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2013年6月25日火曜日

雲南方言について (oka01d-spvnsayhcwbemimv)

今日は、再びバスに乗って大学周辺に行き、ディコス(dekeshi=德克士=中国のファーストフード)でしばらく勉強した後、雲南大学と民族大学を見学して帰ってきた。
※ おかあつは2013年6月21日に中国・昆明に来ました。中国からはbloggerにアクセスすることが出来無い為、この日記は、あらかじめ別に書きためたものを後日中国の国外からアップロードした物です。
今日こんなサイトを見つけた。

『云南方言』互动百科 - 全球最大中文百科网站
http://www.baike.com/wiki/%E4%BA%91%E5%8D%97%E6%96%B9%E8%A8%80

僕が今まで疑問に思ったり、普段方言を耳にしていて漠然と感じていた事が、全てここで説明されていたので、感動した。

これによると、雲南方言はもともと中国の北方の方言が元になっているらしい。ここに明代(明朝 1368-1644年 =漢族が立てた最後の統一王朝) の時代に、屯田兵としてやってきた北方人が話す方言に、もともとこの地に住んでいた現地人が話す言語(恐らくタイガダイ語族に入るダイルー語やダイヤイ語・シナチベット語に入るカレン語や白族語)が混ざって出来上がった方言らしい。

明朝
http://baike.baidu.com/view/3371.htm?fromId=72677


南部の方言=広東語や福建語などは、北京語の様にシナチベット語族ではなく、タイ語と同じダイガダイ語族に属していると考えられているらしい。 それは何故かというと、語彙や文法が北京語とかなり違うからだという。ところが南部方言の中でも、雲南語だけは、発音こそ大きく違うものの、文法や言い回しがかなり北京語に近い事を、長らく不思議に思っていた。何故こんな事が起こるのだろうか。

これはつまり、雲南語の生い立ちによるものらしい。

何故雲南語だけが北京語に似ているのか。 僕はこの疑問に対する説明として、タイに住むラオ族の様に、彼らは本来自分のネイティブ語を持っていて、生活上主にそちらの言語を話しているのだけど、街に出るとやむを得ず頑張って不得意な標準語を話さなければならず、激しく訛ってしまっているだけだからではないか、と思っていた。

上記のバイドゥーによると、僕の推測はほぼ当たっていた様ではあった。だが、それ以前として、雲南語自体が、北方方言と南部少数民族言語のクレオール言語として生まれたから、という面もあるらしい。 タイ語がベースにある広東語や潮州語と違って、雲南語は北京語がベースにあるらしい。

話によると、タイの東北最果ての地=ウドンタニー同様、中国の南部最果ての地である昆明は、文化衝突・政治闘争に事欠かなかった様だ。 政治衝突が起こる度に、焚書などが起こった様で、旧来の事情を説明する資料はほとんど残っていないとか。

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北方人は、僕がよく知っている中国南部の民族を、土人と同じようなものに感じているらしく、たまに非常に強い差別的な表現があって閉口することも多い。解説の文調からそういう差別的な印象を持ったものの、北部人らしく几帳面に研究されている様な気がする。内容自体は非常に面白い。

ing/in と eng/en の混同などを見ると、nとngを区別しないミャンマー語などの影響も感じる。ちなみに、この点においては日本語も同じ特徴を持っている。

南部で広く見られる訛り=zhi chi shi / zi ci si の混同だけでなく、ji qi xi / zi ci si の混同も起こることなど、普段耳にして漠然と気持ち悪かった疑問が、全て綺麗に説明されている事を感じた。

語尾の n や ng が消失したり、iu au  などの二重母音が、lu u などの単母音に変化したりすると書いてあったが、この変化は、非常に強い思い当たる感覚(「あるある感」とでもいえばよいか)があり、何か胸のつかえが降りたような感じをうけた。 篮球 lan qiuが la qu に変化するなど、まるで目から鱗が落ちるようだった。

実はいつも掃除を頼む時に、掃除のことを「シーザオ xī zào」と覚えていた。これは辞書で覚えた訳ではなく、華僑学校で経験的に覚えた言葉だ。しかし発音が悪いのか、これを言ってもいつも通じないことを思っていた。これが正に雲南方言だったらしい。これは恐らくだが、清扫(清掃=qīng sǎo)が訛って出来上がった言葉だろう。

ラオ語もそうだが、明らかによそ者に見える人間が突然方言を使うと、それが如何に正しい発音でも通じないことが多い。シーザオは、なんとなく耳に残っていて覚えていた言葉だが、実際に使ってみるとうまく通じないので、聞き間違えかと思っていた。しかしどうやら、聞き間違えという訳でもなさそうだ。 僕の耳も全くの大間違いというわけでもなかったのだ、と思った。

思えば、二重子音が訛って単母音に変化する傾向は、タイ人が話す中国語にもあった様な気がする。長く中国語を勉強したタイ人は、そういう訛りも直っているが、自分が基本的に持っている訛りである以上、聴き取る時に他人の訛りを修正することも容易い。だが日本人はこの訛りを持っていないので、聞いても元の音声が何だったか、さっぱり見当が付かない。

(日本人がこの訛りを持っていないというか、日本語の漢字の音読み自体が、この訛り変化を受けた後の音で定着してしまっているので、日本人には言い難い発音を直しているという感覚がない。例えば『代表団』は本来 dai biao tuan と読むのが正しいが、日本語の読みは dai hyo: dan と二重母音が消えた状態で定着しているところが観察できる。或いは北京語の音声が後世になってから分化したのかも知れないが…。  )

地铁(di tie)もそうだった。 確かに di tie と言ってもなかなか通じなくて、色々すったもんだしている内に、di ti という発音で納得しあった記憶がある。 これも二重母音 ie の発音が i に訛った例だ。


ということは、僕がいつも悩んでいた 厕所 ce suo も同じ事かも知れない。僕はどうも昆明にいて、トイレ=厕所を正しく発音して通じた試しがない。これも考えてみれば二重母音の訛りかも知れない。 cesuo ではなくて co so とかca so とかそういう様に発音すれば通じるのかも知れない。

しかし、よくよく自分を観察してみると、自分自身が無意識の内に、これを cuo suo と補完していたことにも気付いた。  cuo を ce と聞き間違えている可能性を無意識の内に感じて、cuo と覚えていたか、人によって ce が発音出来ない人がいて、これを cuo と訛って発音している人と出会った時に、発音が耳に残ってしまったか、どちらかだと思う。

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いずれにしても、日本人が方言も含めて中国語を学ぶとしたら、ひたすら強硬なまでにピンイン表に拘る必要があると思う。 日本人は、発音体系上、中国語やタイ語とは全く違う言語=日本語を話しているので、現地の方々からは想像もつかない様な変な訛りをしてしまう。これは現地の人に全く通じない。

僕が外国語が上手い人を見ると大抵感じることだが、標準語を完璧に話しすぎるのも不自然だ。ネイティブは、みなそれなりに訛りを持っている訳で、自然な外国語を話すためには、その訛りも復元する必要があるのではないか。

その為には、どの発音がどの発音に変化したのかを、徹底的に学んで練習する必要があるのではないだろうか。標準の発音を完璧に覚えて練習し、更にそこから崩すパターンを理解して、その崩したパターンも練習しないと、自然な発音は得られないのではないか、と思う。


ピンイン表と首っ引きで発音を練習するのは、拷問の様な苦しさがある。だけどこれは、試験勉強の丸暗記と違って、音楽の基礎訓練みたいな側面がある。試験勉強で丸暗記したことは、試験が終わってビールを飲むと全て綺麗サッパリ忘れてしまう。だが、音楽の基礎訓練で学習したことは、例えビールを飲んでベロンベロンに酔っ払っても、そうそう忘れることはない。酔っ払って忘れても体が勝手に動いている。

音楽の基礎訓練は、脳の普段使わない部分を刺激して疲弊させる効果がある。非常に辛いのだが、この苦しさを乗り越えると、着実に、脳の上に新しい機能がインストールされる。 インストールされた機能は、人間に新しい発想を与える。新しい発想は、これまで不可能だった行動を可能にし、困難な問題に解決方法を与える。


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ここに雲南方言の典型例の様なものが書かれていた。

http://zhidao.baidu.com/question/178391518.html
http://zhidao.baidu.com/question/313203905.html
http://zhidao.baidu.com/question/409536660.html

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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