タイでは、本当に重要な事以外は相手の裁量に任せるのが常識だ。このコマーシャルは飽くまでも冗談だが、タイ駐在として働く日本人の9割は、しばしば、これと同じ間違いを実際に犯している。
この客が従業員に問いただしている内容は次の様なものだ。
ผักนี่ล้างกี่รอบ
phak1 ni:2 la:ng3 ki:1 roa:p2
この野菜は何度洗いましたか?
รับมาจากที่ใหน มีโรงงานอุตสาหกรรมมั้ย
rap2 ma: ja:k1 thi:2 nai4 mi: ro:ng nga:n ut1 sa:4 ka:m1 mai3
この野菜の生産地はどこですか? 生産地の近くに工業施設などはありますか?
ใช้ปุ๋ยอะไรปลูก ปุ๋ยคอกหรือปุ๋ยหมัก
chai3 pui4 a1 rai pluk1 pui4 khoa:k2 reu:4 pui4 ma:k1
どの様な肥料を使って育てましたか? 堆肥ですか? それとも発酵堆肥ですか?
เมล็ดพันธุ์มาจากที่ใหน เป็น GMO หรือไม่
ma1 led2 phan ma: ja:k1 thi:2 nai4 pen ji: e:m o: reu:4 mai2
種はどこから入手しましたか? 遺伝子組み換えですか?
※タイ語の声調番号については、この記事などを参照にすること。
田舎から出てきた、しがない店の売り子がそんな詳細な話を知っている筈がないではないか。だが日本人(特にバンコクにとても多いある種の日本人)は、相手の立場に立って考えることが苦手で、しばしば相手の状況を配慮できず、このように全く相手にふさわしくないことが明らかな話を持ちだして、辟易させてしまう。
工場や営業所などを管理する日本人として、現地の従業員を辟易させてしまうことは損害だ。辟易させて心が離れてしまえば、本当に重要なところで動いてもらえなくなり、会社として見ても大きな損害を招く。
タイ進出している日本企業の大半は、タイ従業員の人間関係を全くコントロールできておらず、それが原因で労組問題に発展するなど、何かしらのトラブルを抱えている。タイ従業員の人間関係を理解する重要性を全く理解していないからだ。
しかし残念なことに、この様な問題解決の糸口に関して口を酸っぱくして何度説明しようが、タイ駐在の日本人は一切、読まない。山より高い自尊心、谷より低い問題意識 ─── それ以外に形容のしようのないバンコクの日本人。
元より、きちんと問題意識を高く持っている正常な日本人であれば、タイで現地労働者のとの労組問題などのトラブルを起こすことはなかっただろう。僕が書く『訓戒』を読む方は、そういう真面目な方ばかりだ。しかし、そのような人々は、本質的にこの文章を読む必要がない。
このブログを読まなければならない人々=問題を起こしている問題のある日本人に限って、このような訓戒を読まない。興味すら持たない。
「タイ人は、適当だなぁ。すぐ嘘つくし」と見下しつつ、日本の本社には適当な嘘を吐いて隠している内緒事の1つや2つは持っているバンコクの適当な日本人。
この文章は、『白ヤギさんからお手紙ついた、黒ヤギさんたら読まずに食べた。』と同じで、永遠に読まれることはない。
更新記録:
若干の加筆訂正を行った。 (Thu, 25 Feb 2016 23:05:40 +0700)