ジャズでもっとも多用されるリズムテクニックはオフビートだ。オフビートを多用した演奏はとてもスリリングだがそのスリルの根源は先が読めない予測不能さだ。その予測不能さを生み出すもの ─── それがオフビート乗り換えだ。
この記事ではオフビート乗り換えとは何か、どうやったらオフビート乗り換えを実現できるのかを説明した。
オフビート乗り換えにはイクウェイトリアル・カウントと深い関連がある。これについてはイクウェイトリアル・カウントとは
で説明した。またオフビート乗り換えとイクウェイトリアル・カウント共に裏拍乗りとも深い環連が或る。これについては
裏拍の大切さ
で説明した。今回お話するオフビート乗り換えは、8分音符オフビートを強調するカウント法の1つ
イクウェイトリアル・カウントの上で4分音符オフビートを強調することで実現できる。
イクウェイトリアル・カウント上のオフビート乗り換え
次のビデオはイクウェイトリアル・カウントをしたまま、同時に4分音符のオフビートを強調する練習の模範演奏をコンピューターに演奏させたものだ。
同時に8分音符のオフビートを中心に数えたまま4分音符のオフビートを強調すると結果的に、&3・&1・&3・&1…と数えることと全く同じことになるのだが、何故そうなるかについては、しばらく考えてみる必要があるかも知れない。
というのも僕は当初、 2&・4&・2&・4&…と8分音符オフビートを4分音符オフビートよりも先にカウントしていたのだが、このカウントにはどうしてもリズムに違和感がつきまとっていた。僕はこの違和感の来る場所を特定しかねていたのだが、ある日これを練習しているときにふと、この 2&・4&・2&・4&というカウント方には4分音符のオフビートが強調されていないからではないか、と気付いた。このカウントのやりかたでは8分音符のオフビートを強調しているだけで4分音符のオフビートが強調されない。
この状態で4分音符を強調する為にはどうすればいいのか考えたのだが、ひょっとしたら4分音符オフビートを8分音符の装飾音と考えて先に数えたら良いのではないか、と思ったのだった。やってみたら非常に効果的だということがわかった。
だが僕はここで気付いたのだが、8分音符1つ分早く数えている=8分音符オフビートを数えている状態で、4分音符オフビートを強調するというのは、思ったよりもずっと難しいことだということに気付いた。つまりイクウェイトリアル・カウントをするときに & を先に数えるようにはっきりと意識して練習する必要がある。
要約すると、イクウェイトリアル・カウントをしているときに、&を先に数えることで4分音符のオフビートを強調することができ、 &を後に数えることで8分音符のオフビートを強調することができる ─── こうすることで、4分音符オフビート強調と8分音符オフビート強調を自由に乗り換えることができる。
僕はこのことをオフビート乗り換えと呼んでいる。
オフビートを強調した演奏はスリリングだ。そのスリルの根源は先が読めない予測不能さだ。その予測不能さを生み出すものこそがオフビート乗り換えだ。&を先に読むか後に読むかという小さな違いが、8分音符オフビートが強調されるか4分音符オフビートが強調されるかという大きな違いとなって耳に届く。聞く人にとっては次の強拍が8分裏に来るか4分裏に来るか全く読めない ─── これが聞く人にスイング独特なスリル感を与え、これがスイングというリズムの基礎になる。
8分音符3つ喰い弱起
数字上8分音符早く数え、そのままの状態で4分音符1つ分早く数える。これは即ちジャズやR&Bで非常に頻繁に表れる常套句である8分音符3つ『食った』弱起に相当する。8分音符3つ食い弱起はオフビート乗り換えそのもののリズムだ。
つまりこれを演奏するとき、8分オフビートにアクセントを於くか4分音符オフビートにアクセントを置くかを機敏に入れ替えることは新鮮なリズムを維持するために非常に重要な要素になる。
このカウントだとリズムの構造的にジャズ独特なリズム構成である尻合わせに入ることができない。おいっちにージャズおじさんと同じなのだということに気付いた。2&・4&というのは、8分オフビートよりも4分オフビートを後に数えていることになる。これはつまり僕がこのブログでも紹介しているおいっちにージャズおじさん と同じだ。
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更新記録:
(Mon, 03 Feb 2020 18:35:53 +0900) イクウェイタ・カウントをイクウェイトリアル・カウントに修正した。