(メモ)緊張と権力
2010年06月10日04:56
タイとカンボジアで、また銃撃戦があったのだそうだ。 これをみて、僕は漠然と、隣国との関係が悪化すると、既得権益層は権力を守るのに都合が良くなるのではないか、と漠然と思った。
タイ国軍が起こしたクーデターによりタイを追放されてしまった元首相のタクシンは、親カンボジアだった。 焦げ付いていた国境線問題で現実的な譲歩を行って一気にカンボジアとの関係を劇的に改善した。 しかし、せっかく話がとんとんと進み始めたところを、国王派の政治家にひっくり返されてしまった。 以降、タイとカンボジアの関係は激悪化し、しばしば銃撃戦が行われる程になった。
現実的な譲歩案というのは、確か紛争地帯にあるお寺に関することではなかったかと思う。 領土自体はタイのものにするかわりに国境タイ側にある有名なお寺をカンボジアの世界遺産として登録することを是認する、とかいうところで手打ちにしたと思った。 いいアイデアじゃないか、と思った覚えがある。 タクシンが考えたこんな素敵な妥協案を、国王派の政治家は糾弾し、ご破算になった。
◇
僕はこれを見て、日本の北方領土問題を思い出さずにいられない。 国交を正常化して関係を改善させたいロシア側から何度もいい形の譲歩の提案が出てきているのに、日本はわざと非現実な「四島返還」に固執することで、ロシアの提案をかたっぱしから蹴ってきた。 ロシアから妥協の提案が出ていることなど報道すらされない。 今では日本とロシアの関係はすっかり悪化し、毎年行っていた民間の国際交流「ビザ無し交流」も非常にやりにくい状況になっていると聞く。
何故日本がわざとロシアとの関係を悪化させているかといえば、日本がロシアとの関係を改善してしまうと、アメリカとの同盟を維持し辛くなってしまうからだろう。これは、あくまでも意図的な行為だ。
タイも恐らく、同じだ。 タイがこうしてわざとカンボジアとの関係を悪化させているのは、国王派がカンボジア嫌いという感情的なこともあるのかもしれないが、多分、隣国との関係が改善してしまうと、タイ国内で実質的な権力を握っているタイ国王軍の存在意義が薄れてしまうため、権力の低下につながりかねないのだろう。 国王軍にとってはカンボジアとの関係が悪い方が何かと都合がいい。
国際政治の世界には、まぁ、色々と複雑な事情があるのだろう。 それは仕方がないことだ。 だけど、僕は平和主義で、国の平和を政治的な目的で悪化させられたりするのは、心地よくないなぁ、とは思う。
僕はカンボジアもラオスも好きだし、ロシアも中国も好きだ。
そういう僕は国際政治にはきっと向かないだろう。
◇
タイ、カンボジアがまた交戦
http://www.newsclip.be/news/2010609_027734.html
2010/6/ 9 (16:16)| インドシナ カンボジア トップニュース
【カンボジア、タイ】タイ字紙報道とカンボジア政府によると、8日朝、タイ東北部シーサケート県クンハーン郡のタイ、カンボジア国境で両国の兵士数十人が約10分間にわたり銃撃を交わした。タイ側に死傷者はないもよう。タイ軍は9日時点で、現場から報告がないとして状況説明を行っていない。
両国軍は2008年から今年にかけ、国境で度々武力衝突し、双方の兵士数人が死亡している。
タイとカンボジアの国境はカンボジアがフランスの植民地だった当時に線引きされ、タイ側には領土を奪われたという感情が根強い。2008年には国境係争地域にあるヒンドゥー寺院遺跡プレアビヒアがカンボジアの世界遺産として登録され、共同登録を主張していたタイが態度を硬化。同年末に発足したタイのアピシット政権はカンボジアのフン・セン首相を「やくざ者」と呼んだカシット元駐米大使を外相に起用したほか、プレアビヒアの世界遺産登録について、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に異議を申し立て、両国の関係は険悪化した。カンボジアは昨年、タイで汚職で懲役2年の実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元タイ首相を政府顧問に任命、タクシン氏が同年11月にカンボジアを訪れ、タイ、カンボジアの双方が大使を召還する事態に発展している。
タイ国軍が起こしたクーデターによりタイを追放されてしまった元首相のタクシンは、親カンボジアだった。 焦げ付いていた国境線問題で現実的な譲歩を行って一気にカンボジアとの関係を劇的に改善した。 しかし、せっかく話がとんとんと進み始めたところを、国王派の政治家にひっくり返されてしまった。 以降、タイとカンボジアの関係は激悪化し、しばしば銃撃戦が行われる程になった。
現実的な譲歩案というのは、確か紛争地帯にあるお寺に関することではなかったかと思う。 領土自体はタイのものにするかわりに国境タイ側にある有名なお寺をカンボジアの世界遺産として登録することを是認する、とかいうところで手打ちにしたと思った。 いいアイデアじゃないか、と思った覚えがある。 タクシンが考えたこんな素敵な妥協案を、国王派の政治家は糾弾し、ご破算になった。
◇
僕はこれを見て、日本の北方領土問題を思い出さずにいられない。 国交を正常化して関係を改善させたいロシア側から何度もいい形の譲歩の提案が出てきているのに、日本はわざと非現実な「四島返還」に固執することで、ロシアの提案をかたっぱしから蹴ってきた。 ロシアから妥協の提案が出ていることなど報道すらされない。 今では日本とロシアの関係はすっかり悪化し、毎年行っていた民間の国際交流「ビザ無し交流」も非常にやりにくい状況になっていると聞く。
何故日本がわざとロシアとの関係を悪化させているかといえば、日本がロシアとの関係を改善してしまうと、アメリカとの同盟を維持し辛くなってしまうからだろう。これは、あくまでも意図的な行為だ。
タイも恐らく、同じだ。 タイがこうしてわざとカンボジアとの関係を悪化させているのは、国王派がカンボジア嫌いという感情的なこともあるのかもしれないが、多分、隣国との関係が改善してしまうと、タイ国内で実質的な権力を握っているタイ国王軍の存在意義が薄れてしまうため、権力の低下につながりかねないのだろう。 国王軍にとってはカンボジアとの関係が悪い方が何かと都合がいい。
国際政治の世界には、まぁ、色々と複雑な事情があるのだろう。 それは仕方がないことだ。 だけど、僕は平和主義で、国の平和を政治的な目的で悪化させられたりするのは、心地よくないなぁ、とは思う。
僕はカンボジアもラオスも好きだし、ロシアも中国も好きだ。
そういう僕は国際政治にはきっと向かないだろう。
◇
タイ、カンボジアがまた交戦
http://www.newsclip.be/news/2010609_027734.html
2010/6/ 9 (16:16)| インドシナ カンボジア トップニュース
【カンボジア、タイ】タイ字紙報道とカンボジア政府によると、8日朝、タイ東北部シーサケート県クンハーン郡のタイ、カンボジア国境で両国の兵士数十人が約10分間にわたり銃撃を交わした。タイ側に死傷者はないもよう。タイ軍は9日時点で、現場から報告がないとして状況説明を行っていない。
両国軍は2008年から今年にかけ、国境で度々武力衝突し、双方の兵士数人が死亡している。
タイとカンボジアの国境はカンボジアがフランスの植民地だった当時に線引きされ、タイ側には領土を奪われたという感情が根強い。2008年には国境係争地域にあるヒンドゥー寺院遺跡プレアビヒアがカンボジアの世界遺産として登録され、共同登録を主張していたタイが態度を硬化。同年末に発足したタイのアピシット政権はカンボジアのフン・セン首相を「やくざ者」と呼んだカシット元駐米大使を外相に起用したほか、プレアビヒアの世界遺産登録について、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に異議を申し立て、両国の関係は険悪化した。カンボジアは昨年、タイで汚職で懲役2年の実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元タイ首相を政府顧問に任命、タクシン氏が同年11月にカンボジアを訪れ、タイ、カンボジアの双方が大使を召還する事態に発展している。
コメント一覧
ナム 2010年06月10日 23:46
なるほどぉ、と参考になる考え方でした。