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2011年3月17日木曜日

(メモ)福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い (mixi05-u459989-201103170108)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
(メモ)福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い
2011年03月17日01:08
大前健一の書いた今回の原発事故に関する記事が、物凄く面白かった。

最後のは「一番の解決策は節電なんだ」っていう意見も、非常にユニークで面白い。僕はプログラマで電気が無いと何も出来ない人だが、インターネットどころか電話もない、電気もしょっちゅう止まるラオス国境地域にずっと住んでプログラムを組んでいる。 電気に頼らないで生活するのは、とても気分が良いものだ。 ノイズが無い静かなで暗い空間の中にろうそくをつけて、暗い中で静かに暮らすのは悪くない。もっともラオの様に時間と空間にゆとりがない日本だと、現実的に厳しいかもしれないが。 日本の密集した木造住宅でろうそくを使うのは火事の危険がありちょっと怖い。


引用 ================================

福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110315/263842/?ST=business&P=1

3月11日午後2時46分ごろ、東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)が発生し、マグニチュードは国内観測史上最大となる9.0を記録した。日本列島の近くを走る複数の断層が連動したため被害が拡大したと見られる。

 宮城県警は「県内だけでも万人単位の死者が出ることは確実」と発表しており、今後捜索が進むにつれて犠牲者の数が数万人規模に達することは必至だ。

 被害にあわれた皆様には謹んでお見舞いを申し上げるとともに、不幸にして亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。



福島第一原発は現在進行形の「大事故」

 現在、大きな心配事となっているのは東京電力福島第一原子力発電所の問題だ。これは現在進行形の「大事故」であり、事と次第によっては今回の大地震と津波の被害に匹敵するほどの影響を全世界に及ぼすものである。

 様々な情報が錯綜する中、正確な判断をくだすのは大変に難しいものがあるが、かつて米マサチューセッツ工科大学で原子力を専攻し、その後に原子力発電プラントの開発技師だった私の経験とこの数日間で原発関係者から集めた情報をもとに現状について考えてみる。

 なお、3月13日午後8時時点での私の見解をスカパーBBT757チャンネルで放映しているので、そのYouTube版を見てもらいたい。つまり、金曜日から日曜日までの間にその後何が起るかはだいたい見当が付いていた、ということだ。



バックアップ体制がすべて駄目になり、制御不能に

 現状は福島第一原発に関して全てを放棄して現場を離れるしかない。報道されていないが、中央制御室付近では放射能が高く、作業が極めて危険な状況にある。つまり、制御できないだけでなく、制御しようと人が近づくことさえできない状態にあると見るのが妥当だ。

 この後は、最悪の炉心暴走になって圧力容器が壊れても、大半の核分裂生成物が格納容器内に閉じこめられることを祈るしかない。そういう深刻な状況になっていることをまず理解すべきである。ここに至る経緯では東電の初期動作の失敗や、設計思想の不備、原子炉行政の問題などいろいろあるが、今はそれを論じるべき時ではない。

 これ以上犠牲者を出さないためには現場を放棄し、空からホウ酸を含んだ水の散布などをトライするくらいしか方法がない。恐らく致死量に達していると思われる原子炉周辺に作業員を送り込むことは良識ある判断とは言えない。

 原子力発電所は何重にも安全対策を施したうえで稼働している。しかし、今回の原発事故は、このバックアップ体制がすべて駄目になり、制御不能になったことによって引き起こされている。具体的に言えば、すべての電源が使えなくなってしまったことが一番大きい。

 電源がないのだから、原子炉内の温度がどれくらいなのか、圧力はどの程度なのかも計器から読み取ることができなかったはずだ。おそらく福島第一原発の中央制御室では状況がほとんど把握できていなかっただろうと思う。



津波でバックアップ電源や変電所が破壊された可能性もある

 しかも最近の原発オペレーターは「マニュアル」で育っている。言い換えれば、今回のような「マニュアル外」の異常事態にはどう対処したらいいのかわからない。そのため初動の遅れが事態を深刻化させている側面も否定できまい。

 また、46年前の原子炉を設計した人やその後のいろいろな追加工事をした経験者を一堂に集めなくてはならないが、今回東電はそうしたことをやってない。想定外のことを考えるには原子炉を生み出した頃の人を集めるしかない。

 「すべての電源が使えなくなってしまった」と前述したが、この件についてもう少し述べておこう。

 原発には万一に備えて2系統のバックアップ電源を用意している。「ディーゼル・ジェネレーター(DG)」と呼ばれるものである。今回の福島第一原発では、この2系統とも起動しなかった。

 その原因は津波だと思われる。福島第一原発の防波堤は7メートルの津波に耐えられるように設計してあったというが、今回はそれをはるかに超える 14メートルの津波が襲った。これにより建屋を越えて海水が流れ込み、非常用電源だけではなく、外部電源を取り入れるところも水浸しになった可能性がある。

 現時点ではまだ報じられていないと思うが、私は津波が福島県内の変電所を破壊した可能性を疑っている。もし変電所が無事に機能していれば外部電源を少なくとも敷地内まで取り込むことができ、たとえDGが停止しても安全装置を作動させることが可能だったはずだ。

 DGが動かない、蓄電池は8時間で切れる、外部からの電源供給もない……。こうなると、「たら・れば」論になってしまうが、福島第一原発の原子炉すべてを同時に緊急停止しないほうが良かったのではないか、と思えてくる。



駆けつけたDG搭載の車両50台は機能したのか

 一般に原発は600ガル程度(加速度の単位)の揺れを検知すると自動停止する。だが1基でも稼働していれば所内の電源が供給でき、問題が発生した炉を安全に停止させることができたはずだ(現に第二原発では14日の月曜日までに常温停止に至っている)。

 また、同一敷地内に6基(うち2基は点検中のため稼働していなかった)も配置するというのは、あまりにも安易ではなかったのか、という点が問題となる。現に4基とも全く同じ危機的状態に追い込まれ、オペレーターも対処しようがないくらいの混乱状態に陥った。このあたりの安全思想に問題はなかったか、後の検証が待たれるところである。

 安全思想上の問題といえば、前述した2系統あったDGがどちらも使えなくなったことも問題である。DGを2台とも海側に設置していたのではあるまいか。また、海水の注入に手間取っているという報道もあった。高温高圧の状態にある格納容器に水を入れるためには強力な加圧ポンプが必要になるが、こうした装置を福島第一原発は用意していなかったことも考えられる。

 DGを搭載した車両が50台近く駆けつけたという報道もあるが、恐らく有効に機能しなかったと思われる。その原因は今のところ不明だが、福島の原発が特殊な電圧を使っていることも考えられる。米ゼネラル・エレクトリック(GE)社が設計した初期の原子炉では440ボルトなど標準と違う電圧が使われており、外部の電源を持ってきても機能しなかった可能性も考えられる。この辺も最悪自体を想定して標準的な電源でもバックアップできるように見直しておくべきだった。



あらゆる不幸が積み重なって異常事態になることがある

 原子力発電所の安全装置はすべて電気で作動するようになっている。今回の事故で明らかになったのは、すべての電源が駄目になる事態を原発は想定していなかった、ということに他ならない。教訓とすべきは、何がどうあっても電源を確保できるようにすることだ。そのためにはDGだけに頼らずに、2系統のうち一つは太陽光発電や風力発電などを利用する手段を考える必要があるだろう。

 また、上述のように同じ場所に原子炉を6基も置くのは問題がある。原子炉を1カ所にまとめたほうが住民対策もやりやすいという事情でそうせざるを得なかった、と政府や東電は言うだろう。だが、それでは地震や津波などの物理的な破壊に襲われた時には全ての炉が同じトラブルに見舞われる。それは 2007年の新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原発事故の教訓でもあった。できるだけ、1基ずつ条件を変えて設置する必要があり、東電にとっては大きな反省材料とすべきだろう。

 「べき」論を今言っても始まらないが、そうしたあらゆる不幸が積み重なって、何一つ機能しない異常事態になることがあるのだ、ということを原子炉技術者は謙虚に受け止めなくてはならない。



海水の注入に成功すれば大きな心配はないが……

 すでに報じられているように、水素爆発を起こして建屋の上部が吹き飛んだ1号機では、原子炉の圧力容器にホウ酸を混ぜた海水を入れる冷却作業が行われている。海水は圧力容器を覆う格納容器にも満たされるということだ。この格納容器はきわめて頑丈にできており、また海水がクッションとなってくれるので、万が一に圧力容器が破裂しても、格納容器そのものには大きなダメージは及ばないだろうと予想される。

 本稿執筆時点では1号機の圧力容器からは崩壊熱がまだかなり出ているようだから、もちろん予断は許さないが、海水の注入に成功すれば大きな心配はないだろう。圧力容器が膨張して破裂する可能性も残ってはいるが、格納容器に満たされた海水とホウ酸が十分な量であれば、それによって核分裂はほぼ止まる。福島第一原発1号機がチェルノブイリ型の大事故に発展することはとりあえずこれで防げる。

 しかし、2、3号機もその後を追うように刻々と同じ道をたどっているので、遅かれ早かれ水素爆発や(冷却に失敗すれば)炉心の溶融まで至る可能性が高い。すでにバラまかれた核分裂生成物は相当な量に及んでいるので、周辺住民の避難指示は適切なものだったと思われる。



燃料棒の被覆管が高温の水蒸気と反応して水素が発生

 1号機の建屋が爆発した理由について少し詳しく記しておこう。

 福島第一原発1号機の運転開始は1971年で、今からちょうど40年前である。そういう比較的古い原発にはよくあることだが、燃料棒の被覆管にはジルコニウムという金属が使われている。このジルコニウムは高温の水蒸気と化学反応を起こして水素を発生させる。自身は酸化物となり、かなりボロボロの脆い物質に変わる。

 一方、水素は最も小さい元素なので、圧力容器の何らかの隙間から外に出て、さらに格納容器も通り抜けて建屋の天井に滞留してしまった。
 

 発生した水素が圧力容器と格納容器を通り抜ける事故が起ることは想定範囲内であった。だから発生した水素を酸素と反応させて水に戻す装置も備えているし、建屋も高圧になった時には水素などを逃がすブロワーがある。しかしそれを使ってしまえば放射性のガスを同時に逃すことになるので、もちろん最後の手段、ということにはなる。だが繰り返しになるが、すべての電源供給が止められていたため、そのいずれもが作動しなかったわけだ。

 手動でバルブを開けて水素を逃がすことができなかったのは、それができないほど大量の放射能が出ていたせいではないかと思う。したがって、決死隊が被爆覚悟で1時間以内に作業を完了しなくてはならない、というような切羽詰まった状況であったと考えられる。1号機の爆発によって救助隊を待っていた近隣の住人たちが被爆したのはその一つの証拠である。

 おそらく3号機も同じようなクリティカルな状態に直面しているはずだ。




チェルノブイリよりはマシだが、スリーマイルより悪い

 こうした状況は、炉心溶融の後に爆発して放射性降下物が広範囲にまき散らされた旧ソ連のチェルノブイリ発電所事故(1986年)よりはマシだと言えるが、炉心溶融が起きた米スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)よりも悪い事態だ。スリーマイルの場合には外界にまき散らされた放射性物質は極微量で、数カ月後にミルクからヨウ素の同位体が検出される程度であった。

 ここまで執筆しているとき、すなわち14日月曜日の午前11時ごろ、先ほど触れた3号機で水素爆発が起き、建屋がまた吹き飛んだ、と報じられた。圧力容器と格納容器は、1号機と同様、現段階では異常は確認されていないという。2号機も何時間か遅れて同じ状況になるだろう。

 下表に世界の原発事故例とその評価尺度をまとめてみた。福島第一原発の事故は、レベル6に相当するものだと私は考えている。今後もし炉心溶融によって外部に放射性物質を相当量まき散らすような事態になればレベル7となり、チェルノブイリ原発事故と同じ状態ということになるだろう。また、複数炉の同時事故という点では世界に全く類例がない。

放射性物質の大気放出量が政府発表の通りならば、除染作業をすれば済むことで、さして心配はいらない。むしろ心配なのは、周辺の農産物に対する風評被害だ。先走ったマスコミがガイガーカウンターを持って周辺を歩き、「この野菜から放射線が検出されました!」など報道すれば、東電が負うべき賠償金額は莫大なものになるのは間違いない。




日本の世論は新たな原発建設を許さないだろう

 福島第一原発事故の影響は、日本の原子力開発に大きな影を落すことになる。

 今後、日本の重電メーカーは海外に原子力発電プラントを売ることができなくなるだろうし、それよりも第一に日本で新しい原発を建設することすら難しくなると私は考えている。福島の第一原発は恐らく全て廃炉となるだろう。現に米国ではスリーマイル島原発事故の後は一つも原発は建設できていない。

 さらに、国主導で進めている、使用済み燃料を加工したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル計画も止まる。なぜなら、福島第一原発の3号機はプルサーマル発電だからだ。炉に海水を入れて冷やすということは、常識としては廃炉にするということである。つまりは「プルサーマルは凍結する」と宣言したに等しい。

 今後、首尾よく原子炉内の熱を冷却して、その手際をいくら東電が喧伝したとしても、あの衝撃的な爆発映像を多くの国民が見てしまった以上、世論は新たな原発建設など許すまい。日本の原子力開発は事実上、終わったのである。

 また、東電のような民間企業が原発のような巨大リスクのあるプラントを抱えていていいのか、という議論も出てくるだろう。もはや脱原発の流れは止めようがない。どうしても原発が必要だということであれば、国が公営企業をつくって運営し、各電力会社に売電するという形にせざるを得まい。




国民が「電気の節約」を積極的に行うしかない

 今回の事故から得られた教訓を生かせば、今後さらに安全性の高い原子力発電所の建設・運営も可能になるかもしれない。しかし前述の通り、それは世論が許さない。世界を見回しても、中国のような国家主導のところはともかくとして、少なくとも先進国では原発の推進は非常に難しくなる。日本は「原発の輸出に力を入れていく」というが、これから日本の原子炉を買ってくれる人はいなくなると覚悟すべきだ。

 それほど今回の事故は本質的な問題を全て露呈させたモノである。アメリカもドイツも原発の建設が30年間なくなって、結局技術者が霧散してしまった。フランスと日本が漁夫の利を得たと思われたが、少なくとも日本は脱落した。原発技術者は残った炉の安全運転に従事するか、中国などに行って生計を立てるしかない。そこまでの結論は既に出たものと思った方がいい。

 となれば、家庭や事業所で使う電力を35%(日本の総発電量における原発の割合)減らすとか、家電製品は最低30%の省エネ性能をクリアしたものしか売ってはいけないといった対策をとる。あるいは、湯水のように電力を使用している国民の生活を改める。そうしたことが我々にできる目下の現実的な解決策ではないだろうか。

 幸い日本経済は全く成長していないので、これはできない相談ではない。今回の反省から全ての原発を再点検し、必要な施設の付加をして生かせるものは生かす。しかし、新たな炉の建設や今回のような恐れのある炉は廃炉とするしかない。国民はその不便を「電気の節約」という行動で積極的に甘受するしかないだろう。




大前 研一(おおまえ・けんいち)
1943年、福岡県に生まれる。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。
 2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラム(ビジネスブレークスルー大学院大学)が開講、学長に就任。経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権の国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。
 近著に『さらばアメリカ』(小学館)、『知の衰退からいかに脱出するか』(光文社)、『ロシア・ショック』(講談社)がある。

大前研一のホームページ:http://www.kohmae.com
ビジネスブレークスルー:http://www.bbt757.com


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出展 2011年03月17日01:08 『(メモ)福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い』