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2016年1月10日日曜日

雪合戦 (oka01-ianfgxbpxdijvhnc)


僕が小学生低学年だった頃のある日、大雪が降った。雪が少ない関東の話なので、生徒は一同おお喜びになり、先生の特別な計らいによって、その日はまる一日体育の授業に割り当てられることになり、その日まる一日、学校中で雪合戦をすることになった。

 ─── その日、ある事件が起こった。



クラスには、とある転校生だった非常に攻撃的な性格の生徒Aがいた。Aはケンカが強く、子分の様な取り巻きが多くいた。Aと僕は仲が悪く、しばしば衝突していた。

その雪合戦の日、僕はAと大喧嘩になった。その日僕は、AとAの取り巻きから集中攻撃を受け、僕は反撃した。顔などの弱点をダイレクトに狙う彼の露骨な攻撃と、笑顔で尻を振りながら歌を歌う彼の侮辱のパフォーマンスがあったことを覚えている。僕と彼は大喧嘩になり、クラスの話題となった。先生が仲裁に入り、雪合戦が終わった後で学級会の様なものが開かれた。僕は、Aが攻撃してきたので反撃しただけだ、と主張した。

ところがここでAの強かさが発揮される。Aは普段、非常に攻撃的な話し方で極めて印象の悪い人間だったが、大人の前では打って変わって可愛いらしい話し方に豹変する。Aはその日も例外に漏れず、先生の前で可愛らしい猫なで声を披露し、僕が先に攻撃したので反撃をしてきたという主張をした。

僕はAは嘘をついていると主張したが、先生はAの話に一理ある、と判定した。極めつけは、見物人が僕が先に攻撃した、と供述したことだった。 まわりで見ていたAの取り巻き連中が、Aの報復を恐れて、口裏を合わせたのだ。もともとその先生は、多少悪ガキの方が可愛いと感じるタイプで、Aなどの悪ガキに甘く、僕の様な子供の癖に大人っぽく冷静な子供を気持ち悪がる傾向があった。

こういう経緯により、僕は雪合戦でケンカを始めた犯人だ、ということになった。

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改めて思い起こしてみれば、大人になってからも、そういう状況はしばしばあった。

僕は、大勢が口裏を合わせて嘘をついている様な、集団ヒステリー的な状況が我慢ならない性格がある。僕はそんな状況に出くわすと、思わず激怒して、大勢の前で大声を張り上げ、嘘を嘘と断罪してしまう強い傾向がある。だがこの気質は、当然だが、前述の様な集中砲火を招くことが多い。 だが僕は、実は大多数の人らが事実を知っているのにも関わらず、極少数が大声を張り上げて嘘を叫ぶことにより、強烈な同調圧力を醸造し、結果的に事実を知っている人間が同調を強制され、事実を口にする事が許されなくなり、結果的に嘘が本当になってしまう、そういう残念な状況が我慢ならない。

日本社会で生活していると、様々な決議を取る機会がある。 間違った決議が出る時、僕が思うに、必ず決まった特徴がある。その特徴とは、間違った決議が出る時、多くの場合、その場の大半の人が正しい答えを知っているということだ。だが、中に大声で嘘を叫ぶ人がおり、むしろその意見が尊重されて、その嘘の意見が通ってしまう。日本人は多くの場合、主張が控えめ(声が小さく)で、謙虚かつ人の意見によく耳を傾ける傾向がある。よって少しでも声が大きい人が居ると、例えそれが間違った意見であっても、その人の意見が尊重される傾向がある。

多数決とは、人数の多さでで決をとる事ではなく、総合した声の大きさで決をとる場へと、成り下がる。

正しいことを正しいと言うと、間違った意見に執着する人間の集中砲火を受ける。だが実際には間違った意見に執着する人間の方が、圧倒的に少数派なのだ。にも関わらず、その間違った少数派の意見が尊重され、大多数のまっとうな意見が踏みにじられていく。

こうして、誰も正しい事を正しいと主張しなくなる。正直者ほど損をする、とても残念な世の中になっていく。

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そんな真面目なことばかりを思う純情少年だった僕も、少々歳を取った様だ。先生の前でキュートで無垢なキャラクターを演じきる、その背後で同級生に陰険なイジメを働く少年。そういう軽薄なパフォーマンスにコロッと騙される洞察力の欠片も持たない教師。

今の僕は、そういう薄弱な人らの気持ちも、解らないでもない。人間とは不完全なもので、嘘もつけば騙しも働く。心の弱さを直視できないのも、人間であれば仕方のないことだ。

だが彼らは所詮ゲスだ。ゲスというものは、人間としてまっとうに扱い、慈悲の気持ちを表し、きちんとした経緯を持って接すれば接するほど、むしろ逆に恨みを募らせ、最終的に恩を仇で返すような蛮行を働く。それがゲスの本性だ。

彼らゲスの為に、真面目に問題を見つめ、日々目標に向かって努力精進し、他人に尊敬と敬意を持って接し、謙虚に自分を見つめているまっとうな人間が、肩身の狭い思いをしている。

ゲスを見極めなければならない。

ゲスを切り捨て、真人間を探し出し、結託して助けあって行かなければならない。


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改版記録
・初稿 (Sun, 10 Jan 2016 13:27:58 +0700)
・公開 (Sat, 16 Jan 2016 15:40:18 +0700)
・冒頭見出しを追加 (Tue, 19 Jan 2016 23:09:33 +0700)

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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