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2010年12月21日火曜日

ミャンマーの建琴 (isaan05-c987254-201012211546)

おかあつがミクシコミュニティータイ東北イサーン語研究会として著した記事を紹介します。
ミャンマーの建琴 (おかあつ)
2010年12月21日 15:46
左:タイダイの国旗
中:タイダイ各流派の民族衣装
右:タイダイ全流派!の民族衣装

僕が華僑学校で仲良くなった人にタイダイヤイ族の人がいる。 22歳にして、中国語を含めて全部で7ヵ国語も話せる。 僕は37歳にしてようやっと5ヶ国語ちょっとである。 ヒヤリングの鬼で、相手がどんなになまっていても一発で何を言っているか当てることが出来る。 凄まじい才能である。 いつも彼とつるんで一緒に出歩いている。 彼から実に色々な話を聞いた。

色々聞いてみた事を総合してみると、ミャンマーという国は、タイやラオと同じように多民族国家であるらしい。 ただ、ミャンマーが違うところは、元々現在ミャンマーという国なっている地域の中は、かつてたくさんの小さな国として分かれていたという事だ。 そこにイギリスが入ってひとつの国としてまとめて征服した後、イギリスは突然独立させてしまったので、中に元々有ったたくさんの小さな国の間で内乱がたくさん発生したのだそうだ。 その中でビルマ族が他の国と戦争して勝ち取ったという形でひとつの国としてまとまって現在あるミャンマーが出来上がったらしい。 つまり、今ミャンマー国の少数民族として暮らしている人たちは、実はかつては自分達の国を持っていたということである。 それぞれの国は、それぞれ違う言葉を持って違う文字を持っている。 それらは今でも失われる事無く続いているのだそうだ。 つまり、ミャンマーの中は今すぐにでも国家として自立できる小さな国がいっぱい存在するという事である。

タイダイ族という民族をご存知で有ろうか。 タイダイ族はビルマの少数民族で有ると考えられているが、実はそうではない。 僕がタイダイ族について知ったのは次のような経緯だった。 僕は常々タイという国に住んでいるタイ人というのが何だかよくわからないと思っているのだが、何故かというと僕はタイに住んで5年も経ったのにタイ人と言うものをほとんど見かけたことがないからだ。 タイに住んでいて見かけるのは、極論すれば、ほとんどがイサーン人で残りは中国人だ。 タイ人というのは一体どこにいるのだろうかと思っていた。 そんな中、中国の南部にタイ族が住んでいるという話を聞いた。 この人たちが話す言葉を聞いたらタイ人というものがどこから来たのかわかるかもしれない、と思っていた。 それで実際に中国南部に来て中国に住むタイ族の人にあってみた。 それで知ったのだが、この人たちは実は「タイダイ族」というタイ族の中でもダイ族と呼ばれている人達の一派らしいのだ。

彼ら中国南部のタイ族であるタイダイ族の人たちが話す言葉はバンコクで話しているタイ語にものすごく似ているが、一方ラオ語に似ている点も非常に多い。 タイダイ語にしかない点も多い。 タイでもラオでもないダイ語というひとつの独立した言語である。

タイダイ族にはたくさんの流派があり、それぞれが違う文字と違う言葉を話しているのだそうだ。 代表的なタイダイ族の流派は、ダイヤイ・ダイノイ・ダイマオ・ダイルー・ダイランである。 それ以外にも無数のタイダイ族が住んでいる。 ダイヤイ族は、メーサイ周辺の地域(タキレック?)に住んでいるという。 現在中国南部に住むタイダイ族は、タイダイルー族と呼ぶそうだ。

そして驚くべき事に、たくさんあるタイダイ族の各流派は、かつてひとつのタイダイ族として結託し、ひとつの大きな国を持っていたと言う。 タイダイ国の領域は現在のミャンマー西部からタイの東部、そして中国の南部にまで到達していたという。 つまり、中国の南部で、タイダイ族の一派であるタイダイルー族が住む、この「西双版納(シーサバンナ)」= สิบสองบ้านนา(スィップソンバンナー) =「12の村と田畑」は、かつてタイダイ国の一部だったのだ。 地名がタイ語由来なのは、だからなのだ。 そして今でもタイダイ国の国旗が残っており、今でも掲揚されているという。 これは驚くに値する。 つまりタイとミャンマーと中国とラオスの間に、実はもうひとつ国があったという事だからだ。

チェンマイもタイダイ族の一派らしい。だけどチェンマイはタイダイの中でも一頭抜きん出ており、かつてチェンマイだけでひとつの国を持っていたのだそうだ。だから、チェンマイは自分たちの言葉をタイダイ語とは呼ばないで、「คำเมือง(カムムアン)」=首都の言葉と呼ぶのだそうだ。 カムムアンはタイダイの中でも凄く特殊で、正にタイ語とラオ語の中間の様な存在だ。 チェンマイの人は、ラオ人が話すこともタイ人が話すことも理解できるらしい。 タイダイヤイ語を話す人はタイ語は得意だけどラオ語はあまり得意でなさそうだ。

既に何度か書いているけども、ラオ語やタイ語には、方言に子音の入れ替わりがたくさんある。 もっとも代表的な入れ替わりは「チャ行⇔サ行」だ。 これはラオ語とタイ語の間で起こる入れ替わりで、もっとも頻繁に見る。「マ行⇔バ行」の入れ替わりや「サ行⇔タ行」「ラ行⇔タ行」の入れ替わりもしばしば起こる。 これらはラオ語・タイ語の方言でしばしば見られる入れ替わりである。 例えば、タイ語・ラオ語で、ロークバオワーン(糖尿病)と呼ばれる言葉が、ある地域では「ロークマオワーン」に変わる例が有る。 タイ語ラオ語で「深い」のルックが、ラオ語の方言でドゥックに変わる例もある。 また、チェンマイ語とタイ語の間には「チャ行⇔ヂャ行」入れ替わり変化がある。 もっとも代表的な例で説明すると เชียงใหม่ は タイ語では[chiang1 mai2 チアンマイ] と発音すべきところ、チェンマイ語では [jiang1 mai2 ヂアンマイ] と発音する。

その変化を知っている上で、タイダイ語を見ると、ものすごく興味深い事がわかる。 タイ語では国境の事を ชายแดน チャーイデーンと言うのだが、これをラオ語では サーイデーンと呼ぶ。 タイダイヤイ語だとヂャイデーンに変わる。 タイダイルー語だとタイレーンと変わるらしい。 この例をよく観察してみると極めて興味深いことがわかる。 まずタイ語の「チャーイ」とラオ語の「サーイ」がタイラオ入れ替わりの例に当てはまる事がわかるだろう。 更に、タイ語の「チャーイ」はタイダイヤイの「ヂャイ」と子音入れ替わりの関係に有る。 これはチェンマイ・タイ入れ替わりの例と見ることが出来る。 タイダイルー語の「タイレーン」はラオ語の「サイデーン」と子音入れ替わりの関係に有ることがわかる。 こちらはラオ語方言の入れ替わり例と同じである。 この点だけを見ると、タイダイルー語は少なくないラオ語の影響を受けている事を見ることが出来る。 何故ならチャーイデーンからタイレーンに直接変化する事は出来ないからだ。 ラオ語のサーイデーンを経由してこそ初めて起こり得る変化である。 一方タイダイヤイ語はチェンマイ語に近い様に見える。

彼から色々なダイヤイ語を教えてもらった。 ダイヤイ語を勉強している日本人なんかいないだろうと思った。 ダイヤイ語を勉強している外人など、ごく少ないだろうと思った。 だが、それが実はダイヤイ語を話す外人がたくさん居るんだそうだ。 聞いてビックリした。 ダイヤイ語を学んでいる外人というのは、実はイギリス人なのだ。

イギリスはかつてビルマを占領して突然解放したが、これは要するにビルマの国の中に色々なスパイや民族学者をばらまいて、独立した国になっても傀儡としてリモート操作出来る様にしたからこそ、突然開放したのではないだろうか。恐らく、ビルマをリモート操作する為に、今でも定期的に民族学者や語学研究者をタイダイの領域に送り込んでいるのだろう。 アウンサンスーチーもイギリスがビルマをリモート操作する為に送り込んだスパイでしかない。 アウンサンスーチーはビルマ族と言われているけども、イギリスで育って堪能な英語を話している点で、一般的なビルマ族を代表しているとはとても言えない。 その点が見抜けない外人はすぐにイギリスに踊らされてしまう。更に驚くべき事に、イギリス人は、いつかタイヤイ族に自分たちの国を持たせるという事すら約束しているらしい。 一説によると国際法上タイダイ族は無国籍として扱われるそうだが、イギリスの暗黙の了解の中では、タイダイ族は自分の国を持っているということだ。 これは非常に狡猾だ。 こうやってイギリスは色々な外交カードをあらかじめ用意しているのだ。 アウンサンスーチーは「ミャンマーに観光旅行にくると軍事政権を儲けさせて民主化を遅らせることに手を貸すことになるので来ないでほしい」と言っていたらしいが、恐らくイギリスがアウンサンスーチーに言わせていたのだろう。 観光に来る外人が少なければ実状を知る可能性もない。 イギリスは、こうしてミャンマーの実状を外人から隠しつつ、ミャンマーに民族学者をジャンジャン送り込んでいた訳である。

イギリス人、恐るべし。 ここまで狡猾に外交戦略を繰り広げているイギリス人に、カミカゼ頼みのお気楽外交を繰り広げる日本人は太刀打ちのしようがない。 日本人は、せいぜいメーサイに行って女を買い漁るのが関の山、タイヤイ人は無国籍扱いの難民でクズ扱いだ。 民族洞察レベルの次元が違う。 しかし、我が身を振り返って見れば、日本は敗戦国である。 日本にもミャンマーと同じように日本を遠隔操作する為のスパイや民族研究者がいっぱい送り込まれているのではなかろうか。 他人のふり見て我がふり直せである。 恐らくだが、この様なスパイが、上で述べたような外交上の即戦力になる「民俗学の核兵器オプション」とでも言うべき民族研究を日本が始めてしまう事がないように、制限しているのだろう。 その結果、スズキ○○教授のトンチンカンなラオ語研究などという形を取って顕在化しているのではないだろうか。

日本人で、民族研究している対象文化は、均一じゃない様に見える。 日本人が民族研究をしている国と、日本人が何故か民族研究をしていない国のふたつにはっきり分かれる。 これは何故なのか。 国家のプロパガンダを無視した、民族の本音の核心に迫る民俗学を研究している日本人が居ないのは何故なのか。 日本人がしているのは、いわば、建前の研究だ。 そこには何の分析も含まれない。 覇権を持っている民族が主張している建前を論文に書き換えているだけだ。 民族が言いたくない事、民族がかくしている内緒ごとなどの、民族の本音に一歩も入っていない。

ビルマには中国語を話す中国系の民族すらいる。 その民族のひとつは、果敢族(グオカン族)と呼ばれるのだそうだ。 ビルマで華僑として住んでいるが、実は彼らは華僑ではなく、元々この地域に住む民族だったとも言われている。この話が本当だとすると、つまりビルマはかつて中国の文化圏でもあったということである。 果敢族の人たちが僕が今居る華文学校にいっぱい居るので知った。 延べで数十人居るらしい華文学校で来た学んだ日本人は、目の前でその事実を見ているにも関わらず、そのことに気がついてすらいない。

そもそもビルマという国家はひとつの国ではない。 この様な国家を民主化すれば即座に国は分裂する。 それはごく当然な事である。 イギリスやアメリカはそれを望んでいるわけではない。 イギリスやアメリカはビルマを民主化する気など最初からないのだ。 ただアウンサンスーチーを軸とした民主化劇を繰り広げる事によって、中国やインドなどの周辺諸国をリモート操作しているだけだ。 リモート操作されているのは、中国インドだけではなく、イギリスやアメリカの政治家も含まれるのだろう。「敵を騙す為にはまず見方から。」という。 こうした「外交劇」を自国・他国の民に見せることより勘違いさせて、民主主義をコントロールしているのだろう。 これこそが民主主義を運営するノウハウだ。 しかも、ミャンマーの様に民主主義を操縦するノウハウを持たない国に対して「民主化」を要求することで、他国を思いのままにコントロールすることも出来る。 一粒で二度おいしい民主主義。 これは、結果的に独裁国家と何ら変わらない。 人々が喜んで独裁に協力するという点で、独裁国家よりずっとタチが悪い。

そこに日本人が気がつく事があるのだろうか。 アメリカやイギリスの息がかかったウソの混ざった教育を、受験戦争などといって過激な形で受けてきた日本人。 周辺諸国とまったく違った語族に属している「日本語」などという奇妙な言語を話し、外国語がとっても苦手な日本人。

民族文盲とでも言うべき日本人。 民族に疎いのは、敗戦国だからなのか。 それとも元々の性質なのか...。
コメント一覧
[1]   nhat   2011年03月05日 23:04
>タイに住んで5年も経ったのにタイ人と言うものをほとんど見かけたことがないからだ。 タイに住んでいて見かけるのは、極論すれば、ほとんどがイサーン人で残りは中国人だ。

「中国人」というものも存在しないような - - - - - -.
河南人、北京人、雲南人 とか 広東人、ビン南人、客家人などがいますが。
タイには潮州人が多いようですね.
[2]   おかあつ   2011年03月06日 00:25
全部その通りです。


何てまっすぐな視点なんだろう。
 
出展 2010年12月21日 15:46 『ミャンマーの建琴』