旧友と会った話とコルトレーン
2010年05月03日04:49
僕はジャズギターを弾いていたが、その頃しょっちゅう喧嘩ばかりしていたライバルのジャズギタリストが居た。 しょっちゅう喧嘩ばかりしていた。 殴り合いをして鼻血が出て大騒ぎになったこともあった。 のちに、徐々に仲良くなり、よく一緒に飲みにも行っていた。 こういう人と仲良くなることもあるのだな...と思っていたのが社会人になって気がつけば、これだけ広い社会の中では滅多に出会うことのない極めてよく話のあう友達であることに気がつき、気がつけば知り合ってから10年以上経っていた。
で、今日、彼とン年ぶりに飲みに行った。
彼の毒舌は健在だった。 彼は、口が非常に悪く、毒舌の極みを地で行く性格で、扱い辛く、セクハラ的なギャグを連発して人々を辟易させるのが特技だった。 しかしそんな彼をみな愛していた。 良いジャズミュージシャンが性格が良い訳は無いではないか。毒を辺りにまき散らし酒を飲み荒れ狂う中で、一瞬だけ良い演奏が出来るというタイプが多いと僕は信じる。(だって、したたかで世渡り上手でナイスガイなミュージシャンなんて面白いわけがないじゃない?)
それが、どう人生を間違えたか、女性ばかりが働く職場に就職することになってしまった。 可哀想な事に、彼はそんな持ち味である毒舌とセクハラギャグを封印しなければならなかった。
今回久しぶりに再会する事で、普段、その毒舌を全開に出来ない為に溜まりきった毒が、爆発し全開になった感があった。 僕は嫌な奴が好きだ。 嫌な奴が好きというのはおかしなことかもしれないが、少なくとも嫌な奴には嘘がない。 いい奴には必ず嘘がある。 僕はそう思う。
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実はこの3~4年、何度も彼との連絡を試みていたのだけど、いつも電話にでなかった。 いきなり嫌われることはないだろうと思っていたので、仕事があまり上手く行っておらず精神的にゆとりがないんじゃないかという事を思っていたのだけど、実際にあって話しをきくに、その推測は外れていなかった様だった。
この数年間は、世知辛い社会の不景気の煽りで、非常にきつい生活を送っていたらしかった。 仕事は忙しい、給与は安いで、精神的にゆとりがあまりなかったらしかった。 で、 僕がとにかく一番ショックだったのが、彼が持っていたオレンジラベルという非常に珍しい型のGibson ES-175 というギターを、金欠により売却してしまったという話だった。
僕は彼がこのギターをどれくらい大事にしていたかよく知っている。 それだけに、どれくらい生活がキツかったのかうかがい知れた。 彼も後悔したそうだが、僕もショックだった。 世の中、実に明るい話しがない。
最近夜勤が多かった忙しい部署から日勤の部署に移動になったのだそうで、ようやく生活に落ち着きが戻ったらしい。 それで連絡をくれたのだ。
また昔みたいに一緒にギターを弾ける時代は来るんだろうか。
M君、お互い、よっぱらいオヤジお座敷ギタリストデュオを目指して頑張ろう。
コメント一覧
ラチャ@サバイディー 2010年05月03日 19:15
嫌なやつが好きってのはなんとなく解かる気がしますね。
ちょっと癖のあるほうが面白いですからね
ちょっと癖のあるほうが面白いですからね