(メモ) ネットワークゲームの作り方
2006年08月25日21:31
[ゲーム]【CEDEC2006】講師に聞く:ファンタシースターユニバース開発者が語る「ネットワークゲームのつくりかた」
(RBB TODAY - 08月24日 21:21)
日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2006」で、セガで長年PSOに携わってきた第三GE研究開発部プログラムセクションセクションマネージャー 節政暁生氏と、第三GE研究開発部デザインセクション セクションマネージャー酒井智史氏による講演「ファンタシースターユニバースの開発現場より~5年間の歩み~」(R15/8月30日)がおこなわれる。この講演について、講師のお二方に話を聞いた。
Q 今回の講演では、どういったお話しをされるのでしょう?
節政:講演ではまず、ファンタシースターユニバース(PSU)の概要と、内部的な話をする予定です。コンソール系を作っている人でネットワークゲームの開発をしている人は少ないので、ネットワークゲームの作り方をわかっていない人も多いと思います。ゲームデザインの時点で考えておく必要がありますので、講演では、基本的なところから紹介します。
また、ファンタシースターオンライン(PSO)からPSUまでの5年間、中身をちょっとずつ変えてきました。ゲーム内部の構造で、外から見えないところですね。最初のPSOではP2Pでやりとりしているところもありましたが、PSUでは内部はほとんどMMORPGのような構造で、まったく作りが違っているんですよ。この5年間は、チートとの戦いでした。講演では、こうしたチートについて、実例を元に種類と対策を紹介する予定です。さらに、サーバーについても歴代の構成や工夫しているポイントなどをお話しします。
Q プロジェクトの規模はどれくらいになっているのでしょう?
節政:チーム全体としては80人ですね。そのうちプログラマが25人、デザイナが40人です。開発規模が大きくなってデータ量も収拾がつかなくなってきたため、アセットマネジメントにAlienBrainを導入しています。また、プログラムの規模が大きくなったことで、ビルドに1時間以上かかるようになったことがプロジェクト後半に問題となってきました。それに対応するため、分散コンパイルが可能なIncrediBuildを導入しました。これにより、約 1/10の時間でビルドできるようになりました。スタッフの入れ替わりにも対応するため、ドキュメントも整備しています。
コンソールの開発では通常、作り終わったらそれで終わりですが、オンラインゲームではエネミーの追加など拡張性を考えておく必要があります。先を見越して作る必要があるわけです。とはいっても、ドリームキャストで最初のPSOを作ったときは何も考えずに作りましたが(苦笑)
酒井:PSUは先にPC向けを開発し、そのあとでPlayStation2版を開発しました。最初のPC版では、20人のプログラマが一斉に各部のコードを書きはじめたのですが、それぞれ拡張性を考えてコードを入れ込んでしまい、全体が非常に大きいものになってしまった、ということもありました。
節政:PSUでは、クライアントのコードは全部書き直しましたし、サーバ側もかなり変更しています。
Q クライアントだけでなく、サーバや通信部分の開発・デバッグも大変ではないですか?
節政:そうですね。PSUのクローズドβテストの頃ですが、Linuxのネットワーク機能のバグを見つけたこともありました。
Q 使用しているのはTCPですよね?
節政:TCPだけです。PSOのときはクライアント間の通信にUDPを使っていたのですが、当時はUDPを開けていないプロバイダもあったりして、プロバイダにUDPを開放してもらったりもしました。
ドリームキャストの時は、いかにパケットを少なくするかということを重要視していました。PSO Blue Burst(PSO BB)の頃はチートを出さないこと、そしてPSUでは、MMOとしてどう安定させるかを重要視しています。
現在はエネミーへの攻撃値の計算などもサーバ側で行っていますが、チートとリアクションのトレードオフということになりますね。課金を考えると、チート対策が重要になるため、P2P型ではなくサーバ型にならざるを得ないでしょう。
アクション部分についても、やりたい「動き」のイメージに対して、それをそのままネットワークゲームでは実現できないこともあります。バランス取りが大事になってきます。パケット遅延もありますし、必要なデータ量が増えるとサーバ側で集中したときに処理しきれなくなる。また、(サーバを設置する)データセンタは使用する帯域(通信の量)によって利用料が変わりますから、こうしたことも事前に考えておかないと危険です。
Q 来場される方々へのメッセージをいただけますか?
酒井:ネットワークゲームに興味のある方、これからネットワークゲームを作る開発者の方に聞いていただきたいですね。また、PSOのファンの方には、PSOとPSUの違いもご紹介します。
節政:今回は技術的なところもお話ししようと思いますので、楽しみにしていてください。
Q ありがとうございました。
CESAによるゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2006」は、8月30日から9月1日まで昭和女子大学でおこなわれる。
【CEDEC2006】講師に聞く:大学・大学院におけるゲーム教育と人材育成について
CEDEC、今年のテーマは「VISION OF GAMES」
[TGS2005] 次世代が目指すゴールは「リアリティ」ではなく「ビリーバビリティ」― EAジョン・ブキャナン&ニール・ヤング
[CEDEC2005] マルチコア化するゲーム実行環境をどう活かすか― インテルAdam Lake氏
[CEDEC2005] ゲームビジネスの活路は「ネットワークとRMT」― エンターブレイン浜村氏
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日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2006」で、セガで長年PSOに携わってきた第三GE研究開発部プログラムセクションセクションマネージャー 節政暁生氏と、第三GE研究開発部デザインセクション セクションマネージャー酒井智史氏による講演「ファンタシースターユニバースの開発現場より~5年間の歩み~」(R15/8月30日)がおこなわれる。この講演について、講師のお二方に話を聞いた。
Q 今回の講演では、どういったお話しをされるのでしょう?
節政:講演ではまず、ファンタシースターユニバース(PSU)の概要と、内部的な話をする予定です。コンソール系を作っている人でネットワークゲームの開発をしている人は少ないので、ネットワークゲームの作り方をわかっていない人も多いと思います。ゲームデザインの時点で考えておく必要がありますので、講演では、基本的なところから紹介します。
また、ファンタシースターオンライン(PSO)からPSUまでの5年間、中身をちょっとずつ変えてきました。ゲーム内部の構造で、外から見えないところですね。最初のPSOではP2Pでやりとりしているところもありましたが、PSUでは内部はほとんどMMORPGのような構造で、まったく作りが違っているんですよ。この5年間は、チートとの戦いでした。講演では、こうしたチートについて、実例を元に種類と対策を紹介する予定です。さらに、サーバーについても歴代の構成や工夫しているポイントなどをお話しします。
Q プロジェクトの規模はどれくらいになっているのでしょう?
節政:チーム全体としては80人ですね。そのうちプログラマが25人、デザイナが40人です。開発規模が大きくなってデータ量も収拾がつかなくなってきたため、アセットマネジメントにAlienBrainを導入しています。また、プログラムの規模が大きくなったことで、ビルドに1時間以上かかるようになったことがプロジェクト後半に問題となってきました。それに対応するため、分散コンパイルが可能なIncrediBuildを導入しました。これにより、約 1/10の時間でビルドできるようになりました。スタッフの入れ替わりにも対応するため、ドキュメントも整備しています。
コンソールの開発では通常、作り終わったらそれで終わりですが、オンラインゲームではエネミーの追加など拡張性を考えておく必要があります。先を見越して作る必要があるわけです。とはいっても、ドリームキャストで最初のPSOを作ったときは何も考えずに作りましたが(苦笑)
酒井:PSUは先にPC向けを開発し、そのあとでPlayStation2版を開発しました。最初のPC版では、20人のプログラマが一斉に各部のコードを書きはじめたのですが、それぞれ拡張性を考えてコードを入れ込んでしまい、全体が非常に大きいものになってしまった、ということもありました。
節政:PSUでは、クライアントのコードは全部書き直しましたし、サーバ側もかなり変更しています。
Q クライアントだけでなく、サーバや通信部分の開発・デバッグも大変ではないですか?
節政:そうですね。PSUのクローズドβテストの頃ですが、Linuxのネットワーク機能のバグを見つけたこともありました。
Q 使用しているのはTCPですよね?
節政:TCPだけです。PSOのときはクライアント間の通信にUDPを使っていたのですが、当時はUDPを開けていないプロバイダもあったりして、プロバイダにUDPを開放してもらったりもしました。
ドリームキャストの時は、いかにパケットを少なくするかということを重要視していました。PSO Blue Burst(PSO BB)の頃はチートを出さないこと、そしてPSUでは、MMOとしてどう安定させるかを重要視しています。
現在はエネミーへの攻撃値の計算などもサーバ側で行っていますが、チートとリアクションのトレードオフということになりますね。課金を考えると、チート対策が重要になるため、P2P型ではなくサーバ型にならざるを得ないでしょう。
アクション部分についても、やりたい「動き」のイメージに対して、それをそのままネットワークゲームでは実現できないこともあります。バランス取りが大事になってきます。パケット遅延もありますし、必要なデータ量が増えるとサーバ側で集中したときに処理しきれなくなる。また、(サーバを設置する)データセンタは使用する帯域(通信の量)によって利用料が変わりますから、こうしたことも事前に考えておかないと危険です。
Q 来場される方々へのメッセージをいただけますか?
酒井:ネットワークゲームに興味のある方、これからネットワークゲームを作る開発者の方に聞いていただきたいですね。また、PSOのファンの方には、PSOとPSUの違いもご紹介します。
節政:今回は技術的なところもお話ししようと思いますので、楽しみにしていてください。
Q ありがとうございました。
CESAによるゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2006」は、8月30日から9月1日まで昭和女子大学でおこなわれる。
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