ラオ記2 (イサーン語とラオス語の違いについて)
2010年08月08日00:42
ラオ記1の続き
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1555961884&owner_id=459989
この間、知っておもしろいなと思ったのが、นม(nom/乳)の発音の違いについてだ。 นมは、タイ語だと、第二声調(低)で発音する。 ラオイサーン語だと、第三声調(高低)だ。 ところが、おもしろいことに、ラオス標準語だと、タイ語と同じ第二声調(低)で発音するらしい。 これを見て思ったのだけど、ラオス語とタイ語は、実はかなり似ていて、イサーン語だけが違うことがあるのだ。
僕はずっとラオイサーン語だけを聞いてきたし、それがラオス語なのだと思っていた。 だから、ラオス語とタイ語が似ていると言われるとものすごく違和感があった。 しかし、イサーン語とラオス語の違いを念頭に置いた上で、ラオス語とタイ語を比べると、実はこちらは案外似ているところがある。
ラオスに居て色々な人の話を盗み聞きしていると、みんな発音がものすごくはっきりしていてわかりやすい。 特にタイ語を勉強した事があると、基本的な発音が案外似ているので、割とすっと聞き取れる。 しかし、イサーン語はまったく別物だ。 タイ語を勉強した事があっても、まったく聞き取れない。
イサーン語とラオス語を比べると、今まで僕が気がついているだけで、これだけの違いがある。
1・เอือ (wua) の เอีย(ia) 化
ラオス語で帰宅を表す「ムアバーン」が、イサーン語だと「ミヤバーン」に変わってしまう。
2・จ(Ch)の ก(K)化
中国語 を表す ภาษาจีน パーサーチンが、パーサーキンに近い発音に変わる。
3・第三声調(中高)の第五声調(高低)化
「チャオユーサイ?今どこに居るの?」 「ユーナーニラ・田んぼだよ!」 のナーの発音が違う。
「ワオラオダイボー?=ラオ語話せるの?」ラーオ ลาว の発音が違う。
4・ม(M) の บ(B) 化(単語に依る?)
果物を表す「マク」の発音が限りなく「バク」の発音に近づく。
「マクナッ(パイナップル)」=>「バクナッ」 「マクナオ(ライム)」=>「バクナオ」
「หมดモット=尽きる」の発音が限りなく「ブット」に近づく。
5・ต(T) の ด(D) 化(単語に依る?)
田んぼ仕事=「ヘッナー」 が、イサーン語だと、まれにタイ語の「タムナー」になる。
それがさらにダ行に変化して「ダムナー」になる。
6・ラオス語と比べると、イサーン語の方が全体的に発音が固い。
しかもイサーン語は速くリズミカルに話す。
「ฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนตายตายตายตายตายตายตายตาย」
「ホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンターイターイターイターイターイターイターイターイターイ」
「暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
・ちなみにタイ語とラオス語(イサーン語)は、似た言語ではあるけど、こちらの方は、もっと根本的な違いが多い。
1・代名詞・人称代名詞を含む・頻出基本単語がほぼ全てタイ語と異なる。(イサーン語とラオス語は同じ)
2・ラオス語はタイ語より声調が多く、声調記号のルールも違う。
僕は、この問題に関して、表を使って網羅的に説明することに成功した。
イサーン語の声調ルールはラオス語の声調ルールで説明出来るけど、
タイ語の声調ルールでは説明出来ない。
タイ語で、短母音かつ語尾がกดบで終わる単語は、全て第七声調という
ラオス語にしかない声調に変わる。 หมด が良い例。
3・多くの単語で (ร/r)が (ฮ/X)の発音に変わる
รัก 愛する タイ語:ラック → イサーン語:ハック
รับ 受け取る タイ語:ラップ → イサーン語:ハップ
รำ ぬか タイ語:ラム → イサーン語:ハム
4・ルール3が適用されない単語は全て (ล/L)に変化する。
5・ラオス語には二重子音が無い。(タイ語でも口語では二重子音を省略するが、書き言葉では省略しない。)
6・語順のルールがかなり違う。 タイ語には倒置表現が無いが、ラオス語・イサーン語にはある。
(下記参照)
7・ タイ語には トゥア ทัว に関する文法が無いなど、ラオス語の基本文法は若干複雑。
8・語尾の活用がラオス語の方がずっと多い。
「เด デー」「แท่ テー」「แน ネー」「เดอ ドー」「นอ ノー」「พี่ ピー」「ลา/ละ ラ」「ดู๋ ドゥ」
それぞれにニュアンス以上の具体的な意味がある。 ( 但し「ดู๋ドゥ」はイサーンのみ? )
9・ラオス語では、語尾に代名詞をつけると敬語になる。
ラオス語では、代名詞には敬意のレベルがあり、つける代名詞のレベルにより多様な表現が出来る。
タイ語は ตรับ/คะ しかない。
「サバイディーチャオ」
「キンカーウナムネー・ポーニャイ」
等々...等々...
最近気になっているラオ表現
1・「サティーーーーーーーーーーーーー」
僕の推測「บ่ดีสักที่ ボディーサクティー=どこも良くない」の超省略形ではないか。
「あの人、かっこいいよね」
「サティーーーーーーーーーー=どこが!」
2・「テーーーーーーー」
僕の推測「คักแท่ カックテー=いいじゃん」の超省略形。 ほとんどテーしか聞こえない。
「みてみて! この新しいバイク!」
「カク テーーーーーーーーーーー 」
このแท่は超頻出表現で、いろいろな用途がある。
たとえば คื่อ ~ แท่ で「~みたいだ」という意味になる。
「คื่อหลับแท クラップテ=寝ちゃったみたいだ」
3・「マピーーー」
僕の推測「タイ語 มานี่ マーニー=ここに来なさい」のラオ表現らしい。
「ご飯出来たよーーーー マピーー! マピーー!」
他にも状況によって「ここ=นี่ ニー」が「ピー」に変化する事があるらしい。
4・「チャック!」
僕の推測「รู้จัก・タイ語 ルーチャック・イサーン語 フーチャック=知っている」のラオ式 強調省略
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知ってるよ!)」
注:文脈によって「บ่รู้จัก ボーフーチャク=知らない」の省略である場合もある。
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知らなかったよ!)」
前後の文脈を知らないとどちらだか判別できないところがミソ。
5・「ドゥ?」
イサーンのみ、噂ではラオス語では言わないらしい。 僕の推測「・・・してみ?」
「กินดู๋ キンドゥ? 食べてみ?」
「เบิงดู๋ ブンドゥ? 見てみ?」
6・「スムースムー」
「ฝนตกสุมือสุมือ フォントックスムースムー 連日雨が降る」
この連日という表現、イサーン語では強調表現にすることが出来る。
強調になるとスムーの一つ目を裏声で発音する。
7・「ボメンネウデ」
僕の推測「大した事ない」
แนว(?)は、物事全般を表す言い方で、いろいろな使い方がある。
แนวกิน で 食べ物という意味になる。
また「มันบ่เมนแนวดี マンボメンネウディー」 で「決して褒められた話ではない」
という意味になるらしい。
8・「パイ」
「タイ語 ~รึยัง ~しましたか?」のイサーン表現(ラオス語でどう言うかは不明)
「 กินข้าวไป キンカーウパイ? もうご飯食べた?」
「อยู่เมืองไทยโดนแล้วไป ユームアンタイドーンレーオパイ? =タイはもう長いの?」
9・「บาดมีดバットミート=ナイフで怪我をする」
タイ語では、正しくは มีดบาด ミートバットというのだけど、
イサーン語だとこの語順がしばしば逆になる。
僕の予想では、普通「S+V」で事象を表す表現になるところを、イサーン語では
「V+S」とひっくり返してつなげることにより動名詞化する事が出来るらしい。
タイ語にはこの倒置動名詞表現は無く、これが、非常にイサーンっぽい響きになる。
「イサーン語 ตำส้ม タムソム <=> タイ語 ส้มตำ ソムタム」
「เจ็บหำ チェップハム=チンコが痛くなる≒性病にかかる」
「イサーン語 ตำหัว=タムホア=頭をぶつける <=> タイ語 หัวชน ホアチョン 」
ラオス語でどういうかは、不明。
10・ムアチャオダイパイパテートラオ(ラオス語・いつラオスに行きましたか?)
以下で説明する要素は、イサーン語にはなく、ラオス語にしかない要素らしい。
WHENを表す単語 タイ語 เมื่อไร ムアライ・ イサーン語 เมื่อได ムアダイは、ひとつの単語なので
分割できない(と思う)。 だけど、ラオス語では、時を表すเมื่อ ムア、過去を表すได้ ダイの
二つの独立した単語になっているらしい。
だから、上の例文の様に「いつ行きましたか?」と聞くときは、
正しくはムアとダイの間に主語がくるらしい。
ただ、これは文語か敬語のみらしく、口語では、タイ語やイサーン語と同じように聞くことも
あるような気がする。(不明)
11・คื่อสิ クシ
タイ語で อาจจะ アーチャ が イサーン語で อาจสิ に変わるケースと คื่อสิ に変わるケースとがある。
この様に、文脈を説明する表現がタイ語よりラオス語の方が多く、1:1で結びつかないケースが多い。
12・มัน マン
最後に มัน マンをつけると何だかイサーン語っぽくなる。
この時 มัน は タイ語の第二声調ではなく、イサーン語っぽく第三声調で発音する。
カイマン「こいつの卵」 キーマン「こいつのクソ」 ルークマン「こいつの子供」
ターイマン「こいつ(やっと)死んだ」(これは倒置で、タイ語ではマンターイとしか言わない)
レンロックロックハイマン「こいつにロック風の鎮魂歌を演奏してやってくれ」
(シアンイサーンVOL4より)
13・業界トーク
イサーン語で人の話を聞いている時、話をいくら聞いてもわからない事がある。
これは往々にして「業界トーク」である可能性がある。 12歳で農業に従事して以降
60年、農業一筋で生きてきた、という様な筋金入りのファーマーは、自然に対する洞察力、
自然と共に暮らすノウハウ、共に、凄まじいものがあり、そうやって一筋で生きてきた人にしか
理解し合えない話がたくさんあるみたいだ。 その土地の 土の質、水の流れ、生息する動物の
傾向に至るまで、丸で自分の体の一部の様に熟知して感じていて、同じ土地で同じように農業を
している人だけが、分かり合える話があるみたいだ。
当然だけど、そういう話は、いくら聞いてもわからない。
イサーンの人は月を見れば大体の時間と日付を言い当てる事が出来るらしい。
月の出・月の入を覚えていて、月の形とその入りの時間を見ることで、当てるらしい。
まるで カレンダー要らずだ。 別に特異技能とかではなく、その辺のおばちゃんでも
当たり前のようにそれが出来るらしい。
そういう自然に対する観察力が文化や感受性として備わっているんだなぁと思った。
改めて書いてみるとあるなぁ...たくさん。
14・ワサン
数年前、センタンワールドの高級小物屋店に入ったら、店員さんが近寄ってきた。それで様子を伺いながら「ハロー」って言ってきたことがあった。 で、何となく「ハローワサン」って返事をしたことがあった。
このワサンっていう言い方はイサーン語・ラオス語特有の言い方だ。เวาสัน ワオサンの口語省略形で「~だって」っていう意味だ。 だから「ハローワサン」っていうのは「はぁ? ハローだって。」 っていう意味になる。 しかもイサーン語なので、この表現を使うと、自分が田舎出身のラオス語話者だということが知れてしまう。
その時一緒にいた連れはイサーン人だった。 それを隠しながら一生懸命バンコクで生きていた。 店員さんもひょっとしたら、口には出さずとも、イサーンの人だったかもしれない。 違ったのかもしれない。 外人の僕を見て何とか営業成績を伸ばそうと必死で英語を話していたに違いない。 そういう僕等を下にも置かない彼を見て、イサーン人のいつも差別で苦労していた僕の連れは多少勇気づけられたかもしれない。
今改めて考えてみれば、そういう中に置いて、この短い言葉「ハローワサン」という言葉は、極めて効果的に全ての建前を破壊する言葉だった。 僕がそれを言うことにより、僕がその小物を買う気がサラサラないこと、連れがイサーン人であること、この外人がタイ語はおろかイサーン語すら話すこと、つまり金は大して持っていないだろうことなどが、一瞬にして伝わる。
今はそういうことあまり言わなくなった。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1555961884&owner_id=459989
この間、知っておもしろいなと思ったのが、นม(nom/乳)の発音の違いについてだ。 นมは、タイ語だと、第二声調(低)で発音する。 ラオイサーン語だと、第三声調(高低)だ。 ところが、おもしろいことに、ラオス標準語だと、タイ語と同じ第二声調(低)で発音するらしい。 これを見て思ったのだけど、ラオス語とタイ語は、実はかなり似ていて、イサーン語だけが違うことがあるのだ。
僕はずっとラオイサーン語だけを聞いてきたし、それがラオス語なのだと思っていた。 だから、ラオス語とタイ語が似ていると言われるとものすごく違和感があった。 しかし、イサーン語とラオス語の違いを念頭に置いた上で、ラオス語とタイ語を比べると、実はこちらは案外似ているところがある。
ラオスに居て色々な人の話を盗み聞きしていると、みんな発音がものすごくはっきりしていてわかりやすい。 特にタイ語を勉強した事があると、基本的な発音が案外似ているので、割とすっと聞き取れる。 しかし、イサーン語はまったく別物だ。 タイ語を勉強した事があっても、まったく聞き取れない。
イサーン語とラオス語を比べると、今まで僕が気がついているだけで、これだけの違いがある。
1・เอือ (wua) の เอีย(ia) 化
ラオス語で帰宅を表す「ムアバーン」が、イサーン語だと「ミヤバーン」に変わってしまう。
2・จ(Ch)の ก(K)化
中国語 を表す ภาษาจีน パーサーチンが、パーサーキンに近い発音に変わる。
3・第三声調(中高)の第五声調(高低)化
「チャオユーサイ?今どこに居るの?」 「ユーナーニラ・田んぼだよ!」 のナーの発音が違う。
「ワオラオダイボー?=ラオ語話せるの?」ラーオ ลาว の発音が違う。
4・ม(M) の บ(B) 化(単語に依る?)
果物を表す「マク」の発音が限りなく「バク」の発音に近づく。
「マクナッ(パイナップル)」=>「バクナッ」 「マクナオ(ライム)」=>「バクナオ」
「หมดモット=尽きる」の発音が限りなく「ブット」に近づく。
5・ต(T) の ด(D) 化(単語に依る?)
田んぼ仕事=「ヘッナー」 が、イサーン語だと、まれにタイ語の「タムナー」になる。
それがさらにダ行に変化して「ダムナー」になる。
6・ラオス語と比べると、イサーン語の方が全体的に発音が固い。
しかもイサーン語は速くリズミカルに話す。
「ฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนฮ้อนตายตายตายตายตายตายตายตาย」
「ホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンホーンターイターイターイターイターイターイターイターイターイ」
「暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」
・ちなみにタイ語とラオス語(イサーン語)は、似た言語ではあるけど、こちらの方は、もっと根本的な違いが多い。
1・代名詞・人称代名詞を含む・頻出基本単語がほぼ全てタイ語と異なる。(イサーン語とラオス語は同じ)
2・ラオス語はタイ語より声調が多く、声調記号のルールも違う。
僕は、この問題に関して、表を使って網羅的に説明することに成功した。
イサーン語の声調ルールはラオス語の声調ルールで説明出来るけど、
タイ語の声調ルールでは説明出来ない。
タイ語で、短母音かつ語尾がกดบで終わる単語は、全て第七声調という
ラオス語にしかない声調に変わる。 หมด が良い例。
3・多くの単語で (ร/r)が (ฮ/X)の発音に変わる
รัก 愛する タイ語:ラック → イサーン語:ハック
รับ 受け取る タイ語:ラップ → イサーン語:ハップ
รำ ぬか タイ語:ラム → イサーン語:ハム
4・ルール3が適用されない単語は全て (ล/L)に変化する。
5・ラオス語には二重子音が無い。(タイ語でも口語では二重子音を省略するが、書き言葉では省略しない。)
6・語順のルールがかなり違う。 タイ語には倒置表現が無いが、ラオス語・イサーン語にはある。
(下記参照)
7・ タイ語には トゥア ทัว に関する文法が無いなど、ラオス語の基本文法は若干複雑。
8・語尾の活用がラオス語の方がずっと多い。
「เด デー」「แท่ テー」「แน ネー」「เดอ ドー」「นอ ノー」「พี่ ピー」「ลา/ละ ラ」「ดู๋ ドゥ」
それぞれにニュアンス以上の具体的な意味がある。 ( 但し「ดู๋ドゥ」はイサーンのみ? )
9・ラオス語では、語尾に代名詞をつけると敬語になる。
ラオス語では、代名詞には敬意のレベルがあり、つける代名詞のレベルにより多様な表現が出来る。
タイ語は ตรับ/คะ しかない。
「サバイディーチャオ」
「キンカーウナムネー・ポーニャイ」
等々...等々...
最近気になっているラオ表現
1・「サティーーーーーーーーーーーーー」
僕の推測「บ่ดีสักที่ ボディーサクティー=どこも良くない」の超省略形ではないか。
「あの人、かっこいいよね」
「サティーーーーーーーーーー=どこが!」
2・「テーーーーーーー」
僕の推測「คักแท่ カックテー=いいじゃん」の超省略形。 ほとんどテーしか聞こえない。
「みてみて! この新しいバイク!」
「カク テーーーーーーーーーーー 」
このแท่は超頻出表現で、いろいろな用途がある。
たとえば คื่อ ~ แท่ で「~みたいだ」という意味になる。
「คื่อหลับแท クラップテ=寝ちゃったみたいだ」
3・「マピーーー」
僕の推測「タイ語 มานี่ マーニー=ここに来なさい」のラオ表現らしい。
「ご飯出来たよーーーー マピーー! マピーー!」
他にも状況によって「ここ=นี่ ニー」が「ピー」に変化する事があるらしい。
4・「チャック!」
僕の推測「รู้จัก・タイ語 ルーチャック・イサーン語 フーチャック=知っている」のラオ式 強調省略
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知ってるよ!)」
注:文脈によって「บ่รู้จัก ボーフーチャク=知らない」の省略である場合もある。
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知らなかったよ!)」
前後の文脈を知らないとどちらだか判別できないところがミソ。
5・「ドゥ?」
イサーンのみ、噂ではラオス語では言わないらしい。 僕の推測「・・・してみ?」
「กินดู๋ キンドゥ? 食べてみ?」
「เบิงดู๋ ブンドゥ? 見てみ?」
6・「スムースムー」
「ฝนตกสุมือสุมือ フォントックスムースムー 連日雨が降る」
この連日という表現、イサーン語では強調表現にすることが出来る。
強調になるとスムーの一つ目を裏声で発音する。
7・「ボメンネウデ」
僕の推測「大した事ない」
แนว(?)は、物事全般を表す言い方で、いろいろな使い方がある。
แนวกิน で 食べ物という意味になる。
また「มันบ่เมนแนวดี マンボメンネウディー」 で「決して褒められた話ではない」
という意味になるらしい。
8・「パイ」
「タイ語 ~รึยัง ~しましたか?」のイサーン表現(ラオス語でどう言うかは不明)
「 กินข้าวไป キンカーウパイ? もうご飯食べた?」
「อยู่เมืองไทยโดนแล้วไป ユームアンタイドーンレーオパイ? =タイはもう長いの?」
9・「บาดมีดバットミート=ナイフで怪我をする」
タイ語では、正しくは มีดบาด ミートバットというのだけど、
イサーン語だとこの語順がしばしば逆になる。
僕の予想では、普通「S+V」で事象を表す表現になるところを、イサーン語では
「V+S」とひっくり返してつなげることにより動名詞化する事が出来るらしい。
タイ語にはこの倒置動名詞表現は無く、これが、非常にイサーンっぽい響きになる。
「イサーン語 ตำส้ม タムソム <=> タイ語 ส้มตำ ソムタム」
「เจ็บหำ チェップハム=チンコが痛くなる≒性病にかかる」
「イサーン語 ตำหัว=タムホア=頭をぶつける <=> タイ語 หัวชน ホアチョン 」
ラオス語でどういうかは、不明。
10・ムアチャオダイパイパテートラオ(ラオス語・いつラオスに行きましたか?)
以下で説明する要素は、イサーン語にはなく、ラオス語にしかない要素らしい。
WHENを表す単語 タイ語 เมื่อไร ムアライ・ イサーン語 เมื่อได ムアダイは、ひとつの単語なので
分割できない(と思う)。 だけど、ラオス語では、時を表すเมื่อ ムア、過去を表すได้ ダイの
二つの独立した単語になっているらしい。
だから、上の例文の様に「いつ行きましたか?」と聞くときは、
正しくはムアとダイの間に主語がくるらしい。
ただ、これは文語か敬語のみらしく、口語では、タイ語やイサーン語と同じように聞くことも
あるような気がする。(不明)
11・คื่อสิ クシ
タイ語で อาจจะ アーチャ が イサーン語で อาจสิ に変わるケースと คื่อสิ に変わるケースとがある。
この様に、文脈を説明する表現がタイ語よりラオス語の方が多く、1:1で結びつかないケースが多い。
12・มัน マン
最後に มัน マンをつけると何だかイサーン語っぽくなる。
この時 มัน は タイ語の第二声調ではなく、イサーン語っぽく第三声調で発音する。
カイマン「こいつの卵」 キーマン「こいつのクソ」 ルークマン「こいつの子供」
ターイマン「こいつ(やっと)死んだ」(これは倒置で、タイ語ではマンターイとしか言わない)
レンロックロックハイマン「こいつにロック風の鎮魂歌を演奏してやってくれ」
(シアンイサーンVOL4より)
13・業界トーク
イサーン語で人の話を聞いている時、話をいくら聞いてもわからない事がある。
これは往々にして「業界トーク」である可能性がある。 12歳で農業に従事して以降
60年、農業一筋で生きてきた、という様な筋金入りのファーマーは、自然に対する洞察力、
自然と共に暮らすノウハウ、共に、凄まじいものがあり、そうやって一筋で生きてきた人にしか
理解し合えない話がたくさんあるみたいだ。 その土地の 土の質、水の流れ、生息する動物の
傾向に至るまで、丸で自分の体の一部の様に熟知して感じていて、同じ土地で同じように農業を
している人だけが、分かり合える話があるみたいだ。
当然だけど、そういう話は、いくら聞いてもわからない。
イサーンの人は月を見れば大体の時間と日付を言い当てる事が出来るらしい。
月の出・月の入を覚えていて、月の形とその入りの時間を見ることで、当てるらしい。
まるで カレンダー要らずだ。 別に特異技能とかではなく、その辺のおばちゃんでも
当たり前のようにそれが出来るらしい。
そういう自然に対する観察力が文化や感受性として備わっているんだなぁと思った。
改めて書いてみるとあるなぁ...たくさん。
14・ワサン
数年前、センタンワールドの高級小物屋店に入ったら、店員さんが近寄ってきた。それで様子を伺いながら「ハロー」って言ってきたことがあった。 で、何となく「ハローワサン」って返事をしたことがあった。
このワサンっていう言い方はイサーン語・ラオス語特有の言い方だ。เวาสัน ワオサンの口語省略形で「~だって」っていう意味だ。 だから「ハローワサン」っていうのは「はぁ? ハローだって。」 っていう意味になる。 しかもイサーン語なので、この表現を使うと、自分が田舎出身のラオス語話者だということが知れてしまう。
その時一緒にいた連れはイサーン人だった。 それを隠しながら一生懸命バンコクで生きていた。 店員さんもひょっとしたら、口には出さずとも、イサーンの人だったかもしれない。 違ったのかもしれない。 外人の僕を見て何とか営業成績を伸ばそうと必死で英語を話していたに違いない。 そういう僕等を下にも置かない彼を見て、イサーン人のいつも差別で苦労していた僕の連れは多少勇気づけられたかもしれない。
今改めて考えてみれば、そういう中に置いて、この短い言葉「ハローワサン」という言葉は、極めて効果的に全ての建前を破壊する言葉だった。 僕がそれを言うことにより、僕がその小物を買う気がサラサラないこと、連れがイサーン人であること、この外人がタイ語はおろかイサーン語すら話すこと、つまり金は大して持っていないだろうことなどが、一瞬にして伝わる。
今はそういうことあまり言わなくなった。
コメント一覧
かつお 2010年08月08日 01:37
ラオス語も口語と文語では単語が違う場合があると思います。マー・ピーやドゥは教科書には出てきませんよね。回し飲みのときの、サヌードゥみたいに。テーは『本当』という意味で、イサーン語だとイリーでしょうか。ラオス語は多民族国家ラオスの標準語としての言語なので、タイ語みたいに規則性があるのかもしれません。ラオス人でも、ラオス語が話せない人もいますから。
おかあつ 2010年08月08日 13:22
かつおさん、ひょっとして、ラオス語勉強した時に使った教科書、まだ持ってますか?
もし持ってたら本気で貸してほしいです。
かつおさんが読んだ内容の事って本になってないです。
もし持ってたら本気で貸してほしいです。
かつおさんが読んだ内容の事って本になってないです。