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2006年2月11日土曜日

レベルが低い (mixi05-u459989-200602112112)

ミクシ内で書かれた旧おかあつ日記を紹介します。
レベルが低い
2006年02月11日21:12
僕には、京浜工業地帯の寵児の様な友達がいる。 小学生の時からの友達で、精密機器の金型屋の社長である。 僕は、彼にはよくIT業界の愚痴をこぼしているのだ。

IT業界だと、当たり前のように正しいことを正しいと叫ぶと、『マニア』とか『変態』とか、言われ、社会地位が下がるからだ。 正しいことを正しいと言うと、当然、昇進の道は断たれる。 それは、ほとんどの会社で情報処理部門出身のCEOがいないことからもうかがうことが出来る。 ITのことを何もわかっていない人だけが、出世する。

それだけではない。 時として、悪者として扱われ、逮捕されたりすることもある。 こんなおかしな社会はないと思う。

と言うことを言ったら、その友達に話したら、それはおまえ、業界が若いんだよ。と言う。

彼曰く。京浜工業地帯というのは、ここ60年間、日本の産業の基盤をしょってきたのだ。 こういう仕事をしている人の中には、金型を作ることが生活の一部であり、金型を作ることが快楽の全てであるといった、金型を作るために生まれてきたような人がいる。

そういう人は、IT業界で言うところのいわゆるマニアである。仕事バカである。 しかし、いくらバカにしたくても、効率、精度、どれをとっても、誰もかなわないので、皆、尊敬せざるを得ない。

一方、研磨屋という職業があるそうだ。 こちらは、金型を作る技術は持たない。 持ちたくもないといった人種らしい。 金型は作れないが、人の作った金型を削って修正して制度をあげるという仕事らしい。 金型屋さんは、納期の関係から彼らを利用することが多いのだそうだが、彼らは職人肌的なものを持っていないので、あまりきちんとした仕事をしないそうだ。

何故なのか話を聴いてみると、研磨屋さんが、金型屋さんが言うような職人的な話をすると、生意気を言うなといった風に、馬鹿にされる、と言うことだ。

要するに、研磨屋さんというのは、レベルが低いのだ。 レベルが低いところに行って、レベルが高いことを言うと、理解されるどころか、お前アホか、といった風に、逆に馬鹿にされるのだ。

なるほどな、と思った。 これは、明らかに、日本のIT業界に似ている。

おそらく、この、レベルが低い人が苦し紛れにレベルが高い人を馬鹿にする、そして、レベルが低い人のほうが多数を占めるので、レベルの高い人が阻害される、 と言うのは、日本的な現象だと思う。

一ついえるのは、京浜工業地帯だと、金型屋さんと研磨屋さんは、確実にすみわけされているとの事だ。 だから、レベルの高い人は、レベルの低い人に邪魔されることなく、心置きなく腕を振るうことが出来るようだ。

IT業界ではごっちゃになって罵り合っている。

結構日本には、こういう現象があちこちにあるのではないだろうか。
コメント一覧
tear   2006年02月11日 21:52
いつもながらすっごく励まされました。今の自分の状況にぴったりだったので(/_;)安住の地は、どこにあるんだろう。 同じ思いの人って沢山いると思うのですがそんな人ばかりを集めた会社をつくったら、うまくいくのでしょうか?
おかあつ   2006年02月12日 21:53
(これは会社とかスポーツとか明らかに一つだけ共通の目的を持つという了解がある場合は当てはまらないのですが)基本的に誰が何を考えるのかはその人の自由で他の人がとやかく言う筋合いはないはずだと僕は思います。 また、逆に、考え方が違うからといって、相手を否定する必要もないはずです。

僕は、まさにこれが今の日本にかけている事だと思います。言ってみれば、思っていることを言えば、必ず否定されるので誰もが思っていることをいえない状況です。 日本では、これの突破口はネットしかないのではないでしょうか。

実際に今も、実生活だといえないけど、MIXIだといえるとか...。 (これって今に始まったことではないと思います。昔から、雑誌の投稿欄、 FromAのはみ出しとか、ラブホテルのノートとか、ゲームセンターの掲示板とか... あちこちに似たような匿名のコミュニティーはあったような気がします)

ただインターネットは今のままではいろいろなものが足りない思っていて、今僕が思っていることを明らかに誰でもわかる形で、なおかつ拡張性をもってシステム化するのが、僕の今の目標です。
tear   2006年02月13日 00:12
そうですよね。お仕事応援してます。
んーしかし、優れた人が出世できない原理は、自尊心とか
自分を守る手段かなとも思います。
人間が人間より頭のいい生物が出現したら抹殺しようとする
ことと同じかな。それが本心だと思う。
おかあつ   2006年02月13日 19:14
>人間が人間より頭のいい生物が出現したら抹殺しようとする
ことと同じかな。それが本心だと思う。

本当のことを言うと、僕はあまりそう思わないのです。でも、だからと言ってとかげのしっぽさんが言っていることを否定しているわけではないんです。そう思うのには、意外とわかりやすい理由があります。

僕はジャズをやっていたことがあって、アメリカに少し住んでいたことがあります。 そのときの話。

どうしても、本場のジャムセッションというのを体験したくて、日本人がぜんぜんいないようなセッションに飛び込んだことがありました。

日本とのレベルの差は明らかで、すごく刺激的でした。ニューイングランドコンサバトリーという音大の生徒が来ていて、この人たちがセッションを取り仕切っていたんですが、特にこの人たちはレベルが高くて、当たり前のように、複雑なリズムトリックや変わったコードチェンジを駆使して面白い演奏をしていました。

でも、よく見てみると、結構へたくそな人もいたました。 ウェイターのバイトをしている人にベースを弾く人がいたんですが、この人も混じって演奏したりしていました。この人はあまり上手じゃなくて、周りに迷惑をかけまくってしまい、演奏がとまってしまったりしていました。

日本でこんなことが起こったら大変です。 先輩方から総すかんをくらい、苛めぬかれ、やる気があるのかと子一時間 問い詰められて、お前はプロになる資格はないと責め抜かれ、自信を徹底的に破壊し尽くされてしまいます。

でも、そのセッションではみんなぜんぜん普通でした。 みんなそれぞれ自分の責任で自分の場所をキープして、自分のできる範囲でそれなりにベストを尽くして演奏していました。 苛めるでもなく、へりくだるのでもなく、みんな対等でした。 うまい人はうまい人として尊敬して、かといってへりくだったり褒め殺したりしない。下手な人は下手な人で馬鹿にしたり、ののしったりもしない。 あくまでも対等。

僕は、演奏がうまくいくのも失敗するのも、個人の問題なので他人がとやかく言う問題ではないんだな、とそのとき思いました。

ところで、僕は、そのセッションリーダーのバンドが演奏していた曲でものすごく気に入った曲を見つけてしまいました。 どうしてもその曲の名前を知りたかったのですが、そんな上手な人に直接聞くのは微妙に気が引けたのです。

それで、さっきいたあまり上手じゃないベースの人にはなんとなく親しみをもてたので、ちょっと呼び止めてこっそり聞いてみたんです。

そうしたら、そのベーシストは、いきなり「おーい!(とステージの上の人たちを呼んで)この人が曲名聞いてるよー!これなんていう曲~?」って聞いたので、正直青ざめました。

ですが、まったく平然として普通にあぁこれはオレンジバードだよ。って教えてくれた時の驚きというのは、なんとも表現しがたいものがあります。

普通。何も気にしないし、ほめごろさないし、へりくだりもしない。馬鹿にもしない。 ののしらない。 あくまでも対等に付き合うところが、非常に新鮮でした。

日本でこんなことしたら、大変です。おまえ!誰に話しかけてるのかわかってるのか、このバチ当たりもの! あのお方はロープー(プロ)だぞ! という感じです。 話しかけられたほうも、「誰だおまw?おまえごときが俺に話しかけんなw」って感じです。

そういえば、アメリカではイヌも違う。 近所に中国人が飼っていたイヌがすんでいたけど、こちらは、ほかのイヌにあうたびに激高していた。アメリカではイヌにも義務教育があると聞いたことがあります。 学校に行ったイヌはほかのイヌにあっても吠えないので、普通に電車に乗ったりしても大丈夫です。

(偽悪的ですが)日本人の一部の人たちはこの中国人のイヌとさほど代わらないのではないかと思うときがあります。

僕は、あのセッションで感じた自然体でいたい。考え方は個人の問題なので周りの人は関係ないはずだと信じている。 でも日本では、レベルが低いとまず馬鹿にされののしられ、がんばってレベルを上げると怖がられ、攻撃される。 どう工夫してもまったく仲良くできない。

日本にいると、必ず「いや~(^-^)ゞおまえもあほやな~」という笑いを取れる部分がないと絶対にひかれる。 完璧だと怖がられる。 かといってレベルを本当に落とすとほんとに馬鹿にされてしまって相手にしない。どうすればいいんだろうと、ほんとうによく思う。

でも、これは、価値を自分自身で決める習慣が日本にないからだと思います。 日本は、絶対にこの点を脱出する必要がある。

少子化少子化と騒いでいる割にスウェーデンの10倍も人がすんでる日本です。その癖、国土の半分以上が過疎という変な日本です。若者に年金を払わせることで頭がいっぱいでこれからの若者の価値観の育成なんでまったく考えるゆとりのないような感じすら受けます。(ちょっと偽悪的過ぎるかもしれませんが)

社会全体が僕がアメリカで見たような個人的価値観に移っていくのは僕が生きている間は無理なのかな、とよく思います。
 
出展 2006年02月11日21:12 『レベルが低い』

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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