日本ではRの発音もLの発音もラ音便を使うのが標準となっている。だけどこれだと英語の単語を日本語に輸入する時に RとLの区別がつかなくなってしまう。世界中にRとLの発音区別が全くない言語は日本語しかない。これが日本人の外国語の学習の妨げになっているのではないか。
レはレモンのレではない
ドはドーナッツのド
レはレモンのレ
レはレモンのレではない。
レモン(Lemon)のレはLe。ドレミ(Do Re Mi)のレは Re だ。
レ Re は レモンの Le ではない!
このように日本人は幼少期よりRとLの区別がつかなくなるような特別英才教育を受け続けている。その成果は既に皆様がご存知の通りだ。
僕はRの発音にR以外の音便を割り当てるほうがよいと考えている。日本語の発音上RとLの発音の区別がないことは仕方がないことだが、外国語ではRの発音は必ずしもLと似ている訳ではない。フランス語ではRの発音はハ音便だし、ドイツ語ではガに近い音便を使う。中国語ではジャに近い音便を使う。
英語でもRは決してLに近い音としては認識されていない。それは場合によってはワ音便に近い音として認識されている。
英語のRは必ずしもラ音便ではない
これはイギリスの『オンリー・フールズ・アンド・ホーセス』という70年代に非常に有名だったBBCで放送されていたコメディだ。二枚目歌手トニー・アンジェリノがRの発音ができない舌足らずの訛りのある歌手だということに気付かなかった主人公デルが自分主催のステージでトニーを歌わせて大失敗するというストーリーだ。
彼はRの発音ができずWの発音に訛ってしまっている。
「アイビークワイン!クワイン!クワーイン!」
彼が歌っている曲は「クライイング」というロイオービソンの名曲だ。
クライマックスで「クライイング(CRYING)」を連呼するこの曲でRの発音ができないことはとても目立つ。
英語のR音便変化について(ウィキペディア)
Rの訛りについて(ウィキペディア)
実はこのRの発音がWに訛る訛りは、東ロンドン訛り通称『コックニー』ではとてもポピュラーな訛りなのだそうだ。
コックニーは日本ではほとんど知られていないが非常に有名な英語の訛りのひとつで、例えばベッカムがこのコックニーの話者であることが知られている。
これはオンリー・フールズ・アンド・ホーセスのスペシャル版でベッカムが特別出演しており、登場人物と並んでコックニー方言を喋っているところを見ることができる。
コックニー訛りはアイルランド訛りととても深い関係のある訛りだ。このRがWに訛る発音は、アイルランド移民が多いオーストラリアやニュージーランドでもポピュラーな発音変化でもあるという。
Rに違う音便を割り当てる
英語話者はしばしばRがワ音便に訛ることには慣れがある。しかしR音便がL音便に変化してしまう日本語の訛りにはほとんど慣れがない。日本語訛りは聞き取りがとても難しい。
日本人はRの正しい発音が難しい。また英語を学習する時にRとLと認識しているため、認識上で発音自体が不分別になっているためRとLをしばしば記憶し間違えてしまう。
そこで英語の単語を日本語で表記する時にワ行として表記することでこの問題を回避できるのではないか。そうすれば日本語上でワ行とラ行と異なる音便が割り当てられることにより、単語の混同を避けることができる。
- lice ライス(蚤)
- rice ワイス(米)
- glass グラス(ガラス)
- grass グワス(草)
等々
正しく訛る大切さについて
わざわざ訛った発音を覚えなくても良いではないか、と思うかも知れない。だがクライングをクライング(CLYING)
と発音したら絶対に通じることはない。それは英語としてみると訛りではなく完全に間違っている。だがクワイングと発音すれば笑われつつもほぼ通じる。それは英語として見て間違ってはいるが訛りとして容認される。
日本語でのドレミの発音について
僕は「半音階ドレミ」というものを研究している。そしてこれを日本語で歌うためにどうすればよいかということを考えた。
半音階ドレミは、シャープやフラットを母音の変化で表すという法則を適用している。だが日本語にはRとLの発音区別がないため、半音階ドレミを正確に歌うことができないという問題がある。そこで僕は、Rの発音を
ワ行かハ行に割り当てるというアイデアを考えだした。
それが
半音階ドレミ=クロマチック・ソルフェージュだ。