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2020年8月3日月曜日

ジャズのウォーキングベースのタイミングについてメモ(oka01-qjemqlzojwxfolsz)

ジャズのウォーキングベースのタイミングの早い遅いについてわかったことを書き残しておく。

日本人ベーシストのタイミングの問題

日本でジャズを演奏するとき、日本人ベーシストのリズムの取り方が遅いというのは、いかんともしがたい問題だ。日本人のベーシストはプロアマ隔て無く99.9%は全く使い物にならないと言って過言でない。

リズムの取り方が遅いというのは次のようなことだ ─── ジャズではバンド内の複数楽器で同じ拍を同時に演奏するとき、全楽器が完全に同時に同じ拍を演奏することは実はほとんどない。バンドメンバー全員がある程度のずれをもって演奏しなければニュアンスに欠けた不自然な演奏になってしまう。

特にベース楽器の打点の位置は重要だ。ベース音は常にバンドでもっとも早いタイミングで出ている必要がある。何故ならばベース等々の低音楽器は音の立ち上がりがとても遅いため、かなり早めのタイミングで音を出さないと、他の楽器よりだいぶ遅れてしまう。バンドの基礎を支えるベースの打点が遅いと、他の楽器が宙に浮いた様に収まりが悪く聞こえ、全体の雰囲気から軽快さが失われ重苦しく響くようになる。

その様子について次のビデオでまとめた。

ベース楽器の打点が遅いというのは、バンド演奏する上で致命的な欠陥だ。だが問題は、日本には致命的な問題を抱えたベーシストしかいないということだ。正常な打点で演奏できるようになるまで拷問に掛けようが、鞭で打ち付けようが、水攻めにしようが焼き印を入れようが、音符が1拍遅れるごとに生爪を剥がし指を切り落として行こうが、絶対にできるようにならない。

だが、ベースの打点が遅いことが問題ならば、フロント楽器が待つことでやや時間調節して意図的にタイミングを後ろに下がることでベース打点を一番前に押し出すことができれば充分だ。実際に海外の演奏者にそういう演奏をしている人がいる。

George Benson & Mark Elf Quintet _ JAM 1993 Frank Hanson on Bass - Bob Emery on Drums - Stewart Waters on Piano - video of Vincent D'Arrigo

Posted by Ernest-Jeannot Hecquet on Saturday, May 9, 2020

ここで僕が面白いなと思ったのはジョージ・ベンソンが演奏しているときのベースの打点が非常に早く聞こえることだ。だがもうひとりのギタリストが演奏しているときのベースの打点は遅く聞こえる。これを聞いて僕は気づいたのは、ここでベーシストがタイミングの前にずれているのではなくジョージ・ベンソンがやや遅らせることでベーシストを前に出しているから、この様に聞こえる…ということだ。

だが、これと同じことを日本人ベーシストを相手にやると問題となることが多い。

ソロ楽器がベーシストを前に出そうとやや待つと、ベーシストがそれよりも更に後ろに下がろうと更に待つ。そのベース打点よりも更に後ろに下がろうとすると、ベーシストはそれよりも更に待って後ろに下がろうとする。すると遂にバンド全体のテンポが0に到達し演奏が止まってしまう。

強硬には超強硬を、超強硬には更にそれを上回る史上最高の超強硬を…という北朝鮮の首脳を更に上回る規模の史上最強に頑固な遅いベーシストが目白押しなのが、日本のプロフェッショナル・ジャズ界だ。

泣いても笑っても、日本にはそういうベーシストしかいない。

自動演奏のベースを利用した対策

そこで僕が考えたのは、ジャズのウォーキングベースをコンピューターに自動演奏させて、その上で人間が演奏したら良いのではないか、ということだった。僕がつくったプログラミング可能なシーケンサ Lambda-Music を利用してベースを自動演奏させて、その上で人間のドラムとギターを演奏してみた。コンピューターは人間と違ってつられてテンポが変わってしまうことはない。人間がそれよりも遅め早めに調節して演奏することでいろいろなタイミングを試すことができるのではないか。

先日、これを実際に実験してみることができた。

実際にやってみたらいろいろな問題があることがわかった。
  • テンポが全く変化しないのは不自然
    人間のテンポは感情によって早くなったり遅くなったりする。だがコンピューターは全く変化しない。当初これは慣れの問題と思ったのだが、実際にやってみると非常に息苦しく不自然な感じがあった。
  • ドラムが待つことによってベースを前に出すとドラムが遅く聞こえる
    ベースの打点位置が変わらない分、ドラマーが待つことで時間調節してベースを前に出す。これを実際にやってみると、不思議なものでドラマーが遅く聞こえる。ドラマーの位置が変わらない状態で、ベーシストがそれを追い越す様に前方に移動しない限り、ベースのスピード感が聞いている人に伝わらない。その瞬間の結論だけを見るとベースが前にありドラムが後ろにあるという事象は全く同じなのだが、そこに至る経過によって人間の耳には違った情報が届く。そういう法則がそこにあることに気づいた。
  • 状況に合わせてテンポを調節する機能が必要
    前項の理由により、バンドの雰囲気にあわせてテンポ調節する必要があることが判明した。
  • ある一瞬だけ ± 1/12 〜 1/16 程度の拍数を増減する機能が必要だろう。
    前項の理由により、ある特定の小節だけ一定長の拍を増減する機能があれば、ある瞬間にベースを適切な位置まで前に出すことができる。これをきめ細かく制御する為の機能が必要だろう。
  • これらの機能はMIDIペダルなどで演奏中にリアルタイムで制御できるようにする必要がある。

結論

現段階ではジャズのウォーキングベースを実践的に使うのはまだ難しい。だが現段階での課題を1つ1つクリアしていけば将来それは可能になるだろう。

僕はこの実験で実際に自分でベースを弾いた方が早いと感じて、スクワイアのベースを購入してしまった。だが問題はベースギターを演奏中に同時にジャズギターを演奏することは出来ないことだ。

たかだかジャズでギターを弾くだけなのに、何故こんなにも苦労しなければいけないのか、理不尽で腹立たしいことだが、とにかく出来る対策を順番に片付けていこうと思う。


著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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