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2010年11月19日金曜日

タイとは(タイ雑感) (mixi05-u459989-201011191706)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
タイとは(タイ雑感)
2010年11月19日17:06
10月14日に中国に来て、それから一ヶ月ものすごく色々な事がありました。 僕が中国に来てから知ったことは、とても一言で説明できるようなものではないのですが、あとでまとめて自分のサーバーにアップしてみようかと思います。 まだわからないですが、ミクシのコミュニティーではなくて、メールマガジンの様な形態になったら面白いかな、と思っています。 今のところ、定常的に利用できるネット環境がないので、ネット環境が手に入ったらやってみようかと思います。また、中国語の勉強がちょっと忙しいということもあって、すぐには難しいかもしれないのですが...。

取り敢えず、これだけ書きます。 この間、初めて中国に住むタイ族の人と話したのです。 ほとんど北部ラオ語でした。 五年前、タイに来て、イサーン人の方がよりタイ人っぽい(バンコク人のほとんどは中国人でタイ人ではない)ということを、直感的に感じていたのですが、これが大体裏付けられた感じがしました。

僕が今までに知ったタイ語ラオ語の亜型は、タイヤイ語・タイノイ語・ラオイサーン語・ラオビエンチャン中央語・北部ラオ語・南部ラオ語・タイ語・タイバンコク語・タイ南部語・北部タイ語です。

カバンの事を、これらのほとんどの亜型で、トンというのですが、何故か、タイ語だけが、ガッパオと言う風に中国語と同じ呼び方をするのです。 昆明の学校で出会ったタイヤイ語の人にカバンを何と呼ぶか聞いてみたのですが、ラオ語と同じトンと呼ぶのだという風に聞いたときの衝撃が忘れられません。

「~ですか?」の事をほとんどのタイ語ラオ語の亜型で「メーンボー」か「メーンコー」とか「メーンなんとか」という風な、メーンを基調としたいいかたをするのに、タイ語だけが「チャイマイ」といういいかたをします。

中国語で「チャイマイ」と同じ使い方をする言葉に「是吗(シ-マ)」っていう言い方があります。 これがバンコクの華僑の人がいう「チャイマイ」の言い方と酷似しています。 ものすごく早口の華僑の人がいう「チャイマイ」は、「チャバ」とか「シマ」とかいう音にものすごく近い言い方をします。 この発音は、昆明の人が言う「是吗」とものすごく似ています。(マとバの混同はこの地方の言語にたくさんあふれていいて珍しくない。日常の言い間違えだけでなく、例えば โรคเบาหวาน ロークバオワーンを ロークマオワーンと呼ぶ地域があったりする。)

そして、中国に住むタイ族の人は、この間聞き間違えでなければ、「メンボー」と言っていた様な気がします。 でも聞き間違えかもしれません。 僕があった人はたまたま昆明に住む人だったのですが、中国国内でタイ族が住むことで有名なシップソンバンナーに住むタイ族の人がどういう話し方をするのか、ぜひ見に行ってみようと思います。

「あなた」の事をほとんどの亜型で「チャオ」と言います。 タイ語でも古語は「チャオ」と呼びます。 どこから「クン」とか「ター」とか「チャン」とかが来たんでしょうか。 一節によると、これは中国語の・海南・潮州方言だという節があります。

つまり「タイ人」というのは「タイ人」ではないのです。

もしタイ族が純血のタイ民族にこだわって華僑を受け入れなかったら、タイはあっさり敗北し、この地はフランスやビルマ・日本に乗っ取られていたでしょう。 タイ族は、国にたくさんの華僑を受け入れる代わりに外国人に土地の所有を認めず、外人とタイ人の子供にだけ土地の所有を認める、という方法を使って、有能な華僑を生かさず殺さず受け入れて来たのではないでしょうか。 だからこそ「我々はタイ人だ」という宣伝に余念がありません。実際、みんなタイ人じゃないからです。

タイ人は、敢えてタイ人でない華僑の王を国の頂点に据え実権は軍が握りその王を軍が操りつづけるという方法を使って、華僑を操り続けてきたのでしょう。 実際軍の思い通りに動かなかった王達が何度も怪死を遂げています。 恐らく軍に暗殺されているのでしょう。 こうした他力本願な方法で、タイという国を強く発展させて来たのでしょう。

(タイの軍隊のほとんどがラオ系です。 それは華僑などお金を持っている人が徴集担当を買収する事で兵役を逃れているからですが、この悪習慣をタイ族が黙認しているのも、ひとつの戦略でしょう。 軍の中に華僑が多く入ってしまうと、構造的に軍の権力が崩壊してしまいます。 軍には華僑が少ない方がいい訳です。)

華僑もバカではないでしょう。 一部の華僑はその事に気がついています。 しかしその事に気がついているということを気取られると強力な軍隊を持っているタイ族に殺されてしまうので、絶対にそのことを悟られてはいけない訳です。

タクシンはそんな華僑の典型であるように僕には見えます。 有能なタクシンは、劇的なスピードで国のインフラを整備し驚くべき大発展に貢献しましたが、最終的に財産を没収され国を追放されてしまいました。 タクシンは散々タイ族に利用された挙句、タイ族の巧妙な嘘によってすっかり悪者に祭り上げられてしまいましたが、タクシンも人権外交などの嘘を動員して、タイ族(軍)を攻撃しています。

多くのバンコク人も、口ではタクシン追放を叫んでいますが、裏ではタクシンを応援しています。 (黄色シャツの多くは、軍に扇動されたバンコクの貧困層でしょう。 一方、赤シャツの多くがタクシンに煽動されたラオ族です。 しかし、これも結構ウソが含まれていて、赤シャツを援助しているのは華僑系の人が多いです。)

こうやって華僑とタイ族が狐と狸のばかしあいよろしく、壮大な足の引っ張り合いをしているというのが、タイと言う国の構造なのではないでしょうか。




この話を見た後で思うのです。 確かに、タイの嘘は巧妙で巨大です。 しかし日本はどうでしょうか。 日本の嘘は、更に巨大でもっと巧妙です。 日本人のほとんどがその嘘の存在にすら気がついていません。 しかも国民全員が喜んでこの嘘を信じています。 この点、日本の嘘は決定的に強力です。 日本人は、この嘘を信じているからこそ、タイの嘘・中国の嘘も見抜けないのでしょう。

その嘘っていうのは、月並みですが、案外「日米安保」あたりから始まっているような気もします。




本当は、ラオ語とタイ語の子音の入れ替わり方と、普通話と昆明語の子音の入れ替わり方とすごく似ているところとか、書きたいこといっぱいあるんですが、これくらいにしておきます。


コメント一覧
jester   2010年11月20日 14:41
私も建水で地元の傣族の人に傣語を少し教えてもらったのですが
「キンカーオ」「キンナーム」「キンラーオ」はラオ語と同じで驚いた覚えがあります
ですが、「你去哪里?」は「マオサーグオアライ?」で「イアン」語圏ではなくて「アライ」語圏でした

傣語以外にもトン語や壮語、黎語、水語もタイ・カダイ語族ですが
これまた驚いたことにトン語でもバイバイを「パイラ」と言うそうです
地理的にはウン千キロも離れてるのに

華人と混血している、華人の影響を受けているという点では、中国のタイ・カダイ系少数民族も同じですが、
タイのタイ人はイエローとブラウン(クメール・マレー系?)がいるという点ではあまりタイ族ではないですね
他のタイ系諸民族はみんなほとんどイエローですから
おかあつ   2010年11月20日 17:28
タイ語が中国語の影響を受けているっていう話を日本人にすると、100人中100人が、雲南のタイ人なんてもっと強い影響受けているよ、っていう返事が帰ってくる。

でも僕にはバンコクのタイ語が中国語から受けた影響と、雲南のタイ語が中国語から受けた影響が、同じとはとてもではないけど思えない。 国境付近にいる人ラオタイ亜型言語を喋る人に質問したら、100人中100人が同じじゃないって答えると思う。 実際ぜんぜん違う。

何が違うのか。 見ればすぐに違うってわかるんだけど、見ないでそれが違うってどうやったら理解できるだろう。 実際に日本語を一言も喋らないでイサーンの奥地で5年以上過ごしたりしないと、理解できない物があるのかもしれない。

...そこを敢えて言葉にしたらどうなるのか。

何だろうなぁ。

バンコクタイ語の中国語の影響って、何か微妙に華僑のおばさんの顔が思い浮かぶんだよな... 中国語ネイティブだけど 一生懸命タイ語を話そうとしている華僑のおばさんの顔が。 いっつも真っ赤な中華柄のシャツ着てるのに、タイに来てからは柄にもなくマッ黄色のタイの王様柄のシャツとか着込んじゃって。一生懸命タイ人っぽく振る舞ってる。 で、必死でタイ語を話しているんだけど、あちこちに中国語が混ざってしまって、タイ語だか何だかよくわからないチャンポン語を喋る、明るいおしゃべりな、おばちゃんの顔が浮かぶんだよなぁ...。

一方、雲南のタイ語の中国語の影響っていうのは、こういう世界と全然別物に思えるんだよな。 村では100%タイ語を喋ってるんだけど、公用語は中国語なのでへたくそながらに頑張って中国語を話そうとしている、真っ黒になった手作りの衣装を着込んだ苦労人のおばちゃんの顔が浮かぶんだよな。 こういう人は自分の子供にタイ語を教えたがらない。 子供が100%中国語を喋るようになったら、それは子供にとってとてもいいことだって思う。 そこにすごく重たい人生が見え隠れするんだよな。

あるいはおばあちゃんが、おじいちゃんがタイ語話者でほとんど中国語しか喋れないんだけど、少しだけタイ語が喋れます、みたいな。 そこに、ほとんど中国語に飲み込まれてしまっているタイ語の姿が見える。

「中国語の影響」って一言で片付けるのは簡単なのだけど、何か僕こういう学術っぽい視点ってどうも好きになれないんだよなぁ。



>タイのタイ人はイエローとブラウン(クメール・マレー系?)がいるという点ではあまりタイ族ではないですね。他のタイ系諸民族はみんなほとんどイエローですから

タイの各民族=タイ・クメール・スワイ・マレー・ラオってパッキリ分かれていて、慣れると違いがはっきり見える。 実際みんなはっきり違いを見抜いているよね。 そしてそこに華僑が混ざってくるわけだけど、それもやっぱりはっきり違いが見えるよね。

jester   2010年11月20日 18:26
中国のタイ系民族も同民族同士で「ちゃんぽん」の言語を話してるはずですよ
もともと無かった概念を意味する言葉はそれこそ外来の漢語で代用するしかないわけです
でもその言葉はあくまで外来の漢語として認識されていて
逆にタイでは外来語の漢語としてではなくタイ語として認識されているっていう認識上の違いがあるんだと思う
だから「バンコクのタイ語が中国語から受けた影響」はもっと強いって考えになるんじゃないですか?
影響の質、という点では違うでしょうが、影響の量という点ではどっちが大きいかなんて私にはわかりません
おかあつ   2010年11月20日 18:40
>中国のタイ系民族も同民族同士で「ちゃんぽん」の言語を話してるはずですよ

それは違う。 事実じゃない。 僕が「それが違う」って言えるのは、僕がその場所に居てその場所の言葉を話し、それがそうではないっていうのを何度も経験しているからだけど、僕が言えるのは、ここまで。

この先はキミの人間力次第かな。

世の中、理屈が全てじゃない。

実際に何度も痛い目を見ないことには、理解できないよ。
おかあつ   2010年11月20日 18:53
でも そういえば jester 君は 学生だしな... 上記の様な話は長ーい人生には有効かもしれないけど、あまり極めすぎると就職に不利になる危険を伴うな。


でも10年後、中国語の通訳家なんかになることを考えると、こういう自分の中の「上から目線」をいっこいっこ潰していく事が、いい通訳家になる王道だったりもするかもしれないけどね。

そう、これってネイティブ話者にとっては上から目線だ。 僕等には見えないが、そう見られている。ま、もっとも10年後には 中国が日本を見下す立場になっていて、そんな「上から目線」の心配なんか、すっかりなくなってるかもしれないけど。 「上から目線」で見られる悔しさを知って、ようやく「あの頃こうしておけば良かった」とか思わないようにしたいよね。
 
出展 2010年11月19日17:06 『タイとは(タイ雑感)』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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