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2006年11月9日木曜日

ネットハック (mixi05-u459989-200611090137)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
ネットハック
2006年11月09日01:37
「ネットハック」という物をご存知でしょうか。

実は、これは、インターネットともネットで暴れまわるハッカーとも何の関係もありません。 あるとても古いRPGゲームの名前なのです。

今ではRPGといえばコンピューターゲームを思い起こす人がほとんどだと思います。 しかしそもそもRPGとは、元々単にテーブルで遊ぶ「人生ゲーム」の様なゲームです。

1980年代前半にRPGをコンピューターで再現したゲームが流行しましたが、それが以降発展してファイナルファンタジーやドラクエになったわけですが、そのコンピューターで遊ぶRPGの原型がネットハックだったというわけです。

ところで、ネットハックは、他の今RPGと言われているゲームとは、大きく違うところがあるのです。

それは... 「絵がない」のです。

状況や敵の姿などのあらゆる状況は全て文章で表されます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/NetHack

最近のゲームは、超高性能グラフィックボードと超高速CPUによる演算により、まったく実写と変わりない程リアルな、リアルタイム3Dコンピューターグラフィックスも夢ではなくなりました。

ですが、この「文字だけ」という究極のメディアが人に喚起する世界と言うのは、リアルな3D映像の快楽を遥かに上回っているのではないかという気が僕はします。


情報が持っている具体性には、高い、低いという物があると思いますが、 現代はコンピューター技術の躍進により、限りなく具体的な情報が溢れかえっている時代です。

情報の具体性が高ければ高いほど、受け手が考える必要はなくなり、見ただけで多くのことを知ることができるわけです。

ところが、むしろ具体性が低いほうが、人と言うのは、何故か不思議なことに、そこに「神秘」を感じるのではないでしょうか。

よく見えないからこそ、一生懸命みようとする。 見えないから、そこに何があるのか考えようとする。 おのずと見る人の想像性→想像性をかきたてるのだと思います。

そこには、現代的な具体的メディアでは決して得られない、甘美さがあるのだと思います。


──────────────────────


僕は、このことを勝手にローファイと呼んでいます。

僕は、ハイファイな超高性能ステレオで聴くよりも、古いボロボロのラジカセで聞いたほうが音楽的に聞こえる時があるのに、なぞらえているのです。


僕は、一時期、趣味で波形処理プログラムをゴリゴリ書いていたことがあるのです。 フーリエ変換を使っていろんな風に波形の周波数特性を変えて音を聞いて遊んでいたんですが、失敗してすごい変な周波数特性になってしまった事がありました。 ゴワゴワ・ゴワゴワいうような、ものすごい悪い音質になってしまったのです。

が、ふと思ったのですが、むしろ、そのほうが心地が良かったのです。

何故そうなのか考えてみたのですが、ハイファイのキンキンした音というのは、時として聞いていて疲れるのです。 そういうときに、高域が丸く落ちた柔らかいノイズを聞くととても落ち着くのではないでしょうか。 そういうことに気が付きました。

実は、一時期、音程を変えずに再生速度だけ遅くするプログラムをかいていたこともあるのですが、失敗してノイズだらけになっちゃった事がありました。

これもとても不思議なのですが、(もちろんプログラムの目的としては大失敗なのですが)むしろ、ノイズが入っている音のほうが落ち着いて聞こえるのです。

そういうことがあったのち、僕は、いろいろなことを考えました。

コンピューター技術の躍進は凄まじいものがあり、人間の夢を全てかなえてくれる勢いです。 全てを、理想どおりの形にする事が出来ます。




... ですが、では、その理想ってなんなのでしょうか。



ひょっとしたら、ノイジーでゴワゴワいっているぼろいラジカセの音なのかもしれません。

テクノロジーと言うのは、それをどうやって作るのかを考えます。

じゃぁそういう音ってどうやったら出てくるのでしょうか。 昔は、そのあたりで買ったコンデンサーでアンプを作ればすぐに出た音ですが、今ではペーパーコンデンサーや、オイルコンデンサーなんて、そのあたりではそうそうは売ってません。

心地よさって何なんでしょうか。

それは、全く欠落のない完璧な周波数特性や、超リアルな3Dグラフィックで実現できるもの... ではないのかもしれません。


ローテクノロジーの時代には、ただひたすら高性能を目指していれば良かったのでした。 ところが、今は、恐ろしい事に、全く妥協することなく全てを理想どおりにする事ができる様になってしまいました。 しかし、それで、むしろ人々は幸せではなくなっているのではないか、と思うことが僕はあります。 妥協していたはずなのに、実は、妥協していた頃のほうが、むしろ心地よかったのではないか、と思うのです。

それは何故なんでしょうか。

数値的な高性能=快適というわけではないから、ではないかと僕は思います。

ローテクノロジーの時代には、どんなに高性能を目指してもどこかにローファイが残っていたからそれで良かったのです。 ところが、今はローファイがかけらも残らないほどハイファイな機材を作る事が出来るようになってしまいました。

人間はそういうことを考えなければいけない時代にきているんだと、僕は思います。


ところが、一旦高性能に浸ってしまうと、低性能に戻すと言う事は、高性能にする以上に難しい事なのです。 ビデオが出来てラジオスターがいなくなったように。
(参考:http://www.youtube.com/watch?v=cmjuGIVyP4Q)

文字しか表示できない黒くて味気ないコンソール画面しかなかったからこそ、ネットハックが生まれたわけです。 何でも表示できるコンピューターがある現代に、ネットハックのような素晴らしいゲームがどうやったら生まれるのでしょうか。

味わい深い低性能を意図して作るのは、全てを理解している必要があります。 何が人に落ち着きや安定感を与えるのかを正しく理解している必要があるのです。

これは、偶然や状況には頼れないと言う事なのです。「偶然出来たラジカセがいい音だったなぁ」と言う風には偶然には頼れないのです。 楽器が出来上がる逸話を聞くと、ほとんどの楽器がある偶然がきっかけで出来ているような気がするのですが、気のせいでしょうか。


全てを理想的に出来るコンピューター時代において、ローファイというのは、すごく大切なキーワードだと思います。 ところが、これは、すごく難しい課題だと僕は思います。



早い人は、もうそれに気が付いて次の方向に進み始めています。


コメント一覧
退会したユーザー   2006年11月09日 10:15
ところでいつ日本に帰ってくるの?
ガクムラ   2006年11月09日 12:06
>その理想ってなんなのでしょうか。
ノイジーでゴワゴワいっているぼろいラジカセの音なのかもしれません。

音について、僕が感じるのは、適度なノイズは脳を落ち着かせると思うのです。

例えば、静かな部屋にいて、耳栓をして十分経つとちょっと感覚がおかしくなります。
かなり気持ち悪いです(やってみた笑)。

自然のなかに行くと気持ちよいというのは、風によって、木が揺れて、ざわざわと音がしたり、なぜかいろんな音がします。
自然なノイズというのでしょうか、あれが気持ちよいみたいです。

追伸
日本は寒いよw
吹雪   2006年11月10日 01:16
なんだかすごくやってみたくなったんですけど、ネットハック!
昔のゲームはグラフィックショボい分、想像力をかきたてられて好きな作品が多いのですが、これはまた究極ですね。

追伸
日本はもう秋終わります。
うちはもうコタツ出ました。
おかあつ   2006年11月10日 03:14
>なんだかすごくやってみたくなったんですけど、ネットハック!

(’o’;ハッ

そういえば、吹雪さんとは、「コロニーオデッセイ」以来のお付き合いですが、正に吹雪さん好みかもしれません。 あのノリです(^-^;

しばらくダウロードしてないんですが... 今どこからダウンロードできるんだろう。


おかあつ   2006年11月10日 03:25
http://jnethack.sourceforge.jp/

ここにありました。

このゲーム、こうやっていい事ばかり書いてしまいましたが、敷居の高さマニア度の高さ共に想像を絶するものがあり、スタート地点から一歩も歩けず... 挫折、と言うのが非常ぉぉによくあるパターンなのです。

最初、職業を選んでゲームが始まったら、まずは キーボードの?キー を押してみてください。 説明文が出てきます。

実は... 若干邪道気味なんですが、簡易的な絵が出る奴があってこれの方がとっつきやすいです。 実は、こっちのほうが僕は好きだったりします
(^-^;;

それは.. いまどこにあるんだろう...。
おかあつ   2006年11月10日 03:35
http://www.vector.co.jp/games/soft/win95/game/se401547.html

僕が遊んだ頃(6年前)は こんないたりつくせりじゃなかったのですが、今はなんとVectorで配っているそうです。 是を使えば、フルコンソールよりはずっと楽にプレイできると思います。

簡易画面は、アスキー文字をただ単にアイコンに置き換えたものです。 これの事をタイルって呼ぶんですが、このタイルをかっこいい奴に置き換えると結構いい感じになります。

で、それは、いま、どこにあるんだろう...。
おかあつ   2006年11月10日 03:50
昔は結構あちこちに独自タイルが転がっていたんですが、今はあまりメジャーじゃないみたいです...。 ちょっと探した感じ、見つかりませんでした...。

P.S.
タイも、今、冬になって、大分寒くなってきました。
(タイ人談)

... が、日本人的には、日本の5月ぐらいの暖かい陽気が毎日続く感じで、すごくいい季節です。

正直、非常に、眠いです。(^-^;;
 
出展 2006年11月09日01:37 『ネットハック』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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