プロパガンダについて... ( タイ イサーン地方の票買収 )
2007年12月01日05:00
イサーン語研究会に書いた記事を日記にもコピーします。
◇
背景: 近日予定されているタイの総選挙に先駆けて、連日、タイのイサーン地方で票買収が行われているというニュースが賑わっています。
http://thaina.seesaa.net/article/70018614.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955
しかし、これって本当なんでしょうか。
2007/12/1 『イサーン地方の票買収 』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=25622876&comment_count=0&comm_id=987254
最初に言っておきます。 イサーンで票の買収が常態化しているっていうのは、明らかなウソです。 これは明らかなプロパガンダです。確かに一部では行われているのかもしれませんが、僕が見ている限りではごく一部の出来事だと思います。実際僕はクーデターが起こる前からクーデター発生し、現在まで2年間、イサーン中のイサーンのウドンタニー市内に居ましたが、一度も見たことも聞いたこともありません。
http://www.jtbf.info/th_society.php
これによると、タイ国民のうちイサーン人だけで34%も居るんだそうです。これはタイ国内で最大のポピュラリティーであり、バンコク人の2倍にあたります。だいたい、これだけの人数を全員買収するほどのお金をかけてたら、大変な大騒ぎになっているはずです。ですが、僕は今まで一度も見たことも聞いたこともありません。 これは極めて奇妙な事です。
そもそも、タイに国民の34%を全員買収するほどの大金を持っている人が居るんでしょうか。単純にイサーン人全員を買収するとして、一人頭100バーツ渡すとしても、2,073,300,000バーツもかかります。 20億バーツです。北部も加えると32億バーツ程度かかる見込みです。このなかで有権者数が少なく見積もって10%程度だったとしても、3.2億バーツですから、これは依然として相当な大金です。 日本円で10億円です。物価の安いタイでは事実上100億円程度の使い出があるわけで、これには竹下総理のふるさと創生も真っ青です。もし本当にこれだけのお金がイサーン地方で動いているのなら、はっきり目に見える大変な経済効果があるはずです。本当にそんなお金かけてるでしょうか。 そんな大金ばら撒いていたら、イサーンの生活、いまどき、もうちょっとさいさき良くなってるはずです。ですが実際には生活は日に日に悪化の一途をたどっています。 特にクーデター後はひどいです。
そのようなプロパガンダはクーデターの時もありました。でっかいステージに芸能人あり、演劇あり、コンサートありの派手なソンティ派のデモ演説に対して、トラクターに乗ってトボトボやってくるイサーン人の極めて貧弱なステージ、例のモーラム仕様のでっかい安物のマイクをもって必死で演説をしてるイサーンのタクシン派をくらべれば、どちらの方がお金がかかっているかなんて火を見るよりも明らかです。ですがタクシンがお金をばら撒いてイサーン人をバンコクに呼び出したというウワサはたえることがありませんでした。タクシンがお金をばら撒いていたら、演説でもうちょっとマシなモーラムショーが見られたことでしょう。 これもプロパガンダの一つです。
買収がウソだとはいいません。 たぶん、ごく一部でそういう行為は行われているんだと思います。 ただ、それをさも全体でおきていることの様に報道していることこそが、プロパガンダなのです。
実は一般的なタイ人にとって、イサーン人がどういうところに住んで、どういう暮らしをしているのかというのは、いまいちあまりよく知られていないようです。 僕が普段このコミュに書いているようなことは、実は普通のタイ人も知らないことなのです。だからこそ、こういうまことしやかなことを宣伝してもあまり疑う人がいないのでしょう。逆に、知っている人はそれがウソだという事はもとより重々承知で、いちいち新聞の言う事を鵜呑みにしたりはしません。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955
そんななか、この記事はネーション英字版の記事らしいですが、こういう風にちょっと面白く宣伝すると、「あーイサーン人は下半身でしか物を考えないからな...」とちょっと面白おかしく響くので、なんとなくそういうものかな.. っていう気がしてきますが、んなわけありません。
で、僕が言いたい事なんですが、日本人って、プロパガンダに対して脆弱すぎだという事です。みていると、あからさまなウソでも疑うことなくあっさり信じてしまいます。 まさに 「いいなり」 です。 これでは誰かの思う壺です。本当のことの中に微妙なウソを混ぜて混乱させるのは、プロパガンダの常套手段で、気をつけなければいけないはずです。もちろん、ウソにギャグを混ぜて面白く聞かせるのもプロパガンダです。
ですが、「やっぱりイサーン人ってバカだな...」的な論にたどりつく人のなんと多いことか、と僕は思います。 何故そうなるのか。 それはあなたの心の中に潜む他愛もない優越感がなせる業なのだ、と指摘してこの話を終わりにします。
お断り:
大変申し訳ないのですが、ポイントを外したコメントは予告なく削除することがあります。
近頃、乱雑な意見が目立つようになって来ました。管理者独力ですべての批判にきっちりした反論をつけるのは困難ですし、そもそも、そういうなかで、ある程度読める内容の記事を書き続ける、その為のモチベーションを維持することが極めて困難だと感じています。極一部の心無い人の乱雑な発言で、有意義な討論が台無しになることは可能な限り避けたいと思っており、その判断基準は管理者に任せていただきたいと考えております。
もちろん「面白かった!」とか「へーそうか!」とか、そういう軽い書き込みを否定するわけじゃないんです。ただ純粋に、ある程度面白い討論内容を維持するため、というか、筆者の精神衛生上のため、明らかに間違っている事を話し始めて止まらなくなってしまいがちな方たちを、ノーディスカッションでサクッと「ボツ」にさせてもらうことを寛容な目で見ていただけたら、と思う次第です。
すんません、ワガママで。
◇
背景: 近日予定されているタイの総選挙に先駆けて、連日、タイのイサーン地方で票買収が行われているというニュースが賑わっています。
http://thaina.seesaa.net/article/70018614.html
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955
しかし、これって本当なんでしょうか。
2007/12/1 『イサーン地方の票買収 』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=25622876&comment_count=0&comm_id=987254
最初に言っておきます。 イサーンで票の買収が常態化しているっていうのは、明らかなウソです。 これは明らかなプロパガンダです。確かに一部では行われているのかもしれませんが、僕が見ている限りではごく一部の出来事だと思います。実際僕はクーデターが起こる前からクーデター発生し、現在まで2年間、イサーン中のイサーンのウドンタニー市内に居ましたが、一度も見たことも聞いたこともありません。
http://www.jtbf.info/th_society.php
これによると、タイ国民のうちイサーン人だけで34%も居るんだそうです。これはタイ国内で最大のポピュラリティーであり、バンコク人の2倍にあたります。だいたい、これだけの人数を全員買収するほどのお金をかけてたら、大変な大騒ぎになっているはずです。ですが、僕は今まで一度も見たことも聞いたこともありません。 これは極めて奇妙な事です。
そもそも、タイに国民の34%を全員買収するほどの大金を持っている人が居るんでしょうか。単純にイサーン人全員を買収するとして、一人頭100バーツ渡すとしても、2,073,300,000バーツもかかります。 20億バーツです。北部も加えると32億バーツ程度かかる見込みです。このなかで有権者数が少なく見積もって10%程度だったとしても、3.2億バーツですから、これは依然として相当な大金です。 日本円で10億円です。物価の安いタイでは事実上100億円程度の使い出があるわけで、これには竹下総理のふるさと創生も真っ青です。もし本当にこれだけのお金がイサーン地方で動いているのなら、はっきり目に見える大変な経済効果があるはずです。本当にそんなお金かけてるでしょうか。 そんな大金ばら撒いていたら、イサーンの生活、いまどき、もうちょっとさいさき良くなってるはずです。ですが実際には生活は日に日に悪化の一途をたどっています。 特にクーデター後はひどいです。
そのようなプロパガンダはクーデターの時もありました。でっかいステージに芸能人あり、演劇あり、コンサートありの派手なソンティ派のデモ演説に対して、トラクターに乗ってトボトボやってくるイサーン人の極めて貧弱なステージ、例のモーラム仕様のでっかい安物のマイクをもって必死で演説をしてるイサーンのタクシン派をくらべれば、どちらの方がお金がかかっているかなんて火を見るよりも明らかです。ですがタクシンがお金をばら撒いてイサーン人をバンコクに呼び出したというウワサはたえることがありませんでした。タクシンがお金をばら撒いていたら、演説でもうちょっとマシなモーラムショーが見られたことでしょう。 これもプロパガンダの一つです。
買収がウソだとはいいません。 たぶん、ごく一部でそういう行為は行われているんだと思います。 ただ、それをさも全体でおきていることの様に報道していることこそが、プロパガンダなのです。
実は一般的なタイ人にとって、イサーン人がどういうところに住んで、どういう暮らしをしているのかというのは、いまいちあまりよく知られていないようです。 僕が普段このコミュに書いているようなことは、実は普通のタイ人も知らないことなのです。だからこそ、こういうまことしやかなことを宣伝してもあまり疑う人がいないのでしょう。逆に、知っている人はそれがウソだという事はもとより重々承知で、いちいち新聞の言う事を鵜呑みにしたりはしません。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955
そんななか、この記事はネーション英字版の記事らしいですが、こういう風にちょっと面白く宣伝すると、「あーイサーン人は下半身でしか物を考えないからな...」とちょっと面白おかしく響くので、なんとなくそういうものかな.. っていう気がしてきますが、んなわけありません。
で、僕が言いたい事なんですが、日本人って、プロパガンダに対して脆弱すぎだという事です。みていると、あからさまなウソでも疑うことなくあっさり信じてしまいます。 まさに 「いいなり」 です。 これでは誰かの思う壺です。本当のことの中に微妙なウソを混ぜて混乱させるのは、プロパガンダの常套手段で、気をつけなければいけないはずです。もちろん、ウソにギャグを混ぜて面白く聞かせるのもプロパガンダです。
ですが、「やっぱりイサーン人ってバカだな...」的な論にたどりつく人のなんと多いことか、と僕は思います。 何故そうなるのか。 それはあなたの心の中に潜む他愛もない優越感がなせる業なのだ、と指摘してこの話を終わりにします。
お断り:
大変申し訳ないのですが、ポイントを外したコメントは予告なく削除することがあります。
近頃、乱雑な意見が目立つようになって来ました。管理者独力ですべての批判にきっちりした反論をつけるのは困難ですし、そもそも、そういうなかで、ある程度読める内容の記事を書き続ける、その為のモチベーションを維持することが極めて困難だと感じています。極一部の心無い人の乱雑な発言で、有意義な討論が台無しになることは可能な限り避けたいと思っており、その判断基準は管理者に任せていただきたいと考えております。
もちろん「面白かった!」とか「へーそうか!」とか、そういう軽い書き込みを否定するわけじゃないんです。ただ純粋に、ある程度面白い討論内容を維持するため、というか、筆者の精神衛生上のため、明らかに間違っている事を話し始めて止まらなくなってしまいがちな方たちを、ノーディスカッションでサクッと「ボツ」にさせてもらうことを寛容な目で見ていただけたら、と思う次第です。
すんません、ワガママで。
コメント一覧
クレ 2007年12月02日 03:07
日本国内のことでさえ真実を知るのが難しいのに、他国の問題であったらたぶんニュースを丸丸信じてしまいます。メディアテラシーするにも、現場を知らなければジャッジできずに終わりそうです。それだけに、現状を生で知っている方のこうした情報が貴重です。いろんな場所にいる方からの世界の現場をネットで知ることができるようになってきたことに期待したいです。
おかあつ 2007年12月03日 05:12
色々考えてみたのですが、僕は、実は以前、政治経済とか、ほんとうにうとかったんです。 でも、タイに居る間に偶然クーデターにあったんです。 このとき、目の前で見ている風景と、日本で書かれている事の落差の大きさを目の当たりにしました。
考えてみれば、それ以降ガラッと世界観が変わったような気がします。 今までこのことを意識した事はなかったんですが、よく考えてみると、あれをみたことですごい変化があって、それ以前の自分とくらべると全然別人のようです。
特に日本のM新聞社とかは極端で、政府の偏った情報を当たり前のように日本国内で垂れ流してます。 あれには、相当びっくりしました。 mixiニュースとか見ていると、目の前で見ていることと全く違うことが書かれているわけですから。当時バンコクに居たその記者は、今中国に転勤してしまったみたいですが、この調子では他の記者も推して計るべきです。 信用できません。
今も連日ロシアの総選挙のことが色々と報道されています。 ですが、M新聞は読むのがコワいです。 僕の印象は「ホントかなぁ」 です。
M新聞は、確かに一般的にはあまり主流な新聞ではないですが、今ネットのニュース元としてかなり勢力を伸ばしているので、ネットで情報収集をする僕としては結構気をつけないといけないな、と思っています。
◇
そういう経験があったので、M新聞に限らず全般的に報道が信じられないものなのだっていうことを知り、ニュースを疑うクセがついたのだと思います...。 今まで気が付かなかったのですが...。
考えてみれば、それ以降ガラッと世界観が変わったような気がします。 今までこのことを意識した事はなかったんですが、よく考えてみると、あれをみたことですごい変化があって、それ以前の自分とくらべると全然別人のようです。
特に日本のM新聞社とかは極端で、政府の偏った情報を当たり前のように日本国内で垂れ流してます。 あれには、相当びっくりしました。 mixiニュースとか見ていると、目の前で見ていることと全く違うことが書かれているわけですから。当時バンコクに居たその記者は、今中国に転勤してしまったみたいですが、この調子では他の記者も推して計るべきです。 信用できません。
今も連日ロシアの総選挙のことが色々と報道されています。 ですが、M新聞は読むのがコワいです。 僕の印象は「ホントかなぁ」 です。
M新聞は、確かに一般的にはあまり主流な新聞ではないですが、今ネットのニュース元としてかなり勢力を伸ばしているので、ネットで情報収集をする僕としては結構気をつけないといけないな、と思っています。
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そういう経験があったので、M新聞に限らず全般的に報道が信じられないものなのだっていうことを知り、ニュースを疑うクセがついたのだと思います...。 今まで気が付かなかったのですが...。
クレ 2007年12月04日 00:58
>特に日本のM新聞社とかは極端で、政府の偏った情報を当たり前のように日本国内で垂れ流してます。 あれには、相当びっくりしました。
マスコミが政府のいいなりになることもあるのかとちょっと驚きましたが、考えてみれば、新聞社の偏ったポリシーに関わらないことはどうでもいいので、ろくに調べないでクラブで聞いたままなのかもしれませんね。共同通信社の記事丸写しすると聞いていますし。他社と横並びで記事を書いて、特落ちしないことだけに汲々としているとも聞きますし。
ネット上でレベルの高い分析を日々ただで読める環境にあって、マスコミは案外レベル低いと感じることが多くなりました。海外の新聞記事の誤訳なんか素人に指摘されててどうよと。レベル低いだけならいいですが、恣意的にうそ情報流すので始末悪いですよね。国民すべてが、マスコミはかなりうそつきなんだと言うのが早く常識になればいいのにと思っています。A新聞で勉強するとアホになりますとか・・。w
マスコミが政府のいいなりになることもあるのかとちょっと驚きましたが、考えてみれば、新聞社の偏ったポリシーに関わらないことはどうでもいいので、ろくに調べないでクラブで聞いたままなのかもしれませんね。共同通信社の記事丸写しすると聞いていますし。他社と横並びで記事を書いて、特落ちしないことだけに汲々としているとも聞きますし。
ネット上でレベルの高い分析を日々ただで読める環境にあって、マスコミは案外レベル低いと感じることが多くなりました。海外の新聞記事の誤訳なんか素人に指摘されててどうよと。レベル低いだけならいいですが、恣意的にうそ情報流すので始末悪いですよね。国民すべてが、マスコミはかなりうそつきなんだと言うのが早く常識になればいいのにと思っています。A新聞で勉強するとアホになりますとか・・。w
おかあつ 2007年12月04日 03:00
>マスコミが政府のいいなりになることもあるのかとちょっと驚きましたが、考えてみれば、新聞社の偏ったポリシーに関わらないことはどうでもいいので、ろくに調べないでクラブで聞いたままなのかもしれませんね。
あ、そうだと思います。 そういえば、僕も詳しくないんですが、M新聞社は反政府的な記事を書くのがポリシーと聞きました。 でもその記事が批判していたタクシンは、実は反政府主義者で、記事が支持していた政党(反タクシン)の方がむしろ実は政府支持(王政)的な色が濃いっていうのが本当のところで、そんなことはその記者にとってどうでもよく、とにかくぱっとみ権力者っぽく見えるタクシン批判記事をばら撒いていました。
ネットは後ろに足かせがなく書ける分、手軽で正直に書ける反面、こちらはこちらで、調べが甘かったり、極めて個人的な主義主張に極端に偏っていたりすることも多いように思います。ネットで記事を書いてもしっかりした生活の糧を得がたいのが根本的な原因なのだと思うのですが、いずれにせよ、現状のクオリティが低い記事が多い中では、どうやって質の高く、集約度が高い情報を集めるのか、がポイントになってくるのだと思います。
あ、そうだと思います。 そういえば、僕も詳しくないんですが、M新聞社は反政府的な記事を書くのがポリシーと聞きました。 でもその記事が批判していたタクシンは、実は反政府主義者で、記事が支持していた政党(反タクシン)の方がむしろ実は政府支持(王政)的な色が濃いっていうのが本当のところで、そんなことはその記者にとってどうでもよく、とにかくぱっとみ権力者っぽく見えるタクシン批判記事をばら撒いていました。
ネットは後ろに足かせがなく書ける分、手軽で正直に書ける反面、こちらはこちらで、調べが甘かったり、極めて個人的な主義主張に極端に偏っていたりすることも多いように思います。ネットで記事を書いてもしっかりした生活の糧を得がたいのが根本的な原因なのだと思うのですが、いずれにせよ、現状のクオリティが低い記事が多い中では、どうやって質の高く、集約度が高い情報を集めるのか、がポイントになってくるのだと思います。