手が演奏する裏拍の位置を認識する事が出来ません。
この状態で裏拍を演奏する為には、まず2人の演奏者がお互いの表拍の位置を共有している事が全てにおいて最も重要な事となります。
この上図の様に前者と後者が共通の表拍の位置をしっかりと認識した上で分割する拍を演奏します。
しかしその分割した拍を認識する事が自体が出来ないことから、その分割した拍と拍の位置関係を正確に図ることができません。
何故なら裏拍の位置を認識できないからです。
そこで鳴っている裏拍を聞こうとすると、それが表拍として聞こえてしまうため、それ以上の拍の認識を行うことができません。
これが日本人の裏拍の位置が安定しない理由です。
この状態でどんなに厳しい訓練を行っても、絶対に裏拍の位置は安定しません。
相手が裏拍を演奏すると、それが表拍に聞こえてしまう。
その状態で裏拍を演奏する為には、裏拍を聞かない様に努力するしかありません。
何故ならそれは目をつぶってスイカ割りをしているのと全く同じ状況だからです。
どんなに厳しい訓練をしても絶対に裏拍の位置が安定しないのは、だからです。
裏拍を認識するとはどういうことか
そもそも裏拍を認識するとは一体どういうことでしょうか。
それを理解する為に、そもそも相手が叩く拍の裏拍で手を叩くとは一体どういうことなのかを考えてみましょう。
あるミュージシャンAさんが一定の時間間隔で手を叩いているとします。
そしてもう独りのミュージシャン(貴方)は、Aさんの拍に対して裏拍の位置で手を叩くとします。
そこで裏拍を叩く為にまず最初に必要な作業は何でしょうか。
まずAさんが叩く拍を何度か聞き、その距離を図ることです。
そうすることで貴方は、Aさんが叩く次の拍が来る位置を予想することができるでしょう。
そして貴方は、Aさんの拍を何度か聞きAさんが叩く拍の長さが図れた後で、その予想された拍が来る地点の半分の位置で手を叩くでしょう。
ここまでは問題ありませんでした。
次に必要なことは何でしょうか。
─── それは位置を修正することです。
人間はメトロノームと異なる為、必ずしも正確に時間を測定できる訳ではありません。
その拍の長さには誤差があります。
よって相手と自分の拍の位置は、何もしなければ徐々にずれていきます。
この表拍と裏拍で手を叩く2人は、お互いがこのずれを図りながら極端にお互いの拍の二等分地点から大きく逸脱してしまうことがないように、微調整を行う必要があります。
つまりここで必要なことは、Aさんが貴方が叩く裏拍の位置と、Aさんが自分で叩く表拍の位置の両方を認識しながら、Aさんの叩く拍の位置を調整する必要があります。
つまりこれは、メトロノームを裏拍と認識しながら表拍を叩く作業、そのものです。
最初に我々が、メトロノームを裏拍と認識しながら表拍を叩く作業が、出来ないということを見て参りました。
つまり相手が裏拍を叩いていても、その裏拍と自分の拍との距離を図ることができず、お互いがお互いの二等分地点から大きく逸脱することがないように調整する、という作業自体が出来ません。
そして、これは貴方がAさんの表拍との距離を図っている時にも起こります。
Aさんが叩く表拍の裏拍で手を叩く貴方は、数十秒後にその拍の感覚を認識する感覚に徐々に疲労が起こり、Aさんの叩く拍が裏拍として聞こえてくる瞬間がやってきます。 するとその裏拍と自分の表拍との二等分点を大きく逸脱しないように調整する必要がでてくるでしょう。
ところがこれは、メトロノームを裏拍と認識しながら表拍を叩く作業そのものです。我々がこの作業が苦手だということを先だって見てまいりました。
つまりここから、メトロノームを裏拍として認識しながら手を叩く作業は、正に裏拍を認識するという認知作業そのものを表していることがわかります。
つまり、相手の拍を表拍として認識しながら自分が裏拍を叩くという作業は、相手の拍を裏拍と認識しながら自分が表拍を認識する作業と表裏一体です。
ここから私達は、私達のリズムに対する感覚が実は半分欠落している事を観察することができた…と言えるのではないでしょうか。
何故私達は裏拍が認識できないのか
これは日本語の発音構造ととても大きな関係があります。
この図は、日本語の発音と英語の発音を模式的に表現したものです。これは必ずしも正確ではありませんが、感覚的にわかりやすくはあるのではないかと思います。
この様に日本語は必ず表拍から始まり裏拍へ移行する(子音から始まり母音で終わる)というリズム上の特徴があります。一方英語ではしばしばリズムは裏拍から始まり不規則に表拍の長さが伸び縮みしつつ再度裏拍からリズムが始まる…という複雑な変化をしながら進むという特徴があります。
またここでは便宜上英語を比較対象として出していますが、必ずしも英語だけに特徴的な違いではありません。私はタイ語・ラオ語を話すことができるのですが、タイ語・ラオ語共にほぼ同じリズムの違いが存在します。
日本語は英語などの他の言語と比べて、次の特徴があります。
- 日本語には末子音がない
- 日本語には冠詞がない
- 日本語にはスコッチスナップがない
- 日本語には二重子音がない
日本語にない概念を日本語で理解する為には、誤解を招かないように大変に慎重に言葉を選ぶ必要があります。
またあまりにも抽象的で感覚的につかみにくくならないように、熟考を重ねた平易な表現を使う必要があるでしょう。
日本人と外人の裏拍の認識の大きな違い
- 日本人は裏拍が認識できない。
- 裏拍が認識できないので、努力して自分が裏拍を演奏しようとする。
- それを聞いている共演者はそれが認識できない。
- 合わなくなって演奏できない。
というジレンマがあることを御紹介致しました。
外人はどうでしょうか。
- 相手が演奏する裏拍を認識している
- 自分が表拍を演奏する。
まとめてみます。
裏拍を演奏する時、
- 日本人は自分が裏拍を演奏する。
- 外人は自分が表拍を演奏する。
当たり前の様で誰も気付かなかった当たり前な法則です。
終わりに
今回のこの記事はここで筆を置きたいと思います。
- 末子音とは何なのか
- 冠詞とは何か。
- スコッチスナップとはなにか。
- 二重子音とは何か。
これらは、私たち日本語話者の文脈から見ると、それぞれ数冊の本が出来るほどにとても複雑な要素を持っています。
しかし日本から一歩でも出てしまえば、それは学術的でも何でもない、その辺りの人々ですら当然のこととして受け容れている、ごく当たり前なことでもあります。
語学と音楽は同じだ。リズムは語学だ、語学は音楽だ、と刺激的なパフォーマンスで人を呼び寄せる人は大勢いるでしょう。
しかしそれは実は感覚的でも何でもないごく当たり前な違いの積み重ねでしかありません。
私は学者でも何でもありません(どころか私は高校すらまともに卒業できなかった中卒です)が、このことに気付いた数少ない日本人となってしまったようです。
当初はジャズの演奏方法として考え出したリズム矯正トレーニングでしたが、その本質は語学(英語)そのものだということが、徐々に明らかになってまいりました。
裏拍が取れないということは、英語が苦手になる理由と全く共通であり、裏拍を認識するトレーニングは英語のトレーニングにもなっているということが徐々に明らかになってまいりました。
この縦乗りを克服しようシリーズも50回を迎えることになりましたが、その50以降は外国語の発音構造の説明と、それが音楽の演奏にもたらす影響についてお話ししていこうかと思います。
どうか今後共によろしくおねがいいたします。
関連記事:65536
2022年5月3日火曜日
大阪オフビートカウント練習会を終えて ─── 縦乗りを克服しようシリーズその48 (oka01-vbbqpelgucdzbngx)
去る4月29日に大阪オフビートカウント練習会を開催しました。
大阪オフビートカウント練習会の告知
明日、明後日ですが大阪に有志が集まりましてリズム理解を深める「オフビートカウント」の練習会を開催しますhttps://t.co/DLKz0vmodX
— 佐野大介@Drummer (@kuraidori) April 28, 2022
4月29日、12:30〜17:30
4月30日、10:30〜15:30
現在参加者4、5名ほど。参加費はスタジオ代金を割る形です。興味を持たれた方は詳細と案内を送りますのでDMください pic.twitter.com/5pWUx3TYLv
このタイトル画像の由来は「オフビートを起点にオンビートが動いているのに、オンビートを起点にしてオフビートが動いていると勘違いする日本人のリズム認識を地動説/天動説になぞらえて模式化したものです。詳しくは次のツイートを御覧下さい。
【オフビート基準/オンビート基準】オンビートを基準点にしてオフビートの位置が移動していると考えると、とても複雑になり理解できなくなる。だけどオフビートを基準点にして考えるととても簡単に理解出来る ─── 何故ならオフビートは動いていないから。https://t.co/DfNJGcaf9J
— 岡 敦 (@ats4u) May 1, 2022
話がそれてしまいましたが、大阪オフビートカウント練習会の様子をオフビートカウント第一人者として頭角を顕しているスキゾスキップスのドラマーの佐野大介さんがレポートして下さいました。そのレポートは次のツイートにまとめられています。
大阪オフビートカウント練習会の報告
おはようございます。佐野さんと私は新幹線に乗って新大阪に向かって移動を開始しました。本日は、大阪梅田にてオフビートカウント練習会を開催します。 https://t.co/b1FNxfxS2a pic.twitter.com/cXekFKruhg
— 岡 敦 (@ats4u) April 28, 2022
大阪オフビートカウントを終え、私の感想に関して3つのスレッドを作成しました。
1
大阪はとても楽しい。そこにあるのは東京にないものばかり…。
— 岡 敦 (@ats4u) April 30, 2022
2
オフビートカウント練習課題…
— 岡 敦 (@ats4u) April 30, 2022
課目と考査を順序立て学びやすさを改善する。
3
フィリップ・タグ先生が、英語とラテン語のリズムの違いを説明してくださっている。先生は、著名な(元)音楽/言語学者。https://t.co/kdfLz0TA6V https://t.co/HnEpXuuDQm
— 岡 敦 (@ats4u) May 1, 2022
2021年11月21日日曜日
ジャズのリズムはずれてない=オフビートを起点として演奏しよう ─── 縦乗りを克服しようシリーズその47(oka01-tnrqfewbvuazxrvq)
ジャズのリズムはずれている様に聴こえますが、実はオフビートを起点にして見てみると丁度あっている…ということをこのビデオで実証しています。ジャズの演奏者はオフビートをオンビートの様にして感じながら、オフビート位置から見たオフビートの位置をオンビートの様に感じてタイミングを調節している為、オンビートを起点にして数える人にはそれがずれている様に聴こえます。しかしオフビートの位置を起点として見てみると、実はずれているのはオンビートだということがわかります。
このことを専門的な言葉で「スコッチスナップ」といいます。スコッチスナップのある音楽を記譜する時はこのビデオの様に8分音符全てをずらして記譜するととても表記しやすくなります。
このビデオは、MuseScore 3.6.2を利用して作成しました。ここではオフビートをオンビートとして書き表した上で、段を変えてオンビートをもオフビートとして書き表しています。そして 各音符に MuseScoreの機能 Position 値 (オフセット量) を設定することでその音符を適切なオンビート位置まで移動させています。 ─── この様に書き表した方がオンビート位置のニュアンスを簡単に表現できるためです。
スネアの2と4が1/3以上遅れている点に注目して下さい。8分音符オフビートはずれないが、8分音符のオンビート ─── この場合は4分音符で見た時のオフビート ─── は、ずれています。
2021年10月31日日曜日
4分音符オンビート/オフビート乗り換え+8分音符オフビートカウント ─── 縦乗りを克服しようシリーズその46 (oka01-wcvnsfabcwxlzjtv)
貴方はジャズの4分音符をジャズらしく弾くことが出来ますか? このビデオの様に1拍目3拍目の裏拍にメトロノームを鳴らしながら普段どおりにアドリブを取ることは出来ますでしょうか。
2021年8月1日日曜日
2021年7月24日土曜日
オンビート・スリップストリームを克服する実践練習 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその45 (oka01-jiwvxtrqleqhbmow)
これは僕のバンド・スキゾスキップスのリハの模様です。
この演奏でも充分聴けるかも知れませんが … 僕としては、どうしてもやはりリズムのオンビートが強いことが気になってしまいます。本来は、もっと頑張って練習して上手になって良い手本を見せなければいけない場面ですが、逆にこの演奏はオンビートが強くなる理由がとてもはっきりと見ることができるとても良い例なので、敢えて御紹介してみたいと思います。
2021年7月10日土曜日
日本人ジャズマンと口裂け女の共通点 (oka01-knlbkjwajeonrzig)
日本人ジャズマンは『縦乗り口裂け女』だ。 裏乗りの人にまとわりつくして「私グルーヴしてる?」と尋ねる。グルーヴしていると答えると縦乗りにされてしまう。グルーヴしていないと答えると殺してしまう。 ─── これを読んで怒るなら怒れ。どうせ最初から仕事なんか干されてるし、ご自由に。だけど事実を言っておく。
僕は日本で演奏したいけど、どうやっても演奏できない。誰と演奏してもリズムがずれる。何をやってもずれる。そして「お前のリズムはおかしい」と怒られる。そして「お前は自分が見えていない」と非難される。そして「お前は勝手すぎる」と非社会的人間扱いする。だけど僕はどうしても自分のリズムがおかしいと思えなかった。だから自分のリズムがおかしくないことを確認する為に次のような手法を使った。その手法とはとても単純だ。
2021年6月9日水曜日
グルーヴの基準位置についてメモ (oka01-zfrumjxmqutrjcyh)
グルーヴを数値を使って考えていくと最終的に各楽器の位置は相対的なものでしかないことがわかる。早い遅いという問題ではなく、ある楽器に注目した時に相対的に前にある後ろにあるという問題でしかない。基準点をある前方の位置に揃えれば、全て後ろという風に見ても理論的には成立する。
僕は『オフビート位置を基準にしてオンビート位置を変更することでニュアンスを表現する。』という理論を考え出して、それが現実の『よい音楽』をある程度正確に近似することに気付いた。またこれがジャズというコミュニケーション方法の基礎にあることに気付いた。
だけど世の中のほとんどのDAWソフトはオンビート位置を基準にした数値によってデータを構成しており、特に音符が小節の開始位置を大きく逸脱して前方に移動してしまったときにほとんどの場合で正しく演奏されない。
つまり…
- DAW上では、やや遅めの位置にスイング位置を固定しそこを基準点として、その位置に対するオンビートの位置を指定する方がよい結果が得られる。
また転じて僕は次のことも言えることに気付いた。
- リズムセクションがスピード感を持っているように聞こえるのは、ただ単にリード奏者が相対的に下がって(遅くなって)演奏しているからだ。現実でそれができないのは何故かといえば、リード奏者がタイミングを遅らせたとき、リズムセクションのテンポが独立していないと、リズムセクションのタイミングも共に遅れてしまうからだ。
著者オカアツシについて
小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。
特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々
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