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2013年6月28日金曜日

雲南語について4 (oka01d-kjbzlsalzrokjakf)

雲南語の発音について書かれているページがあった。

雲南旅行・生活が楽になる雲南語講座(昆明話)講座

ここに書かれていた事は、近年自分が疑問に思っていた事に答えを与えてくれた。このことについて書いてみようと思う。
※ おかあつは2013年6月21日に中国・昆明に来ました。中国からはbloggerにアクセスすることが出来無い為、この日記は、あらかじめ別に書きためたものを後日中国の国外からアップロードした物です。
このページに僕が長年悩んでいた発音= 厕所 cè suǒ(便所)の発音について書いてあった。  mp3を聞いてみたら「あっ!」と思った。聞き覚えがあったからだ。多分 cī sò に発音が変わる。 多分第3声調が第4声調に変化する傾向がある様な気がする。

「りゃんぶーだー(わかりません)」も非常に聞き覚えがあった。これは基本的に激しく訛った 听不懂 (tīng bù dǒng ティンプートン=わかりません) だ。この訛りが、ラオス語の訛りを知っている僕としては、強烈に面白い。

まず、ラオ語の方言では、L と D(T) はよく入れ替わる。 この雲南語の ting とあるところの T が L に変わっているところは、ラオ語の訛り方と同じだ。

そして雲南語では語尾の ng と n はしばしば消える様だ。ここでは dong の ng が消えている。 これは恐らく人によっては ling のng も消える筈だ。この訛りは、タイ語の様な促音節・平音節(語尾に子音がつく音節)を持たない ビルマ語(多分ラフ語とかも同じ=シナチベット語族)の訛りだと思われる。

つまり雲南語の正体は、激しく訛った北京語だ。 恐らくみんな母語を持っているのだが、街中で普通語を話す必要に迫られて頑張って話しているけど訛っていて、しかもその訛りが雲南での標準として定着してしまっているのだと思う。 人によっては母語がなく、この訛った北京語をネイティブとして話す人すら居るらしい。

よって、人によってかなり発音が違う筈で、実際その傾向はあった。人によって全く言い方が違う。だけど恐らく、発音の変化にみな慣れているので、どの変化を使っても、結果的に通じる。

だんだんと聴こえるようになってきた。

「ツェゴ スースークワイチャー シェーブーシャー! 」

意味:这个四十块钱 是不是?
標準:zhe ge si shi kuai qian shi bu shi
雲南:ce go si si kuai qa she bu she

この過激な話し方。正に雲南。

这个(zhe ge) の発音が人によって全く違うところが、非常に面白い。

zhe は人によっては正しく発音できるらしい。昆明の中国人は、千年以上前に屯田兵として移住してきた北方人と、地元の各民族の人達が混ざっているらしいので、恐らく人によって漢族っぽい人と、それ以外の少数民族の雰囲気が濃い人と、居るのだと思う。よって漢族っぽい人は、zhe ge とはっきり発音するらしい。 漢族っぽくない人は、自分の民族の発音が残って、ce ge と訛るのではないか。

だけど雲南の面白いところは、 ce ge と読む人でも shi が si になまらない人が居るところだ。発音自体が出来無いで訛っているのではなくて、飽くまでも訛った発音が慣例として定着してしまっているのだと思われる。

个 (ge) も人によって違う。 ge ( gə )の発音は、タイ語やラオ語にもある。日本人でもこの発音が苦手な人が多いが、中国人にも発音出来ない人が居るらしい。よってこれが訛る。 これが ga に訛る人と、go に訛る人の両方が居る。 人や場合によってはなまらないこともあるらしい。 よって正しい発音と数種の訛りパターンも頭に入ってないと聞き取れない。

在这里(zai zhe li) もザイチャーリでなく、ザイチョーリと訛る人が多い。

あと2重母音は大抵消えて単母音になる様だ。

以上の訛りを踏まえると、雲南っぽい豪快な感じが出てくる。

で、思ったのだが、僕はラオ語がある程度話せるので、ラオ語っぽく話すと、かなりの確率で雲南方言っぽくなるということだ。 実際雲南の少数民族の中には、ダイルー族やダイヤイ族の人達が居る。だからではないか。

ダイルー語やダイヤイ語は、ラオ語と方言の関係にあるので、発音がかなり似ている。聞いているとなんとなく理解出来る事が多い。 この人達が話す中国語は、恐らくかなりタイ語訛りになっている。つまりタイ語訛りの北京語が雲南語ということになるのだと思われる。

僕が一個だけ知ってるダイルー語の単語は「国境」だ。 国境をダイルー語でタイレーンというらしい。タイ語だとシャイデーンで、ラオ語だとサイデーンだ。ここでも シャ→サ→タという訛りが見える。 これと同じ訛りが雲南語でも起こる。

昆明師範大学の直ぐそばに、隠れたダイルー料理屋さんがある。タイ人の学生に非常に人気のある店で、いつもタイ人でごった返している。で、この料理屋さんのおばさんは、ダイルー人なのだそうだ。普通に標準タイ語もしゃべっていた。

ちなみに昆明よりもっと奥地のミャンマーの方に住んでる漢族の人に話を聞いたら、もっと凄い訛りらしい。 zhe ge を ツゴと読むとか。

要するに訛りの法則がわかっていれば、どんな訛りが来ても聴き取れるし、自分が訛っていても、雲南の人が理解出来る範囲の訛りに収める事が出来るという事な気がする。

===

雲南語は、潮州語や広東語と違って、北京語の延長上にあるらしい。

広東語・潮州語・福建語は、基本的にタイ語の延長上で出来た言語で、北京語とは違いが大きい。(広東語の数字とタイ語の数字は同じという。) よって広東語を一生懸命勉強しても、北京語はあまり伸びない。

だが雲南語は、基本的に激しく訛りまくった北京語なので、頑張って勉強すると、北京語もそれなりに上達するという事が徐々にわかってきた。よって中国語語学留学の留学先として、昆明を選んだのは、ある意味では、穴場的に正解だった様な気もする。僕がそういう気がするのは、ラオ語が話せたからかも知れないが。

===

取り敢えず雲南喜劇を大量に購入してきたので、これで睡眠学習してみよう。
昨日も雲南睡眠学習をした。

ザラー! (我走了!=wo zou le = za le! =それでは!)




P.S.1
バスが曲がる時にいうアナウンスは、
车辆转弯 请注意安全 か
(chēliàng zhuǎnwān qǐn zhùyì ānquán)
上车的乘客请刷卡(shang che de cheng ke qing shua ka )

あとはまだ全然聞こえん…。

P.S.2
こういう話を昆明の日本人留学生にすると「いや?普通に普通語通じるよ?」という話になって、何をバカな事を言っているのだ、という話に必ずなる。いや、わかってないのはお前らだろ。 お前ら、だいたい、学生街から一歩も外に出てこないだろ。

P.S.3 (Fri, 28 Jun 2013 11:07:28 +0900)

云南喜劇・让我笑弯腰の中に、我就是你的粉丝 というセリフがあったけど、我就是你呢粉丝 と字幕には書いてあった。多分、意味上の文字ではなく、訛っている方の発音に合わせた文字に変えているのだと思う。 日本人がもっとも苦手とするやり方。

日本人は漢字に関して、発音を度外視し意味だけで捉えるので、中国語を学ぶと中級まで一足飛びで上達するが、スピーキング・リスニングが全く伸びず、以降延々と中級のままグズグズと上達しなくなる。これを「さまよえる中国語中級日本人」と呼ぶ。

我就是你的粉丝(私はあなたのビーフンになります)という言葉は、どうも貴方の恋人(か奥さん)になります、という意味らしいが、よくわからない。辞書にも載ってない。スラングだと思う。

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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