英語が聞き取れない理由と、ジャズの演奏が縦乗りになってしまう理由は全く同じだ。その理由は次のようなものだ。
実はこのツイートを書き込んだ時僕は知らなかったのだが、このアニメはキング・オブ・ザ・ヒルといいビーバス・アンド・バットヘッドではない。だが作者はマイクジャッジでビーバス・アンド・バットヘッド作者と同一人物だ。なお、このミームはハンク・ヒル・リスンズ・トゥーと呼ばれている。
※2021/1/12追記・ 上記ツイートで引用されているビデオが削除されてしまっている。元々は Cardi B/メガンジースタリオン の WAP という曲だった。
リズムの境界の解釈の方法が違う
録音を聞いたあとのハンクヒルのセリフのリズムを日本語として解釈すると単語の切れ目がずれるので正しく聞き取ることができない。この解釈はジャズのスイングと共通のリズムだ。
マ
ザーオヴ
ガーッ
ドィツォール
トイレットサウンド
"Mother of god! It's all toilet sound!"
実は、昨日聞いたときはこれが聞き取れなかったのだが、ひとたびそう認識してしまったら、もはや「マザオヴゴッド・イッツオール…」として以外には聞こえなくなってしまった。
こうやって自分の中のリズム解釈をひとつひとつ修正していく。
英語が聞き取れない理由と、ジャズの演奏が縦乗りになってしまう理由は、全く同じだ。最初にポンとなった音を無意識のうちに1拍目と認識してしまう頭合わせ乗りが、この2つの原因だ。それを次のページで説明した。
何故、日本人は縦乗りなのか ─── 縦乗りを克服しようシリーズその1
解釈方法の違いが経験を無意味にする
最初にポンとなった音を無意識のうちに1拍目と認識してしまう状態のまま経験を積み重ねてしまうと、間違った区切りで分解された意味のない発音の知識が頭のなかで蓄積してしまい、発音から文章を正しく識別することができなくなる。そして間違った音声認識の知識が多ければ多いほどその音声認識の勘違いを修正することにとても長い時間が掛かるようになる。これがいわゆる英語は勉強すればするほど喋れなくなる現象だ。
リズム解釈を修正する大切さ
「活きた英語に数多く触れて正しい発音をつかもう!」「ネイティブの人から正しい発音を教えてもらおう。」そう1960年代から繰り返し繰り返し叫ばれてきた。だが結果は惨憺たるものだ。
日本人の英語が苦手という特徴は日本のエリート層でもほとんど共通だ。教えている人がわかっていないのだから教わる人がわからないのも当然だ。
日本人の英語が苦手な根本的な原因は「最初に聞いた音を1拍目と思ってしまう頭合わせリズム」だ。英語苦手を克服するためには、これを「最初に聞いた音を2拍目3拍目4拍目のいずれか考えて1拍目の位置を予想する尻合わせリズム」に修正していくことがとても大切になる。
どうやってそれを修正していくのか・・・それを僕なりに考えて説明したものが 縦乗りを克服しようシリーズだ。
日本人が聞き間違えやすいリズム
以下日本人が聞き間違えやすいリズムを集めてみた。
次の曲はマイケル・ジャクソンのヒューマンネーチャーだ。冒頭に出てくるマイケルのチーチキ・チーチキが聞き取れない。この聞き取れない理由の詳細は 何故、日本人は縦乗りなのかで説明した。
次の曲はスティーヴ・ヴァイの『みんな聴いている』という曲だ。冒頭に出てくるギターリフが日本人には聞き取れない。
次の曲はジャズピアニストのセロニアス・モンク I mean Youという曲だ。冒頭に出てくるリズムが日本人には聞き取れない。
次の曲はウェス・モンゴメリ−のジングルスだ。この曲のテーマ部分の6小節目のリズムが日本人は聞き取れない。
ここに挙げた例が全てではない。外国の音楽では、これと同じリズム要素はごくありふれており、どんな音楽にも含まれている。ここでは特にそのリズム要素がわかりやすいものを挙げてみた。
言語と音楽の関係
リズムはその音楽的な内容とは関係ない。それは飽くまでも言語であって内容ではないからだ。それは小説が何語で書かれていてもその小説の内容は変わらないのと同じだ ─── だけど言語が違うと通じなくなる何かがある。
— オカアツシ音楽言語道場 (@ats4u) August 10, 2020
リズムはその音楽的な内容とは関係ない。それは飽くまでも言語であって内容ではないからだ。それは小説が何語で書かれていてもその小説の内容は変わらないのと同じだ ─── だけど言語が違うと通じなくなる何かがある。