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2008年9月16日火曜日

(番外)シーロムサウナ (isaan05-c987254-200809161028)

おかあつがミクシコミュニティータイ東北イサーン語研究会として著した記事を紹介します。
(番外)シーロムサウナ (おかあつ)
2008年09月16日 10:28
昨日の管理人の日記なのですが、折角書いたので転載しておきます。

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今日シーロムサウナというところに行ってきた。 このサウナにたどり着くまでに様々なドラマが繰り広げられた。



今、バンコクにいる。バンコクというのは排気ガスがすごいところだ。 大分なれたけど、できるだけ排気ガスを吸わないように移動することはとても大切だと感じる。 排気ガスが多い場所を歩くと、誇張ではなく10倍ぐらい疲れる。 普段、僕は秋葉原から有楽町ぐらいは結構普通に歩いてしまうのだけど、バンコクではそんなこと絶対出来ない。 100メートル歩いただけで同じくらい疲れる。 しかも頭も痛くなるので、体にもよくなさそうだ。 で、大分疲れてきて頭が働かなくなってきたので、サウナでリフレッシュしたい、と考えるに至った。

どこにサウナがあるのだろうか。これはなかなか大きな問題だ。 何故かと言うと、タイ人はお風呂につかる習慣を持っていないからだ。 タイにあるサウナは主に外人向けだ。 タイ人でサウナに行く人は極限られている。 で、色々な人にサウナしってますか? サウナありますか?って聞いてみるのだけど、知らない人が多いし人によっては「サウナってなんですか?」みたいな反応が返ってくることすらある。

ホームページをあたってみた。 グーグルで「サウナ バンコク」と検索した結果...。
http://www.google.com/search?hl=en&q=%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%8A+%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%82%AF

バンコクのサウナは大変なことになっているらしいことがわかった。 特に有名なのはバビロンサウナというところらしい。 ここはバンコクで一番きれいなサウナらしいのだが、どうもそっち系の男性がたくさんいるらしかった。 バビロンサウナというのは、入ると、石鹼・シャンプーと一緒にコンドームまでくれてしまうと言う要らぬ心優しい気配りがあるらしい。

そっち系の場所は、それはそれで面白いかもしれないが、僕はただサウナに入りたいだけだ。 他のサウナの情報が知りたい。 しかし、ホームページで調べるとそっち系のページばかりがヒットしてしまい、なかなか肝心の情報に至らないのであった。

そういう複雑な状況下、悪戦苦闘の結果見つかったのが二つのサウナ、サトーンサウナとシーロムサウナだった。 特にこのシーロムサウナに関しては素晴らしいものがあって、150バーツで、サウナはおろかジム・プールまでついてくるという話だった。大変なコストパフォーマンスだ。

話はそれるが、最近知り合った、タイ語の発音がムチャムチャきれいな日本人のTさんという方に電話した時の話だ。

「...っていうわけで困ってるんだけど...。」
「そりゃ面白い! こんど一緒に行きましょう!」
「!?」
「え、だって、ひとりで行ったら襲われた時どうにもならないけど、ふたりで行けばこっちがカップルのふりをすれば大丈夫っしょ!」
「( ̄ロ ̄;;; 」
「最近、変化がなくて、そういう変化が欲しかったんスよ!」

というわけで、バビロンサウナには近日中行くことになった。

ま、バビロンサウナは置いておいて、シーロムサウナである。

ある人のブログによると、このシーロムサウナにはゲイがたくさんいるらしい、という話だったので、最初がっかりした。 しかし、この人のブログをよく読んでみると、実はパッタヤという違う街に、同じ名前シーロムサウナという名前のサウナがあるらしかった。ゲイがたくさんいるのは、どうやらパッタヤのシーロムサウナであるらしかった。

(少し話はそれるけど、このブログを書いている方はどうやらコミュで知り合ったある方の極親しい友達であるらしかった。 タイに居る日本人の世界とは狭いものだと思った。 ちょっと来てブラブラして帰る人はたくさんいるけど、タイに完全にハマる惑溺性とタイ語を話せるようになるまでの知性の両方を持った人となると、敷居がある程度高いんじゃないか、と思った。)

というわけで、シーロムサウナ(バンコク)に行ってみよう、ということになった。

プロンポン駅とアソーク駅の中間、ソイ22という場所にあるらしいことがわかった。 どちらの駅からも遠くちょっと迷ったがアソークから歩いていくことにした。 通りには客引きがたくさんいて、たくさん声をかけられる。

最近、声をかけられると、なるべく無視するようにしている。 だけどあまりしつこいと要りません、ってタイ語で答えなければいけない。 このとき、普通に考えて、要りませんって言ったら「なんだよ、ケチ」っていうような顔をされると思うのだけど、実はそうならない。 ちょっと面白いんだけど、「ごめんなさい、要りません。」っていうと、大抵の客引きは「あー!」と言って帰っていく。

その「あー」ってなんなのか、と思う。 それは「あー!」の後にこんな無言の言葉が続いているのだ。 (あー!な~んだ、タイ語わかるの? じゃウソ通じないじゃん。 も~ なら早く言ってよ~! )

多分、僕の断り方は丁寧なんだと思う。 一発ですぐ素顔に戻る。 で、その素顔っていうのは、普段見せる頭の悪そうな優しそうな顔と全然違って、結構賢そうで、すれてたり、結構偉そうだったりする。 日本にもよくいるような普通の人だ。 でも、それが逆に非常に人間的で人の温かさを感じさせるというか、いい人だなぁと感じさせる人がらがあったりする。 そこがちょっと日本と違う。


しかし、最近、タクシーやトゥクトゥクの運転手から声をかけられることが少なくなった。 そうなると、なんというか、変な感じがしてくる。 で、むしろ逆にこうやって声をかけてくれると、うれしくなってきたりするのだ。

それは説明が難しいが「自分はタイ人じゃない」という言葉がどこか「いいわけ」の様な響きを帯びてくることがあるのだ。 自分はいつも自分はタイ人ではなく日本人だ、ということに誇りを感じている。 こんな日本人らしくない自分ではあるが、やはりこころのどこかでそう思っているのだった。

しかし、こうやってタイをよく知れば知るほど、タイ人の性格と日本人の性格というのは実は表裏一体で根本は結構似ていることに気がつく。 で、自分が「自分は日本人だ」と思っていることが、案外そうではなく、自分は元々かなりタイ人っぽかったのだということが、だんだん否定できなくなってくるように感じる。 自分は努力し勉強して身につけた、と思っているのだが、それは実はそうではなく、単に自分の中に最初からあっただけなのだ、という気がしてくる。

だんだん「オレはタイ人じゃない!外人だ!」と叫びたくなってくる。 だから、なんかこうやって「ヘイ!タクシー!」とか「ヘイ! トゥクトゥク!」とか声をかけられると、「あぁ外人と思ってくれるんだな」と逆に嬉しく感じてしまったりする。

でも、まだタイ人が何を言っているのか全てはわからない。 やっぱり日本人なのだ。

しかし、最近、英語のテレビを見て、タイ語のテレビを見ると、以前は、タイ語のテレビも英語のテレビもあまり聞き取れなかったのだけど、最近タイ語のテレビが英語のテレビよりも聞き取れるようになっている自分を発見する。 もういちどきっちりどこかで英語を勉強しないと、将来、日本語とタイ語だけしかしゃべれなくなってしまうのは間違いない。 言葉の勉強って何て手間がかかるんだろう。 言葉の勉強って大変だ。

話を戻す。 で、あっちこっち探し回って疲れてしまった。 そんな感じであちこちの客引きをしている人たちに 「あー!な~んだ!タイ語わかるの!?」といわれつつ、親切にあちこちの店の話を教えてもらい、最終的に、そのサウナの場所が判明した。 ソイ22のほとんど一番はじっこにあって、なんともわかりにくい場所にあった。


シーロムサウナについたときには既に23時を回っていて閉店間際だった。 でも話を聞いたら入ってもいいよ、ということで、入った。

しかし、この店は最高だった。

サウナは「ここで寝たら死ねる」と感じるほど高温で、極めて爽快だった。 サウナの冷水の温度は重要だが、まぁそこそこ冷えていた。 サウナ用の塩が無料で置いてあって、自由に使える点は高ポイントだった。 しかも、果物が食べ放題で、お茶も飲み放題、 これでたったの150バーツ、時間無制限というのは信じられないほど非常にお得だ。

サウナに入って、外で氷で冷やしたスイカを食べるというのは、非常に贅沢だ。 しかも塩使い放題なので、スイカに塩をかけて食べれば、塩分の補給も出来るので、エンドレスでサウナを楽しむことができる。 僕の様な長風呂マニアには、重要なポイントである。

(解説せねばなるまい。 長風呂をしていると汗が出て、水分と塩分が足りなくなってしまうのだ。 このとき、水飲み場があれば水分は自由に補給できるけど、塩分等々のミネラルも適切に補給できないと、だんだん疲れてきてしまう。 そうすると、長風呂の途中で限界が来て風呂から上がって何かを食べなければならなくなってしまう。 ところが、風呂にスイカと塩分があれば、ミネラルと塩分を効率的に補給できるので、この問題を防ぐことが出来る。 すなわち、夢のエンドレス長風呂を実現できるのだ。)

店は結構怖いお兄さんがたくさんいたが、これは何故なんだろうか。 というのも、日本の銭湯も同じだからだ。 いい銭湯には必ず怖いお兄さんがいる。 いい銭湯ほど刺青率がグンと上がる。 むしろ、怖いお兄さんがいない銭湯は、ダメな銭湯と断言してよい。 というわけで、風呂好きの僕には元々怖いお兄さん耐性がついているので、怖いお兄さんをさほど怖いとは感じなかった。

閉店間際に入ったのだが、あまりにもいい湯だったので、思わず閉店時間を過ぎてものんびりしていた。 そうしたら怖いお兄さんに怒られてしまった。 「明日是非もっと早い時間にきてくださいね!」 「あ!すみません!帰ります!」

わからないけど、僕は戦後のスラム街の様な場所で生まれ育ったので、こういう感じの人をきわめて間近で見ながら育っているような気がする。 だから、なんか逆に楽なのだ。


帰り。

近くに「ソイカウボーイ」という極めて有名な歓楽街があるので、そういう場所をブラブラして帰るのもいいなと思ったのだけど、ナンパ喫茶で有名な喫茶店テーメーという店の側にいつもおいしいヤム(タイ風激辛サラダ)の屋台が出ているのを知っていたので、そこに行くことにした。 行ったら、何故か閉まっていた。 屋台は出ているのに、店は片付けてあって人は居なかった。 なんだよ、折角きたのに、と思った。

で、さらにその側においしいイサーン(東北料理)屋台があるのも知っていたので、ここに行ってソムタム(東北田舎式激辛サラダ)を食べることにした。

行ったらそばにすごい綺麗なお姉さんが立っていて「ハロー」と言った。 客引きをしているのだ。 無視して、屋台の材料を眺めて何にしようか考えていたらまた、「ハロー」と言われた。

オバサンが出てきて何にするか聞いてきたので「じゃぁソムタムプーパラ下さい。」 といった。

解説せねばなるまい。 この「プーパラ」というのは、沢蟹の塩漬けとパラという特殊な塩辛の様なものを混ぜた食べ物で、タイ東北の「梅干納豆」とでも言うべき過激なソウルフードである。 このプーパラを入れたソムタムというのは、正にキングオブ田舎とでも言うべきスーパー田舎フードなのである。 ちなみにこの「プー」という沢蟹の塩漬けというのは場合によっては寄生虫が入っている可能性も指摘されておりかなり危険フードでもある。 でも抵抗力が下がってなければ大体大丈夫だと思う。 で、どこからどうみても日本人の風貌をしている僕が、いきなりタイ語でこのソムタムプーパラを注文するというのは、尋常で無い出来事なのである。

で、注文したら、この「ハロー」のお姉さんの行動が面白かった。 僕がソムタムを注文するな否や、僕を狙うのをやめ、さっさとタクシーを拾って帰ってしまったのだ。 要するに、ここに来ていきなりイサーン語訛りのタイ語でソムタムプーパラを注文するようなヤツが簡単に思い通りになるわけが無いのだ。 つまり、僕は裏事情を知りすぎているのだ。 裏事情を知りすぎている男は正直、歓迎されていないのである。 僕は面白がっているが、向こうは迷惑なのだ。 だから、あまりやりすぎはよくないのだ、と気がついた。 失礼だからだ。 反感も買う。 今日、僕はこのことを悟った。

僕はポンランサオーンという、タイ東北イサーン地方のバンドが好きだ。 これはまるで、日本の70年代初期のドリフターズの様なバンドだ。 音楽あり、お笑いあり、お色気あり、お涙頂戴あり、という総合エンターテイメントで、とても面白い。 で、僕は、この人たちが自分たちの訛りをネタに面白い話を繰り広げるのが、たまらなく好きで、これと同じ話し方を自分もできたらな、とよく思う。

で、こうやって屋台などで色々と試してみるわけなのだが、なんというか、逆に裏目に出ていることの方が多い様な気がする。 僕がイサーン人と同じ様なことをやると、僕もイサーン人と同じ様に低く見られることが案外多い様な気がする。 要するにリアル過ぎなんだと思う。 リアルすぎる上に、しかも見かけが日本人なので、どうにも捉えどころがなくなってしまっているんだと思う。 これを面白い!と思われるようにするには、更に修練が必要だ。 簡単には行かないよな、と思う。


そばに、どっからどうみても酔っ払ったアメリカ人がいて、となりにいたイサーン人のオカマの女の子というか男の子というか、がいて、ずっと何かからまれていた。 で、こいつがまた英語しか話せなくて、「何でここは英語が通じないんだ!英語を勉強しろ!」とクダを巻いていてうるさかった。 僕は係わり合いになりたくなかったので、ずっと無視していた。

しまいには「スティッキーライスをくれ!」と叫び始めて、店の人は何のことかわからず、「ソースか?」「野菜か?」と順番に店のものを出して困り果てるは、アメリカ人は激怒しはじめるわで、訳のわからないことになり始めていた。 で、お店の人に「この人はカウニャオ(もち米=スティッキーライス)をほしがってるんだよ!」と教えてあげたら、一発解決して喜ばれた。


このオカマとも少し話した。 やっぱりイサーン人だった。 深くは聞かなかったけど色々と苦労している人らしかった。 僕はイサーン人が好きだ。 みんな苦労していて、人間が磨かれていてとても温和で人柄が優しい。日本語で言うところの、「人間が出来ている」と感じる人が多い。


そのまま歩いてナナプラザというところまで行った。 ここでも同様に客引きの女の子が僕のところまで来て、僕のタイ語を聞いて帰る、ということを繰り返した。 僕は再度思った。僕は歓迎されて無い。 僕は知りすぎているのだ。


ここから更にチットロム駅にあるマクドナルドに行った。

ここはタイでは珍しく24時間営業であるマクドナルドがある。 見てみたら(多分)タイの東大・チュラロンコン大学の学生がたくさんきていて、徹夜で勉強しているみたいだった。 しかし、まったく雰囲気が違う。 顔つきも違う。 日本人の様な顔をしている人が多い。 要するに中華系タイ人が多いのだ。 彼らはタイ人とはいえ、話しても印象は日本人とほとんど変わらない。 彼らの距離のとり方は日本人の距離の取り方とほとんど変わらない。 要するに、結構冷たいのだ。



タイに居ると、こうやって、社会の一番上から、一番下までを俯瞰するような毎日が過ぎる。

タイに来てから、色々あって頭の回転が鈍っていたが、サウナに行って頭の回転が元に戻ったように感じる。

これからだ。
仕事をしよう。
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出展 2008年09月16日 10:28 『(番外)シーロムサウナ』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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