ドラマーのSさんと延々とリズムトレーニングをしました… 8分音符1つずれカウントをしながらドラムを叩いて、間違えた音を1音1音修正していく根気のいる作業でした…
リズムとは発音そのものではないかと思うのです。
2011年に雲南省で延々ピンイン表の発音特訓を受けたことを思い出します。200近い発音の組み合わせを読んでいってひとつひとつ先生が発音を直してくれます。ここで先生に逐一、错了!错了!(ツオラ!=間違えた!)と何度も何度も直された経験が、今の私の中国語力の基礎になりました。
ジャズのリズムトレーニングというのは、語学の発音修正と同じことのような気がしてきました。
単語や文法を間違えても相手がネイティブならある程度は推察して直してもらえます。だけどリズムを間違えるとわかってもらえないだけでなく、聞き取ってすらももらえないという厳しい現実があります。リズムが正しくないと、コミュニケーション自体が成り立たないという厳しい現実を突きつけられてしまう…。
私が喋れるタイ語・ラオ語・中国語はそれぞれ文法がほぼ共通で、特にタイ語ラオ語は単語もほぼ全て共通しています。大きく違うのはなんといってもリズムです。
単語文法が同じなのにリズムが正しくないと通じないというのは、経験しないとわからない強烈なストレスです。『駅はどこだ』とごく簡単なことを言ってるだけなのに、何故聞き取れないのか!
このいらだちを乗り越えるだけのために5年くらいかかった感あります。
ラオ語の不思議なリズムに魅せられて10年以上も学んでしまいました。ラオ語(特にラオ南部〜タイ東北方言)は日本人で話せる人(大学関係者などのアカデミックな方々を含めて)がほぼ皆無の言語です。辞書も教材も何もないという状態で単語をいっこいっこ録音して拾い集めるところから始めて、スムーズに話せるようになるまで10年以上かかりました。何という時間の浪費かと呆然とする反面、この10年がなかったら逆に、日本語の独特なリズムの存在に気付かなかったのかなと思います。
目の前で見ているのにちっとも認識できない日本語のリズム。日本人だけが見えない日本のリズム。見えないけど、このリズムを引きずっていると明らかにできなくなることがある。例えばジャズの演奏がそうです。英語が理解できなくなることもそうです。ラオ語も理解できません。
正直を申し上げると、東南アジア僻地放浪の日本語断食修行から日本に帰ってきて、大学関係の学者・通訳者・一流プロのジャズミュージシャンに至るまで、大半の方々がこの日本語のリズムの存在に気付いてすらいない…ということを知って愕然としました。にわかには信じがたい現実でしたが、それが現実でした。
何故、日本人は縦乗りなのか
自分は他人のプライドを傷つけることに快感を覚えるタイプでは決してなく、出来る限り他人の立場・面子・プライドに配慮を示すよう努めているのですが、しかし結果として自分が感じているこの矛盾について話題として触れることすら一切できないという理不尽さも同時に感じています。
いたずらに人を傷付けるようなことがあってはなりませんが、問題の核心を誰でもわかるように平易に指摘しつづけることは、日本社会への社会的貢献をするうえで避けられないことでもあります。
- 世界最大なのに世界中の誰も聞いていない日本人のジャズ
- 有名になればなるほどスイングしない日本人ジャズマンのリズム
- 何十年勉強しても全く向上しない英語力
- TOEIC満点なのに何故か通じない英語
これらの原因は全て、日本語のリズムの存在です。
この日本人だけが見えない日本語のリズムの存在を日本語で誰でもわかるように示していくことが今後の私のライフワークになるのかな…と思う今日この頃です。
タイトルを変更しました|【コラム】日本語のリズムの存在について →→→ 【コラム】日本語だけが持っているリズムの存在について ─── 縦乗りを克服しようシリーズその26/2 (Fri, 06 May 2022 22:22:24 +0900)
カテゴリを縦乗りを克服しようシリーズ から 日本のジャズを理解するに移動しました。 (Sat, 07 May 2022 03:12:38 +0900)
『【コラム】日本語だけが持っているリズムの存在について ─── 縦乗りを克服しようシリーズその26/2』から『日本語だけが持っているリズムの存在について』へ変更しました。
主語を僕から私に変更しました。 (Sun, 08 May 2022 02:30:12 +0900)
表題を『日本語だけが持っているリズムの存在について』から『日本語が持っている独特なリズムが引き起こす問題 』へ変更しました。(Sun, 08 May 2022 02:35:42 +0900)