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2011年12月20日火曜日

村に行って帰ってきた (mixi05-u459989-201112200040)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
村に行って帰ってきた
2011年12月20日00:40
週末、僕がタイに来てから6年間過ごしたタイ東北イサーン(ラオ)地方のとある小さな村に行き、本日帰ってきた。 最近は、ネットの便が圧倒的に良い市内に来て仕事をしており、月二回ペースで村に帰っている。 毎回思うが、何度帰っても新鮮というか何と言うか、上手く言い表せない気分になって帰ってくる。 今回は「もう村もさすがに慣れたな」とか思ったのだが、ウドン市内に戻って来たら、再び、気が付かない内に自分が如何に違った心持ちになっていたのかを感じた。 街に戻って最初に思うのは「何で街の人はこんな欲望でギラギラしているのか」という事を思う。実際には自分もそういうお金で全てを手に入れると錯覚したギラギラした人間の一人なのだが、それでも田舎のの人たちと過ごして帰ってくると、毎度そう感じる。 何というか、ウドンタニー市内にから、僕が居る村に行くという事は、もうほとんど外国に行って帰ってくる感覚に近い。風習も考え方も言葉すらも違う。 最近は2~3日滞在して市内に帰ってくる感じなので、その風土文化言語に慣れた頃にまた市内に戻る感じで、軽いカルチャーショックみたいな物を感じる。

最近、僕の、タイ語というかイサーン語というかラオ語というか…、言葉が著しく成長したので、地域ごとにみんなの話し方が違うことが見えるようになったし、話し方で地域を当てることも、前よりは出来る様になった。 同じウドンタニー県の中でも地域によってかなり話し方が違うのだ。

ウドンタニー市はこの辺りでもかなり大きな街なので、隣県から人が集まってくる。 大別すると、東部のサコンナコン近郊の人と、北部のノンカイ近郊の人、南部のノンブアランポー近郊の人、西部のルーイの人、市内生まれの人(潮州・ユアン・ラオ・それぞれの混血の人)、そして、ウドンのもうひとつの大きな街バンプー(と隣りのターボー)の人だ。

何というか日本人の悲しい性で、何でも知り尽くさないと気が済まないところがあり、分からないと実際に行ってみたり、話を聴いたりして、納得出来無いと気が済まない。 結果的に下手をするとウドンの人よりも、この日本人の方がウドンの事をよく知っているという事にもしばしばなる。 行動範囲が普通のウドンの人よりもずっと大きいのだ。 するとネイティブの人が合わない様な問題にも色々あう。

一番大きいのは発音だと思う。 折角ある地域に居て、その地域のラオ語の発音に慣れても、他の地域に行くと通じなくて、そういう中に居るとすっかり言語脳が混乱してしまい自分の発音が狂い始める事だ。この辺の人は、基本的に相手の顔を見て、発音を修正する習慣を持っている。これは、外人である僕だけでなく、みんながやっていることだ。 それで、僕は相手の顔を見て、居る場所も勘案して、「これはどう考えてもラオ語だろう」と思って話しかけるのだが、向こうは僕の顔を見て「タイ語か、下手したら英語だな」と思っているので、言葉のチャンネルがすれ違ってしまうのだ。だから、僕が何かを話すと、どんなにゆっくり丁寧に大きな声ではっきりと話しても必ず「は?」と聞き返される。 これが正直、かなり疲れる事が多い。

最近はもう面倒くさいので「は?」と聞き返されたら黙っている事にしている。黙っていると10秒位考えて「あぁ◯◯◯ね。」と僕が言ったことをオウム返しする。聞こえているのだ。そこで「聞こえてるでしょ?」って言うと、次からきちんと話が通じる様になる。

でも僕自身も発音が間違っている事も多く、難しい。自分なりに研究しているけども、まだ理解しつくしたとは言い難い。 イサーン語(というかラオ語の方言)には、法則がある。 この法則がわかれば、関東弁がわかれば関西弁も理解出来るという要領で、全部理解できるようになる。この法則が分からないと、まるで違う言語のように聞こえる。 今日この日記を書いたのは、この気がついたことをメモするという目的もある。

1. si と ji (スィとチ) が入れ替わる。→ si pai sai を チパイサイに訛る人が居る。街にはほとんど居ないけど、農村の奥地に行くと居る。つまり未来を表すラオ語のຊິ si が訛るとタイ語の จะ ja になる、と見ることも出来る。 si は他にも si → di / si→ fi その他、色々変化する。注意が必要。

2. ma と ba マ行とバ行が入れ替わる。→ これは前々から思っていたことではある。だが、今日話題として「ロークバオワーン(糖尿病)を、ロークマオワーンって言う人が居るんだよね」っていう話をしたら、ロークマオワーンといった段階で相手の耳にはロークバオワーンと通じてしまい、何が話の要点なのか分からないじゃないか、という顔をされた。みんな、マとバが違う発音だという意識すら無い様にすら見える。 他にもヤーバー(ヤー=薬・バー= 狂人) がヤーマーに変化する人がいる。 だけど大抵、ヤーバーがヤーマーになっても全く何の問題もなく通じる。

3. ラオ語でもタイ語と同じと思っていると、実は違う単語
上:タイ บน bon -> ラオ ເທິງ thwng 家の中:タイ บนบ้าน → ラオ ເທິງເຮືອນ
今しがた タイ พึ่ง phwng → ラオ ຫາກໍ/ຫາກະ haako/haaka / 今来たところ タイ พึ่งมา phwng maa → ラオ ຫາກະມາ haa ka maa

ラオのすごく奥地に行くと、上記 タイ語語源の言い方が通じない人が増える。

あと「しばしば」の บ่อย が つうじなくて、 何か違う言い方になるのだけど、何だったか忘れた。 辞書にも乗ってない。


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・アンパーペンという街

ウドンから北に20km位行ったところ、ノンカイ県との県境の辺りに、アンパーペンという街がある。 最近色々な人に話を聞いてわかってきたのだけど、実はアンパーペンという街は、ウドンでは非常に有名な街らしいことがわかってきた。 有名な理由は、その街にはものすごく外人が多いということだ。 このアンパーペンという街は、どういう訳か外国人の嫁婿を貰う事が流行している街で、外人がものすごく多く住んでいる。ウドン市内でタイ人と結婚しているという人の話を聞くと、十中八九このアンパーペンの人と結婚している。非常に特殊な地域なのだ。 僕が居る地域とは全く別世界だ。 僕が居る地域には外人など居ないし、外人が居たとしても、村に居ても波風を立てないだけのスキル(農作業・狩り・建築・語学など)を持って、この辺りの文化に完全溶け込んでしまって、全く目立たず居てもわからないタイプの人ばかりだ。


・男性は女性の所有物。

ラオは女性優位社会だということは、しばしば僕が言及していることだけど、これに関して一つ気がついたことがある。

女性が男性の所有物である日本と違って、ラオでは男性の方が女性の所有物だ。男性は女性に取って犬と同じだ。 犬は人間の所有物であり、放し飼いにするのも、首に紐を付けて束縛するのも自由であり、所有者の命令に忠実である事が当然であり、命令に背いた場合、殺しても構わない。食事を与えるのも与えないのも自由、捨てるのも自由である。 犬に人権は無い。

女性優位社会では、男性が浮気をしたら、男性の無責任が責められるのではなく、人の男に手を出した女性の問題となる。 つまり、女性は、男性がアプローチをかけない限り、男性と話しかけることはない。女性の方から男性に声をかけることはない。 特に、女性が、ティーンエイジを超えた恐らく既に配偶者が居るであろう大人の男性に(ラオの人は十代で結婚するのが普通)声をかけた場合、女性同士でトラブルになる可能性が非常に高い。 だから女性から男性に声をかけるのは一般的でない。 外国人男性がタイでしばしば遭遇する事態であろう、女性の方からアプローチをかけるというのは、かなり異常な事と言える。

ニッポン男子は、しばしばタイに行って女性から声をかけられて「日本人はもてる」と錯覚しているが、女性から声をかけられた段階で、実は既に、かなり異常な事態であり、まともなタイの男性なら、何か裏があると見込んで相手にしないものである。 そういう怪しげな女性に日本人男性は好き好んで喜んでついていく。 日本人男性は、お金を使って女性を自由にしていると錯覚しているだけで、実際には略奪されているだけなのである。

タイでまともな女性と付き合いたかったら、自分から声をかける必用がある。当然相手から怪しまれないだけの高い語学力が必要であり、相手から興味を持ってもらうだけの、自己表現力が求められ、お互いをよく知る為のコミュニケーションスキルも求められる。


・アゲチン

ラオは、女性優位社会なので、日本とは逆に、男性が女性のメンツを守る必要がある。これは日本人男性にイメージしづらいものがあるかも知れない。だが次の様な例を思い浮かべてみるべきである。 ある男性が会社で働いている。会社のフロアに男性の奥さんが会社に押しかけてきた。そして、みんなが見ている前で、大声で「あぁ、あなた、今日晩御飯のキュウリ買ってきてちょうだいね。お金は今月のお小遣いから出しておいてちょうだい。 忘れたら今日の晩ご飯抜きだから、そのつもりで。アタシ今晩は出かけるから、寝る前にヌカミソかき混ぜて置いてちょうだい。お風呂炊いといて。」とかやったらどうだろうか。 会社の同僚・部下・果ては上司にまで「女房の尻にひかれた課長」「かかあ天下」と言いたい放題言われてしまうであろう。 あとで旦那さんは「おい、会社でみんなが見てる前で、あれはないだろ!」と激怒するに違いない。

ラオの女性優位社会では逆のことが起こる。 日本男性は、しばしばラオの女性と結婚して、人が見ている前で女性を叱ったり、切口上で何かを命令したり、家族の見ている前で、男性が財布を開いてお金を払ったりしてしまうものだが、これはラオの女性に大きなストレスを与える。これは、会社に殴り込みに来た「恐怖のかかあ天下」と同じ暴挙であると心得る必要がある。

「あげまん」は如何に男性よりもお金を持っていても、男性の財布にそっとお金を入れておき、人前で男性が財布を開いて、パッときっぷよくお金を払う様に気を使う。 これと同じ事を、男性がやる必要があるのである。 男性は人目につかぬようそっと女性の財布にお金を入れておき、女性が家族の前でパッと財布を開いてきっぷよくお金を払っているところを見せる気遣いが大切である。こういう気遣いのある男性は、日本に居ても恐らく、女性から好感を持たれるのではないか。

おかあつは、ラオで日本人と結婚したラオの女性の表情が一様にとても暗い事を思う。僕は普段村にいて、女性の顔が普段どういう顔なのか見ている。 村では、女性は、怒ったり笑ったり不貞腐れたり喜んだり表情がいきいきとしているものだが、日本人と結婚したラオの女性は、そういう生気がないのだ。 おかあつは、その暗い表情を見て、色々思うところがあるのだが、ここでは書かない。 本当の幸せはお金では買えない、と心するべきである。


・スタンド ขาตั้ง khaa4 tang3
バイクのスタンドをあげ忘れて走っている人を見つけたら「カータン!」と叫んで教えてあげるのがマナー。


何となく終わる。

今日は一日バイクで走りまわって疲れたので、寝ます。
コメント一覧
モダン・ペイズリー   2011年12月20日 05:18
すみません

日本人男性の皆さん

日本人男性と結婚して生気が消えるのは、フィリピン女性もネパール女性もスリランカ女性も同じです

何でだろう
はらぽん99   2011年12月20日 14:35
こんにちは。大変興味深く拝見しました。

私は残念ながら、何度も旅行には行きながらタイ語もイサーン語も出来ないのですが()、タイという国も全体に、基本、女性優位社会なんでしょうか?それともラオが特にそうなのでしょうか?
つい先日旅行した隣国マレーシアとの、ものすごい「違い」を、タイ語はわからないものの「雰囲気」だけ感じる次第で。

日本人男性・・・って自分も
・・・自分の周囲の既婚者を見てると、相手が外国人かどうかに関係なく、結婚して生気が消える女性がやけに多いような・・・なんでだろう? あ、横からすみませんでした(苦笑)
モダン・ペイズリー   2011年12月20日 15:36
はらぽん99さん

確かに日本女性は結婚すると生活感が出ますね

男性の基本生活は変わらないからでしょうか

特に今の日本人女性の場合、miniお姫様みたいな生活から、一気に家計を家事を子育てをが+されるからですかねぇ。


やっぱり女性がフルタイムで働ける労働環境が欲しいし、パート労働者を選択し易い配偶者特別控除の対象者を、介護や病いなどで外に出て収入を得られない人だけにして欲しい


母ちゃんが外で稼ぎ易くなって懐が豊かになれば、父ちゃんにタイ男性みたいに財布の中に金を入れてもらわんでも、街に繰り出し買い物袋下げるし、子どもも授かりたくなるし、年金財源も豊かになりまっせ~
はらぽん99   2011年12月20日 17:45
ともサキ*共咲*さん、コメント有り難うございます!

確かに、日本の場合、結婚後に生活が大きく変化するのは、オトコではなく女性のほうですね。それも、OLなどを辞めたとたんに金銭的対価のない労働だけが待っている・・・ワタシの場合は両親が共働き(母親が教師)で、いくつかの職場は例外だと思いますが、社会制度としてフルタイムの女性労働環境を整備することで、国内総生産も所得も向上するでしょうから、税金と補助金と控除まみれのいわば「クスリ漬け」税と社会保障制度は見直すべきでしょうね。。

おかあつさんの日記からちょいと脱線して、お邪魔いたしました
おかあつ   2011年12月20日 20:52
おかあつは、脱線大歓迎です!
遠慮せずどんどんやっちゃってください!
そういう媒体になるの大好きです。
はらぽん99   2011年12月20日 22:14
おかあつさん、有り難うございます!
では今後も、お言葉に甘えて。。。

プロフィールから辿って、 JavaScript Cryptography Toolkitのページを拝見しました。
こんな便利なものをjsでお作りになっているとは・・・・ワタシもセキュリティ系の仕事はやっていたので(暗号は共通鍵DESとAESメインですが)昔から知っていたら重宝したかもしれないのに・・会社辞めちゃいました笑
モダン・ペイズリー   2011年12月20日 23:39
寛容なおかあつさん

ありがとうございます
出展 2011年12月20日00:40 『村に行って帰ってきた』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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