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2020年7月20日月曜日

難解にならないジャズ (oka01-anzmipyiqpjuitjz)

僕は元々チャーリーヘイデン/デニーザイトリン/ジョン・アバークロンビー/ジョン・テイラー等の抽象度が高いジャズが好きだった。


僕の演奏もそういう方々の演奏手法を採り入れていたのだが『演奏が難解だ!』と批判を受けることが非常に多かった。そんな難解な奴ばかり聞いていないで「もっとビバップみたいなオーソドックスな奴を聞け!」と言われた。それがきっかけでウェス・モンゴメリ/グラント・グリーン等々の古いバップを聞くようになった。現在僕がビバップが好きな理由はもともとは他人のアドバイスだったのだ。

だがビバップを聞くようになり結果的に僕はアフリカ系の方々の音楽に傾倒する様になった。ビバップの本質はアフリカ系民族の民族音楽が持っているリズムだ。ビバップからR&Bを聞くようになりゴスペルを聞くようになりアフリカの民族音楽を聞くようになった。

それでアフリカ系のリズムパターンを自分の演奏にも取り込むようになった。すると僕はまた「演奏が難解だ!」と非難を受ける様になった。

そもそもチャーリーヘイデンが80年代に弾いている変則的なリズムも、全てはアフリカ系の民族音楽のリズムを発展させたもので、その本質は共通だ。チャーリーヘイデンは4分音符のオフビートを極端に強調し8分音符のオフビートは控えめにすることで長さを調整する。それ以外は全てアフリカ系のリズムと共通だ。

抽象的だろうが具体的だろうがリズムは同じジャズだ。

抽象的な演奏をすると難解だというから、具体的な演奏を心がけたが、具体的になればなるほどまた難解という。

20〜30年代のスイングジャズをやっても
40年代のビッグバンドジャズをやっても
50年代のビバップをやっても
60年台のモードジャズをやっても
70年代のファンクジャズをやっても
80年台〜90年代の現代ジャズをやっても

何をやっても難解という。

僕は非常に強く思うのだがでは一体何なら難解ではないのか。

僕は今はわかる ─── 難解ではない音楽の正体は演歌だ。

ジャズは、メロディーが1小節目1拍目から左側に向かって伸びていく。メロディーの開始点は決まっておらず1小節目3拍目や2小節目の4拍目等々、思い思いの場所から始まって良い。だがメロディー終了点は必ず4小節目の4拍目裏で固定されている。僕はこのメロディー構成の事を尻合わせと呼んでいる。

だが演歌はこのジャズのメロティー構成と全く真逆をつかう。演歌ではメロディーが1小節目1拍目から右側に向かって伸びていく。メロディーの開始点は必ず1小節目1拍目と固定されており、メロディーの終了点は決まっておらず、むしろ終了点をはっきり示さないのが流儀だ。僕はこのメロディー構成の事を頭合わせと呼んでいる。

だからジャズと演歌は原理的に絶対に同時に演奏できない。終了点を決めないのが演歌のしきたりで、終了点を必ず決めるのがジャズのしきたりだ。この2つのしきたりは絶対に両立できない。『頭合わせ』『尻合わせ』を同時に満たすことはできない。

日本人はメロディーの開始地点がはっきりしていないと難解だと感じる。だが実は日本人以外の人は、メロディーの開始地点がはっきりしていると逆に難解だと感じている。終了地点がはっきり決まらないとどうやってリズムを解釈して良いのか理解できないからだ。

頭合わせには頭合わせの良さがある。僕はこれを無理に尻合わせに当てはめてはいけないと思う。頭合わせには頭合わせの伝統がある。また更にいうと日本は必ずしも頭合わせリズムを演奏する訳ではない。日本に存在する全てのリズムを例外なく頭合わせに改造しなければいけない理由も見当たらない。そして僕は尻合わせのリズムを難解とも思っていない。

僕は純国産できちんとリズムの多様性を実現したバンドを作りたい。

頭合わせ乗りを否定することもなく、尻合わせリズムを全て頭乗りに改造することもなく、両立したバンドを作ってみたい。

日本人が演奏する尻合わせリズム ─── それを日本人が目の前で演奏しているのを日本人が見たら、みな衝撃を受けて勇気づけられるだろう。

頭合わせに虐げられている人も、頭合わせを愛している人も、頭合わせに媚びている人も、頭合わせに執着している人も、頭合わせを憎んでいる人も、尻合わせが理解出来なくて悩んでいる人も、そして頭合わせから脱出できなくて悩んでいる人も。

尻合わせを憎んでいる人も、尻合わせを愛している人も、尻合わせに媚びている人も、尻合わせに執着している人も、尻合わせを憎んでいる人も、頭合わせが理解できなくて悩んでいる人も。

音楽は垣根を超えて人を結びつける。

更新記録:

カテゴリを音楽メモから日本のジャズを理解するに変更した。(Thu, 27 May 2021 18:09:37 +0900)

著者オカアツシについて


小学生の頃からプログラミングが趣味。都内でジャズギタリストからプログラマに転身。プログラマをやめて、ラオス国境周辺で語学武者修行。12年に渡る辺境での放浪生活から生還し、都内でジャズギタリストとしてリベンジ中 ─── そういう僕が気付いた『言語と音楽』の不思議な関係についてご紹介します。

特技は、即興演奏・作曲家・エッセイスト・言語研究者・コンピュータープログラマ・話せる言語・ラオ語・タイ語(東北イサーン方言)・中国語・英語/使えるシステム/PostgreSQL 15 / React.js / Node.js 等々




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