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2007年12月25日火曜日

チェーンメール (mixi05-u459989-200712251737)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
チェーンメール
2007年12月25日17:37
また mixi でチェーンメールが流れているみたいだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/25/news060.html

今回ちょっといつものと違うなと思ったのは、今度は、他愛も無いデマや流言ではなくて、本当のことに関してチェーンメールが流れている事だ。

考えてみれば、チェーンメールが良くないとされるのは、どちらかといえば、その内容の正しさよりは、システムに対する負荷の問題があるからだ。 人は元々、情報を伝え合う生き物で、知った事をバケツリレーの様に友達に教えていくというのは、インターネットが普及する以前から持っていた習慣のはずだ。 こういう習性があるからこそ人はテレビが無くても大体は周囲でどういうことが起こっているのかを知ることができる。 それ自体は、何の害悪でもない。

ところが、これをネットワーク上でやると、いわゆる全員が全員に対して情報をブロードキャストしている状態になり、 (人数)^2 の量で交換される情報の総和が増えてしまう。 あっという間にシステムで転送可能量の上限に到達してしまい、システムが破綻してしまうので、まずいというわけだ。

ここに利用者とプログラマの齟齬があるような気がした。 本来であれば、システムは人間の行動に即した存在であるべきで、むしろこういうチェーンメールという人間の習慣を素直に効率よくシステム上で実現するべきではないだろうか。 きっともっと使いやすいシステムが出来るはずだ。



そもそも、デマや流言が悪いと誰が言い切れるだろう。 デマや流言は人間の心の世界だ。 人間が曖昧な存在である「心」を通じて世界を見ている以上、世界には幽霊や奇怪現象、シンクロニシティー 超心霊現象というものが、確実に存在する。 実は、現象は実際に存在しているわけではなくて心の中で初めて発現することだからだ。

例えば色という物は存在しない。 ある周波数の電波が人間に感知されてはじめて赤や青といった『色』として認識される。 人間は現象ではなくて色を見ているのだ。 同様に音楽も存在しない。 音楽を聴くということは受動的な行動ではない。 音楽は聴く人の心の中で能動的に起こる現象だ。 音楽は聴く人の心の中にある。 この様に 心の中で起こったことは人間にとって存在する。

人間が心で世界を認識している以上、音楽や色と同様に、奇怪現象・超心霊現象・シンクロニシティーといった超心理学というものが成立するのだと僕は思う。 僕はこのことを『色のある世界』と呼んでいる。

チェーンメールもそういう『色』の為す現象のひとつといえないだろうか。 それは貴重な事だと思う。 折角そういう心を豊かにする貴重な現象がインターネットという技術を通して現実に実体を結像させているのに、プログラマはそれがシステムに負荷になるからという理由だけで否定しようとする。



見方を変える。 何故みな掲示板を使わないで、メールを使って情報を交換したがるのだろうか。 元々、掲示板というのは上記の様にネットワーク上がデータであぶれかえったりしないようにする目的で考えられたプログラムだ。 掲示板プログラムによって、流れる情報量は (掲示板の数)×(利用者の数)で抑えられるので、問題が起こらない。

ところが、掲示板というのは、「プル型(引きだし型)」と呼ばれる情報交換形式を取っている。 世はHTTPが全盛の時代であり、HTTPを応用したあらゆる技術が流行している。 これらは全て、HTTPというプル型の技術を基にしている以上、すべてプル型の性質を持っている。 WEB2.0と呼ばれているものは例外なくすべてプル型の技術だ。

プル型とはなんだろうか。 プル型というのは、要するに最新情報は、自らチェックしに行かないとわからないという性質のことなのだ。 例えばホームページの最新情報は自分で定期的にそのホームページをチェックしなければわからない。 これがプル型だ。 そういう問題を解決するためにRSSがあるじゃないのか、というふうに思う人もいるかもしれないが、実はRSSも同じプル型の仕掛けを使っている。 これは自動的に一定時間ごとにチェックしに行くだけのことで、結局プル型であることにはかわりが無いのだ。 これは大勢が一定時間ごとにチェックしに行くのでシステム負荷としても負担が大きい。

そこにプッシュ型のメリットがある。 プッシュ型の代表的なシステムといえば、電子メールがあげられる。 電子メールというのは、現在実現しているシステムの中でも数少ない「プッシュ型(押しだし型)」のシステムである。 プッシュ型というのは、自分から何かをチェックしなくとも、テレビやラジオと同様、黙っていても情報が向こうから歩いてくるタイプのシステムだ。 自分が欲しい情報を選択することが難しいというデメリットもあるが、プル型にはない多くの利点を持つ。 メールは、このHTTPに決定的に欠けている性質、テレビやラジオと同じような性質を持っているのだ。 これは掲示板やRSSでは決して代替出来ない機能といえる。

技術に対して知識の無い利用者は、この点を本能的に察知し理解している。 理解していないのは技術者なのだ。 だからこそ技術者がいくらチェーンメールは辞めろと言い聞かせても、ユーザーのチェーンメールは「やめられない・とまらない・カッパエビセン」の様に魅力的に輝き人々を動かし続けるのだ。

技術者というのは、哀れな生き物で、本能的に違うと思っていても、理屈が正しい事を示せば、あっさり納得してしまう。 技術者をだますのは簡単だ。 どんな屁理屈でもいいので、理屈で言い負かせてしまえば納得してしまうからだ。



インターネット時代といわれる。 あらゆる情報が、デジタル化され、世界中で高速で交換される。 世界中に潜むあらゆる謎が白日の下にさらされる時代になった。 僕はこうやって便利になる事で、実はむしろ、どんどん心の世界が狭められているのじゃないか、という様な気がしてる。

それは、なんとなく、心でなく、理屈で考えるプログラマの仕業であるような気がする。

タイ・ラオスの間を流れるメコン川にはパヤナーという龍が住んでいる。 僕はそれを見た。 東南アジアではこのように心がまだ生き残っているのだ。 僕はこういう心の中の生き物が、インターネット時代だからこそ、むしろ、もっと豊かに繁栄してもいいんじゃないだろうか、と思う。

コメント一覧
トミィ   2007年12月26日 02:18
そうだね、ネットをそんなふうに考えた事はなかったけど、本当は見えなくても豊かに繁栄する事はできるんだよね!なんで出来ないんだろう…
よもぎ   2007年12月29日 05:45
お久しぶりです。
この件について、マイミクさんがコピー日記を書いてて、
自分はどうしようかと悩ましかったので、ちょうどタイムリーでした。

同じデマでなく善意のパターンでも、ロスのカメラマンの時は、
はっきりと弊害が目に見えていたので
(情報収集のためのトピックが励ましのコメントで埋まってしまうなど)
よくないな~と思ったのですが、
今回はなんだか「よくないこと」と云えない気がして。

勉強になりました、といいたいところですが
正直、わたしにはシステムの話など難しすぎてわかりませんでした。
でも興味深く読み、考える参考になりました。

>技術に対して知識の無い利用者は、この点を本能的に察知し理解している。
理解していないのは技術者なのだ。

こんな視点をもつ技術者さんはいいなぁと思います。
ろんたりんくo(^-^)o   2007年12月29日 13:35
今回の岩田君失踪を巡る一連の騒動について、色々日記やコミュ
を検査してみましたが、感情論や正論を訴える内容ばかりだったので
私にとってはこの内容が一番しっくり来ました。
私もシステム開発を生業としている者ですが、お客さんの視点と
開発側の視点が180度違うことがよくあり、プログラムを丸々
作り直しすることもよくあったりします。
基本的な話として、無機質で融通の利かないシステム・機械系
の発想と、記憶と感情に基づく人間・ヒューマニズム系の発想は
お互いに相容れないモノと認識しておいた方が良さそうではありますね。
おかあつ   2007年12月29日 18:08
ろんたりんくさん、こんにちは (^-^)

>お互いに相容れないモノと認識しておいた方が良さそうではありますね。

意外かもしれないですが、僕はそうは思ってないかも知れません。
むしろどちらも本来は同じものなんじゃないでしょうか。
ただ、両方を同時に理解できる人がとても少ないだけで...。

いつも両方同時に理解できるような人間でありたいです。
(^-^)
 
出展 2007年12月25日17:37 『チェーンメール』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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