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2019年5月1日水曜日

和製ジャズの限界点 (oka01-hkhmxirvlqaxyxrv)


習作ブルース(その1)

この演奏で試したのは『ベースのタイミング』だ。ベースをガイドリズムよりも8分音符1つ分早く演奏した。結果として演奏中ガイドリズムが8裏に聞こえてきた。ベースを2コーラス演奏してそれをループにして、それを聞きながらソロをあとから録った。

以下雑感を書こうと思う。

実験的に8裏ベースを演奏してその上でソロを演奏してみた結果、非常にソロは弾きやすかった。レイドバックしても気持ち悪くならない。レイドバックできるマージンが増えた。ソロ内容は適当でリズムがよれているが、それ以上にベースが早い効果が大きく、いい感じに聞こえている。

ソロが格好良いと感じるとき、それは実はソロが上手いのではなくリズムセクションが上手いのだ、とよく思う。リズムセクションがダメダメだとソロはなすすべもない。みんなソロを聞いているのではなく、実はリズムセクションを聞いている。

リズムセクションが遅くてソロがタイミング早めに出てくてリズムセクションを引っ張る形になってしまうと、どうしてもソロがせせこましく聞こえる。

ベースがこのタイミングじゃないとできないフレーズがたくさんある。このベースの上で練習しないと感じがつかめない。ベースももっと前に安定して出る練習が必要だ。

しかし録音すると、自分の癖を客観的に観察できてすごく面白い。Ableton を買ったのはつい最近なのだけど、そのあまりの便利さが衝撃的で、もっと早く買っていたらもっと早く練習できたのにと思い後悔している。普通はエレクトロ系DJの人が使うソフトだけど、ジャズマンにも有用だと思う。

録音して改めて自分の演奏をよく聞いて見ると色々なことに気付いてすごく面白い。今までは他人の演奏を聞いてああだこうだ言っていただけだったが、それと同じ客観的な視点で自分自身を見ることができるというのはとても興味深い。

ジャズはどうしても単独では演奏できない音楽なので、演奏するときは必ず他人と一緒だ。だから自分の演奏以上に一緒に演奏している相手の問題点と向い合う結果になる。

だからどうしても相手の演奏レベル以上のことはできない、という面がある。リズムの自由度が演奏仲間の演奏技術のレベルによって制約を受けるため、相手の演奏レベル以上のことはどうやっても練習できない。友達同士の話なのである程度は寛容に受け止めなければいけないし、あまり厳しくなりすぎると社会生活上問題がある。人間的にもそうすべきではない、と僕は思っている。

だけど純粋に音楽だけで見ると、これは如何ともしがたい限界だった。日本に帰ってきてジャズ界に復帰して以降は、延々と相手に依存しないで音楽的に自立することを色々模索してきた2年くらいだったと思う。

だが日本人の平均的なリズム感の悪さというのはどうやっても否定しがたかった。みんな友達だし僕の大好きな仲間だ。だが10年以上外国暮らしをして10年以上外国の民族音楽にどっぷり浸かって来た身には、ニッポン一億総員『看過しがたい犯罪的なリズム感の悪さ』という現実は否定しがたく、これがどうしても僕にとって強いストレスだった。

こういったらみんな怒ると思う。それは知っている。みんな一生懸命やっているし物凄く頑張っている。それも知っている。だけど現実として日本人のリズムは、『ガサツでテキトーな不真面目人間』が演奏するリズムには、逆立ちしてもかなわない。これは否定しがたい現実だ。

だが自分でリズム・セクションを弾いている限り、他人に惑わされずに練習できる。これは非常によい。ギターとベースは全く別物で、使う筋肉も全く違う。練習するのは非常に大変だった。最低限聞けるレベルに来るだけでも2年近く練習してきたと思う。右手の2本指が動かない。だけど克服してしまえば、自分の思ったタイミングでリズム・セクションを構築できる。そのタイミングにリズム・セクションが来ていないと絶対にできないフレーズを練習できるようになる。

こうして自分のタイミングでベースを弾いて、その上でアドリブを録って聞いてみたわけだが、実際に聞いてみると、自分の悪いところが面白いように浮き彫りになって、課題が丸見えだった。これは実にありがたい。今までは他人の演奏に惑わされて自分の悪いところがどこにあるのかサッパリ見えなかった。

巧い人は、コードチェンジが早い。譜面より常に1小節2小節早くコードチェンジが来る。これができる人が日本には一人もいない。僕もいろいろ意識して自分でもやっているつもりだったのだが、自分のバッキング上で弾いていると、できていないことが認識できた。


今日見つけたビデオだが、これが理想だ。一拍も遅れて入るリズム(コードチェンジ)がない。  だが日本人は僕も含めて、これが全くできない。

コードチェンジの先取りをセッションでやると99%のリズムセクションが惑わされて小節数が狂う。みんなきちんと正しい小節数を感覚で捉えていないからだ。これは外国レベルで考えると『ありえない低レベル』なんだけど、これは仕方がない。タイだとトイレ掃除のオバチャンから近所のクソガキまで、全員このリズムの取り方ができる。だが日本だと、一流プロと名高いジャズマンですら全くできてない人が目白押しだ。

だからセッションでコードチェンジの先取りを練習しても、自分が間違えているのか相手が間違えているのか判別がつかず、練習にならなかった。(あまりしつこくコードチェンジの先取りをやると、しまいには逆ギレされて怒鳴られる始末で…。)

僕もできていないわけだけど、理論的には把握した。それが僕が外国ぐらしで得て持ち帰って来たものだ。練習方法も開発した。Ableton も買ったので、その練習方法を他人を煩わせずに実現することもできるようになった。


Abletonを買って、練習に以下の3本を録音した。

カレハ(その1)

カレハ(その2)




カレハ(その3)


最初は録音されているだけで楽しかったが、徐々に欲が出てきて自分の演奏が気持ち悪くなってきた。もっと完璧にイメージを実現したくなってきた。こうして夢中で録音したのがこの3本だ。

今後しばらくはこの作業を続けようと思う。

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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