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2020年9月2日水曜日

三重オフビートの数え方 ─── 縦乗りを克服しようシリーズその27(oka01-armntaupdcfjosmw)

今回はジャズ・ファンク独特なリズム=僕が三重オフビートと呼んでいるリズムを理解するカウント方法を説明してみたい。 

概要

僕が三重オフビートと呼んでいるリズムは一般的に16ビートシャッフルと呼ばれている。これはジャズ・ファンク・ヒップホップではとても一般的なリズムだ。僕がこれを特に三重オフビートと呼んでいる理由は、このリズムが16分音符のオフビート・8分音符のオフビート・4分音符のオフビートが同時に発生するリズムだからだ。アフリカ系の人々はこのリズムに対して馴染みがある。だがそうでない人々にとってこのリズムは全く馴染みがないため、このリズムを演奏するにあたっては特殊な訓練が必要となる。そこで僕はこのリズムの演奏の難しさに三重オフビート問題と名前をつけ、そのリズムの演奏をよりスムーズに行うための対策を考えた。 

三重オフビートを正確にカウントする為に僕が考えた方法は、倍速度でカウントした上で8小節単位で数え、8分音符1つ早くカウントし、かつ3拍目を強調することが必要だ。これは実際にやってみるととてもむずかしく、かなりの修練が必要なことだ。 

以下でこの三重オフビートの実例と原理、及び練習法を説明した。また実際の曲の上で三重オフビートのカウントの仕方をコンピューター自動演奏によって説明したビデオを紹介する。また習得度に合わせて速度を変えてドリル練習する為のビデオも各種作成したので合わせて紹介する。

三重オフビートとは

三重オフビートとはどのようなものだろうか。このリズムはブラック・ミュージックでは大変にポピュラーだ。現代のブラック・ミュージックでは、ほとんど全ての曲でこのリズムが現れる。 以下で実例を見てみる。

Earth, Wind & Fire - Fantasy

この曲はとてもオーソドックスなファンクのリズムに基づいた演奏だ。この曲では16分音符のオフビート・8分音符のオフビート・4分音符のオフビートが同時に発生している。 

Earth, Wind & Fire - Can't Hide Love

この曲もとてもオーソドックスなファンクのリズムに基づいた演奏だ。この曲でも16分音符のオフビート・8分音符のオフビート・4分音符のオフビートが同時に発生している。 

Rufus Thomas - "Breakdown' & 'Funky Chicken'

RUFUS THOMAS - "Breakdown' & 'Funky Chicken' LIVE @ WATTSTAX 1973

この曲はファンクのクラシックで、ファンク音楽が登場した当時に流行したファンク曲だ。この曲でも16分音符のオフビート・8分音符のオフビート・4分音符のオフビートが同時に発生している。

実は、現代のブラック・ミュージックでは、ほとんど全ての曲でこのリズムが現れるため枚挙に暇がない。当記事の後半にて他の実例を紹介するので合わせて参考にしてほしい。

三重オフビートの基本

まず模範演奏をコンピュータによる自動演奏で作ってみた。

要点は

  1. 8分音符1つ早い声出しカウントを使う。
  2. 但し倍速度で(16分音符を8分音符として)カウントする。
  3. 8小節の小節数入りカウントを使う。
  4. 3拍目のオンビートを強調する。

 となっている。

8分音符1つ早い 声出しカウントを使う

『オフビートを強調しよう』ということはしばしば言われることだ。だが2つの音価のオフビートを同時に強調するのは思いのほか難しい。このことを裏拍の大切さで説明した。2つの音価のオフビートを同時に強調する方法として僕が考えついたのは8分音符1つ早い声出しカウント(通称イクウェイトリアル・カウント)を行うことだ。8分音符1つ早く数えることで8分音符のオフビートを強調し、同時に2拍目4拍目の表拍を強調する。詳しくは 正しいメトロノームとカウントのつかいかた を参照のこと。

 

3拍目を強調する

ここでは3つ以上の音価のオフビートを同時に強調する為には8分音符1つ早い声出しカウントを使いながら更に3拍目を強調することだ。こうすることで2分音符のオフビートを強調することができる。

この拍はややもするとオンビートのように感じる3拍目が、実は半分の速度で数えたときの4分音符(通常速度で数えた時の2分音符)のオフビートになっていることに注目して欲しい。ここを強調することによって三重オフビートを作ることができる。

先行/後行オフビートに注意!

この時に最も気をつけないといけないことは、前述の3拍目を飽くまでも先行オフビートとして強調することだ。この拍が後行オフビートになってしまうと、著しくスピード感を損なう結果を招く。 なお先行オフビート/後行オフビートについての詳細は 頭合わせと尻合わせの違い を参照のこと。

-8分音符早いカウントで

〜&2&3|&4&1〜
〜&2&3|&4&2〜
〜&2&3|&4&3〜
〜&2&3|&4&4〜

の様に数えるべきだ。

そのために

  1. 1よりも&を先に数える
  2. 更にその&よりも先に4を数える
  3. 更にその4よりも先に&を数える

この3つのステップを踏んだ上で3拍目を強調する。


8小節単位で数える必要性

このビデオは当初、4小節単位で数えていたのだが8小節単位で数えないと正しく歌えないことが判明したためあとから修正した。

この曲は倍速度の8小節で数えない限り曲構造を正しく認知できない。この曲は小節数は、4+4+4+3(4小節進行)だ。だが倍速度で数えた時に2重オフビートが存在する為にこれを正しくカウントするための倍速度カウントが必須になるが、通常速度で数えた時にもオフビートが存在するので、これを正しくカウントするために倍速度で数えて、かつ倍の長さを数える必要がある。この曲の4+4+4+3小節は、倍速からみると小節数は8+8+8+6小節になり、8小節カウントが必須ということがわかる。

 

基礎ドリル練習(Actual Proof)

リズム構造を正しく理解したにしても、これを実際に演奏するのは相当に修練が必要なことだ。そこで、このリズムをゆっくりなテンポから徐々にテンポを早めていく練習パターンを作った。 

レベル上げ修行一覧

レベル1=70BPM

レベル2=90BPM

レベル3=100BPM

レベル4=110BPM

レベル5クエスト=90BPM カウント補助なし

レベル10=120BPM

レベル15クエスト=100BPM カウント補助なし

レベル20=130BPM

レベル25クエスト=110BPM カウント補助なし

レベル50=140BPM


発展ドリル練習(Actual Proof)

とにかく練習時間をできるだけ長くとって経験値を稼ぐことが大切だ。

そこで連続して練習する為のドリルを作ってみた。

連続ドリル練習カウントあり

8分音符1つ早い声出しカウント連続練習

90BPM・50コーラス・約46分

 

連続ドリル練習カウントなし

130BPM・100コーラス・約46分

 

 

実践ドリル練習

世の中には無数の三重オフビートの曲がある。だから練習課題に困ることはないだろう。それらを実際に三重オフビートカウントしてみることでそのリズムを実際に自分の感覚で理解することができる。1曲でも多くの曲で三重オフビートカウントしてみて慣れていこう。ここでは僕が特に良いグルーヴを持っているので練習の為に良いと思った曲を紹介したい。 

 

Michael Jackson - Beat It

誰もが知ってるこの曲も8小節・三重オフビートになっている。

Missy Elliott - The Rain

Fred Hammond - Awesome God

Bishop Richard "Mr. Clean" White - I'm Glad ~

I'm Glad I Don't Look Like What I Been Through という曲

Kirk Franklin - Revolution

Fred Hammond - Praise Belongs To You!


結論

大変な駆け足になってしまったが、ここで筆を置こうと思う。 この数日間というものずっと三重オフビートについて考えつづけた。それでひとつだけ明らかになったことは、日本人にとって何の対策もなしにこのリズムを演奏することは絶対に不可能ということだ。

アフリカ系のミュージシャンのインタビューやツイッターでのつぶやきなどを見ている限り、彼らは案外とリズムに対してはっきりとした数学的な理解を持っている。

アフリカ系の方々はしばしばアジア系が持っていない数学的な直感を持っている。それは日本人がいうところの理解力というよりは、運動神経や視力やバランス感覚に近いものかもしれない。いずれにせよ彼らははっきりと数字の位置関係を把握している。

これは数字上の理解なしにフィーリングだけで対処できるような問題では決してない。

 

【付録】メモ/資料

この記事を書くきっかけになったメモ1
この記事を書くきっかけになったメモ2
この記事を書いた後に書いたメモ1

 

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著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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