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2010年12月20日月曜日

ミャンマーの建琴 (mixi05-u459989-201012202216)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
ミャンマーの建琴
2010年12月20日22:16
僕が華僑学校で仲良くなった人にタイダイヤイ族の人がいる。 22歳にして、中国語を含めて全部で7ヵ国語も話せる。 僕は37歳にしてようやっと5ヶ国語ちょっとである。 リスニングの鬼で、相手がどんなになまっていても一発で何を言っているか当てることが出来る。 凄まじい才能である。 いつも彼とつるんで一緒に出歩いている。 彼から実に色々な話を聞いた。

色々聞いてみた事を総合してみると、ミャンマーという国は、タイやラオと同じように多民族国家であるらしい。 ただ、ミャンマーが違うところは、元々現在ミャンマーという国なっている地域の中は、かつてたくさんの小さな国として分かれていたという事だ。 そこにイギリスが入ってひとつの国としてまとめて征服した後、イギリスは突然独立させてしまったので、たくさんの小さな国の間でたくさんの内乱があったのだそうだ。 その中でビルマ族が他の国と戦争して勝ち取ったという形でひとつの国としてまとまって現在あるミャンマーが出来上がったらしい。

だから今ミャンマー国の少数民族として暮らしている人も、実はかつては自分の国を持っていたのだそうだ。 それぞれの国は、それぞれ違う言葉を持って違う文字を持っている。 それらは今でも失われる事無く続いているのだそうだ。 実はミャンマーの中は、今すぐにでも国家として自立できる小さな国がいっぱい存在するという事だ。

僕は常々、タイという国に住んでいるタイ人というのが何だかよくわからない、と思っている。 僕はタイに住んで5年経ったがタイ人と言うものをほとんど見かけたことがないからだ。 タイに住んでいて見かけるのは、極論すれば、ほとんどがイサーン人で残りは中国人だ。 タイ人というのは一体どこにいるのだろうかと思う。 以前から中国の南部にタイ族が住んでいるというのを聞いていた。 この人たちが話す言葉を聞いたらタイ人というものがどこから来たのかわかるかもしれない、と以前から思っていた。 それで、実際に中国南部に来て中国に住むタイ族の人にあってみて知ったのだが、この人たちは実は「タイダイ族」というタイ族の中でもダイと呼ばれている人達の一派らしいのだ。

彼ら中国南部のタイ族であるタイダイ族の人たちが話す言葉はバンコクで話しているタイ語にものすごく似ているが、一方ラオ語に似ている点も非常に多い。 タイダイ語にしかない点も多い。 タイでもラオでもないダイ語というひとつの独立した言語である。

タイダイ族にはたくさんの流派があり、それぞれが違う文字と違う言葉を話しているのだそうだ。 代表的なタイダイ族の流派は、ダイヤイ・ダイノイ・ダイマオ・ダイルー・ダイランである。 それ以外にも無数のタイダイ族が住んでいる。 ダイヤイ族は、メーサイ周辺の地域(タキレック?)に住んでいるという。 現在は中国南部に住むタイダイ族は、タイダイルー族と呼ぶそうだ。

そして驚くべき事に、タイダイ族はかつてタイダイ族で結託しひとつの大きな国を持っていたと言う。 タイダイ族の領域は現在のミャンマー西部からタイの東部、そして中国の南部にまで到達していたという。 つまり中国の南部、「西双版納(シーサバンナ)」= สิบสองบ้านนา(スィップソンバンナー) =「12の村と田畑」は、昔はタイダイ国の一部だったのだ。 そして今でもその国旗が残っている。 これは驚くに値する。 つまりタイとミャンマーと中国とラオスの間に、実はもうひとつ国があったという事だからだ。

チェンマイもタイダイ族の中に居る様だ。だけどチェンマイはタイダイの中でも一頭抜きん出ており、かつてチェンマイだけでひとつの国を持っていたのだそうだ。だから、チェンマイは自分たちの言葉をタイダイ語とは呼ばないで、「คำเมือง(カムムアン)」=首都の言葉と呼ぶのだそうだ。 カムムアンはタイダイの中でも凄く特殊で、正にタイ語とラオ語の中間の様な存在だ。 チェンマイの人は、ラオ人が話すこともタイ人が話すことも理解できるらしい。 タイダイヤイ語を話す人はタイ語は得意だけどラオ語はあまり得意でなさそうだ。

既に何度か書いているけども、ラオ語やタイ語には、方言に子音の入れ替わりがたくさんある。 「シャ行⇔サ行」「マ行⇔バ行」の入れ替わりや「サ行⇔タ行」「ラ行⇔タ行」の入れ替わりがしばしば起こる。 これが非常に興味深い。 ロークバオワーン(糖尿病)が、ある地域では「ロークマオワーン」に変わってしまったりする。 深いのルックがドゥックに変わることもしばしばある。 また、チェンマイ語だと、シャ行がチャ行に入れ替わる変化があるというのも興味深い。 正確に言うと เชียงใหม่ は [chiang1 mai2 シアンマイ] と発音すべきところを、チェンマイでは [jiang1 mai2 チアンマイ]と発音する。

その変化を知っている上で、タイダイ語を見ると、ものすごく興味深い事がわかる。 タイ語では国境の事を ชายแดน シャーイデーンと言うのだが、これをラオ語では サーイデーンと呼ぶ。 それで、タイダイヤイ語だとチャイデーンに変わる。 タイダイルー語だとタイレーンと変わるらしい。 この点だけを見ると、タイダイルー語は少なくないラオ語の影響を受けている事を感じる。 一方タイダイヤイ語はチェンマイ語に近い様に見える。

そんな彼から色々なダイヤイ語を教えてもらった。 タイダイ語を勉強している日本人なんかいないだろうと思う。 タイヤイ語を勉強している外人など、ごく少ないだろうと思った。 だが、それが実はタイダイ語を話す外人がたくさん居るんだそうだ。 聞いてビックリした。 タイダイ語を学んでいる外人というのは、実はイギリス人なのだ。

イギリスはかつてビルマを占領して突然解放したが、これは要するにビルマの国の中に色々なスパイや民族学者をばらまいて、独立した国になっても傀儡としてリモート操作出来る様にしたからこそ、突然開放したのではないだろうか。恐らく、ビルマをリモート操作する為に、定期的に民族学者や語学研究社をタイダイの領域に送り込んでいるのだろう。 アウンサンスーチーもそういうイギリスがビルマをリモート操作する為に送り込んだスパイでしかない。 アウンサンスーチーはビルマ人と言われているけども、イギリスで育って堪能な英語を話している点で、一般的なビルマ人を代表しているとはとても言えない。 その点が見抜けない外人はすぐにイギリスに踊らされてしまう。更に驚くべき事に、イギリス人はいつかタイヤイ族に自分たちの国を持たせるのだ、という様な事を約束してすら居るらしい。 これは非常に狡猾だ。 こうやってイギリスは色々な外交カードをあらかじめ用意している。

イギリス人、恐るべし。 一方の日本人は、せいぜいメーサイに行って女を買い漁るのが関の山、タイヤイ人は無国籍扱いの難民でバカ扱いだ。 しかし、我が身を振り返って見れば、日本は敗戦国である。 日本にもミャンマーと同じように日本を遠隔操作する為の人材がいっぱい送り込まれているんだろう。 恐らくだが、上で述べたような外交上すぐに即戦力になる民族研究=「民俗学の核兵器オプション」とでも言うべき「血の滴るステーキ」のような民族研究は、厳密に制限されているに違いない。その結果が、スズキ○○教授のトンチンカンなラオ語研究などという形を取って顕在化しているのだろう。

日本人で、民族研究している対象文化は、均一じゃない様に見える。 民族研究をしている国としていない国がある。 これは何故なのか。 国家のプロパガンダを無視した、民族差別の核心に迫る民俗学を研究している日本人が居ないのは何故なのか。 日本人がしているのは、いわば、建前の研究だ。 覇権を持っている民族が主張している建前を報告しているだけだ。 民族が言いたくない事、民族がかくしている内緒ごとなどの、民族の本音に一歩も入っていない。

ビルマには中国語を話す中国系の民族すらいる。 その民族のひとつは、果敢族(グオカン族)と呼ばれるのだそうだ。 ビルマで華僑として住んでいるが、実は元々この地域の住民だったとも言われている。 そういう人たちが僕が今居る華文学校にいっぱい居る。 つまりビルマはかつて中国の領域でもあった、という事でもある。

民族文盲とでも言うべき日本人。 民族に疎いのは、敗戦国だからなのか。 それとも元々の性質なのか...。

コメント一覧
ダヌパット   2010年12月21日 19:46
かつて、国際大学で教えている時、ミャンマーから来ている学生に
「ビルマ人ですか?」と尋ねたら「いいえ、シャン人です」と
答えました。明らかに「ビルマ人」と同一視されるのが嫌なようでした。シャン語(タイヤイ語)を話します。学校でビルマ語を習います。
高校で日本語を習い、検定3級を持っていました。国債大学で英語を専攻していました。中国語も大丈夫だそうです。彼女、タイ語も話せます。6言語を操りますね。

彼女いわく、アンサンスーチーは支持しない・・・
なぜなら、彼女のバックにはイギリス(資本)がついている。
彼女が民主化を果たしたら、天然資源などの利権は全てイギリスに持ってかれるそうです。

遅くてもいいから、自力で民主化を果たしたい・・・
そう、語ってくれました。
おかあつ   2010年12月21日 20:40
シャンっていう言葉を知らなかったので、調べてみました。


─── ビルマ・シャン(Burmese Shan)、中国シャン(Chinese Shan)、カムティ・シャン(Khamti Shan)の三種に大別されるが、一般にはミャンマーのシャン州の平地に住んでいるシャン人をさしている。───
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E6%97%8F







......ま、常識的に考えて、こんな言い方したら、普通怒るでしょう...
^^;;;;;;;;;;;;;;;;;

─── チョンコロは大きく大別して3つに分けられる。「日本チョン」と「朝鮮チョン」と「中国チョン」の三種に大別されるが、一般にはアジアのチョン領域に住んでいるチョン人の事を指す。───

って書いてあるのと大差ないですから...。
おかあつ   2010年12月21日 20:43
これこそが、ま さ に ビルマという覇権を持っている民族が主張している「建前」なのです。目をかっぽじって、よく見てみるとよいです。

ビルマ人が「シャン人」って一括りにして隠している、その背後には、僕が上で書いたような、言いたくない本音があるわけです。
おかあつ   2010年12月21日 20:51
これは、タイが「イサーン人」って言って一括りにして隠しているのとまったく同じ原理です。 「イサーン人」はラオ人でタイ人にとっては属国人なんだ、とか「イサーン人」って言われている中には、実は「プータイ」「クメール」「スワイ」「タイダイ」... という無数の少数民族を抱えているのだ、とか。

タイが付いているウソはタイが考えた事なのでタイの国益にかなっていますが、ビルマの嘘は、ビルマ人が考えたことではなく、イギリス人が考えた事だという点で、ビルマという国の利益を反映していないところに注意する必要があります。

───ビルマ・シャン(Burmese Shan)、中国シャン(Chinese Shan)、カムティ・シャン(Khamti Shan)の三種に大別されるが、一般にはミャンマーのシャン州の平地に住んでいるシャン人をさしている。───

この辺も、イギリス人が考えだした建前っぽいですね。 当然イギリス人は本当の事を重々知っている訳ですが、こういう風なもっともらしい学術的な皮をかぶったプロパガンダを作りだして、したり顔をして人々に説教してまわっているのでしょう。

おかあつ   2010年12月21日 21:04
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Shan_states_and_rulers

このリストは凄い。

僕が欲しいと思った事のズバリドンピシャど真ん中を調査してる。
おかあつ   2010年12月21日 21:07
この差だよな ... この日本人の民族文盲とでも言うべき民族学のセンスの無さ。

シャン族
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E6%97%8F

Shan
http://en.wikipedia.org/wiki/Shan
 
出展 2010年12月20日22:16 『ミャンマーの建琴』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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