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2006年2月24日金曜日

エッセイ 「どっさり仕事」 2006/2/13 (mixi05-u459989-200602241656)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
エッセイ 「どっさり仕事」 2006/2/13
2006年02月24日16:56
どっさり仕事

2006/02/13 8:25

以前、某大手スーパーのシステムを開発している時、ものすごく良く働く人がいた。 まじめで仕事が迅速なので評判の良い人だった。 その人がメンテナンスしていたプログラムを僕が引き継ぐことになった。

とにかく、彼の書いたプログラムはとにかく量が多いのだった。 一つの仕事をするごとに一個ずつプログラムを書く。 違う仕事を頼まれるとそれをコピーして書き換える。 それは、「まとめる」とか「整頓する」とかいう発想のない作業だった。 仕事が終わると、どっさりとプログラムが出来上がる。

そして、彼は、仕事が終わると、それについての解説書を書く。 それは、プログラム毎に穴埋め式のフォーマットで機械的に書いていったものだった。 そして、彼はそれを全て印刷して、納品する。

すると、全部で新聞半年分くらいあるのではないだろうかと言う印刷用紙を消費する。 これくらいの量があると、お客に渡すとき、とてもインパクトがある。 こんなに短期間にで、しかも低予算なのに、こんなにどっさり仕事をしました、という迫力がある。 往々にしてお客さんも喜ぶことが多い。

僕は声を大にして、ここではっきりさせたい。 そんなものはイラン。

大体、手作業で大量に作っていったドキュメントは後々修正するのが大変なのだ。ちょっとしたプログラムの修正であっても、ドキュメントと首っ引きで対応する箇所を付き合せて修正しなければいけない。 大体、手間が掛かる割には、プログラムを読むときに何の役にも立たない。

現在では、ドキュメントを自動生成するプログラムも一般化した上、プログラムを解析するプログラムの技術(IDE)が発達したことによってドキュメント自体の必要性が薄れている。 いまさら手作業でドキュメントを作られても困る。

そもそも、正しいプログラムは、基本的に小さい。 良いプログラムは、同じものは同じもの、違うものは違うものとしてきちんとまとめて整理されている。 プログラムの動作を変更したい時でも、きちんとまとまったプログラムは、一箇所直すだけで、大丈夫だ。

でも、まとまっていないプログラムは、大変だ。 動作を1つ変更するたびに 依存性を解析し変更箇所を洗い出して大量に修正しなければいけない。

それは、過酷な間違い探しゲームに似ている。

もしも、上司が、過去30年分の新聞をどっさりと置いて「この新聞の中で『てにをは』が使われた回数を数えてくれないか? 前後に『昨年』『来年』という単語があった場合でケース分けした上で統計を取って欲しいんだよね。明日朝9時までに。」なんていう作業が、常態化していたらどう思うだろうか。

僕は、そんなの嫌だ。 だけど、プログラマはそういう作業によくなる。

それでも、優秀なプログラマは創意工夫して自動化して、常識では考えられない短時間で仕事を終わらせたりする。だから、よけいに大変な仕事を頼まれたりする。


プログラムは量ではなくて質が大切なのだ。 良いプログラムはコストを下げて生産性を挙げる。 量の多いプログラムは害にしかならないのだ。

以前、僕は、上司に、そのことをがんばって説明したことがある。だが、僕の上司は、合理的で小さいプログラムを書く人よりも、どっさり仕事をする人のほうが好きだったみたいだ。

僕はその会社を辞めた。
コメント一覧
矢本   2006年02月24日 17:56
ふうん。
………面白い!
このくらい童話調で書いていただけると
プログラムなどまったくわからない
私でもよみやすいです。

山形浩生みたいな文体。
おかあつ   2006年02月24日 20:56
おぉ ... (゚ーÅ) ホロリ
言う人が言う人だけに、かなりウレシイ...

がむばります。
吹雪   2006年02月25日 02:00
なるほど…確かに「何もわかってない」人から見たら、目に見える現物がたくさんある方が、「仕事をした」ように見えてしまうものかもしれないのですね。
私なんかは以前、雑誌の記事を書く仕事をしていて「決まった文字数でいかに情報を納めきるか」で四苦八苦してたので、文章とプログラムの違いはあれ「コンパクトにまとめる苦労」はわかるつもりですが、わからない人にはわからないんだろうなあ…
おかあつ   2006年02月26日 11:21
僕がいた会社はどちらかというと体育会系なので、がんばった人が一番! みたいなところがあって、工夫して短時間で終わらせると「何だあいつは」 みたいな風土が、まぁ あったんですよね。

そういうことをいう人って、往々にして、人当たりが良くてやさしい評判の良い人だったりするんですよね。 だからそういう中でことを荒立てると、かなり辛い立場に追い込まれます。

でも僕は、そこをあえて、感じの悪い頑固職人の方が好きです。

それは、本当のことを言う人のほうが、一緒にいて成長できるからだと思います。
禅   2006年02月27日 12:00
おおお、面白いねー
はじめておかあつさんの日記で全部理解できたー

プロの前に人であるおかあつさんが見える会社事情だね~!!
やめて正解でしょ!!

ってゆーかぁー元気しているかい??

おかあつ   2006年02月27日 19:17
そっか~

やっぱり理解困難なんだよね。僕の文章は。 がんばって もっと わかりやすくかかないとね。

でも、わかりやすく書くためには、おぼろげにわかってるだけじゃだめで、その問題に精通してあらゆる角度から見通してないといけない。

そうなるためには やっぱり時間が掛かるんだよなぁ
 
出展 2006年02月24日16:56 『エッセイ 「どっさり仕事」 2006/2/13』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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