独奏のままで『終わり乗り』で自由に弾いてもいい。
今日あるドラマーのソロ演奏を見てきた。彼は類まれな即興演奏家で世界的な演奏家だった。ビデオで見た演奏も素晴らしかったが、生でみる彼の演奏は想像以上に素晴らしかった。
彼の演奏を見てたくさんのことに気付いた。その中のひとつは、彼が演奏中、頭拍をはっきり出さずに演奏していたことだ。彼は完全に『終わり乗り』だった。彼の演奏はソロなので伴奏がない。伴奏無しの状態で、頭拍をはっきりださないで演奏していたのだ。その状態で演奏は成立していた。
これを聞いて僕ははっきりと意識した。ソロで頭拍をはっきり出さないで『終わり乗り』で演奏する ─── これを関東のジャム・セッションでやると、確実にリズムセクションがロストする。僕は、リズムセクションがロストする恐怖心からソロを弾くことに恐怖心を感じていた。
この恐怖心から、僕は何かリズムをキープする楽器を求めていた。それは声を出してカウントすることだったり、足でタンバリンを鳴らすことだったりした。
─── だが本来リズムをキープする楽器は必要ない。
本来『終わり乗り』の場合、最終拍さえあえばよく他の拍は比較的自由に変化できる。だが日本人は『終わり乗り』が理解できない。終わりの位置だけを固定して他の部分を変化させる演奏方法に対応できず、それが起こるとロストしてしまう。
だが日本人のジャズマンは一般的に、縦乗り(頭乗り+表乗り)が問題だという認識がなく、そもそも頭乗りと終わり乗りの違いすら聞き分けられない。終わり乗りが起こると、自分の理解力不足を棚に上げて他人に文句を言い始めるのが常だ。ロストしてしまった理由は「お前が変なリズムを弾くからだ」という話になり、糾弾される。
これを繰り返し繰り返し経験したので、恐怖心が心の奥底に染み付いてしまった。
伴奏なしで『終わり乗り』で弾いても理解できる。
理解できないのは日本人が『頭乗り』だからだ。
この縛りは無視すべきなのだ。
独奏の『終わり乗り』で自由に弾いてもいい。
その状態で世界に通じる。
それを目の当たりにした。
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著者オカアツシについて
小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。
特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々
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