育った家
2010年05月05日18:54
今住んでいる母の実家の近所に、非常に古い木造のアパートがある。 ここは、僕が小学生の時に住んでいたアパートだ。 僕はここで育った。 僕はここでプログラミングを覚えた。 ここで空に望遠鏡を向けて星を眺めた。 ここで生まれて初めてギターを練習した。
ところが時代の流れで、大家が亡くなり誰も住まなくなり、いよいよ近日中に取り壊されるらしいということを知った。 貼紙によると、取り壊しは明日らしい。
それで、写真を撮りにいこうと思い立った。
もう誰も住んでいないし、話によると相続した娘さんもここには住んでいないらしい。 だから、入っても誰も怒らないし、断って入るにせよ断る人がいない。 だから勝手に入って写真を撮った。
外から手すりが見える。 昔作りのアパートで、各部屋に大きなサッシ窓がついており、このサッシ窓の外には誤って落ちたりしない様に鉄で作った「乗りだし」がついている。
僕の部屋は二階で、僕はいつもこの「乗りだし」に寄りかかって、プログラムを組んでいた。 外を通る人を眺めながらプログラミングしていた。 風通しの良い部屋だった。
僕が最後にここに入った時は身長が今の半分位しかなかった。 だから立ってあるくと奇妙な違和感を感じる。 視点が僕の記憶の中よりずっと高いからだ。 しゃがむと一気に色々な思い出がよみがえってくる。
窓から屋根の上に出て歩けるようになっていたり、雨避けのひさしがついていたりするので、一階からよじ登って二階の窓に入ったり出来た。
小さな猫が居てよくエサを与えていたこと、小鳥を飼っていたこと、気性の荒い犬が居てしょっちゅう噛まれたこと、 裏にかわいい女の子が住んでいてよく遊んだこと、等々...自作で王様ゲームを作って友達を大勢呼んで遊んだこと...(ある名前を入れるとその友達だけ常に引きが悪くなる様にするハードコーディングをしたことなど)
近所の高層マンションに登って上からアパートを眺めた。 近所はもう、高層マンションだらけだ。 母の実家が高層マンションの谷間にある。 そこにあることはわかったが、見えない。 実家はとても小さな家で、この中だけが僕の宇宙のようだが、ふと周りを見回せば、街の進化に置いてきぼりになっている、実家。
育ったこの木造アパートは明日無くなる。
近所を散歩するとき、いつもこのアパートが近所にあることで、一種の安心感の様なものを感じていた。 だけど、それも明日無くなる。
まぁこれも時代だぁね。
だけど、もう振り返ることもないだろう。
ところが時代の流れで、大家が亡くなり誰も住まなくなり、いよいよ近日中に取り壊されるらしいということを知った。 貼紙によると、取り壊しは明日らしい。
それで、写真を撮りにいこうと思い立った。
もう誰も住んでいないし、話によると相続した娘さんもここには住んでいないらしい。 だから、入っても誰も怒らないし、断って入るにせよ断る人がいない。 だから勝手に入って写真を撮った。
外から手すりが見える。 昔作りのアパートで、各部屋に大きなサッシ窓がついており、このサッシ窓の外には誤って落ちたりしない様に鉄で作った「乗りだし」がついている。
僕の部屋は二階で、僕はいつもこの「乗りだし」に寄りかかって、プログラムを組んでいた。 外を通る人を眺めながらプログラミングしていた。 風通しの良い部屋だった。
僕が最後にここに入った時は身長が今の半分位しかなかった。 だから立ってあるくと奇妙な違和感を感じる。 視点が僕の記憶の中よりずっと高いからだ。 しゃがむと一気に色々な思い出がよみがえってくる。
窓から屋根の上に出て歩けるようになっていたり、雨避けのひさしがついていたりするので、一階からよじ登って二階の窓に入ったり出来た。
小さな猫が居てよくエサを与えていたこと、小鳥を飼っていたこと、気性の荒い犬が居てしょっちゅう噛まれたこと、 裏にかわいい女の子が住んでいてよく遊んだこと、等々...自作で王様ゲームを作って友達を大勢呼んで遊んだこと...(ある名前を入れるとその友達だけ常に引きが悪くなる様にするハードコーディングをしたことなど)
近所の高層マンションに登って上からアパートを眺めた。 近所はもう、高層マンションだらけだ。 母の実家が高層マンションの谷間にある。 そこにあることはわかったが、見えない。 実家はとても小さな家で、この中だけが僕の宇宙のようだが、ふと周りを見回せば、街の進化に置いてきぼりになっている、実家。
育ったこの木造アパートは明日無くなる。
近所を散歩するとき、いつもこのアパートが近所にあることで、一種の安心感の様なものを感じていた。 だけど、それも明日無くなる。
まぁこれも時代だぁね。
だけど、もう振り返ることもないだろう。
コメント一覧
せおはやみ 2010年05月05日 19:09
その写真が見たいですね。
母は10年前になくなりましたが、
なくなる数年前、一緒に和歌山県の太地に帰ってみました。
裕福な家に育った母でしたが、
その生家は石垣が残っているだけでした。
「何もかもなくなってしまったのね…」
と母は一言だけ呟きましたが、
さぞ切なかったでしょう。
自分の育った家がなくなってしまうのは、
肉親と別れるような切なさがあるものです。
「それも明日無くなる。」
お気持ち、お察し致します。
母は10年前になくなりましたが、
なくなる数年前、一緒に和歌山県の太地に帰ってみました。
裕福な家に育った母でしたが、
その生家は石垣が残っているだけでした。
「何もかもなくなってしまったのね…」
と母は一言だけ呟きましたが、
さぞ切なかったでしょう。
自分の育った家がなくなってしまうのは、
肉親と別れるような切なさがあるものです。
「それも明日無くなる。」
お気持ち、お察し致します。
タビビト 2010年05月05日 20:25
自分がある時期生活をしていた場所、しかも自分の成長の証でもあるような建物がなくなるということ、その切なさお察しします。世間が均質に時間が経過していくなか、取り残されていくものもある、そしてそれが自分の思い出の場所であるというのは、哀しいということとはちょっと違うと思うのですが、思うところはあると思います。私は昨日まで実家のほうへ帰っていましたが、私の場合はまだ実家とその環境のしがらみから逃げるということの方が勝っているようです。もっと自由になりたいです(笑)。
vlinder@りる☆ 2010年05月05日 23:30
おかあつさんの生い立ちって色々ありそうで興味深いです。
今の身長の半分くらいってことは、
だいぶ小さい時からプログラミングしてたんですね~!
王様ゲームw
振り返ることもないだろう
って言えるところが凄いです。
私はといえば振り返ってばかりで。
今の身長の半分くらいってことは、
だいぶ小さい時からプログラミングしてたんですね~!
王様ゲームw
振り返ることもないだろう
って言えるところが凄いです。
私はといえば振り返ってばかりで。
oxoofo 2010年05月06日 02:09
わ、なんですか、この素敵な、なんでしょう、なんだろうか、
おもわず、「自分が初めてプログラムしたのはね、」などといろいろ話したくなったり、
なんだか、なにか、小説が読んでみたくなったり、 などと、しました。
おもわず、「自分が初めてプログラムしたのはね、」などといろいろ話したくなったり、
なんだか、なにか、小説が読んでみたくなったり、 などと、しました。
ろんたりんくo(^-^)o 2010年05月06日 05:39
いわゆる1つの「諸行無常」というやつですね。
>だけど、もう振り返ることもないだろう。
明日への意志を感じました。
>だけど、もう振り返ることもないだろう。
明日への意志を感じました。
さい 2010年05月06日 06:08
おかくんに
こども時代の
思い出があったとは!
うちにも乗り出しがほしい!
こども時代の
思い出があったとは!
うちにも乗り出しがほしい!