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2006年3月20日月曜日

アジア人の温度差 (mixi05-u459989-200603201447)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
アジア人の温度差
2006年03月20日14:47
反タクシン派のバンコクの富裕層が言っていることにかなり無茶なところがあるということは、何度も書いた。

「タクシンは何でもいいからとにかく出て行け」「お前が立候補するなら選挙はボイコットする」「立候補しないなら選挙をしてやろう」という言い分はお世辞にも正当なやり方とは言いがたく、これでは少数派が力づくでわがままを言い散らしている状況に近い。これでは民主主義的では無い。 反対している東北人にも対して、東北人はアホだから言うことを聞く必要は無いといった発言があり、かなり無茶だ。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=14972&media_id=4

でも、実はそんな反タクシン派にも、言葉には出てこないが、それなりの理由があるようなきがしてきた。



まず、タクシンは貧困対策や農民を中心とした政策を行ってこれが一定の成果を挙げていることは、忘れてはいけない。

貧しい農民が土地を持たず、都心の富裕層が土地を買い占めてしまい、農民が仕事が出来ないという状況を打開するために、一人当たりの土地の所有限度を決めて、富裕層から土地を取り上げたらしい。 これで、農民の暮らし向きはずいぶん良くなったそうだ。

牛乳関連の産業がダメージを受けたときも、学校などで一定量の牛乳を購入することを決めて、救ったらしい。

また、麻薬撲滅キャンペーンはいろいろ批判も受けてるみたいだけど、とにかく、学校の中で生徒が麻薬をやって荒廃しているいった、深刻な状況は少なくとも解決している。

また、経済的な手腕も非常に優れており、外国との関税の取り決めを改善したり、外国資本を誘致して、経済はとてもよくなっている。これは、以前1バーツ2円ちょっとだったタイバーツが今はコンスタントに3円をキープしている事実からもわかると思う。

タクシンは、非常に有能なのだ。 このことは忘れてはならない。

だが、そうでないこともある。 それを話す前にちょっとこのことを説明したい。

タイ人は外国人の風習の違いに対してとても寛容だ。 たとえば、これがタイの風習だ! だからこうしろ、これはやめろ、的な事は絶対言わない。

しかし、僕がいろいろ見ているなかでは、そういうふうに寛容にしてあげる代わりに、俺たちの不利益になることは絶対にするなよ、というような暗黙の了解があるような気がする。

たとえば、タクシンは外国人なのに人の国で電話の会社を持っていてずいぶんお金儲けをしている。だがそのことに関して、やっかんだりはしても、決しておこったりはしない。 これが、アメリカや日本だったらこうは行かないと思う。 外国が出身だからといって首相にはなれないということも無い。 日本で在日韓国人が首相になる、なんていうことは絶対にありえないのではないか。 タイはその点寛容だ。

そんなやさしいタイ人だけど、国内の基幹インフラである電話会社を無断でシンガポールに売り飛ばしてしまうというのは、さすがにどうか。 さすがにそれは怒るのではないか。 確かに、タクシンにしてみれば、自分で立ち上げたビジネスだし、シンガポールは第二の故郷みたいなものだし、しかも売り飛ばしても非合法というわけではない。 だけれども、国にとって大切な基幹業務を担う電話会社が外資になってしまうというのは、タイ人にしてみれば大きなダメージだと思う。

せっかく受け入れたのだから、そっちもそういうタイ人の利益に背く様なことはしないでね、というタイ人の暗黙の了解があるのだとおもう。 (そのあたりは、契約書を作らないで信用でビジネスが進む日本とちょっと似ているところがあるとおもう。) タクシンは、華僑出身でそれに気がつかないのかも知れない。

普段生活していると、華僑と普通のタイ人でずいぶんずれているのをを見かける。 彼らは、タイで生まれタイで育ったタイ語を話す、限りなくタイ人に近い中国人だが、まったく違うメンタリティーを持っている。

タイ人というのは、すごく奥ゆかしい民族であからさまに意見を言ったり感情的になったりすることを好まない。 このあたりは日本人とすごく似ている。 対して中国人は正反対で露骨でそういう繊細な奥ゆかしさは無く、ストレート直球勝負、言いたいことは正面から言う。

中国人というのはそういう奥ゆかしさがぜんぜん理解できないので、タイ人の暗黙の了解に思いっきり踏み込んでしまう。 しかも、それが原因でおこられても、思いっきり開き直ってしまうので、余計に怒りを買う。 言葉こそネイティブレベルのタイ語を話すけど、中身はコテコテの中国人なのだ。

大体、タクシンは、国のためと銘打って、富裕層から土地を取り上げたり、税金をかけたりしているわけで、富裕層に我慢をさせている。 そういうことをしているのにもかかわらず、人目に付くところで会社を売り飛ばしたりしたら、それはさすがに自分ひとりで金儲けしているといわれても仕方が無いような気もする。 しかも売り飛ばした会社はタイにとって大切な会社だし。

反タクシン派が言っていることは、非常にロジカルでなく感情的な部分が大きいので、正直言って、理解しがたい。 タイ人的な大げさな言い方も激しいので、そりゃさすがに間違ってるぞ、と突っ込みたくなることも多い。 (さすがに、石油が値上がりしたのはタクシンのせいだ、といわれると、首を傾げたくもなる。)

とはいえ、なるほどな、そういうわけか、というきがしてきたのは、そういう話があるからだ。


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出展 2006年03月20日14:47 『アジア人の温度差』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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