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2008年1月26日土曜日

結局 我慢できなかった。 (mixi05-u459989-200801260236)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
結局 我慢できなかった。
2008年01月26日02:36
結局買ってしまった。 ギブソンのES-175を。

このギターはジャズギター用のギターで、パットメセニーが弾いている事でも有名なギターだ。 同じギターなのに年代によって微妙に音色が違っているのが、憎いところで、僕が長らく欲しかった音色の年代モノのES-175が2004年に復刻版として作られていた事を知ってしまい、また数ヶ月中に大幅値上げが控えているという情報も入手してしまったので、決断してしまった。

でも特に感慨はないな...。 とにかく今は仕事を完了させる事が先決と思っていて、このギターはとにかく一度倉庫に入れておこうと思っている。

ま、もっと早くにこういうちゃんとした楽器を手に入れていたら、この10年もう少しいい人生を送っていたかもしれなと思う。 2002年まではライブをやっていたからだ。 だけど、あらゆる状況に恵まれず、まともに音楽活動を続けられる状況ではとてもじゃないけどなかったので、止めてしまった。

ま、現在、状況はそこまで悪くも無い。 ... ま、音楽活動、やろうと思えば出来ない事も無い。 でも時代が変わった。 いまさらライブミュージシャンとして成功したところで巨万の富なんて絶対に得られない。 時代はインターネット。 レコード会社は大不況だ。 ネットでの違法コピーも後を絶たない。 ( 違法コピー規制法に反対している僕がいうのもなんだけど。) 今時、ミュージシャンを目指すのは破滅人生への王道だ。 ま、今が80年代ならまだしも、時代は21世紀、今時ミュージシャンなんて目指したところで、超有名・超大御所・超大赤字・超貧乏っていうのがオチで、ギャグのネタにもならない。 そんなに無意味に高いプライドのために人生を棒に振るほど、ヤキは回ってないつもりだ。



僕がインターネットに興味を持ったのは、音楽をやっていたからだ。 96年頃、ちょうどHTMLが流行の兆しを見せていた頃、僕は、HTMLを見て、あぁこれは自己表現の手段の一つなんだな、と直感した。それで仕事がてら研究を始めたのだ。 当時、僕はプログラミングの仕事をしながら、ジャズミュージシャンとしてデビューすることを目標として都内近郊のバーでジャズの演奏活動をしていたのだけど、僕の演奏などは、レコード会社の眼中にゃなかったので、インターネットをつかって、いつか自分自身の手で自分が作った音楽を公開して、世界に羽ばたいてやろう、そんなことを思ったのだ。 そうやって研究を始めたHTMLだったのだけど、そのうち、HTMLっていう技術には根本的な欠陥があるんだな... ということに気がつき始めた。

2000年ごろ、今、YouTubeとかがやっているようなことを思いついて、自分で作ってみようと思ったことがあった。 今考えればLamp構成と呼ばれているようなものだ。 僕は、あの頃からLamp構成には可能性を感じていて、研究し始めていた。 でも、しばらくしてある事に気がついてから、研究を止めてしまった。 バカだな、あの頃からやっていれば今頃大もうけだぜ... そう思われるだろうか。 それは違う。 僕はあの時、3つのことに気がついたのだ。

一つは、優れたシステムが優れた人間の活動を生み出すわけではないという事だ。 その頃僕は音楽レーベルを作るためのシステムを作ろうかと思っていた。 ま、いつの時代も同じことを考える人は居るもので、僕が構想しているうちに近いシステムを作り終えて公開する人が出始めた。 しばらく様子を見てみたのだが...

結果... 全て大失敗で、全滅、生き残っているシステムは一個も無い。 大体、考えても見て欲しい。 見ず知らずの音楽レーベルがあったとして、そこの新人ミュージシャンを聴こうと思うだろうか。 音楽を聴くっていうのは、なかなか面倒な遊びだ。 聴いている間は座っていなければいけない。 思いのほか時間のかかる遊びなのだ。 だから、人って言うのはよほど興味がある音楽でなければ、わざわざ貴重な時間を割いてまで耳を傾けようとはしない。

逆に、「マイルスデイビスのプラグドニッケルライブのコンプリート版※」が限定版で5万円。 銀座山野楽器で3時間だけ限定発売、 もちろんネット非公開、 ってなっていれば、恐らくどんな苦労を押してでも行く。 新幹線に乗ってでも行こうとする人はいるだろう。

※プラグドニッケル
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=694121949&owner_id=459989&org_id=695099812

問題はシステムじゃないのだ。


二つ目はコストの問題だ。 世の中に登場するシステムは数知れないが、その中でも「キラーアプリ※」と呼ばれるほど普及したシステム以外は生き残る事ができないのが現実だ。 それがシステムの宿命なのである。 システムの世界というのは、多様性がまったく許されない厳しい世界で、一番便利なものが生き残り、それ以外は死に絶える。 互換性の問題があるからだ。 多様なアプリケーションが豊富にある状態というのは、互換性の問題を生み出すことがおおく、あまり利用者から歓迎されないのだ。

※キラーアプリ ... ソフトウェアの歴史からみて、もっとも優れたアプリケーションが他のアプリケーションを駆逐してしまう事がよく起こる。 そういった、他を駆逐してしまう程優れたアプリケーションの事。

例えば、Windowsがそうだ。 もし世の中に Windows 以外にも たくさんのOSが出回っていたら楽しいだろうか。 そのほうがいいと思われるだろうか。 これは実は、とても楽しくない。 「あ、今度プログラムあげるよ!」 「ありがとう!」 「で、キミOSなに使ってるの?」 「いや、Ubuntu linux で Enligntenment + GNOME 構成なんだ。」 「あ、おれ、MacOSX互換 Linux で KDE+Gnomeなんだ ... 使えないや...」 というようなことが日常茶飯事で発生する。 極めて面倒だ。 Windowsで統一されているからこそ、心配せずに友達にプログラムを渡すことが出来る。 まぁ互換性が低いほうが違法コピーは少なくなっていいかもしれないけど。 いずれにせよ、システムというのは、いい意味でも悪い意味でも、一番いいもの以外は廃れていく運命にある。

ところで、上記の様にLamp構成でシステムを開発するとして、自分が作ったシステムが前述のようなキラーアプリになりうる条件を満たすためにはどのような事が必要だろうか。 それは、優れたシステムのデザインじゃない。 問題は超強力な処理能力なのだ。 僕はその時、それに気がついた。

つまり、今の状況だ。 世の中は mixi youtube しかないと考えていい。 fc2も頑張ってる。 他にも頑張っているところが色々あるけど、まぁどこもどっこいどっこい...。 でも、使いやすいか使いづらいかは実はシステムの設計によるものじゃない。 もっと単純だ。 動作レスポンス。これしかない。 システムがいかに優れていても、動作が重いとそれだけで使う気がうせるものだ。

しかしである。 快適な動作レスポンスを得るためには、高性能なサーバー機が何十台も必要だ。 迅速な転送能力を持つ太いインターネット回線も必要である。 しかしこれらを用意するのは一般的にいって結構バカ高いお金がかかる。 つまり開発者からみれば、いいシステムを作るという作業は、いかにサーバー費用をまかなうのかという問題に集約される。 つまり能力じゃなくて資本の問題なのだ。 僕はこれに気がついたとき、すごくつまらない事だと思った。 要は、僕にどんなに素晴らしい天才的な開発能力があったとしても、資本が貧弱な僕に勝ち目はない、ということだからだ。


3つ目は、開発の迅速性の低さだ。 HTMLでアプリケーションを作るのは、とにかくべらぼうに時間がかかる。 うんざりするほど時間がかかる。 僕はそれまで Delphi という特殊な開発環境を使っていて、これがびっくりするほど生産性が高かった。 僕はこのDelphiで10年近い開発経験がある。 Delphiの開発スピードで、目の前にある問題を 柔軟にパッパと片付けていく事になれていたので、HTMLでの開発は時代がとまったような感覚すら持った。

目の前にある問題を認識して、作り始めると、作り終わった頃にはもう既に別な問題が発生している。 HTMLの開発スピードでは、状況の変化に全く対応できない。 これには、心底うんざりした。 プログラムというのは、本来、もっと簡単に作れるものだ。 だがHTMLによるアプリケーションの開発は、僕が考える理想とは程遠い状況だ。



そのころからか、僕は分散システムの重要性に気がつき始めた。 2000年以降も僕は業務でアプリケーションを、ガリガリ書いていたけど、毎回毎回、同じような単純作業を繰り返さなければならない面倒さには閉口した。 その頃は、Javaで開発されたフレームワークが流行していて、これを使って開発するのが主流だったが、毎回毎回似たような作業を強いられるので、実にうんざりしていた。

その頃から、こういう風にすればもっと簡単なのに、何でそうなっていないのか、というシステムの基幹構造にドラスティックな変更を加えたくなる衝動に駆られるようになった。

そういう中で生まれたイメージの一つが、WEBによる分散処理技術を実現するシステムだ。 一応、Javaでも RMI とか xx ディレクトリとか そういう名前の分散システムが開発されている。 ま、しかしどれひとつとして全く実用の域に達して無い。 ま今後実用に耐えるものに成長する可能性も0と断言していいと思う。 僕は、あれを見ていていつも思うのだけど、作っている人が、プログラマじゃないのだ。 恐らくシステム開発の実務経験もまったく無いのだろうと思う。 ちょっと残酷な言い方かもしれないけど...。

その頃から僕はこう思ってた。 いまから、Lamp構成のセンターサーバー形式のアプリケーション開発を目指しても、結局サーバー維持費用をたくさん出せるところが勝つという状況になってしまって、貧乏な僕が負けるのが目に見えている。 だからもっと効率が良く運営コストが極めて低い分散処理システムを作るためのフレームワークをつくればいいのではないかと。

というわけで、自分でシステムフレームワークを作り始めた。 それが今作っているシステムだ。 まだ出来上がって無いけど、これが出来上がったら、僕の長年の夢だったインターネットでミュージシャンデビューを果たすつもりである。

でも、こうやって一言で「インターネットでミュージシャンデビュー」といってしまえば、簡単なことだが、まったく難しい事だと僕は思う。 今のインターネットに存在するシステムには、本当に「マイルスデイビスのプラグドニッケル」に相当する大成功に耐えうるシステムは存在しない。 これが本当に絵空事で終わらないためには、まだまだ解決しなければいけない課題が山積している。 その課題の内99%以上の問題は、世の中から認識すらされていないというのが現状だ。

僕は見ていて、現代って、ITの石器時代のようだといつもいつも思う。 創造性に欠けていて、力ずくの問題解決があふれていて、ウソや欺瞞が蔓延する野蛮な時代だと思う。 こういうこんぐらかった糸をいっぽんいっぽんほぐしていく事が、僕のミュージシャンデビューへの最短経路であるわけだ。

果てしなく遠い作業の様な気がする。

しかし、気の早いことに僕は、一足先にES-175だけ購入してしまったわけだ。




つうか、たったそれだけの事を言いたいのに、まくらことばが長すぎである。 こういう駄文を書く暇があったら、絶対にプログラムを書くことに集中したほうがいい。 それだけは間違いが無い。

この文章、最後まで読むヤツ居るんだろうか。 なげーし。
書いてあること、感覚的なくせに妙に技術系だし。

もし読んでくれた人がいたら、この場をお借りして謝ろうと思います。
大切な時間を無駄にさせてすみませんでした。

さて仕事に戻ろう....。

コメント一覧
bobcat   2008年01月26日 04:02
Delphiで作られたプログラムはStargazer(占星術ソフト)しか知りませんにゃ。
長らくWeb公開版はダウンロードでけへんかったんやけど、12月に公開されたようですね(2007K)。
http://homepage1.nifty.com/sg/index.htm

書籍版買うてきて、20071bにupdateして使てます。
Stargazerがないと(手計算ね…2001年以降のエフェメリスを持ってへんから事実上作成不可能かも)
ホロスコープ1枚作るのに2時間以上かかりますから。
おかあつ   2008年01月26日 05:04
Delphiで作られたプログラムって案外いっぱいありますよ。

例えば メールソフトの Becky がそうです。
画面に特徴があるので、ワリとすぐわかります。
あと、激しく意表をついてますが、新しい Winny とか。

正確に言うと実はDelphiじゃ無いんですが ... Delphiから派生して作られた C++Builder と呼ばれる環境で開発されてます。 DelphiとC++Builderは、言語は違いますが、 どちらも VCLという共通のライブラリが利用されていて中身は同じなんです。 ちなみにVCL自体ははDelphiで書かれています。
あび   2008年01月26日 05:36
> この文章、最後まで読むヤツ居るんだろうか。

拝読致しました。それでは、これよりスキーに行って参ります。
けめ   2008年01月26日 12:41
すみません、技術のことは殆んどわからないんですが、全部読んでしまいました(笑)
クレ   2008年01月26日 22:24
理解できないのですが、いつもとりあえず読んでいます。技術系の話は不思議の国の話のようです。でも、知らない世界を覗く気分でおもしろいと思っています。
 
出展 2008年01月26日02:36 『結局 我慢できなかった。』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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