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2009年12月29日火曜日

蝿 (mixi05-u459989-200912290615)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
2009年12月29日06:15
僕が住んでいるタイの田舎は、蛍がたくさん住んでいる。 天の川が見えるほど空が澄んでいる晴れた日に空を眺めていると一瞬流れ星が飛んだように見えるのだけど、よく見るとずっと近いところを飛んでいることに気がつく。 ふと見ると緑色に光る蛍が無数に周囲を飛んでいる。

で、蛍がいるということは、他の虫もたくさんいるということでもある。 その中でももっとも目立つ存在が蝿だ。 蝿は小さい虫だが、とても目立つ。 何故ならば、パソコンをしていると突然鼻先に止まったり、指先に止まったりするからだ。 追い払ってもまた戻ってくる。 足に止まって人の脛を舐め回したりする。 何度追い払ってもしつこく戻ってくる。 かと思えば、人が集中して仕事をしているパソコンの画面上にやってきてウロウロ歩き始めたり、そこで仲間と戯れたり、そのままなしくずし的に入れたばかりのコーヒーのカップの中に飛び込んだりする。 小さい虫だが、大きな存在だ。 他の虫が決してしないような神経に触る看過しがたい迷惑を繰り返す。

蝿を殺すのは困難ではない。 蝿叩きを持ってきて狙いを定めて叩けば良い。 簡単に死ぬ。 迷惑を繰り返し一向に止める気配を見せない蝿を見つけたら、蝿叩きを持ってきて叩く。 彼は一撃であっさり死ぬ。

ところが、彼らは恐れを知らない。 無知である。 僕のところに来ればすぐに殺される。 そう評判になり僕のところに近づかなくなる、というようになればどんなに良いことかと思う。だが、彼らは覚えない。 彼らは、友を殺した仇である僕のところに、何の気兼ねも屈託もなく笑顔で遊びにくる。つまり彼らは再び殺される。 どんなに殺されても、殺されるとわかっていても、再び殺されにやってくる。 蝿は次から次へと生まれて決して尽きない。 次から次へとやってくる。

蝿という虫は、一匹一匹は、極めてか弱く簡単に死ぬおろかな虫だ。 だけど、人間から莫大な時間と自由を奪う。



僕は最近思うのだけど、ネットというのは、ある意味、蝿が多い仕事場のようなものではないか。 そういう気がする。 ネットは仕事をする上でかかせない存在だけど、「蝿」が多いのだ。

蝿は叩けばあっさり死ぬ。 だけど、蝿は次から次へとやってきて、いつまでたっても尽きない。 あっさり死ぬ蝿だけど、なかなか俊敏なので、それ相応に集中力を必要とする。 殺すのには結構時間がかかるのである。 だから出来れば無視して追い払いたい。

しかし、彼らはまぶたの上や指先などに止まる。 追い払ってもしつこく戻ってくる。 看過しがたい迷惑を繰り返す。 だから思わず蝿叩きを手に取り叩き始める。 だけど、しばしば一日中蝿を叩いている自分に気がつく。 蝿など殺しても何の役にもたたない。 経験にもキャリアにも給料にもならない。 だが気になるので思わず叩き始めてしまう。

ネットには蛍もいる。 だけど、蝿も多いのだ。 蝿が蛍を凌駕している。



これはかなり僕に取って深刻な問題だと思う。 一番良いのは、ネット断食をすることだと思う。 今まで試したところ、これが一番頭がすっきりする方法だった。 もっと高度な情報集約技術が生まれない限り、このままなんだろう。


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出展 2009年12月29日06:15 『蝿』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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