リズムトレーニングをするにあたって声を出して英語で数字をカウントすることはとても大切です。しかしカウントはどうしても早口になりがちで正確に口に動かすことはとても難しいものです。数字のカウントの発音はそのまま音楽のリズムに影響する為に発音を正しくすることはとても大切です。
英語で早くスムーズに発音する時にどうしても避けられない問題はリエゾンです。リエゾンとはある音節の末子音を次の音節の始子音/始母音につなげて発音することです。
ex) アイ・ラヴ・ ユー → アイラヴュー
今回はこのリエゾンとはどういうものなのかを見ていきながら、正しい数字の発音を学んでいきたいと思います。
末子音を持たない日本語
日本人がリエゾンを学ぶことが難しい理由は、リエゾンが末子音と深い関わりあいのある概念だからです。
これは2008年にタイで日本人が出演して話題となった映画「อีติ๋ม ตายแน่ イティーム・ターイネー」が公開された頃にしばしば宣伝で使われていた映像です。日本人の女の子にタイ語を真似させて発音が正しくできない可愛らしさを見て楽しむというようなシチュエーションで利用されていたものです。
ウドム 「ピーヌッ(ト)・ナーラッ(ク)・マー(ク)マー(ク)」
アスカ「ピーヌー・ナーラー・マーマー」
日本語は音節の最後にある子音を正しく発音できずしばしば省略されるため、日本人はこのようにタイ語の末子音が聞き取れず発音出来ないという現象が起こります。タイ語では音節の最後にある子音を破裂させない無破裂閉鎖音(No Audible Stop)という形で発音し、ここでの子音によって単語をはっきりと区別する習慣があります。
この末子音は英語にもあります。他の外国語にもあります。むしろ末子音を持たない日本語はとてもめずらしいということもできます。
末子音とリエゾン
タイ語では末子音で一旦声を止めるため、末子音が次の音節と繋がることはありません。しかし英語やフランス語などでは音節ごとに声を止めずに次々に音節を発音していくため、音節間がの区切りがなく連続してつながっているように聞こえることがあります。これがリエゾンです。
連続するアルファベットの読み方
We are LMFAO!
ウィーアー、エーレッメッフェイヨー!
※ 全ての子音が次の音につながっている。
『エルエムエフエイオー』
→『エーレッメッフェイヨー」
※2 イは人によってはYで母音と考えている人もいます。だからイのあとに続く母音はヤ行に転化します。
文先頭の前置詞や主語を連続して発音
Get out of here! And if I ever catch you whackin' in here again, I'm gonna hog-tie you!" 【Beavis and Butt-head Do America より】
『エニファーイヴァキャッチャ、ワーキニンニャーゲーン、アムゴナホーグタイヤ!』
→文頭の『エンド・イフ・アイ』が『エニファーイ』と連続する
連続する子音が消えることがある
Karma got its kiss for me
カーマガッスキッスフォーミ!
※ 子音が2つ以上続くと消えることがある。
連続する子音の読み方とリズムの変化
I said you wanna be startin' somethin'
アイセイド・ユーワナ・ビー・スターティン・サムティン
↓
アセダワナビースターティンサームティン
it's too high to get overイッツ・ハイ・ツー・ゲット・オーバー
↓
イツハーツゲローヴァー
you're too low to get under→ユツロッツゲランダー
you're are stuck in the middle
→ユースタッキンダミードー
※ 文末の「ン」の発音について
※ アフリカ系アメリカ人は文末のngŋの発音が nに変化する傾向があります。これと同じ発音変化は中国南部の少数民族の方言でも見られます。 日本語はng/n/m が不分別で次の音節によって変化しますが、この発音変化は世界的に見るととても珍しいものです。だから日本人が外国語を学習すると n/m/ng の発音に非常に強い癖が残ることが多いようです。
英語で数字を読む
前節でリエゾンを見てきました。声出しカウントをする時は早く数字を読まなければなりませんが、早読みをするときにリエゾンが訳に立ちます。
5,6,7, 8ファイヴ・スィックス・セヴェン・エイト→ ファイヴスィックセヴェネラ
この様に各音節の最後の発音が次の数字の音節につながっています。こうすることで速く発音した時でもクリアにリズムを表現することができます。
声出しカウントでの数字の発音
声出しカウントをするときには次の様に発音しましょう。
ワン | アンド |
ツー | アンド |
フリー | アンド |
フォー | アンド |
ファイヴ | アンド |
スィックス | アンド |
セヴェン | アンド |
エイト | アンド |
→
→
ワー | ネン |
ツー |
エン |
フリー |
エン |
フォー |
レン |
ファイ |
ヴァ |
スイッ |
ク |
セー |
ヴェ |
ネイ | ラ |
注意点:
- TH は、もしできるなら正しく発音
- もしTHを発音出来ないなら S ではなく F に変えて発音する
- ワンツーフリーフォーの後はアンドという
- ファイヴ・スィックス ・セヴェン・エイトは、音節が長いのでアンドを省略
まとめ
本来数字の発音の仕方に「どれがもっとも正しい」というルールがあるわけではありません。発音は人によってそれぞれ異なるでしょう。しかしここではリズムトレーニングを効率よく進めていくという目標がありますので、練習している人同士でリズムの解釈を統一したほうが練習の効率がよいだろうという解釈で、発音を統一してみました。
声出しカウントの数字の発音については他にも次のような記事がありますので適宜参照してみて下さい。
英語と日本語の発音の違い ─── 縦乗りを克服しようシリーズその22
何故、英語は勉強すればするほど喋れなくなるのか ───
縦乗りを克服しようシリーズその24
小節入り声出しカウントのコツ ─── 縦乗りを克服しようシリーズその25