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2019年5月12日日曜日

リズムの壁 (oka01-osfafhspyoqskfra)


僕は『リズムにうるさい』のかな。多分僕は、神経質でリズムが少しでも狂うと文句を言う人だと思われている。まぁそう思われるのが当然だろうな、とも思う。

だけど本当はそうじゃない。その見方は本質的に見て、事実じゃない。だってそれは…



僕もなんだかんだで約12年外国に住んだ。その間、語学留学ばかりしていたので、あちらこちらの外国語が話せるようになった。そしてその間僕は日本人が一切立ち入らないようなあちらこちらにあるゲットーばかり入り浸っていた。


僕も音楽が好きなので、そういうゲットーにあるあちらこちらのバーに行って、そこの人が聞いている民族音楽を一緒に聞くというのがほぼ日課だった。

バンコクにいる時はそれぞれ、ラオ系の人が入り浸るバーに通っていた時期・イスラム系の人が入り浸るバーに通っていた時期があって、それぞれの地元の音楽を聞いていた。

僕はそこの方言が話せるようになっているくらいなので、そういう空間に馴染んでしまっている面がある。

方言が話せるというのはかなり大変なことで、僕も「方言を話す」と決断してから6年間一言も喋れなかったし、喋れるようになってからも4年間はぶっつづけで練習だった。

方言と民族音楽は大抵密接に関係していて、その言葉のリズムを素材にした音楽になっている。だから方言を勉強するというのは民族音楽を勉強することと非常に近い。

───

でラオ語の方言が話せるようになって結果として思うのだけど、ラオ語は黒人英語ととてもよく似ている。それは発音のリズムというか文法の省略のしかたというか、色々な面で似ている。ラオの民族音楽のリズムは、ジャズのリズムと非常に似ている。

元々ラオ語はインドヨーロッパ語族の根っこの方にある言語なので、英語と遠い親戚の関係にある。だからそういうことがあってもおかしくない。

というかそれも当たり前のようになって更に深く考えると、はたと気付くことがある。

日本のリズムは、物凄く変わっている。

日本のリズムだけが、物凄く変わっている。

世界的に色々な言語を見ていると、多少の違いはあるけどリズムとしてみると、だいたい共通している要素がある。だが日本のリズムだけがどういうわけか全く違う。

その特徴というのは僕がこれまでしつこく何度も書いていることだけど、1拍目を「ドォーーーン」と鳴らしてから始める癖だ。

これは物凄く変わっている。恐らくだけど、日本人以外は理解できないリズムだ。ジャズなどの日本の外の音楽は、1拍目以外の音から始まり、終わりで「ドォーーーン」と鳴らす。もうすこし細かくいうと、日本のメロディーにはアウフタクトがない・・・とも言い換えられる。

で、そういう外国のリズムの感覚から日本のリズムを捉えると、日本のリズムには「そこあるべきアクセントがあるべき場所にない」ので、どうやってもメロディーが当てはまらないという大問題が発生する。

日本に帰ってきて日本のミュージシャンと演奏している時、アウフタクトをつけて1拍目を省略したメロディー(=ジャズの常套句)を弾くと、みんな数え間違えて小節数が狂ってしまう。それは素人だけではなく、『一流』と呼ばれている様なミュージシャンですらそうだ。

何故アウフタクトを入れると小節がずれるのか。小一時間問い詰めたい。

ジャズを演奏していてるのにジャズのリズムが出てこない ─── この違和感というものは、筆舌に尽くしがたい。

単純にメトロノームを鳴らしてずれない様に練習しておけばいいだけの話なのだが、1拍目で「ドォオーン」と音を出さないと、みんなヨレヨレにヨレる。

もちろん人によってリズムの違いがあるのは仕方ないし、その人の感性や体力等々、いろいろな違いを赦して受け入れていかなければいけない。

だがあの1拍目からリズムを始めないと奇人変人扱いされる感覚だけは、どうにも馴染めない。1拍目を「ドォーーン」と鳴らさない僕。僕を変人扱いすると、それはブーメランとなって彼の元に返っていく。実は変人なのはお前のほうなのだ。僕の存在が、彼にそう気付かせてしまう ─── だが結果的にそれが墨汁のように気まずい雰囲気を生み出す。

そもそも1拍目を「ドォーーン」と鳴らすのは音頭/演歌からくる習慣だ。でもみんな「音頭?演歌?そんなものはサッパリわかりませんねぇ」という顔をしながら豪快に1拍目を「ドォーーーン」と鳴らす。

ツッコミどころ満載なのだけど、いろいろ話をすると必ず僕が変人だから仕方ないという結論になって、話が完了する。

本当は僕が神経質だというよりは『みんな』が神経質なのであって、神経質なのは僕ではない。1拍目で『ドォーーン』と鳴らさないと怒ることこそが神経質なのであって、神経質なのは僕ではない。僕はそんなに神経質に毎度毎度「ドォーン」と鳴らしたりはしない。

だがしかしこの『リズムの壁』はとても強固だ。みんな結局毎度毎度1拍目で「ドォーン」 と鳴らして、鳴らさない人を「お前はジャズがわかっていない」と演歌をジャズとすり替えて責任転嫁して、精神安定を取り戻そうとする。ものすごい奇特なガラパゴス文化だ。

言葉で説明した程度では、到底伝わらない。

本来『リズムの壁』に風穴を空けるのは、こういう文章ではない。

この強固な『リズムの壁』に風穴を空ける強固な武器・・・

それこそが音楽なのではないか。



※ この曲は、日本のリズムと外国のリズムを比較してみつけた違いを元に作ってみたものだ。日本のリズムは1拍2拍/3拍4拍と2つのグループに分かれており、大抵の場合「かえるのうた」や「しょうじょうじ」と同じように輪唱できる。実はこの点日本の音楽もロックと同じだ。違うのは演奏する順番で、ロックでは3拍4拍が呼び掛け1拍2拍が応答になっているのに対し、日本の音楽では1拍2拍が呼び掛け3拍4拍が応答と順番が逆なのだ。この点に着目し、日本のリズムをロックと同じ順番で呼びかけと往々をしてみたものが、この曲だ。





更新履歴:
加筆訂正した。 (Tue, 28 May 2019 03:39:52 +0900)


著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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