FLAGS

筆者おかあつ 大きな区分 記事の区分 記事の一覧 検索 ツイート

2010年9月20日月曜日

コプチャイドーカフェにて (isaan05-c987254-201009202106)

おかあつがミクシコミュニティータイ東北イサーン語研究会として著した記事を紹介します。
コプチャイドーカフェにて (おかあつ)
2010年09月20日 21:06
色々なことがあって、ビエンチャンに来た。 普段はビエンチャンに来るときは必ずビザを取りに来る都合でついでに来ていた。今回はビエンチャンに行こうと思いたち、ビエンチャンに来た。 これは初めての事だった。 今回、ここから気が向くままに旅行をしてみようと思っている。 (実はラオ・タイに来て5年になるが、これまで一度もそういうことをしたことが無い。)

タイの奥地のウドンタニーの、更に奥地の郊外にある村にずっと居て(というか、ここの人にとってはここが正に中心であって奥地などでは決してないのだけど)色々な事があって揉まれているうちに、色々な事がわかってきた。

何故、イサーン語はさっぱり理解できないのかがだんだんとわかってきた。

タイ語が話せる人が、ラオスに来て、ラオス語をちょっと勉強するだけでかなり理解できるとしても、この人がイサーン(ウドン)に来て、同じように話せるかといえば、まず無理だと思う。 何故だろうか。

これは、つまり、アメリカンイングリッシュみたいなところがあるのではないか。 日本人が英語を文字から学び、発音記号を勉強して、一通り学び終わったとき、アメリカの映画とかを見ても、何を言っているかさっぱり理解できない。 苦労して色々な勉強をするのだが、さっぱり聞き取れない。

何でかといえば、子音がかなりアメリカ風に変化しているからではないだろうか。 例えば、子供が歌う歌の歌詞に「 トウィンクル・トウィンクル・リトルスター」と書いてあるが、アメリカでは、ほとんどの人はそう歌わない。 「トウィンコー・トウィンコー・リーローストー」 と聞こえる。 ここでわかるようにネイティブの人は L をルとは発音しない。 これを理論的に説明すると、Lの軽声化とかそういう言葉を使った様な気がする。 この様に、ネイティブの話す言葉は、ある条件を満たすと発音が変わるという要素がある。

これと同じ事がイサーン語には、バリバリに発生するのだ。 タイ語語源の言葉も、ラオス語語源の言葉も、この発音変化の法則にしたがってバリバリに変化する。 僕はここで「バリバリに変化する」という言葉を使ったが、これを具体的に説明すると、丸で違う言葉の様に聞こえるほど変わってしまう、ということだ。 あまりにも大幅に変わるので、タイ語話者に話しても、ラオス語話者に話しても、通じないほどである。

ひょっとしたら、僕はとんでもないバカなことを必死で研究しているのかもしれない、という気がだんだんしているのだけど、僕が住んでいる郊外の人は大変な発音の変化を持ってる。 ต T が พ Ph に変わるとか、すごい人になると ส S が ตT に ลがดに変わる人も居る。

こういう発音変化を気がつく度にメモして居るのだけど、10個ぐらい集まった。 もちろん誰もが同じ発音変化を使うわけでは無いのだけど、その周辺の人は発音が変化してもきちんと通じているので、ある程度一般的なのだと思う。 ちなみに、ニターンコームとかシアンイサーンとかに出演している人は、バリバリに変化してる方の発音だけを使っているみたいだ。

(きちんとラオ語を勉強した人しかわからない説明で申し訳ないのだけど) 低子音字の声調記号無しは、地域によって発音が変わりやすい部分みたいだ。 この部分をラオの正式な発音では、第三声調(上がり)で発音する。 ところが、イサーンの人はこれを第5声調(高落下)で発音する。 この変化を使うとのんびりした第三声調が出てくる単語が消滅してしまい、攻撃的な感じのする第五声調だけになってしまう。 これがあの独特なまくし立てる様なイサーン語っぽい発音の根源になっている。

しかしである。 郊外の色々な人の話し方を聞いていると、実はイサーンの人でも、この「低子音字の声調記号無し」を第三声調で発音している人がかなり居る。 この話し方をする人は街で働いている人に多い様な気がするが、よくわからない。


「ウアwa->イヤiya」変化も、代表的なイサーン変化だ。 帰宅の「ムア」が「ミヤ」に変わってしまう。 友達のプーアンが、ピヤンに変わってしまう。 街のムワンがミヤンに変わってしまう。 「パイミヤンウドンペンピヤンカプミヤレーウミヤバーン・ミヤイレーウ・ケーミヤイコーン」 これは郊外の人はほとんど使うけど、でもやっぱり人によるみたいだ。 最近知り合った、ノンカイ県ペン郡に住んでいる日本人の人に聞いたら、この辺の人はこの変化をどうも使わないらしい。 この発音変化も、「 低子音字の声調記号無し」変化同様、ニターンコームや、シアンイサーンの中では、必ず常識的に使っている。

僕はひょっとしたら「最悪なまでに田舎訛りになっている」言葉を勉強しているのかもしれない。 だけど、ここに住んでいる人にとっては、こちらの方がずっと普通で、こちらの方が正しい話し方なので、何だか不思議な感じだ。


あと、イサーン地方に居て、一番ワケワカメになる原因は、「カムクラップ คำกลับ 」だ。

「犬が靴を噛んだ」は、普通に話すと「マー・カップ・クーップ」なのだが、これを、ほとんどの場合、「クーップ・カップ・マー」と順番をひっくり返して言うのだ。

  イ語 เกิบขับหนา
  ラ語 ຫມາຂົບເກີບ
  日語 犬が靴を噛む

  イ語 บาดมีด バットミート
  タ語 มีดบาด ミートバット
  日語 ナイフで怪我する

これに ให้ がからんでくると 事情は更に複雑になる。
この場合、必ず最後に主語を持ってくるみたいだ。

ให้ข้าวกินเขาเรา

この ให้ が絡むパターンは、つい今日聞きかじった表現なので、間違っているかもしれない。 誰かに確認しないといけない。いずれにしても、ラオス語もタイ語もこの言い方はしない。 イサーンだけだ。

ともかく、イサーンだけ、ものすごく違う。
「タイじゃない・ラオじゃない・イサーン。」 っていう感じだ。 この強烈な個性。

さて、素敵なテラスのコプチャイドーカフェだけど、夕方になって蚊がたくさん出てきた。 足が蚊に食われてかゆくて仕方がない。 そろそろホテルに帰ろうと思う。

わからないけど、シェンクワンとか、ポンサリーとか、行ってみようかと思う。 そこから、中国のクンミンに出てみようかと思っている。 そうすると、もっとおもしろいことにきっと気がつくんだろうなぁ...。


あ、そうだった... それで、何が言いたかったかというと、ビエンチャンの人はこの「 低子音字の声調記号無し」の部分を、第三声調ではなく、タイ語と同じ第一声調で話しているらしい、と言うことがさっきわかったのだ。 さっきウェイターの人に聞いたらわかった。 タイ語とラオス語(ビエンチャン語)は、思った以上に似ているのかもしれないなぁ、と思ったので、パソコンを開いたのだった。 忘れていた。 以下に例をあげる。


ビエ:น้ำเย็น: naam(4) yen(1)
ビエ:กาแฟ: kaa(1) fee(1)
イサ:น้ำเย็น: naam(5) yen(5?)
イサ:กาแฟ: kaa(1) fee(5)
ラオ:น้ำเย็น: naam(5) yen(3)
ラオ:กาแฟ: kaa(1) fee(3)

(ここでいう「ラオ」は、僕がドンドーク大学の先生に教えてもらったパターン)

例によって冒頭にラオ・タイ発音変化表を載せて置こうと思う。


P.S.
何というか、ラオ・イサ・タイで単語間の対応データベースを作って処理に掛けて網羅的に調査する以外にないのかもしれない。僕は本職はコンピュータープログラマなので、そういうプログラムを書くことが現実的に可能なのだけど、問題は、電算用のラオ語辞書が世界のどこにも存在しないことかもしれない。 紙の辞書はあるので、これを写す作業になると思う。 これは、誰かを雇って作る以外にないと思う。 こちらの方がネックになりそうだ。

P.S.2
さっき思ったのだけど、集合演算で
(ラオス語の声調種類)∪ (タイ語の声調種類)
を計算して出る結果の要素数は 多分8だ。

ラオス語の声調区分にタイ語だけが持っている声調区分を足して、全部で8種類にした声調区分で、タイ語の声調区分表を作り、全体を統合した上で、処理しないといけないはずだ、と思った。
コメント一覧
出展 2010年09月20日 21:06 『コプチャイドーカフェにて』