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2007年7月20日金曜日

(長文) 営業の天才 タイ (mixi05-u459989-200707202120)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
(長文) 営業の天才 タイ
2007年07月20日21:20
イサーン語勉強会に書いた文章を転載します。



今、久しぶりに日本に帰ってきています。 そんな昨日、ある用事があって久しぶりにタイに電話をしました。 ずいぶん長電話になりました。 そんな長電話の中、昨日聞いて「ははぁ...やっぱり」と思ったのが次の話しです。 出稼ぎに出ていたのだけど工場がつぶれて私が住んでいるタイ東北のウドンタニーに帰ってきている人が増えているというのです。

実は、これを聞いて、やはり思ったとおりだったな、と思ったのです。
というのも、これまでずっと次の様なことを考えていたからです。



ご存知のとおり、すごいバーツ高です。

  タイ株・通貨が10年来の高値 2007/7/ 7 (10:56)| 経済
  http://www.newsclip.be/news/2007707_012288.html


連日「10年来の最高値」というニュースでにぎわっています。

  バンコク外為市場、1ドル=33.4バーツ台
  http://www.newsclip.be/news/2007718_012491.html

  16日午前のバンコク外為市場、1ドル=33.3バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007716_012417.html

  13日午前のバンコク外為市場、1ドル=33.2バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007713_012387.html

  12日午前のバンコク外為市場、1ドル=33.3バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007712_012369.html

  11日のバンコク外為市場、1ドル=33.19バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007711_012345.html

  10日のバンコク外為市場、1ドル=33.47バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007710_012332.html

  バンコク市場でバーツ続伸、一時1ドル=33.47バーツ
  http://www.newsclip.be/news/2007710_012327.html

  バンコク市場で1ドル=34.4バーツ、過去10年で最高値
  http://www.newsclip.be/news/2007703_012222.html


おととしぐらいまで、1バーツ2.8円とか2.9円とかでした。 しかしが、現在は3.7~3.8円と、1円近い差があります。 ちょっと聞くと、1円ぐらいいいや...と思ってしまいますが、10000円を両替したとき、3500バーツ得られたものが、今では2600バーツ代まで目減りしたということなので、一万円あたり1000バーツ近い違いがあるのです。 タイ旅行をしたことがある方はご存知かと思われますが、1000バーツというのはタイでは大金です。 場合によっては1週間分の生活費ぐらいにはなります。




ここまでバーツが高くなったら、普通、国内の経済はメタメタになってしまうはずなのですが ... ところがニュースでは、まったく静かなのが私にはとても奇妙に思われます。

そんななか、こういうニュースが出ていました。

  女性従業員2,000人が突然の工場閉鎖に抗議
  http://thaina.seesaa.net/article/47441598.html

  衣料品工場閉鎖に抗議、従業員5000人が道路封鎖
  http://www.newsclip.be/news/2007711_012359.html

一瞬、自転車操業のチャランポランな工場がつぶれただけのようにも見えるのですが、5000人規模の人員を抱えてナイキなどの有名企業の下請けをしているような工場が、自転車操業だったとは考えにくいものがあります。 そうこうしているうちに、こういうニュースも出ていました。

  突然閉鎖の工場、結局13日からの操業再開を決定
  http://thaina.seesaa.net/article/47635775.html

  衣料品工場が営業再開、従業員5000人抗議で
  http://www.newsclip.be/news/2007712_012380.html


タイって心があたたかいいい国だ。 ...でもお金どうするんだろうと思っていたら、案の定

  突然閉鎖騒動の工場 8月5日に全事業から撤退、廃業へ
  http://thaina.seesaa.net/article/48490126.html

  衣料工場閉鎖で5000人解雇、バーツ高で受注落ち込む 2007/7/20 (16:03)
  http://www.newsclip.be/news/2007720_012536.html

というニュースが出ていました。 無いものは無いのです。



このニュースは、バーツ高が確実に国内の産業に影響を与えていることを示している、と私は考えています。 しかし、私は実感と比べてみて、こういうニュースの現れる頻度が極端に少なすぎると感じています。 実際にタイで生活していて、街では景気のいい話などひとつも流れてきません。それどころか、お金が切羽詰ってトラブルになったという話しか聞きません。 恐らく、マスコミは、景気に対してストレートに批判することは、国王と関連が深い軍政を批判することにもなりかねないので、自重しているのではないかと思われます。 恐らくは、こういう風にニュースとして現れてくるのは、氷山の一角なのでしょう。

そう考えているところで、ウドンタニーで、出稼ぎ先の工場がつぶれてしまって帰ってきたという人が増えている、という話しを聞いたことは、私にある種の確信を与えました。



  ☆ 街から西洋人が消えていく

私が住んでいるのはウドンタニーですが、ウドンタニーという街は、色々と複数の事情が重なって西洋人が多い土地柄なのです。 フランス軍のラオス侵攻・終戦・ベトナム戦争といった歴史的な理由が大きいことに加えて、パッタヤに出稼ぎに行った女性が 西洋人のダンナを連れてウドンタニーに帰ってくることも大きな要因です。

事情は色々あれど、ともあれウドンタニーが物価が安くほどほどに発展しており生活しやすいことを知り、パッタヤやバンコクと違って、若くて無垢な可愛い田舎娘が多いということを知った、タイ通のスケベなファラン※が移り住んでくるわけです。

※ファラン: タイ語。 フランスを表すタイ語ファランセがなまってファランと発音するようになり、フランス人だけでなく西洋人全般を指すようになった。

実は、ウドンタニーの様なタイの地方都市では、こういうスケベファランが落とすお金が地域経済に少なくない潤いを与えているのです。 これは、ウドンタニーのような地方都市に限らず、タイ全般的に言えることではないでしょうか。 絶えずこういった観光客からの外貨がタイ庶民の間に流入しているからこそ、これといった産業が無くても栄えているわけですから...。

そんななか、昨今のバーツ高は、こういうスケベファランの財布を直撃している模様です。 この様なウドンタニーに住む西洋人の間から、こうバーツが高くては生活が苦しくて... という声が頻繁に聞こえてくるようになりましたし、実際、街から目に見えて西洋人が減っています。 かつてとても賑わっていた西洋人向けのバーで閑古鳥が鳴いています。 バーツ高を嫌って出国したからです。 いくらお金を持っていても、こうバーツ高では値ごろ感が乏しく、どうせ値段が同じならもっと住み心地のよい街へ住んだほうがよいとみな考えはじめているわけです。

スケベファランがいなくなることは、地方都市の経済に深刻な影響を与えます。

私はこういう状況をナマで見ていたので、今のタイのニュースを見ていると、すごく違和感を感じます。 現実に見聞きしている状況と相当に乖離しているからです。

それだけなら、まだいいのですが、おかしなことは他にもたくさんあります。

たとえば、外国人がタイで労働ビザを得るためには、その会社は外国人一人当たり100万バーツの投資義務がある、という最近出来た規制が挙げられます。 外国人1人100万バーツといえば、10人でざっと1000万バーツ。 日本でも中小企業を起こすことが出来る金額になります。 しかも、コスト安が命のタイで、です。 タイは、確かに利率は低いかもしれませんが、初期投資が少なくてよいので会社が作り易く、それがタイビジネスの大きな魅力となっていましたが、こうバーツが上がった上に、こんな制約をかけられてはたまったものではありません。

タイが気に入ってタイに住み着く西洋人が多いのは、タイでは労働ビザが比較的取りやすいという要素もあったのですが、労働ビザが一気に厳しくなったおかげで、西洋人が離国を余儀なくされているというのが現在の状況です。

ゴリラ女を買いあさるスケベファランが国を出て行くのは結構なことですが※、問題は、スケベファラン以外のファランも国を出て行ってしまっていることです。そして、この事実は、ストレートにタイ人の財布を直撃しています。 特に、今年5月からのかつて無い急激なペースのタイバーツ暴騰によって、目に見えて地方都市の生活は苦しくなりました。

※ 今こういう排他的な政策を取っているのは、実際に感情的になって後先考えずに外人を追い出そうとしているという要素があるようです。



そんな中、政府は自分の首を絞めるようなことばかりをしています。 一般的に現在の様な状況になった場合、政府は以下のページで挙げられている様なことをするのが一般的なのだそうです。

  ハードランディング
  http://www.melma.com/backnumber_3343_3576102/

  景気循環
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%BD%E6%99%AF%E6%B0%97


ここであげられているように、一般的には、このように景気が高く舞い上がり極端なバブル状態になったとき、後で経済が地上に降りられなくなって大クラッシュしてしまう、といったことが無いよう、前もって何らかの手を打つのが定石なのだそうです。 しかし、現在の政府は何もしていません。 それどころか、ドル買い介入を行わない方針を示したことすらあるみたいです。

  バンコク市場で1ドル=34.4バーツ、過去10年で最高値
  http://www.newsclip.be/news/2007703_012222.html


ここまで状況が深刻化してしまいましたが、本日、ようやく重い腰があがったみたいです。 しかし、あまり効果的な対応とはいえなさそうです。

  バーツ高対策立案、財界に丸投げ 2007/7/20 (14:21)
  http://www.newsclip.be/news/2007720_012533.html




以上、というわけで、いい話が一つも無いのですが、そんな悪状況下、アメリカを中心にタイの投機に対する人気は異様な高まりを見せているようです。

  http://www.newsclip.be/news/2007712_012370.html
  バンコクに新複合商業施設
  http://www.newsclip.be/news/2007710_012331.html
  10日のタイ株1.7%高、858ポイント
  http://www.newsclip.be/news/2007713_012399.html
  13日のタイ株、1.8%高

 
最初の複合施設、投資額は約10億バーツだそうですが、不気味です。たまに思うんですが、タイ人って、舞台裏を何も知らない外国人を気持ちよくしていろいろなことをやらせるのが、メチャメチャうまいのではないでしょうか。 ある意味、営業の天才じゃないかと思うことがあります。 恐ろしいのは、そうやって散々気持ちよく持ち上げておいて、最後に大クラッシュ、そのどさくさにまぎれてゴリオシで全部イタダキっていうパターンが非常に多いことです。



今の国内の景気の悪さと、この投機過熱のギャップは凄まじいものがありますが、そんな中こういう記事が出ていました。

  日・タイ通貨スワップ協定、日本の支援額60億ドルに
  http://www.newsclip.be/news/2007710_012330.html

  アジア通貨危機:10年経過 「中国発」再来に懸念-今日の話題:MSN ...
  http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070708k0000m020141000c.html



特に最初のほうは、非常に嫌な予感がするニュースで、気がついている人はとっくの昔に気がついており、既に大急ぎであちこち走り回っているのではないか、という予感を掻き立てます。 何に気が付くって... もちろん「為替大暴落・アジア経済大クラッシュの気配」です。


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話しはここで終わりです。 先のことは誰にもわかりません。 二年前、私も、クーデターが起こるなんて想像もしませんでした。 それどころか、クーデターというものが生活にここまで激しい影響を与えるものなのだ、ということがこの平和ボケ日本人である私にはまったく想像もつかないものでした。 しかし、私も、これまで二年間タイで悪戦苦闘してきたなかでいろいろなことを知りました。 そんな稚拙なカンではありますが、経済の大クラッシュの臭いは、確実に濃くなってきているように思われます。 勘違いならそれはそれでよいのですが...。


以下 余談です:

よく不思議に思うのです。 私の周囲のイギリス系の人からはろくな話を聞かないのですが、日本人からは悪い話が一つも流れてこないことです。 これって何故なんでしょうか。 推測の域を出ないのですが、ひょっとしたら、タイ人は相手の国によってぜんぜん違う対応をしているのではないでしょうか。

例えば、イギリスといえば、ロータステスコですが、風当たりが強まっている模様です。

  英テスコの出店に反対、数千人がデモ行進
  http://www.newsclip.be/news/2007717_012484.html

他にも身近なイギリス人からまったく持って景気のいい話は聞きません。 ところが、日本人からはそういう悪い話がまったく聞こえてこないのです。 日本人の友達は、イギリス人の友達より、ずっとたくさんいるのですが...。 みんなのんびりとしているように見えます。 何故なんでしょうか。 イギリス人がヒイヒイいってる投資最低額とかを日本人はどうやってクリアしているんでしょうか。

また、アメリカに関してもイギリス人、日本人と まったく違う対応をしているらしいことが漠然と伺えるのですが...気のせいでしょうか。

そういえば ... アメリカは、この間のコピー薬ゴリ押しの一件以来、最近著作権に対する締め付けが強くなっている様です。 でもなんとなく対応がずれているような...。

  タイ政府、コピー薬の導入拡大を検討
  http://www.newsclip.be/news/2007530_011668.html

  タイのコピー薬導入策、米政府が撤回要求
  http://www.newsclip.be/news/2007523_011570.html

  タイ保健相、国連合同エイズ計画の委員長に
  http://www.newsclip.be/news/2007520_011511.html

  タイとブラジルが共同戦線、米製薬大手に対抗
  http://www.newsclip.be/news/2007520_011512.html

アメリカが怒っているのはこっちの一件のことだと思うのですが、なぜか、微妙に関係が無いコンピューター業界にたくさんとばっちりが飛んでいるような...気がしません?

  タイ、コンピュータ関連犯罪法が発効|タイ発ニュース速報
  http://www.newsclip.be/news/2007718_012496.html

  タイの地元新聞を読む: 年末までにパンティップ・プラザを海賊版フリーゾーンに
  http://thaina.seesaa.net/article/47433927.html

  タイの地元新聞を読む: スクムウィット11で猥褻DVD等を大量押収
  http://thaina.seesaa.net/article/22731091.html

  タイの地元新聞を読む: シーロム地区で猥褻DVD等の違法DVDを押収
  http://thaina.seesaa.net/article/19585725.html

そして、なぜか 

  米誌ベスト・シティ賞でバンコクが3位|タイ発ニュース速報
  http://www.newsclip.be/news/2007712_012374.html

この状況で好感を維持するソーシャルスキルというか懐柔というかなんというか...。 天才的です。

余談でした...。

コメント一覧
おかあつ   2007年07月21日 02:02
独り言なんですが...

でも、まぁ、タイ人かどうかに関わらず、人ってみんな、心の中では最初から答えが出ていて、これを変えようなんて夢にも思っていないものですよね。 それは、西洋人であっても、討論文化、ディベート文化があったとしても、人は誰でもそういう傾向を持ってるのではないかと最近思います。

タイ人は論理的に考えることを良しとしないので、それがわかりやすいだけなんですよね。 きっと。



「真実を知ることがもっとも大切な行為であり、討論は真実に近づく為の手段である。 討論時、真実に近づく為には自分の意見の欠点を隠すべきでなく、むしろ積極的に知らせるべきである。 真実を知ることがもっとも大切なことである以上、他人を陥れるために欠点を攻撃するようなことがあってはならない。」

現実に即して行動するなら、こうするしかありません。 実際科学や数学の世界では常識的なことです。

「被害者は現実的には100人だが、被害者の気持ちを考慮して300人とする」とか「お金を出したのはAさんだが、ここはBさんの国なわけだからBさんのものだ」とか「このまま行ったら赤字だ。しかし彼の気持ちを察してそっとして置いてあげよう」 とか 「この問題を社長に知らせると、きっと悲しむので言わないでおこう」といった言葉は論理的に明らかに矛盾していますし、相手の気持ちを思いやっての行動であっても、こういう行動は一般的によい結果を招きません。

でも、人間というのは元々論理的でない存在であり、現実問題を完璧に合理的に処理出来る人というのは、そう多くはないものです。 受け入れることが難しい現実は、受け入れずにそのままそっとしておいた方がよい、ということもあるものではないでしょうか。

そういう中で、どこまで現実を放置して「人の気持ち」を優先して考えるべきなのか、というのは意外と難しい問題なのではないかな、って最近思います。

 
出展 2007年07月20日21:20 『(長文) 営業の天才 タイ』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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