その『オリジナリティーの秘訣』は、ジョージ・ベンソンが彼の教則ビデオ『アートオブジャズギター』の中で語ったものだ。
際立って個性的なジョージ・ベンソンのスタイルも、実はよく見てみると、案外とあちこちで有名プレーヤーの『パクリ』をしている。まず、次のビデオを見て欲しい。
アル・ジャロウ / ラブ・イズ・リアル (1980年)
イントロの声で演奏する声ドラムが印象的な曲だ。
ジョージ・ベンソン/アブソルートリー・ライブ(2001年)
1h24m辺りで、ジョージ・ベンソンが声ドラムを披露している。素晴らしい演奏だ。
この『アブソルート・ライブ』でのクライマックスで演じるギミックで、ジョージ・ベンソンは、アル・ジャロウの物真似をしているのではないか…と自分には感ぜられるのだが、皆様は如何お考えであろうか。
これに限らず、ジョージ・ベンソンは、しばしばあちこちで有名なミュージシャンの物真似をしている。グラント・グリーン/ウェス・モンゴメリ/ジョニー・スミス/等々等々・・・ 「ミスター・オリジナリティー」とでもいうようなジョージ・ベンソンだけど、よく研究してみると、実はジョージ・ベンソンは、色々なミュージシャンのそっくりさんとでも言うべき程に物真似が激しく、実は案外と個性的でない ─── 方法だけを見ると個性ないにも関わらず、強烈な個性を放っているジョージ・ベンソンのサウンド。
この不思議───
───ジョージ・ベンソンの教則ビデオ「アートオブジャズギター」で、ジョージ・ベンソンが「オリジナリティー」について語っている部分がある。
ジョージ・ベンソンが、スキャットギターについて語っているところ
ジョージ・ベンソンが、個性について語っているところ
「スキャットをやらせたら、僕より上手な奴なんかいっぱいいるし、僕はよく音を外すし…だけどとにかくチャレンジする! キミもやってみるといいんだよ。 『また!お前はジョージ・ベンソンの真似をしてるのか?』って言われることなんか気にしないで、歌ってみることだよ。」
「…歌ってみてその時に出てきた音は、それまでかつて誰も演奏したことのない音なのだ。新しい音は必ず自分自身から来るんだ。声の違いとかちょっとした考え方の違いとか、そういうものが結果的に物凄く大きな音の違いとなって現れてくる。バディー・ガイだって、BBキングだって、マディーウォーターだって、エリック・クラプトンだって ─── そのちょっとした違いが大きな個性を作りだす…。」
「… だから心配するなよ! 音はここから(胸を指す)出てくる。気持ちから音が出てくる限り、人々はそれを必ず感じ取るものなんだよ。」