何で文章を書くのか
2006年08月09日04:00
今日はMさんとあった。
「いやー、おかあつさん、よくあんなながい文章書くなぁー、あんまりながすぎると、読む人少ないじゃないですかぁ」
僕は普段友達に厳しい言葉を事を言う事は殆どないんだけど、この言葉を言われた時ぐらいからスイッチが入ってしまったような気がする。
「いゃそれは違うでしょ。 人が読むとか読まないとかは関係ないよ。」
かく言う彼はなんだかんだ言い訳をするも所詮筆不精であり、書くのが得意でないことを見て取っていたので、言い返すことにした。
「あなたね。何も書かなかったら何も考えていないのと同じなんだよ。」
「いや、僕も結構書いているんですよ。 結構いっぱい書き溜めているんです。 でも、社会に対する影響を考えて...」
「あなたね。 書くって言うのは結構難しい事だから、沢山書いて人目にさらされるようにしないと、いつまでたっても上達せんよ」
「いや... 」
この言葉を言ったあたりから、心の中で、じゃぁお前は何で書くのかという心の声が鳴り響き始めた。
何で書くのか。
もともと、僕は文章が非常に下手だったので、とにかく、文章を沢山書いて上達しなければいけない、という危機感があった。 いくら独自のアイデアに基づいて斬新な事を考えても、人に伝えられなければ、何にもならない。 そういう切迫感があった。
それから随分たったが、じゃぁ何で書くのか、といえば、今は「好きだから」だ。 いまや、人が読むかどうかは、あまり関係なくなってきている。 その行為自体が好きなのだ。 かくして、こうやって駄文をつらつらと書き連ねていくわけである。
書くと頭がまとまる。 よくアイデアがあると人に話したりして、話しているうちにアイデアのあいまいな点が明らかになって、より明確にアイデアがまとまる事がある。 これを一人で確認できる。 書くと忘れない。 書いた物自体はなくしてしまっても、書いた事自体は忘れない。 書くというのは、すごく大切な事だと思う。
ここで、言われてみれば、僕は仕事で随分文章を書いていたんだな、と気が付いた。 プログラマーになったばかりの頃は、「アホか。 僕はプログラマーだ。 物書きなど女々しいことなどせぬ。」と、そう思っていた。 だが、それは大きな間違いだった。
プログラムを人のために書く以上は、人に解かり易い説明書をつけなければならない。 プログラムを人のために書く以上は、人の要望とこれから作るもののすり合わせをしなければならない。 プログラムを人のために書く以上は、調査をして文章に起こさなければならない。
全ては文章次第であり、それは仕事の一部だった。
人のために書く。 人に読ませる。容赦なく批判の目にさらされる。 また書く。 人に読ませる。 批判される。 この繰り返しだった。考えてみれば、彼は、まだ、そういう経験をしたことがなかったのだ。
何を話したのか良く覚えていない。 だけど、自分が感じている流れと、自分が話している相手が感じている流れをすり合わせるのがどんなに大変な事なのか、という事をひたすら話したようなきがする。
自分が考えている事が、いかに、これから話そうとしている人にとって特殊な事なのか。 それが、実はいかに特殊じゃない事なのか。
そう話しているうちに、われわれが話し合っていた場所=ひっそりとした夜の東京フォーラムの静けさを破るように「xxxの幸せを祈って、ばんざーい、ばんざーい」という奇妙な叫び声を挙げる一群を目にした。 夜とはいえ、東京フォーラムに人は多かった。 どう考えても目立っており、奇妙だった。
「見ろよ。ヤツを。 おかしいだろ? どう考えたって、奇妙じゃないか。バカみたいだな。 しかしな。 彼の文脈からすれば、奇妙じゃない理由があるはずなんだ。 例えば、もし、彼のあの祝福すべき新郎が、北朝鮮からわたってきた難民で苦労して就職しそれを新婦が長年にわたって支えてきたとしたらどうか。 来日してから10年がたった。 血のにじむような努力の末、新居が手に入り、今、こうして長年の夢 結婚がかなったのだとしたら、全く不自然ではない。 だが、それを知らない人には奇妙に写る。 この書く人と読む人の間の文脈の差を埋める作業が文章を書くということなのだ。わかるか?」
自分の考えを人に伝える事の難しさ。
「いやー、おかあつさん、よくあんなながい文章書くなぁー、あんまりながすぎると、読む人少ないじゃないですかぁ」
僕は普段友達に厳しい言葉を事を言う事は殆どないんだけど、この言葉を言われた時ぐらいからスイッチが入ってしまったような気がする。
「いゃそれは違うでしょ。 人が読むとか読まないとかは関係ないよ。」
かく言う彼はなんだかんだ言い訳をするも所詮筆不精であり、書くのが得意でないことを見て取っていたので、言い返すことにした。
「あなたね。何も書かなかったら何も考えていないのと同じなんだよ。」
「いや、僕も結構書いているんですよ。 結構いっぱい書き溜めているんです。 でも、社会に対する影響を考えて...」
「あなたね。 書くって言うのは結構難しい事だから、沢山書いて人目にさらされるようにしないと、いつまでたっても上達せんよ」
「いや... 」
この言葉を言ったあたりから、心の中で、じゃぁお前は何で書くのかという心の声が鳴り響き始めた。
何で書くのか。
もともと、僕は文章が非常に下手だったので、とにかく、文章を沢山書いて上達しなければいけない、という危機感があった。 いくら独自のアイデアに基づいて斬新な事を考えても、人に伝えられなければ、何にもならない。 そういう切迫感があった。
それから随分たったが、じゃぁ何で書くのか、といえば、今は「好きだから」だ。 いまや、人が読むかどうかは、あまり関係なくなってきている。 その行為自体が好きなのだ。 かくして、こうやって駄文をつらつらと書き連ねていくわけである。
書くと頭がまとまる。 よくアイデアがあると人に話したりして、話しているうちにアイデアのあいまいな点が明らかになって、より明確にアイデアがまとまる事がある。 これを一人で確認できる。 書くと忘れない。 書いた物自体はなくしてしまっても、書いた事自体は忘れない。 書くというのは、すごく大切な事だと思う。
ここで、言われてみれば、僕は仕事で随分文章を書いていたんだな、と気が付いた。 プログラマーになったばかりの頃は、「アホか。 僕はプログラマーだ。 物書きなど女々しいことなどせぬ。」と、そう思っていた。 だが、それは大きな間違いだった。
プログラムを人のために書く以上は、人に解かり易い説明書をつけなければならない。 プログラムを人のために書く以上は、人の要望とこれから作るもののすり合わせをしなければならない。 プログラムを人のために書く以上は、調査をして文章に起こさなければならない。
全ては文章次第であり、それは仕事の一部だった。
人のために書く。 人に読ませる。容赦なく批判の目にさらされる。 また書く。 人に読ませる。 批判される。 この繰り返しだった。考えてみれば、彼は、まだ、そういう経験をしたことがなかったのだ。
何を話したのか良く覚えていない。 だけど、自分が感じている流れと、自分が話している相手が感じている流れをすり合わせるのがどんなに大変な事なのか、という事をひたすら話したようなきがする。
自分が考えている事が、いかに、これから話そうとしている人にとって特殊な事なのか。 それが、実はいかに特殊じゃない事なのか。
そう話しているうちに、われわれが話し合っていた場所=ひっそりとした夜の東京フォーラムの静けさを破るように「xxxの幸せを祈って、ばんざーい、ばんざーい」という奇妙な叫び声を挙げる一群を目にした。 夜とはいえ、東京フォーラムに人は多かった。 どう考えても目立っており、奇妙だった。
「見ろよ。ヤツを。 おかしいだろ? どう考えたって、奇妙じゃないか。バカみたいだな。 しかしな。 彼の文脈からすれば、奇妙じゃない理由があるはずなんだ。 例えば、もし、彼のあの祝福すべき新郎が、北朝鮮からわたってきた難民で苦労して就職しそれを新婦が長年にわたって支えてきたとしたらどうか。 来日してから10年がたった。 血のにじむような努力の末、新居が手に入り、今、こうして長年の夢 結婚がかなったのだとしたら、全く不自然ではない。 だが、それを知らない人には奇妙に写る。 この書く人と読む人の間の文脈の差を埋める作業が文章を書くということなのだ。わかるか?」
自分の考えを人に伝える事の難しさ。
コメント一覧
JUN 2006年08月09日 18:04
人前で語る、論文を書く、たまにやると自分自身の考え方も整理できるし、実は分かっていなかった部分に気づきますよね。
また、伝える技術の一つに比喩がありますが、原理が分かってないと比喩できません。
伝える努力、自分を磨く意味でも大切な事だと思います!
また、伝える技術の一つに比喩がありますが、原理が分かってないと比喩できません。
伝える努力、自分を磨く意味でも大切な事だと思います!
おかあつ 2006年08月09日 19:28
こんな日記にコメントして頂いて... とても恐縮です。(^-^;
こういうことを偉そうに人に言うと、その言葉はその直後に自分に跳ね返って来るわけで、大変です。
>伝える努力、自分を磨く意味でも大切な事だと思います!
ほんと、そうですね...。
こういうことを偉そうに人に言うと、その言葉はその直後に自分に跳ね返って来るわけで、大変です。
>伝える努力、自分を磨く意味でも大切な事だと思います!
ほんと、そうですね...。
さい 2006年08月11日 06:29
「書いてなかったら考えていないのも同じ」
ちょーびっくり。
そうかもね。
私も独り言頑張る。
ちょーびっくり。
そうかもね。
私も独り言頑張る。