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2007年12月1日土曜日

イサーンの票買収 (isaan05-c987254-200712011055)

おかあつがミクシコミュニティータイ東北イサーン語研究会として著した記事を紹介します。
イサーンの票買収 (おかあつ)
2007年12月01日 10:55
背景: 近日予定されているタイの総選挙に先駆けて、連日、タイのイサーン地方で票買収が行われているというニュースが賑わっています。

  http://thaina.seesaa.net/article/70018614.html
  http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955

  しかし、これって本当なんでしょうか。



最初に言っておきます。 イサーンで票の買収が常態化しているっていうのは、明らかなウソです。 これは明らかなプロパガンダです。 確かに一部では行われているのかもしれませんが、僕が見ている限りではごく一部の出来事だと思います。 実際僕はクーデターが起こる前からクーデター発生し、現在まで2年間、イサーン中のイサーンのウドンタニー市内に居ましたが、一度も見たことも聞いたこともありません。

http://www.jtbf.info/th_society.php

これによると、タイ国民のうちイサーン人だけで34%も居るんだそうです。 これはタイ国内で最大のポピュラリティーであり、バンコク人の2倍にあたります。 だいたい、これだけの人数を全員買収するほどのお金をかけてたら、大変な大騒ぎになっているはずです。 ですが、僕は今まで一度も見たことも聞いたこともありません。 これは極めて奇妙な事です。

そもそも、タイに国民の34%を全員買収するほどの大金を持っている人が居るんでしょうか。 単純にイサーン人全員を買収するとして、一人頭100バーツ渡すとしても、2,073,300,000バーツもかかります。 20億バーツです。 北部も加えると32億バーツ程度かかる見込みです。 このなかで有権者数が少なく見積もって10%程度だったとしても、3.2億バーツですから、これは依然として相当な大金です。 日本円で10億円です。 物価の安いタイでは事実上100億円程度の使い出があるわけで、これには竹下総理のふるさと創生も真っ青です。 もし本当にこれだけのお金がイサーン地方で動いているのなら、はっきり目に見える大変な経済効果があるはずです。 本当にそんなお金かけてるでしょうか。 そんな大金ばら撒いていたら、イサーンの生活、いまどき、もうちょっとさいさき良くなってるはずです。 ですが実際には生活は日に日に悪化の一途をたどっています。 特にクーデター後はひどいです。

そのようなプロパガンダはクーデターの時もありました。 でっかいステージに芸能人あり、演劇あり、コンサートありの派手なソンティ派のデモ演説に対して、トラクターに乗ってトボトボやってくるイサーン人の極めて貧弱なステージ、例のモーラム仕様のでっかい安物のマイクをもって必死で演説をしてるイサーンのタクシン派をくらべれば、どちらの方がお金がかかっているかなんて火を見るよりも明らかです。 ですがタクシンがお金をばら撒いてイサーン人をバンコクに呼び出したというウワサはたえることがありませんでした。 タクシンがお金をばら撒いていたら、演説でもうちょっとマシなモーラムショーが見られたことでしょう。 これもプロパガンダの一つです。

買収がウソだとはいいません。 たぶん、ごく一部でそういう行為は行われているんだと思います。 ただ、それをさも全体でおきていることの様に報道していることこそが、プロパガンダなのです。

実は一般的なタイ人にとって、イサーン人がどういうところに住んで、どういう暮らしをしているのかというのは、いまいちあまりよく知られていないようです。 僕が普段このコミュに書いているようなことは、実は普通のタイ人も知らないことなのです。 だからこそ、こういうまことしやかなことを宣伝してもあまり疑う人がいないのでしょう。 逆に、知っている人はそれがウソだという事はもとより重々承知で、いちいち新聞の言う事を鵜呑みにしたりはしません。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/106955

そんななか、この記事はネーション英字版の記事らしいですが、こういう風にちょっと面白く宣伝すると、「あーイサーン人は下半身でしか物を考えないからな...」とちょっと面白おかしく響くので、なんとなくそういうものかな.. っていう気がしてきますが、んなわけありません。

で、僕が言いたい事なんですが、日本人って、プロパガンダに対して脆弱すぎだという事です。 みていると、あからさまなウソでも疑うことなくあっさり信じてしまいます。 まさに 「いいなり」 です。 これでは誰かの思う壺です。 本当のことの中に微妙なウソを混ぜて混乱させるのは、プロパガンダの常套手段で、気をつけなければいけないはずです。 もちろん、ウソにギャグを混ぜて面白く聞かせるのもプロパガンダです。

ですが、「やっぱりイサーン人ってバカだな...」的な論にたどりつく人のなんと多いことか、と僕は思います。 何故そうなるのか。 それはあなたの心の中に潜む他愛もない優越感がなせる業なのだ、と指摘してこの話を終わりにします。



お断り:

大変申し訳ないのですが、ポイントを外したコメントは予告なく削除することがあります。

近頃、乱雑な意見が目立つようになって来ました。 管理者独力ですべての批判にきっちりした反論をつけるのは困難ですし、そもそも、そういうなかで、ある程度読める内容の記事を書き続ける、その為のモチベーションを維持することが極めて困難だと感じています。 極一部の心無い人の乱雑な発言で、有意義な討論が台無しになることは可能な限り避けたいと思っており、その判断基準は管理者に任せていただきたいと考えております。

もちろん「面白かった!」とか「へーそうか!」とか、そういう軽い書き込みを否定するわけじゃないんです。 ただ純粋に、ある程度面白い討論内容を維持するため、というか、筆者の精神衛生上のため、明らかに間違っている事を話し始めて止まらなくなってしまいがちな方たちを、ノーディスカッションでサクッと「ボツ」にさせてもらうことを寛容な目で見ていただけたら、と思う次第です。

すんません、ワガママで。
コメント一覧
[1]   まはヴぃーら   2007年12月01日 05:09
私はタイ字紙のサイトのみで動向をチェックしていますが、先日一時的に閲覧が出来なくなりました。旧タイラックタイ党幹部が演説会を開いた晩のことです。それでは英字紙はというと、問題無く見れました。プロパガンダはやはりあると思います。ただ、詳しい話はここではすごくしにくいです。タイ関係で話しづらい事というと、、、お察し下さい。
 
出展 2007年12月01日 10:55 『イサーンの票買収』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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