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2006年5月10日水曜日

時代がオレに付いてきたぜ (mixi05-u459989-200605100149)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
時代がオレに付いてきたぜ
2006年05月10日01:49
今週、訳有って大急ぎで日本に帰ってきましたのですが、せっかくですので、高速なネット環境が無いと出来ない作業を急いで済ましてるところです。タイはネット環境が悪かったからです。

で、気が付いたのですが、僕の作ったフリーウェア・ミュージックアナライザですが、最近あちらこちらで引用されているようです。

このソフトは私が8年前に自分で使いたくて作ったソフトをフリーウェア化して公開したものです。 基本的にはスロー再生機能付きの音楽再生ソフトですが、少し変わっていて『ミミコピ』という作業をすばやく行うために特化されています。

ミミコピというのは知っている人は知っていると思いますが、音だけを聞いて譜面を起こす事です。 訓練を伴う非常に高い能力を要求する上、繰り返しの多い疲れる作業です。

当時は私はは忙しかったので、なるべく少ない時間できっちりミミコピしたかったのでがんばって作り、せっかく作ったのでみんなにも使ってもらいたいと考え、公開しました。

とはいえ、当時は僕も無能・無力・無名・無学歴・無キャリア無い無いづくしでしたから、自分の作ったソフトが有名になったら、それは自慢になるなという打算はありました。

ですが、結果はそのスケベ心は無残に辱めるような物でした。

リリース後、使い方が難しい、説明書が読みづらい、訳がワカラン etc.etc. クソミソにメールで言われ、がっかりしてしました。

当時はまだフリーウェアという存在自体が珍しかったので取り敢えず雑誌には載りました。 掲載見本誌=ネットランナー(※1)と CD付きエロ本=DOS/V USER(※2)が隔月程度で送られてきました。 これが私の唯一の得した事です。 言われてみれば、ミュージックアナライザを作ってからエロ本を買った事がありません。

2004年くらいだとおもうのですが、新たに気合を入れ直して3ヶ月くらいバージョン4を製作・リリースしました。画面デザインを自由に変更する事が出来る「スキン機能」を実装した意欲作でした。 こうして、満を持して「窓の杜」にメールしたのですが、見事に無視されてしまいました。

それがきっかけになって、いやになって開発をやめちゃいました。

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時代は変わりました。

それは、最近ではスロー再生機能が付いたソフトやAV機器はたった数年で広く一般的に利用されるようになりました。 具体的に触れるチャンスが増えるにつれ、ユーザーに、スロー再生機能という物のイメージと具体的な利用価値が理解されるようになったのだと思います。

私がミュージックアナライザを作った時は、音楽再生ソフトという言葉自体ありませんでした。 「音楽再生ソフト?は?なにそれ」 って感じでした。 だから、音楽再生ソフト、という言葉が一般化したということは、すごい事だと感慨めいた思いが僕にはあります。

何故でしょうか。 試みに当時の会話を文章として再現してみたいと思います。

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A君「ミュージックアナライザ? キミはいったいなに作ってるの?」

僕「イヤね、実はパソコンで音楽を聴くことが出来るんだよ。ATAPIでは駄目なんだけどSCSIという規格のCDドライブを使うとCDの音楽データをパソコンに取り込む事が出来るんだ!すごいでしょ! これを使ってWAVE形式のファイルを作ってMP3に圧縮すると、パソコンで再生できるんだ。 あ、でも直接CDから再生しても大丈夫なんだけどね。こういうことをするソフトのことを音楽再生ソフトっていうんだ。ナニが便利なのかって? それで取り込んでしまうと、じ・つ・わ! コンピューターで波形処理する事が出来るんだ。つまり、音程を変えないでスロー再生できるんだよ。 わかる? ほら、普通カセットテープ再生してる時で電池がなくなってくると遅くなるでしょ? あれとおんなじでWAVEファイルも再生速度をかえると音が下がっちゃうんだよ。 それだと「耳コピ」する時、すごい困るから、あ、耳コピって言うのは...(中略)...なんだ。だからこまるなとおもって音程を下げないでスピードだけ遅くするソフトを作ったんだ。それに耳コピする時は何度も繰り返さないといけないので、自動的に繰り返して、繰り返し区間をデータベース化して検索する機能も付いてるんだ。 あと、キーボードだけで操作できる音楽再生ソフトって無いんだよ。だからキーボードだけで操作できてしかも自分で操作方法をカスタマイズできちゃうんだよ。すごいでしょ! え?何がすごいのかわからない。 だからぁ」

「... うーん... おかあつの説明は長くてよくわからないなぁ。おかあつ、説明へただよね。」

─── 確かに、私の説明はあまり上手ではありませんでした。

しかし、今になって改めて考えてみると、判り易い簡単な説明は無理だったのだなと思います。 説明しようとしている事柄 全てが一般的なコンセンサスが取れていない新しい概念だからです。

当時は、まず今のようにパソコンで音楽再生するという概念自体がありませんでした。 よって、ミュージックアナライザを人に説明するためには次のことをすべて説明しなければなりません。

・パソコンとAV機器の関連
・パソコンによる音楽取り込み
・音楽再生ソフトとは何か
・スロー再生とは何か
・ミミコピとキーボード操作の重要性
・区間データのデータベース化の重要性
・曲目と区間データの自動関連付け
・2倍速以上の速度変更の意義と宿命的な欠点
  .
  .
  .

これらを一言で説明できるわけが無いのです。

よく「キミの説明が難しすぎる。説明というのは1つの文章で概要がつかめるものだ」と、親切にアドバイスしてくれる方も居ましたが、ありがとう。そうじゃないんです。

もちろん、わかる人だけを相手にする、というスタンスもありえました。 ですが、当時は そういうスタンスを持つ人は、容赦なくマニアックというレッテルを貼られ、無視されました。



今では これほどまでにPCが一般家庭に普及しましたし、PCに付属しているソフトにも、最初からスロー再生機能が付いているものもあります。 スロー再生という概念自体が一般化しつつあるのではないでしょうか。

先日、国会で速記文字が廃止になるという話題がニュースになっていました。 パソコンの導入によるものです。 一度国会の全ての発言を電子的に録音し、終了後に音程の変わらないスロー再生によって聞き取りやすくした上で、タイピング・文章化するのだそうです。 これもスロー再生機能が一般化しつつあることを裏付けています。

ですから、私のミュージックアナライザの説明も昔と比較してとても簡単になりました。こうしてミュージックアナライザを使う人が増えたんだと思います。

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当時は、僕にとって全てが全く未知のことでした。 僕の疑問の答えを知っている人はいませんでした。 こうして今、結果を見て考えてみると、色々な教訓が浮き彫りになってきます。

その中でも、10年という長いスパンで見れば「理解されない」などという事は些細な事なのだ、という事実は僕に衝撃を与えました。 理解されない事を恐れずに更に新しい物を追求すればよかったのだな、という結論は、僕を奮い立たせます。

改めて感謝したいと思います。

ありがとう、ミュージックアナライザを捨てないで居てくれた人たち!

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(※1)掲載誌であの初代中華キャノンが送られてきた時は何のことか、と思いましたが今思えば貴重な事でしたね。

(※2) 当時は10秒程度のエロ映像を満載したCDとフリーウェアをかき集めたCDをつけてコンビニで売っていました。 当時はブロードバンド環境が珍しかったので、こうしてダウンロードしないでもエロ画像が見れる・フリーウェアが使える、という事で売れていたのだと思います。 ブロードバンド環境が普及するにつれ存在意義を失ったのだと思います。

当時は電子メディアの検閲がまだきちんとしていなかったので結構きわどい画像が沢山ありましたが、ある意味、いい時代でした。
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出展 2006年05月10日01:49 『時代がオレに付いてきたぜ』