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2021年4月5日月曜日

速すぎるベースがグルーヴしない理由 (oka01-ljeiyaaahvaorxkl)

今日8分音符裏拍バスドラムを鳴らしながら色々と試していたのだが、それでふと気づいたことがあった。それは早すぎるべースがグルーヴしない理由だ。

去年の終わり頃、グルーヴする早いベースに拘って色々なタイミングを実験しているうちに偶然『早すぎるベースはグルーヴしない』ということに気づいた。だがその理由がわからなかった。また別なある日も、都内である非常に打点が早いベーシストとセッションしているときそのベーシストとアンサンブルするときにグルーヴさせることが非常に難しいことに気付いたことがあった。僕自身もそのときは早ければグルーヴすると思っていたので、グルーヴしなかったことが意外だった。その時もグルーヴしない理由をいろいろと考えたのだが、わからなかった。

いわゆる『打点が早いベース』とはスイング量が大きくなってベースの打点が次拍の8分音符裏拍に近づいている状態だ。スイング量は、8分音符の表拍が前進した距離と 8分音符の裏拍が後退した距離の2つの距離によって決まる。

参照:スイング理論

このときとてもよくある間違いは8分音符の裏拍を遅くずらすことでスイング量を増やすことだ。これをやるとリズムが日本的なスピード感のない重たい感覚に変化してしまう。スイング量を増やす時は8分音符の表拍を前進させなければいけない。

ベースをグルーヴさせる時に大切なのは次の拍の裏拍との距離を正確に制御することだ。120BPM〜150BPM程度だと1拍の長さにゆとりがあるのでかなり表拍をぎりぎりまで裏拍に近付けなければスイング感がでない。

だが200BPM以上の速いテンポになると1拍の長さがとても短いため裏拍と表拍が近づきすぎると裏拍と表拍の分離が悪くなってしまい個別の拍として聞こえなくなってしまう。

通常ベースが8分音符表拍を演奏しドラムが8分音符裏拍を演奏している。だからある程度ベースが遅めのタイミングに移動することで8分音符の表拍と裏拍の違いをはっきりと提示する様にしたほうがグルーヴがクリアになる。

最も大切なことは8分音符裏拍と8分音符表拍の距離を正確にコントロールすることだ。

ベースが遅いとグルーヴしないと言って早さばかりを追い求めるのはベーシストはブレーキのないフェラーリの様なものだ。どんなに速く走ることができても速さを望み通りに制御できなければすぐに大事故を起こしてしまう。


日本人の場合

日本人は8分音符を演奏するときほとんどのばあい裏拍を起点に演奏することができない。かならず表拍を起点にして裏拍を強調しようとする。ところが日本人以外の人々はしばしば全く真逆で裏拍を起点にして表拍を強調する。

日本では、リード楽器もベースも表拍を起点にして演奏している。表拍を起点にして演奏する日本人ベースの打点を前方に移動させたとき、表拍を起点にしているリード楽器が裏拍の位置を安定して提示していることは極めて稀なことから、ベース/リード共に8分音符裏拍の位置を全く意識することなく4分音符表拍同士で音符距離を調節することになる。するとベースの打点が次拍の8分音符裏拍を超えて前に出てしまう。こうなってしまうと8分音符のニュアンスは完全に失われ解像度が4分音符に下がってしまう。こうしてグルーヴ感が失われることになる。

また仮にリード楽器演奏者が裏拍起点で表拍を強調する演奏者だった場合、彼がニュアンスをつけようとして裏拍を基準にして表拍の位置を移動すると、日本人ベーシストにとって自分の打点位置を図るべき基準位置が移動してしまうため、打点位置を安定させることができなくなる。こうして演奏小節数すらも正しく認識することができなくなり、演奏が崩壊する。


更新記録:

速いと早いの区別を修正した。(Wed, 07 Apr 2021 14:55:25 +0900)


著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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