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2008年3月30日日曜日

SaaSって何か。 (mixi05-u459989-200803300249)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
SaaSって何か。
2008年03月30日02:49
SaaS という言葉が流行り始めているらしい。

http://en.wikipedia.org/wiki/Software_as_a_Service
http://ja.wikipedia.org/wiki/Software_as_a_Service

というか、SaaSなんてわざわざいいだすまでもなく、今出回っているアプリはほとんどSaaSだ。

ま、要するに mixi のように センターサーバー方式にして、ネットに接続して全ての処理をサーバーにさせることで、ユーザーをサーバーに依存した存在にさせる。 これにより、お金を払わなければサーバーを止める、といった処理が可能になる。 これはビジネスとしてみると非常に便利な機能と言える。

副作用は、言わずと知れたことだけど、重くなることだ。 端的に言って、1万人ユーザーが居たら、1万台サーバーが必要になる。 1万人分の回線転送容量も必要になる。 1人1台インターネットがつながったパソコンを持っている時代だというのに、こんな不合理なことがあるだろうか。 これは、どう考えても、コストアップで不合理だ。

そもそも、インターネットにつながずに、単独のコンピューターで、独占して実行できるというのは、欠点ではなく利点だった。 処理もサーバーを使うのと比べてはるかに高速だ。 でも、何故今更、それをサーバー化するのだろうか。

ロスが大きいということは、消費社会にとってはいい事なのだろう。 そのほうがお金が回るからだ。



しばらく前、アプリケーション開発業界では「脱ホスト・サーバー化」というようなことが言われていた。

90年代に入って リナックスなどの、UNIX系のサーバーインフラが整ってきた。 これらは一般的に一度買ってインストールしてしまえば、利用料などはかからない。 しかし、それ以前に一般的だったホスト機と呼ばれたやつらは、そうではなかったのだ。 保存容量や処理内容によって、月額の使用量を払う必要があった。

80年代~90年代前半にかけ、利用料式の時代が長く続いた。 その後、90年代に入り UNIX系のサーバーが普及するにつれて 「サーバー化」ということがいわれるようになった。 つまりバカ高い利用料を取られるホストを辞めて、無料で使える サーバーに移行したほうがよくね? という事なのだ。 こういう傾向は90年後半まで続いた。

その後、時代は2008年。 インターネットは、なぜか、ホスト式に戻ろうとしている。



もともと、ホスト機というのは、一個だけの超高速スーパーコンピューターを、みんなで仲良く共用しようという発想から生まれたものだ。 むかしむかし、コンピューターがまだ高価なものだった頃の発想だ。 一人一台パソコンを持ったり出来ないような時代だった。 だから、こういうすごいコンピューターを一台だけ用意して、それをみんなで順番に仲良く使いましょうね、という発想が、ホストコンピューターの基本方針だった。

しかしだ。 今はその時代のスーパーコンピューターの1億倍ぐらい性能がいいコンピューターを、みんな一人一台持っているような時代なわけで、みんなで分散して処理したほうが、よっぽど効率がいいのだ。 だからこそ、ここ20年ぐらいは「みんなで手分けしよう」という発想に変わりつつあった。 これのことを「ダウンサイジング」とか「クライアントサーバー化」なんていうふうに呼んだ。



1998年ごろ、 HTTPを流用した ウェブアプリが流行し始めた。 これは「クライアントサーバー形式」の欠点を一つだけ解決していた。 「クライアントサーバー形式」では、各PCに特殊なクライアントアプリをインストールする必要があった。 当時は、アプリケーションをインストールする作業というのは、非常に面倒な時代だった。 PCがまだ今ほど速くなかったので、インストールするだけで一日がかりだったりしたのだ。 そういうPCが1万台あれば一万日かかる計算である。 面倒だったのだ。 しかし、ウェブアプリでは、ブラウザさえインストールしていれば、クライアントアプリをインストールする必要がなかった。これは非常に便利だったのだ。

しかし、ウェブアプリには大きな欠点があった。 HTTPは基本的にホスト機と同じ、センターサーバー方式を基本としたデータ交換を行うのだ。 だから、ウェブアプリも ホストと同じ様なデータ交換方式を持たねばならぬ宿命を持っている。

その後、Flashが流行し、WEB2.0が叫ばれるようになった。 初期のWEB2.0やFlashは明らかに「クライアントサーバー化」を強く意識したムーブメントだった。 ウェブアプリも「クライアントサーバー化」されるのか、と一瞬思わせたが、実際にはそうならなかった。 WEB2.0やFlashの発想は、時間がたつにつれどんどんと曲解されるようになった。

それで、このSaaSの記事が現れる。

つまりこれは、時代に逆行しているのだ。
時代はどんどんと1970年代に向けて逆行を続けている。
これは一体、どういうことなんだろうか。

今時、クライアントアプリをインストールするのにどれくらいの手間がかかるというのだろうか。

あなたはSKYPEをインストールしたことがあるだろうか。 SKYPEのインストールに何秒かかったか。
あなたはMSNのインストールしたことがあるだろうか。 MSNのインストールに何秒かかったか。
あなたはIE7をインストールしたことがあるだろうか。 IE7のインストールと比べてどれぐらい大変だっただろうか。 恐らくIE7のインストールの方が面倒だったはずだ。

こりゃもうどう考えても、時代に逆行している話なのだ。

SaaS版Photoshopがついに公開、早速使ってみた
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=444090&media_id=39
コメント一覧
ジャコビ   2008年03月30日 05:01
今度 SaaS版Photoshop ってやつを使ってみますね。
ねこ☆ミ。   2008年03月30日 08:35
集中→分散→統合
という、流れになってるのかもしれない。
今は統合が流行中かも。

Webに限らず、企業のシステムも、サーバが管理できないほどの
台数になって、運用コストが問題になってるから。

でも、その一歩先を読めば、また、集中することによって
コストがかかるわけで、分散させつつ管理できるようにするとか
第三の道があるのかもしれないとか、空想したりしますw
おかあつ   2008年03月30日 12:45
僕は小さい頃からベーマガを読みながら育ったので、長いコンピュータ史の文脈の中にいる。 自分で言うのもなんだけど、僕はここ30年ぐらいのコンピューターの歴史に最初から生で触れているって言う点で、極めて珍しいんだと思う。

そういう文脈から見ると、僕が考えている事っていうのは、極めて自明に見える。 どう間違えようも無い当たり前な事実に感じる。 でも、僕が言っていることは、どうもほとんど理解されないらしい...。

上の文章は、相当はしょって書いている。 でも、それでもこれだけの量がある。 これを、ここ数年の歴史しか知らない人からも本当に理解される文章にするためには、多分各章を2~3倍に膨らませて書かないといけないはずとおもう。



> でも、その一歩先を読めば、また、集中することによって
> コストがかかるわけで、分散させつつ管理できるようにするとか
> 第三の道があるのかもしれないとか、空想したりしますw

僕はWEB2.0って言葉を聞いたときに、まずこれを思った。 しかし、こうやって今起こっていることは、統合ではなくて再集中だと思う。

Photoshop をオンライン版に... 一瞬便利にきこえる。 耳障りは恐ろしくいい。 作成した作品をウェブで公開することもできる...。夢の様な気がする。 でも、そんなことはオフライン版でも充分できることだ。

こうやって上げてみる華やかなメリットに比べて、デメリットには、はるかに圧倒する強烈なインパクトがある。 自分が作ったドキュメントが世界中に分散してしまい、管理が自分の手を離れてしまうし、mixiみたいに著作権がどうの... という問題も再勃発するだろう。

なによりサーバーの運営維持費が死ぬほど高くなることも大問題だと思う。 これはユーザーにとってみれば、結果的に作ったドキュメントの生命を質屋に預けるようなリスクを負うことになる。 5年とか6年とかかけて作ったコンテンツが、サービスの突然の撤退によって、失われてしまうということがありえるからだ。

見方を変えると、オンライン版が流行する理由の一つには、個人で作ったドキュメント・データの管理運用が非常に難しいという事もあると思う。 僕は、ここ14年間の全てのメールと作成したドキュメントを全てハードディスクに保管してあるんだけど、これをきちんと管理運用するのは、かなり難しい。 もはや高度スキルが必要だ。 僕はプロだからできるけど、これはもはや素人仕事ではなくなってきている。 オンライン版だと、この管理運用も ある程度別な枠として肩代わりしてくれているので、便利なんだと思う。

でも、これはこれで、全く別枠の話だ。 これはこれで、別なソリューションが必要な問題で、これを安易にウェブサービスのオマケ機能として実装すべきではない。 本来は。 かといって、この問題をきちんと把握してソリューションを考えている人が居ないのも現実なんだと思う。

おかあつ   2008年03月30日 12:45
僕が作っているプログラムは上記の問題に対応している。 でも、その需要が出てくるタメには、SaaSがもっともっと普及して進化して、世の中の人のあいだに「あぁやっぱこれじゃダメなんだ」っていうコンセンサスが醸造される必要がある。

SaaSすげーって...はまって使い込んで、でもサーバーが込んでゲロ重くて使いづらくなって、しかもドキュメント喪失事件も何度も発生して、挙句の果てに著作権騒動が起こって、飽き飽きして... 企業側も、ユーザーの苦情とサーバー管理コストの板ばさみに断末魔の悲鳴を上げるようになって... 全員が「ああ!何かいい方法ないのかよ!」 って思うようにならなければいけないのかもしれない。

でもそういう状況は、まだ 影も見えない。 今はまだ、SaaSが珍しくて仕方がない、企業もサーバー管理コストの恐ろしさを知らず、ユーザーの囲い込みという果実に目がくらんでいる。 ユーザーも、ものめずらしさで、データ管理の恐ろしさを知らず、 かっけー、すげーっていっているレベルなので、当分のあいだは、そういう時代は来ないのかもしれない。
おかあつ   2008年03月30日 12:50
やっぱね、シロウトの目っていうのは、一番正しい。

SaaSを見るプロの目っていうのは、往々にしてそう。 「ウェブでよくここまでやったな」って言う見方なんだよね。 中途半端にコンピューター技術を勉強しているヤツラに限ってみんなそう。 でもね。 ウェブかウェブじゃないかって、そんなの関係ないんだよ。 ユーザーからみれば、端的にスペックダウンでしかないわけだから。

あくまでユーザーの目から見ないとね。
おかあつ   2008年03月30日 12:57
今世の中は、こうやって SaaS すげー って どんどん進んでいる。 それがどれぐらい恐ろしい破滅につながるのかを知らず。 ニコニコハイキング気分だよね。 でも、そうやって派手に大クラッシュしてくれたほうが、僕が作るアプリのありがたさがわかっていいのかもしれない。

ねこ☆ミ。   2008年03月30日 14:40
早速、SaaS版Photoshopを試してみました。

こ、、、、これは、、、、(^^;;;;;;;;;;
おかあつ   2008年03月30日 15:35
試してみた。
あくまでライトユーザー向けだよね。
FaceBookとかのライトな使い道をする時にあくまでライトな編集をするためのツールだよね。

あと、新しいフラッシュって ビットマップ編集の機能が付いているんだよね。
ブラーとかそういうエフェクトがかけられる。
Flashクライアントで出来ない処理はサーバーにさせる。



ああああああああああああああ、もう子供だましにはウンザリだ!
もっと本格的なユースに耐えるアプリが欲しいんだ!おれは!

おかあつ   2008年03月30日 15:40
ま、サーバ的見地は、それはそれとしておいといて、これ、Flashのつくりとしては、非常にレベルが高いよね。 Flashってこういうハイエンドなクライアントアプリを作る事ができるポテンシャルがあるのに、WEB2.0とかいって HTMLに無理させる風潮があるので、それはそれで、僕は好きな方向性だ。

でも、こうやって囲い込まれるのはやっぱり正直好きじゃないなぁ。
bobcat   2008年03月30日 21:02
> ..はまって使い込んで、でもサーバーが込んでゲロ重くて使いづらくなって、
> しかもドキュメント喪失事件も何度も発生して、挙句の果てに著作権騒動が起こって、
> 飽き飽きして... 企業側も、ユーザーの苦情とサーバー管理コストの板ばさみに断末魔の悲鳴を上げるようになって
> ... 全員が「ああ!何かいい方法ないのかよ!」 って思うようにならなければいけないのかもしれない。

うん そうですね…非常にムダなことだとは思いますが。
 
出展 2008年03月30日02:49 『SaaSって何か。』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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