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2008年9月16日火曜日

サトーンサウナ (mixi05-u459989-200809161010)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
サトーンサウナ
2008年09月16日10:10
今日は疲れた...。 でも今日あったことは書いておこうと思う。

昨日のシーロムサウナの成功に気をよくしたので、次のサウナに行くことにした。 今日はサトーンサウナだ。 話によれば、サトーン通りとルンピニー公園の中間にあるということだったので、とりあえずここまで行って見ようと思った。 いつもこういう話はあいまいでなかなか正確な場所がわからないことが多い。 ま知っているところでもあるので、歩いていってみようと思った。

サイアム駅の駅員さんに尋ねたら電車で行く場合BTSのサラデーン駅という駅で降りて歩いていく必要があるらしいことがわかった。 知っているところとはいえ、僕はこの駅で降りたことがなかった。

サラデーン駅というのは、泣く子も黙る歓楽街「パッポン」「タニヤ」がある駅だ、ということについてから気がついた。 僕は正直、この辺りが好きじゃない。 でも、来て始めて知ったのだけどこの辺り、タイには珍しい24時間営業のファーストフードが結構たくさんあるのだ。

以前は本当に24時間営業のお店が少なくて、夜中にコーヒーを飲みたくなった時などに行き場を失ってウロウロする事が少なくなかった。 だけど、最近マックが24時間営業を開始したということで夜中2時以降に行き場を失うことは少なくなった。 とはいえ、マックがある場所はまだ限られており、日本みたいに「ちょっとそこまで行けばある」という感じではない。

ところが、このサラデーン駅周辺は、KFC・バーガーキング・マック・その他、24時間営業と大きく書いてある店がたくさん並んでいた。 便利な場所なんだと思った。

それはさておいて、そのサウナは「サトーン通り」と「パラム4通り」の交差点からちょっとサラデーン駅の方向に入った場所にあるらしかった。 しかしどの辺りになるのかまではわからなかった。 ここまで歩くためには、サラデーン駅からパラム4をサトーン通りに向かってずっと歩いていく必要がある。 歩いてみた。 すぐわかったことは、あまり歩いていて楽しい道ではないということだった。 排気ガスがすごいのだ。 ノドが痛くなって頭がクラクラしてきた。 とはいえ、タクシーに聞いても知っている可能性は低いので、でも、まぁ今日だけなので、我慢して歩くことにした。 (バンコクで行き先を知らないでタクシーを使うのは危険だと思う。 違うところに連れて行かれたりボラれたりするからだ。)

歩きに歩いた。 そうしたらサトーン通りに着いた。 要するに通り過ぎたのだ。 でもそれらしいところは見当たらず途方にくれた。

側に居た辻走りバイクタクシー(モーターサイ)の運ちゃんに聞いたら、詳しい場所を教えてくれた。 僕が聞いた話ではパラム4通り沿にあるというはなしだが、モーターサイの運ちゃんによるとそうではないらしかった。 実際にはソイ(表通りから分岐する小道のこと) を入ったところにあるという話だった。 そのサウナがあるソイの入り口にはモーターサイ乗り場があるからすぐわかるよ、という話だった。

歩いていった。 モーターサイ乗り場はすぐに見つかったが、ソイに入ってもあたりにサウナは見つからなかった。 そのモーターサイの運ちゃんに聞いたら、10バーツで連れてってくれるということで、お願いした。 そうしたら、そのソイのかなり奥の突き当たりまで入っていった。 歩いていくにはかなり遠かった。



入ったら銭湯風の建物が立っていた。 駐車場があって車がたくさんとまっていた。 タイで車に乗っている人は上流階級の人だけだと思う。 要するにタイ人のお金持ち向きのサウナらしかった。 入り口がわからなくてウロウロしていたら、そばのおじさんが教えてくれて、中まで連れて行ってくれた。

ロッカーがあって、プールがあって、ジムもあって、果物・お茶は飲み放題... というシーロムサウナと同じつくりになっていた。 これがタイサウナのスタイルなのかもしれない。 サウナの温度計は120度を指していた。 熱過ぎるほど熱い。 食べ物置き場には、果物の他、つぶあんのお汁粉みたいなものも置いてあって、食べた。 おいしかった。

で、ひとつ気がついたのだけど、ここは、普通のタイ人が多い。 それもイサーン人でも北部・南部人でもない、普通のタイ人が多かった。 僕は、案外だけど、普通のタイ人って見ることが少ないような気がしている。 ここにはいっぱい居た。

僕がよく知っている東北イサーン人が顔のえらが張っていて手足が長い人が多いのに対して、普通のタイ人って割りと体格がガッチリしていて顔が細い。 あと、もう1つ思ったのは、ここのサウナには中華系のタイ人がムチャムチャ多いということだ。

話はちょっとそれるけど、たまに「いわゆるタイ人って何なのかわからない」っていう人にあうことがある。 僕は個人的に「どこに目付けとんねん」と思っている。 全然性格も習慣も違うからだ。

ひとことでタイ人といっても結構色々な民族が居て「いわゆるタイ人(バンコク人)」「中華系タイ人」「東北人(イサーン人)」「北部人(コンヌア)」「南部人(コンターイ)」と入り乱れている。 この人たちはそれぞれ、全然習慣が違う。 実はしゃべっている言葉もかなり違う。

人類学的にこの「いわゆるタイ人」がどこから来たのかには実はかなり諸説あるらしい。 東北人であるイサーン人はラオスがある上の方から下ってきた民族で、北部人も似たような経歴で来たという話だけど、このタイ人ははっきりわからないんだそうだ。 で、そこに移住してきた華僑が混ざって中華系のタイ人が生まれたという話だ。

ちなみに、バンコクに居て会う人...特に日本人が大好きな歓楽街とかに行って日本人が出会うタイ人の99%は実はこの東北イサーン人だ。 この人たちは実はタイ語は得意ではない。 イサーン語というラオス語の一種をはなすからだ。 タイで東北イサーン人は、日本の東北人と同じで田舎者の代名詞になっている。 だからあまり自分が「イサーン人」であるということを言いたがらない。 「私、バンコク人です」と言っている人も実は十中八九、イサーン人だったりする。

僕が思うに、日本人がよく知っている「親切なタイ人」のイメージの多くはイサーン人のイメージじゃないかと思う。 日本人の多くがイサーン人だと気がついていないだけで...。 で、イサーン人ではないリアルなタイ人は話してみると親切だけど結構コスからい人が多い様な気がする。

特に中華系タイ人は、もう日本人と変わらない。 ツンケンしていて仲良くなれない。 体中から「あたしにかまうな」 というオーラが出まくっている。 頭もいいが、親切でもない。 要するに彼らは中国人なのだ。

とにかく、このサウナには、この中華系タイ人が結構たくさんいた。

中華系タイ人は、こりゃもうすぐに中華系タイ人とすぐわかる。 見間違いようもない。 サウナからでると「ウガーーーーーー! アーーー!」とか叫んだりする。 中華系でないタイ人は絶対こういう大きな声は出さないと僕は思う。 あとでかい声で「ガーーーーーペッ」とかやってそこら中につばを吐く。 これも普通のタイ人はやらない様な気がしなくも無い。 ま、こっちは普通のタイ人もやるかもしれない。 で、しゃべり方がまた凄く独特で、僕はなれないので正直何を言っているのかさっぱりわからない。 今日など「マイペンライ」って言っているのすら聞き取れなかった。

僕はどうも中華系タイ人が好きになれない。 下品だし偉そうだし礼儀正しくない。 確かに普通のタイ人よりロジカルでよく働く。 タイの会社の経営者の多くは中華系タイ人であるらしい。だけど、ビジネスに「理念」というものが全く感じられず金儲け主義一本やりにしかみえない。 僕にはこれがすごく下品に見える。

日本の会社はどこか「理念」の香りがする。 任天堂にしても、トヨタにしても、どこかに「世の中、こうだったらいいな」っていう、理想が見え隠れする。 ビジネスとは金儲け+αであり、そのαの部分にサムシングを感じさせる、そういう夢があるように感じられる。 だけど 中国人の会社からはあまりそういう理念が感じられない。


サウナにはテレビが置いてあって、ちょうど政治の話をやっていた。 僕にもっとタイ語力があれば、これが何を言っているかわかったのに、と思う。 暫らく見ていたら、見ている人一同ドッと文句を言い出した。 テレビのアナウンサーが何かを言ったんだと思う。

僕といえば、この人たちが何を言っているのか全く聞き取れず、何でドッと文句を言ったのかさっぱりわからなかった。 当然、何で文句を言っているのか尋ねるのも躊躇った。

僕はずっとイサーン地方に住んでイサーン人の生活を見ていたので、イサーン人に近い考え方をしていると思う。 しかし、ここにいる人たちは、バンコク人(普通のタイ人)や中華系タイ人であり、まったく正反対の考え方をしているんだと思う。 何を考えているのか、何に怒りを感じているのかは、正直かなり興味があった。 だけど、今の僕の理解を超えていた。

このサウナ、正直サウナとしては、あまり好きになれなかったのだけど、こういうタイの上流階級が集まる社交場としては、非常に興味を持った。 仲良しクラブ的な雰囲気があるイサーン地方のサウナと違って、このサウナではかなり上下関係がはっきりしているようにも感じた。 そういう場所に入ると僕は多分一番下っ端なのだと思う。 ビジネスもしていないし歳も若いからだ。 ここにいて、こういう上流のタイ人の雰囲気を知るのは、僕は興味があった。 見下されているが、それはそれで、自分の立場をわきまえ、目上の人を尊重して話を聞くというのは、僕は嫌いなことではない。




そう、いわゆるタイ人というのは、人懐っこくはないように感じる。 かなりツンケンしているし、上下関係もこだわるし、下手に話しかけると見下してくる。


僕はまだ、そういうタイの政治ウォッチに関してあまり詳しいほうではないけど、日本でタイの政治ウォッチをしている人に関してはかなり思うことがある。 日本でタイの政治ウォッチをしている人って、すごくリアリティが欠如しているように思うことがある。

タイ語の新聞やホームページをみて動向をこまめにチェックし、勤勉さを生かして膨大な文献を毎日読みこなしているのだけど、その裏側に生身の人間がいるっていうことを見落としているのではないか、といいたくなる時がある。 タイの様にストレートな国では、新聞も都合のよいようにウソを書くし、都合が悪ければおくびにも出さない。

こういう新聞に書かれていることこそ、こういうサウナで「ガーーーーーーーーペッ」ってやって偉そうにしている中国人のことだったりするわけだと思う。 あるいは、保険も与えられず借金に苦しむイサーン人だったりするのではないか。 そういう人が友達におり、そういう人が感じる怒りや悲しみを傍らに感じながら、新聞を読んでいるだろうか。 文字の裏にはそういう生身の人間がいるのだ。

今日、読売新聞を見ていたら、児童福祉の大使をやっているアグネスチャンがタイに来たというニュースが出ていた。 アグネスチャンは児童買春宿に子供が客と入っていく様子を目撃して涙が止まらなくなったのだそうだ。

しかし、このアグネスチャンの目には、児童買春宿を経営しているのが、実は中華系タイ人なのだ、ということは知りもしないだろう。 更に、その中華系タイ人と、このサウナで 「ガーーーーーーーペッ」とやっている中華系タイ人が一致するはずもないだろう。 更に、この中華系タイ人とタクシン元首相が同じ中華系タイ人だということや、タクシンの政敵ソンティリムトーングンが中華系タイ人だということも知りはしまい。

更に、この売春宿に入っていく子供の多くがイサーン人であることにも気がつきはしまい。

多くのタイ人がイサーン人を差別していることも知りはしまい。 イサーン人は貧しい農民である、かわいそうだから助けなければいけない、といっている影でイサーン人をわざと貧しくするような狡猾な政策を行っていることなど、気がつきもしないだろう。 こうやって意図的に貧しくされたイサーン人を外国のNPOに見せて援助を請うているという事実にも目が向くわけは無い。

タクシンは、このイサーン人に人権を与える、ということをテコに使って自分の権力を拡大した、などということには気がつきもしないだろう。 結果的にタクシンはイサーン人を豊かにして貧困を解決したということも知りはしないだろう。 タクシンがイサーン人に平等を与えた結果、反感を買って辞職に追い込まれた、ということにも気がつきはしないだろう。 タクシンが辞職に追い込まれた結果、多くのイサーン人が職を失って、結果多くの子供が再び売りに出されたはずだ、ということにも目が向くはずも無い。 更にその子供を買い取っているのが実は中華系タイ人だということなど、まったく気がつかないだろう。

ヒューマニズムも1つのプロパガンダでしかない。
アグネスチャンは何に涙を流したのだろう。



帰り、サウナの店主は、僕のヘタクソなタイ語に辟易しながらも、表通りまでバイクで送ってくれた。 親切だなと思った...がいつもこういう風にしてくれるとは限らないだろうから、様子を見ないといけないな、とも思った。 この店に来る人の多くは車で来ているらしいからだ。

表通りまで来て、更にモーターサイを乗り継いでサラデーン駅まで戻ってきたのだった。

(続く)
コメント一覧
ナム   2008年09月16日 12:22
おもしろかったです。
やっばり出版しましょうよ(笑)

タクシンがイサーン人の味方だったなんて初めて知りました。

クレ   2008年09月16日 18:21
タイを臓器売買や子供の売春の舞台とした安易な映画が封切られますが、おかあつさんの評価をぜひ伺いたいです。
おかあつ   2008年09月16日 21:40
ナムさん、
>タクシンがイサーン人の味方だったなんて初めて知りました。

タクシンは地方で金をばら撒いているとか、田舎者に甘いとかそういう言葉をたくさんの日本人から聞いたことがあるのですが、これはイサーン人が嫌いなバンコク人が言っているウソなのです。日本人はこういうウソを見抜けない(というか文章ばかり読んで現実を見たことが無い)ので、かなり頭がいい人でもあっさり信じてしまいます。

イサーンってもともと属国なので、平等が無いのも実はある程度仕方が無いところもあります。 イサーンは元々ラオスで言葉もラオス語を話していた地域ですが、100年ぐらい前、戦争があってタイの領土になったという経緯があります。 要するに、ある意味、日本にとって韓国のような存在です。 でも、その時、イサーン人はラオス人じゃなくてタイ人だって公言してしまったので、今さら「実は属国人なんで...(^^;」というわけにも行かないんだと思います。イサーンってバンコクよりデカく、人口がバンコク人の倍以上いるので更に話がややこしくなります。


そういう意味では、民主主義を盾にイサーン人に人権を与え巨大な票田としてリサイクルしたタクシンは相当狡猾です。そういう意味ではバンコク人にとってタクシンは相当むかつく存在なのです。例えば朝鮮半島が日本の領土だったとして、いきなり中華系日本人が来て日本の首相になって民主主義を盾に韓国人に人権を与えて、巨大な票田を築き上げて政権を奪取したら日本人は納得するでしょうか。 激怒するはずです。 しかし民主主義をかざされると苦しい言い訳を迫られます。もともと平等じゃないからです。 今のバンコク人が同じ心境だといえます。当然そういうホンネはいえないので、こういう苦しいウソをつくんだと思います。

とはいえ、タクシンがやっていることって、農協みたいなもので、日本だったら、ごく当たり前なことです。 ちなみに、タクシンが追放されてから、この農協の機構は「ぜんぶいきなり無予告に」止められたので、資金が立ち行かなくなって借金を背負い込んだ人がたくさん居ます。


クレさん、
なんていう映画ですか?
おかあつ   2008年09月16日 21:40
すみません、上の書き込み、何度も書き換えました。
クレ   2008年09月17日 00:59
『闇の子供たち』
原作の本もあります。
まはヴぃーら   2008年09月17日 01:45
映画の題名は「闇の子供達」です。在日作家・ヤン・ソギルの同名
タイトルの小説が原作です(僕が横レスで答えちゃいますね)。
私は原作には目を通したことがあるのですが、何年前のタイの話
だよって呆れました。映画は見ません。

日本に居ながらのタイ政治ウオッチングですが、リアリティの欠如は
自覚しています。というか、これでリアリティを体感出来るはずがない。
ネットで面白そうな記事を見つけたらプリントアウトして訳して、
という作業は間違いなくオタクの行為です。そこに三次元の感覚
は存在しません。オタクですからね。

ただ、ねちねちやっているとそれなりに疑問が湧いてきます。
例えば官僚や政治家達の顔を見て、やけに白い肌の人が多いな?とか
タイ人ってこんなに喋る人達だっけ?ソクラテスの言葉なんか引用して
いるけど、それで普通のタイ人に伝わるのか?とか
なんでこの人達はこんな見え透いた嘘をつくのだろうとか、そんな
レベルのことなのですが、それでも自信を持って言えることは、

「この人達はこれまで会ったタイ人と全然違う、特別な人達だ」
ということです。よほどの肩書きが無い限り、外国人が立ち入ることが
出来ない世界に住んでいるエリート達。それがタイの官僚・政治家・軍人
なんだと思います。

昔サムイ島に行く時、国内線のボーディングパス引き換え窓口(?)に
「国会議員専用窓口」というのが設けられていて、そこに確かに
国会議員らしき背広姿の男性が秘書と思しき人を連れて並んでいました。
そこで私はその男性に「あなたは国会議員なんですか?」と遠慮しつつ
話しかけてみたところ、にやっと笑われ文字通り「フン」と鼻であしら
われました。
議員というよりヤクザみたいな人でしたが、お前とは身分が違うという
ことだったんでしょう。

あの人たちは私にとって、ケイト・モスやアンジェリーナ・ジョリーや
天国に行った筈の2PACより遠い世界に住んでいます。この前マイミク
さんがチューウィット氏にBTSの中でサインを貰ったそうですが、、、
 
出展 2008年09月16日10:10 『サトーンサウナ』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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