プログラマと劣等感
2006年08月07日03:34
エディタというのは、テキスト文章を編集するプログラムだ。 だから、プログラマというのは、エディタにこだわる。
ところが、僕は、プログラマだけど、あまりエディタに詳しくない。 よくみんな、WZがとか秀丸がとか、あれがいいとか、これがいいとか聞くけど、僕は殆ど何も知らない。 触った事すらない。
何故か。
僕は、VIM という ものすごい高性能なエディターを一個だけ知っていて、それで十分だからだ。
VIMというエディターは、プログラムがクロスプラットフォームという特殊な作りになっているので、WINDOWS / MAC / LINUX / UNIX の関係なく、どんなパソコンでも動く。 果ては WindowsCE用 AMIGA(※1)用も出ていると聞く。 だからOSが変わったから使い慣れたエディターを捨てなければならない、という事は絶対無い。
対応しているキャラクターエンコーディングも多いうえ、シンタックスハイライティングという強力な色付けの機能がある。様々なプログラム言語... Cは勿論 JAVA 果ては ADA PL/1 なんていう超マイナー言語でも文法に従って色が付く。 マニアックな編集機能には事欠かず、およそテキスト処理で可能な事は全部できる。マクロ機能・キーバインディング変更機能・考えられる機能は全部付いている。
しかも、UNIX(インターネットサーバーで最も一般的な基本ソフト)上で最も普及度の高いエディタでもあるので、これで慣れてしまえば、普段の使い勝手そのままでサーバー上の作業ができる。 これは、非常に便利なのだ。 だから、僕は、VIM から離れる理由を見出せず、そのままずっと使っている。
ところが、 そんな VI使い(マニアックなVIM利用者の事を業界ではその様に呼ぶ) な僕は、最近文章を書くとき、メモ帳を使う事が少なくない。
何故か。
VIMは機能が複雑すぎて、迷う事が多いのだ。 実は、このVIMは多機能すぎて非常に習得が困難なエディタという事でも非常に有名なエディターである。
とはいえ、僕はVIを使い始めて10年近くたっており、既にVIの機能はほとんど知り尽くしている。 学習が困難という事は既に克服してる。
ところが、その機能を使おうとすると、どうしても文章がかけなくなってしまう。 なんというか、エディタを操作する事に気を取られてしまって、文章を書くことに集中できないのだ。
操作自体は無意識に行っている。 問題は操作の複雑さではない。 そうではなくて、できることが多いので、「ひょっとしたらもっといいやり方があるかもしれない」という探究心に火がついてしまうのだ。 それも文章を書いている合間に。 だから、文章を書いているうちにいつの間にかVIMの機能を試し始めてしまったりする。 うまく動かないと自分でスクリプトプログラムを書き始めてしまったりする。だから、肝心の文章の方はは一向に進まない。
自分の中では、プログラムを作る時の思考パターンと、文章を書くときの思考パターンで切り替えが必要である感覚がある。
だから、全く何の機能も無い Windows標準添付の メモ帳を最近よく使う。 全くもって何の機能も無い。 それがいい。 できないことはやらない。 そういう割りきりができる。 もし、何か面倒な編集が必要になれば、その時VIMを開けばよい。
──────────────────────────
最近メモ帳を使っていたら、ある人から勝ち誇ったように、何でメモ帳なんか使ってるの? といわれてしまったことがあった。
まぁそうかもしれない。 メモ帳というのはあくまでも初心者向けのエディターである。 確かに時折、プログラマでメモ帳を使っている人はいる。 それは、殆どの場合、エディタの使い方を覚えるのが面倒くさいという、怠慢が原因なのだ。 それは知っている。
そして、やはり勝ち誇ったように「エムエディターをつかえ」といわれた。
僕は寡聞にしてエムエディターという物の存在を知らなかったので、面食らった。 だが、話を聞き進めるうちに、それは僕の知っているイーエムエディターという物であるような気がしてきた。
この名前は、英語では EmEditor 書き、正しい読み方は存在しないのだが、このスペリング、非常に微妙である。
例えば、 EMUと書けば イミューと英語では読むことが多い。 EMをエムと読むことはあまり多くないと思う。 エムと読ませたいときは一般的には Emme の様に発音しなくとも後ろに子音を書く事が多いのではないだろうか。 その様な一般的でない、紛らわしいスペリングの場合は イーエムと読むのが無難であり、慣例ではなかろうか。
ちなみに、古典的なエディターとして有名な、EMACSは EMACSと書いて「イーマックス」と読むのが通例である。「エマックス」とは読まない。 他にも、既にできてた古典的なエディター名VIも、VIと書いて「ヴィアイ」と読むのが一般的だ。 「ヴィー」とは読まない。 例外は、これも既に出てきた、VIMかも知れない。 これは VI iMproved の略で 基本的には VIと同じ読み方をすべきなのだが、「ヴィム」と読む人と「ヴィアイエム」と読む人と半々ぐらいである。 コンピューター言語の「BASIC」もバシックと読まずベイシックと読む。
コンピューターの略語で「ENUM」という物があるが、これは非常に例外的だ。 これは ENUMERATION(列挙)の極めて一般的な略語なのだが、「イニューム」と読むのが普通、と思いきや人によって「イナム」「イニューム」といろいろな読み方が普及している。 面白い事に、この読み方の違いは、日本人だけではなく、英語のネイティブスピーカーの間でも、諸説あるようである。
話がそれた。 EmEditorを エムエディターと読むと M-EDITORと紛らわしい。(その様な名前のエディタは存在しないが) そういう紛らわしくなる読み方の場合はアルファベット読みをするのが通例であると僕は思う。
そこをエムエディターといわれたので、すぐに何を言っているのか理解できなかったのだが、さらに間髪をいれずに「なんでしらんのか」的な物言いをされたので、余計面食らった。
その他も、若干疑問を感ずる物言いをされた感は否定できない。
非常に感じ悪かったが、実は、それは構わない。
僕は、誰かが何かを知らなかったときに、「何だ貴様はそんな事も知らないのか」的なことは絶対に言わない。
知らないことは知らないし、知っていることは知っている。 コンピューター業界のように、移り変わりが速く、しかもドラスティックに変わる事の多い業界では、長い経験と知識という物が、あっというまに陳腐化しやすい。 そういう業界では殊にそうである。知らないことは知らないし、知っていることは知っているとしか言いようが無い。
知らないことは素直に知らないというしかない。 それが一番前向きな行動である。また、人が知らないといったことを責めてはならない。 その時点、その時点で覚えればよいのである。 それこそが、一番前向きな行動である。
ところが、プログラマには、時折、こういう人の知らないことをあげつらって攻撃するタイプの人間がいる。(このような行動を「知的暴力」という。 このような行動はチーム全体の新しい知識を得ようとするモチベーションを落とすので絶対にやってはならない行動だ。) しかも残念な事に、このようなことは、非常にレベルの高いプログラマからもしばしば見受けられる。
何故こういうことが起こるのだろうか。 これは、劣等感なのだ。劣等感を強く感じていると、他人の欠点を強く否定する事でその劣等感を打ち消す傾向があるように僕は思う。 そして、プログラマは、劣等感を強く感ずるタイプが多いように僕は思う。
劣等感を強く感じる理由というのは人それぞれかもしれないが、僕は、プログラマが、劣等感を強く感じてしまう事は理解できる。 自分がそうだからだ。
技術者が劣等感を持ちやすいという傾向は、マクルーハンの「メディア論」の中でも指摘されている。 東洋文化に疎いらしいマクルーハンの論法がそのまま日本にも適用できるとは考えられないが、少なくとも50年以上前から、そういう現象は発生していたと考えられる。 だから、劣等感を強く感じるプログラマ自体は、珍しいものではない。
問題は、その自分の中の劣等感の対処法なのだ。
(※1)
http://www.tokaido.co.jp/amigalab/
ところが、僕は、プログラマだけど、あまりエディタに詳しくない。 よくみんな、WZがとか秀丸がとか、あれがいいとか、これがいいとか聞くけど、僕は殆ど何も知らない。 触った事すらない。
何故か。
僕は、VIM という ものすごい高性能なエディターを一個だけ知っていて、それで十分だからだ。
VIMというエディターは、プログラムがクロスプラットフォームという特殊な作りになっているので、WINDOWS / MAC / LINUX / UNIX の関係なく、どんなパソコンでも動く。 果ては WindowsCE用 AMIGA(※1)用も出ていると聞く。 だからOSが変わったから使い慣れたエディターを捨てなければならない、という事は絶対無い。
対応しているキャラクターエンコーディングも多いうえ、シンタックスハイライティングという強力な色付けの機能がある。様々なプログラム言語... Cは勿論 JAVA 果ては ADA PL/1 なんていう超マイナー言語でも文法に従って色が付く。 マニアックな編集機能には事欠かず、およそテキスト処理で可能な事は全部できる。マクロ機能・キーバインディング変更機能・考えられる機能は全部付いている。
しかも、UNIX(インターネットサーバーで最も一般的な基本ソフト)上で最も普及度の高いエディタでもあるので、これで慣れてしまえば、普段の使い勝手そのままでサーバー上の作業ができる。 これは、非常に便利なのだ。 だから、僕は、VIM から離れる理由を見出せず、そのままずっと使っている。
ところが、 そんな VI使い(マニアックなVIM利用者の事を業界ではその様に呼ぶ) な僕は、最近文章を書くとき、メモ帳を使う事が少なくない。
何故か。
VIMは機能が複雑すぎて、迷う事が多いのだ。 実は、このVIMは多機能すぎて非常に習得が困難なエディタという事でも非常に有名なエディターである。
とはいえ、僕はVIを使い始めて10年近くたっており、既にVIの機能はほとんど知り尽くしている。 学習が困難という事は既に克服してる。
ところが、その機能を使おうとすると、どうしても文章がかけなくなってしまう。 なんというか、エディタを操作する事に気を取られてしまって、文章を書くことに集中できないのだ。
操作自体は無意識に行っている。 問題は操作の複雑さではない。 そうではなくて、できることが多いので、「ひょっとしたらもっといいやり方があるかもしれない」という探究心に火がついてしまうのだ。 それも文章を書いている合間に。 だから、文章を書いているうちにいつの間にかVIMの機能を試し始めてしまったりする。 うまく動かないと自分でスクリプトプログラムを書き始めてしまったりする。だから、肝心の文章の方はは一向に進まない。
自分の中では、プログラムを作る時の思考パターンと、文章を書くときの思考パターンで切り替えが必要である感覚がある。
だから、全く何の機能も無い Windows標準添付の メモ帳を最近よく使う。 全くもって何の機能も無い。 それがいい。 できないことはやらない。 そういう割りきりができる。 もし、何か面倒な編集が必要になれば、その時VIMを開けばよい。
──────────────────────────
最近メモ帳を使っていたら、ある人から勝ち誇ったように、何でメモ帳なんか使ってるの? といわれてしまったことがあった。
まぁそうかもしれない。 メモ帳というのはあくまでも初心者向けのエディターである。 確かに時折、プログラマでメモ帳を使っている人はいる。 それは、殆どの場合、エディタの使い方を覚えるのが面倒くさいという、怠慢が原因なのだ。 それは知っている。
そして、やはり勝ち誇ったように「エムエディターをつかえ」といわれた。
僕は寡聞にしてエムエディターという物の存在を知らなかったので、面食らった。 だが、話を聞き進めるうちに、それは僕の知っているイーエムエディターという物であるような気がしてきた。
この名前は、英語では EmEditor 書き、正しい読み方は存在しないのだが、このスペリング、非常に微妙である。
例えば、 EMUと書けば イミューと英語では読むことが多い。 EMをエムと読むことはあまり多くないと思う。 エムと読ませたいときは一般的には Emme の様に発音しなくとも後ろに子音を書く事が多いのではないだろうか。 その様な一般的でない、紛らわしいスペリングの場合は イーエムと読むのが無難であり、慣例ではなかろうか。
ちなみに、古典的なエディターとして有名な、EMACSは EMACSと書いて「イーマックス」と読むのが通例である。「エマックス」とは読まない。 他にも、既にできてた古典的なエディター名VIも、VIと書いて「ヴィアイ」と読むのが一般的だ。 「ヴィー」とは読まない。 例外は、これも既に出てきた、VIMかも知れない。 これは VI iMproved の略で 基本的には VIと同じ読み方をすべきなのだが、「ヴィム」と読む人と「ヴィアイエム」と読む人と半々ぐらいである。 コンピューター言語の「BASIC」もバシックと読まずベイシックと読む。
コンピューターの略語で「ENUM」という物があるが、これは非常に例外的だ。 これは ENUMERATION(列挙)の極めて一般的な略語なのだが、「イニューム」と読むのが普通、と思いきや人によって「イナム」「イニューム」といろいろな読み方が普及している。 面白い事に、この読み方の違いは、日本人だけではなく、英語のネイティブスピーカーの間でも、諸説あるようである。
話がそれた。 EmEditorを エムエディターと読むと M-EDITORと紛らわしい。(その様な名前のエディタは存在しないが) そういう紛らわしくなる読み方の場合はアルファベット読みをするのが通例であると僕は思う。
そこをエムエディターといわれたので、すぐに何を言っているのか理解できなかったのだが、さらに間髪をいれずに「なんでしらんのか」的な物言いをされたので、余計面食らった。
その他も、若干疑問を感ずる物言いをされた感は否定できない。
非常に感じ悪かったが、実は、それは構わない。
僕は、誰かが何かを知らなかったときに、「何だ貴様はそんな事も知らないのか」的なことは絶対に言わない。
知らないことは知らないし、知っていることは知っている。 コンピューター業界のように、移り変わりが速く、しかもドラスティックに変わる事の多い業界では、長い経験と知識という物が、あっというまに陳腐化しやすい。 そういう業界では殊にそうである。知らないことは知らないし、知っていることは知っているとしか言いようが無い。
知らないことは素直に知らないというしかない。 それが一番前向きな行動である。また、人が知らないといったことを責めてはならない。 その時点、その時点で覚えればよいのである。 それこそが、一番前向きな行動である。
ところが、プログラマには、時折、こういう人の知らないことをあげつらって攻撃するタイプの人間がいる。(このような行動を「知的暴力」という。 このような行動はチーム全体の新しい知識を得ようとするモチベーションを落とすので絶対にやってはならない行動だ。) しかも残念な事に、このようなことは、非常にレベルの高いプログラマからもしばしば見受けられる。
何故こういうことが起こるのだろうか。 これは、劣等感なのだ。劣等感を強く感じていると、他人の欠点を強く否定する事でその劣等感を打ち消す傾向があるように僕は思う。 そして、プログラマは、劣等感を強く感ずるタイプが多いように僕は思う。
劣等感を強く感じる理由というのは人それぞれかもしれないが、僕は、プログラマが、劣等感を強く感じてしまう事は理解できる。 自分がそうだからだ。
技術者が劣等感を持ちやすいという傾向は、マクルーハンの「メディア論」の中でも指摘されている。 東洋文化に疎いらしいマクルーハンの論法がそのまま日本にも適用できるとは考えられないが、少なくとも50年以上前から、そういう現象は発生していたと考えられる。 だから、劣等感を強く感じるプログラマ自体は、珍しいものではない。
問題は、その自分の中の劣等感の対処法なのだ。
(※1)
http://www.tokaido.co.jp/amigalab/
コメント一覧
すぅ♪ 2006年08月09日 21:10
長い・・・
今は読んでいてほとんど理解できないですけど、
IT業界はいって、勉強します。
足跡帳の変わりにつけました。
今は読んでいてほとんど理解できないですけど、
IT業界はいって、勉強します。
足跡帳の変わりにつけました。
おかあつ 2006年08月09日 23:55
この文章は、プログラマ向きに書いた文章なので、断りなくプログラマ用語を沢山使っており、とってもわかりづらいと思います。 (_ _。)
もしも、この言葉の意味が知りたい、ということがあったら、是非遠慮なくおっしゃってください。 (・▽・)ノ
もしも、この言葉の意味が知りたい、ということがあったら、是非遠慮なくおっしゃってください。 (・▽・)ノ
すぅ♪ 2006年08月16日 01:23
わたし超がつくほどのド素人です。
わからないことのほうが多くて質問できません。
機械にはうとくはないんだろうけど、今まで勉強する機会が
なかったのでIT系なんにもわかりません。Webデザイナーっておもしろそうだなとは思います。でもJavaって?プログラマーって?なにができたらいいの?なにから始めればいいの?って感じです。なんか超初心者でもわかる文献のおすすめありませんか?自分でも方向性がみえない。私立文系のわたしでも始めやすく、つぶしの利く資格?勉強はなんでしょうか??
わからないことのほうが多くて質問できません。
機械にはうとくはないんだろうけど、今まで勉強する機会が
なかったのでIT系なんにもわかりません。Webデザイナーっておもしろそうだなとは思います。でもJavaって?プログラマーって?なにができたらいいの?なにから始めればいいの?って感じです。なんか超初心者でもわかる文献のおすすめありませんか?自分でも方向性がみえない。私立文系のわたしでも始めやすく、つぶしの利く資格?勉強はなんでしょうか??
おかあつ 2006年08月16日 02:21
... いろいろな入り口があるのですが、本格的に勉強を始めるのであれば、最初は ...
http://www.keikotomanabu.net/shikaku/s/c10-015_10058000.html
このあたりを目指すのがよいかもしれません。 この資格はとても信頼度が高いので、よいと思います。 僕がもし採用官だったら、この資格を持っている人は安心かな...と思います。
今はホームページを作ったり、ホームページ上で動くプログラムを作ったりする仕事が多いですが、ホームページ作成や、掲示板の作り方は
http://www.tohoho-web.com/www.htm
このホームページが一番よくわかります。 このホームページを見れば、WEBに関するほとんど全ての事を勉強できます。オススメです!
http://www.keikotomanabu.net/shikaku/s/c10-015_10058000.html
このあたりを目指すのがよいかもしれません。 この資格はとても信頼度が高いので、よいと思います。 僕がもし採用官だったら、この資格を持っている人は安心かな...と思います。
今はホームページを作ったり、ホームページ上で動くプログラムを作ったりする仕事が多いですが、ホームページ作成や、掲示板の作り方は
http://www.tohoho-web.com/www.htm
このホームページが一番よくわかります。 このホームページを見れば、WEBに関するほとんど全ての事を勉強できます。オススメです!
すぅ♪ 2006年08月17日 06:52
おかあつさん
紹介してくださってありがとうございます。
独学でできるところまでやってみます。Java使えるんですね!
紹介してくださってありがとうございます。
独学でできるところまでやってみます。Java使えるんですね!