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2013年7月28日日曜日

字幕を使った外国語学習法 (oka01-bywdaychcyemkngp)

訛りと聴きとりが完了するプロセスについて気がついた事をメモする。 最近筆者がハマっている曲に「フワッツアップドック・キャンウィーロック (What's Up Doc, Can We Rock)」という曲がある。これはJiveレコードと呼ばれるレーベルの「フーシュニッケンズ・Fu-Schnickens」と呼ばれるグループの曲だ。1993年発売という事で、若干古いこの曲を、何故今更筆者が聴き始めたかについては、若干説明を要するであろう。

そもそもは「ビービスアンドバットヘッド(Beavis And Butthead)と呼ばれるアメリカのアニメの中で、この曲が紹介されていた事に端を発する。 ビービス・アンド・バットヘッドとは、1993頃にアメリカのMTVという音楽専門チャンネルのテレビ局が作ったアニメだ。アメリカでは1996年頃流行していた。

筆者は、丁度1996年にアメリカに渡り英語を勉強したが、当時丁度流行しており、アパートのケーブルテレビでその面白さを知り、以降ファンになった。


英語版ウィキ・ビービスアンドバットヘッド
YouTubeでビービスアンドバットヘッドを検索

ビービス・アンド・バットヘッドの登場人物は、どれもこれも「そのへんによく居る人」の特徴をよく捉えており、訛りが非常にリアルなところが特徴 だ。よって英語の聴きとり訓練に非常に良いのではないか。また驚くべきことに、登場人物の大半は、ビービス・アンド・バットヘッドの担当ディレクター・マイク・ジャッジがひとりで吹き込んでいるのだそうだ。ビービス・バットヘッド・ヴァンドリーゼン・トムアンダーソン等の全員が、マイクジャッジ独りで吹きこまれているというから驚きだ。

作者のマイクジャッジのインタビューによると1990年代後半・流行期を過ぎた頃、MTVと著作権上の争いになり、ある時期を境にビービスアンドバットヘッドは、全く新しいエピソードが公開されなくなった。その後2006年頃に、MTVとマイクジャッジの間で和解が有ったらしく、再び放送される様になった。

マイクジャッジのインタビューをYouTubeで検索

ビービス・アンド・バットヘッドは、ミュージッククリップの放送の合間の数分間で放送される為、その殆どのエピソードが3分程度の短編だ。和解後の後期は、映画などの長編も製作され公開されているらしい。

またビービス・アンド・バットヘッドには、上記のような本編の他、ビービス・アンド・バットヘッドがミュージッククリップを見ながら批評を加えるというパターンのシリーズがたくさん作られている。 これが非常に面白い。

ビービス・アンド・バットヘッド批評を検索

筆者は、最近英語の聴きとり訓練がてら、YouTubeでこのビービス・アンド・バットヘッドのビデオを見る事が趣味なのだが、先日偶然このビービス・アンド・バットヘッド批評の中で、フーシュニッケンズが紹介されていたのを目撃して、面白さを知った。1993年に発表され、2013年になってようやく面白さを知ってハマったという筆者の時間差マイブームである。





上記のビデオの中盤に出てくる黒人ラップグループが、フーシュニッケンスだ。この曲「フワッツアップドック・キャンウィーロック (What's Up Doc, Can We Rock)」は、Jiveレコードと呼ばれるレーベルの「フーシュニッケンズ・Fu-Schnickens」と呼ばれるグループによって録音され、1993年に発表された。

「ワッツアップドック(What's Up Doc)」 というのは、本来ワーナー・ブラザーズのアニメーション=バッグズ・バニーの決め台詞なのそうだ。

ウィキでバッグズ・バニー を検索
ニコニコ大百科でバッグズ・バニーを検索

実際この曲は、バッグズ・バニーのアニメ音声からサンプリングして曲を作ったらしい。だが版権を持つワーナー・ブラザーズから許可が降りず御蔵入りした。その後、当時のシャキール・オニールというバスケット選手が注目を浴びた際、シャキール・オニールがフーシュニッケンスのファンだという発言があり、これにフーシュニッケンスが注目、フーシュニッケンス側からカップリングの提案があり、急遽このバッグズ・バニーの「ワッツアップドック」をシャキール・オニールの歌に差し替えて発表した所、50万枚を売るヒットとなったという。フーシュニッケンスは、その知名度の高さと比較して、活動時期はあまり長くないらしい。

シャキール・オニールをウィキで検索(英語)
シャキール・オニールをウィキで検索(日本語)

登場の経緯は、確かに商業的なものだが、内容は非常に良い。 特に、フーシュニッケンスの独り・チップフー(Chip Fu)ことロデリック・ローチフォード(Roderick Roachford)の、ラップが驚異的だ。

ここまで説明が終わって、ようやく本題に入ることが出来る。

この曲についていくつか説明したいことがある。

フルバージョン
ビービス・アンド・バットヘッドの版


曲の冒頭で「アタアサアプティタ」と言っているのが聞き取れるだろうか。筆者は、これの意味がサッパリわからなかった。先日ふとこの歌詞をネットで検索して気がついたのだが、これは"I thought I saw a putty tat" と言っていたらしい。聞いても意味不明だが、歌詞を見ても意味不明だ。

Putty Tat は、実はあるアニメシリーズでよく出てくるセリフらしい。Putty Tatと言われてもピンと来ないが、このヒヨコを見れば「あぁあれのことか」と思う人は多いのではないか。
トゥィーティー

このヒヨコは、ワーナー・ブラザーズのアニメーション・ルーニー・トューンズに出てくるトウィーティーと呼ばれるキャラクターだ。これの口癖が「アタアタアプティタ! (I tawt I taw a puddy tat!)」だ。

トゥイーティーをウィキで検索する(日本語)
アサアタアプティタをウィキで検索(英語)
トゥイーティーをウィキで検索する(日本語)

ここまで来ても、まだアタアタアプティタの意味がわからない。 筆者はラオ語の訛りを調べていたので思ったのだが、これはt音とs音の入れ替わり訛りではないか。

筆者が勉強しているラオ語やタイ語では、サ行(s音)とタ行(t行)が入れ替わる訛りがよくある。これは舌足らずさや幼児語という訳ではなく、言葉が違う地方に伝わっていく間に、聞き間違いや言い間違いなどが混ざり、そのまま正しい発音として定着してしまう為に起こる。 サ行がタ行に訛るのは、日本語でも舌足らずな人でありえるかも知れない。だがラオ語では日本語では恐らく起こらないタ行(ต)が逆にサ行(ส)に訛る事も起こる。日本語がネイティブの筆者にとって、タがサに訛る音声を耳にした時に、即座に元の単語が何だったか気が付く為には、慣れが必要だった。

恐らくこの訛りが、英語でも起こるのではないか。 色々調べてみた所、この仮説は正しいらしかった。つまり I tawt I taw a puddy tat! は I thought I saw a pussy cat の訛りだ。

これに気付いて、色々な事を考えた。それは、字幕の大切さだ。



筆者は、そもそも、字幕に頼らない事が最も大切だ、と考えていた。つまり筆者は、DVDなどを使って語学の勉強するに当たって、いくら時間がかかろうとも、敢えて字幕を非表示にして耳だけで勉強する事が大切だ、と考えていた。これは非常に時間が掛かる非常に難しいことだが、とても大切な事だ。

字幕に頼らないことは、とても大切だ。筆者は、ラオ語の方言を勉強していたが、ラオ語にはあまり良い辞書がないので、実際に生活する中でいっこいっこ音を拾い、前後の文脈を見ながら、推論からその意味を調べる以外に方法がなかった。そういう中では、ストーリーを流れとして理解し、流れから物語の意味を推測する能力が非常に大切になる。この推測能力は、次の2つの動作を行うに当たって、非常に大切だ。

まず、この推測能力があるからこそ、知らない単語と出会った時に、その意味を理解する事が出来る。それだけではない。次に、この推測能力があるからこそ、訛りの混ざった単語を耳にした時、自分の知っている単語の中でどの単語が最も発音が似ているのかを、判断する事が出来る。

これは、英語などの辞書が充実している言語を勉強するに当たっても、とても大切だ。ある単語の定義が、辞書の中にどの様に定義されていようと、実際に使われている場面で、その辞書通りの意味で使われているとは限らない。その時の流れや事情によって、単語の意味は変わる。よって、その単語が実際にどの様な意味で使われているのかを、理解する読解力が大切だ。

そもそも、人生に字幕は無い。聞き取れない単語をいちいち文字として理解するのは、悪いクセだ。 聞き取れない単語と出会う度に、ネイティブの人に「なんて言っているの?」と訊ねていてばかりいては、いつまでたっても音を理解する能力が付かない。 飽くまでも音だけで言葉を理解出来る様に、常日頃から心がけて訓練することは、とても大切だ。


だが一方で、知らないと絶対に聞き取れない事もある。例えばこの場合の様に、プティタがプッシーキャットの訛りである事に気付くに為には、恐らく英語の訛りでs音とt音が入れ替わることがあるという事を知っているだけではなく、ルーニー・トューンズを原語で見たことがなければいけないだろうし、恐らくこのフーシュニッケンスがしばしばアニメネタでラップするグループだという事も知らなければいけないだろう。ビデオを見ている程度では、その発音の訛りを補完するのに必要な文脈の情報が、充分でない。 こういう音は、その特殊な事情を知らなければ、いくら努力しても絶対に聞き取れる様にはならない。

つまり発音を補完する事に必要な「文脈を理解する能力」と、発音を補完する能力自体は、別物ということではないか。

文脈を理解する能力が既にある程度ついているなら、敢えて字幕なしで理解する事に拘る事なく、字幕を積極的に使って、脳内の訛りパターンのデータベースを充実させたほうが良いこともあるのではないか。

だが字幕は、諸刃の剣でもある。頭の中に実際の発音のイメージが定着していない状態で、字幕を使って勉強すると、記号としての訛りパターンデータベースが出来るのみで、実際の音声としての訛りパターンデータベースが出来上がらない。これではいつまでたっても音で考える能力が獲得できない。



ところで余談だが、この曲は「ワッツアップドック・キャンウィーロック」と聞こえる。だから「ワッツアップドック・キャンウィーロック」と言っている様に聞こえるだろう。だがこれが違うのである───

続編『日本人のリズムに対する認識の差 』へと続く───


更新記録:
・カテゴリ「語学オンチ ニッポン人の治し方」「タイ東北弁イサーン語とは」に追加した。(Fri, 29 Jan 2016 16:28:21 +0700)